逢坂誠二の発言 (憲法審査会)

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○逢坂委員 逢坂誠二でございます。おはようございます。
 芦部信喜さんの憲法の教科書、「憲法」という教科書がありますけれども、その中に、国家緊急権について、次の記述があります。国家緊急権は、立憲的な憲法秩序を一時的にせよ停止し、執行権への権力の集中と強化を図って危機を乗り切ろうとするものであるから、立憲主義を破壊する大きな危険性を持っている。こういう記述があるわけです。
 一方、国家緊急権を実定化する方法として、次の二つの方式を紹介しています。一つ、緊急権発動の条件、手続、効果などについて詳細に定めておく方式、二つ、その大綱を定めるにとどめ、特定国家機関、例えば大統領に包括的な権限を授権する方式。芦部さんは、この実定化について、次のように指摘します。危険を最小限に抑えるような法制化は極めて困難であり、二つの方式、いずれも、多くの問題点と危険性をはらんでいる。このようなことを教科書の中で述べております。
 現在、衆議院の憲法審査会では、緊急事態への対応として、衆議院の任期延長が俎上に上がっています。議事録などを読みますと、推進派の皆さんは、任期延長には立憲主義を破壊する懸念はないと感じているように受け止められますが、本当にそうでしょうか。私は、もっと慎重に、多角的に議論すべきだと感じています。憲法審の議論では、芦部先生の指摘も踏まえた、落ち着いた議論をしなければなりません。
 さて、二〇〇七年一月四日、当時の安倍総理は年頭記者会見で、次のように述べました。是非私の内閣としても改正を目指していきたいということは、当然参議院の選挙においても訴えてまいりたい。さらに、今年の一月三十日、岸田総理は施政方針演説で、次のように述べました。総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力をしたいと考えています、今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります。
 総理がこうした発言をすることが、落ち着いた憲法議論を阻害し、憲法改正をすべきと考えている皆さんにとっても事実上の足かせになっているのではないでしょうか。なぜ、こうしたことを理解せず、この類いを発言するのか、意味が分かりません。憲法審での落ち着いた議論を主権者である国民の皆様が見て、時代に応じた憲法改正への思いが、泉から水が湧き出るようにしみ出てくる、そんな議論を私はしたいと思っています。そのような思いを持つ私から見ると、安倍元総理や岸田総理の発言は憲法議論の阻害要因です。
 さて、私は、一九八三年四月、自治体の職員として社会人生活をスタートしました。一九八三年は、統一自治体選挙の年です。採用と同時に選挙管理委員会の職員としての併任発令を受け、統一自治体選挙の事務に従事しました。また、同年六月には参議院選挙、年末には衆議院が解散され、国政選挙の事務も含め、短期間に三つの選挙事務を経験することができました。それ以降、役所を退職するまでの十一年間に、統一自治体選挙三回、国政選挙八回の選挙事務を経験させていただきました。こうした経験の中で、幾つか記憶に残る選挙があります。
 一九九三年七月十二日午後十時十七分、北海道南西沖地震が発生しました。震源地は北海道奥尻島の北方沖の日本海海底、マグニチュードは七・八、震源に近い奥尻島の揺れは震度六と推定されました。当時奥尻島には地震計がなかったため、推定ということであります。火災や津波で死者・行方不明者二百三十名の大きな被害となりました。当時の奥尻町の人口は四千七百人、この町で二百名以上も死者・行方不明者となったのですから、いかに大きな被害であったかが分かります。
 実はこの時期、七月四日公示、七月十八日投票の第四十回衆議院選挙の真っ最中でした。奥尻町は地震の被害で大変な状況の中でしたが、結局は予定どおり選挙を実施しました。
 現在、憲法審査会では、大規模災害時などに衆議院の任期を延長すべきとの議論が出ています。私は、この議論は非常に安易だと思っています。本当に選挙ができないケースがあるのかどうか、災害に強い選挙の在り方はないのかなどの議論、工夫が十分にされているようには見えません。とにかく何でもいいから憲法を変えればよい、そんな議論に思われて仕方がないのであります。
 まずは、災害時など緊急時の対応として、選挙ができるような工夫を最大限行うことです。例えば、選挙人名簿の管理の在り方、他自治体との協力関係の構築など、検討すべきことは多々あると思われます。
 こうした災害に強い選挙の在り方についての議論を国会図書館を通して調べていただきましたが、そうした資料が余り見つかりませんでした。つまり、日本ではこの点に関する議論が十分ではないと思われます。私自身の選挙事務の経験も踏まえて、災害時の選挙の在り方を今後考えてみたいと思います。
 最後に、前回、憲法審査会において、NHK中継に関する質問がありました。
 一般論として、国会での議論が多くの国民に共有される機会が増えるのはよいことだと思っております。また、事務局に調べていただきましたところ、過去一度、憲法関連委員会がNHKで中継された実績もあるとのことです。
 こうした点を考えてみますと、この憲法審査会の議論がNHKで中継されることはあり得ることだと考えます。ただし、電波には限りがありますので、どのような条件、場面で中継するか、しっかりとそうした条件を検討することも必要なことだと考えております。
 以上です。

発言情報

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発言者: 逢坂誠二

speaker_id: 4539

日付: 2024-04-25

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会