中谷元の発言 (憲法審査会)

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○中谷(元)委員 自由民主党の中谷元でございます。
 五月三日は憲法記念日でありまして、各党の主張を拝聴させていただきました。
 朝日新聞が報道した中で、憲法改正での世論調査という記事がありました。この中では、具体的な条文作りに賛成である、これが五九%、反対が三〇%と、賛成が反対の二倍となっております。また、緊急事態において選挙ができないときに、議員任期を延長して、憲法改正をして対応すべきかという質問に対して五一%が賛成と、過半数を超えております。
 これまで憲法審査会では、数年をかけて緊急事態において選挙実施が困難な事態について議論を重ね、論点整理も行ってまいりましたけれども、審査会の議論においては、国の緊急事態において国会機能を維持するための条文化について、各政党間で起草作業を行い、その具体的な条文のたたき台を基に審査会で論点を深く議論していくべきであるという意見がありまして、事態は機が熟してまいってきております。
 これまで論点整理で共通認識となっている要件としては、第一に、広範性についてであります。
 審査会では、全国で長期選挙ができないような状況があるのか、その立法事実はあるのかという発言がありました。選挙の一体性が害されて、広範な地域において選挙が困難な事態とは、どの程度の広さの範囲を想定しているのか。
 私が考えますに、この広範性の要件は、全国で選挙が困難というような事態ではありません。今、もし衆議院総選挙の直前に東日本大震災が発生したとすれば、東北ブロックの過半の小選挙区で選挙実施が困難となり、その小選挙区及び比例の東北ブロックの議員も選出をされません。そればかりか、茨城県内、千葉県の一部でも選挙ができずに、北関東ブロック全体にもその影響は及びます。その結果、全体で総定数四百六十五人のうちの一割を超える七十人ほどの衆議員が選出されないという試算があります。参議院選挙の場合を考えると、全国の比例代表区の選挙区は一人も選出されないということになります。
 このような選挙実施の困難な地域の広がりは、国政選挙の同時実施の原則に照らせば、まさしく選挙の一体性が害されるという要件を満たすものと考えられますが、この選挙の一体性が害されるか否かの具体的な基準は、選挙延期の手続を定める法律において定めるということになります。
 自然災害、感染症、戦争、テロなど、緊急事態の態様や発生する場所、それが都市部か地方か、平野部か半島地区か、地形や地勢によって選挙困難な状況は様々でしょう。だから、一義的な基準の設定は難しいと思いますが、それでも、恣意的な判断にならないように一定の明確な判断基準を定めることが必要になります。
 今後、条文案のたたき台を示した議論の中では、憲法改正原案の文言だけではなくて、このような具体的な基準のイメージについてもしっかりと議論をしていかなければなりません。これは、皆さんがそろってこの場で議論をしておくということが極めて大事なことだと思います。
 第二に、七十日を超えて選挙が困難な事態という長期性の要件につきましても、議論で整理が必要です。
 憲法五十四条、衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に衆議院の総選挙を行い、その選挙日から三十日以内に国会を召集しなければならないとあります。
 条文を素直に読めば、総選挙の実施は解散から四十日以内に行わなければならないと定めておりまして、この要件は七十日ではなくて四十日とすべきではないかという意見もありますが、私は、総選挙の実施の見通しがついているのであれば、たとえ四十日を超えたとしても、できるだけ参議院の機能を尊重して緊急集会で対応することが望ましいと考えておりまして、憲法五十四条の趣旨をかんがえてみますと、現行憲法は、衆議院不在の期間を最大で七十日程度あり得ることを想定しているものと解釈することができます。
 逆に言えば、さすがに七十日以上の衆議院の不在を現行憲法は規定をしていない。衆参の、審査会に合致をした、こういった状況が見通せる場合は、四十日を超えて選挙実施が困難な場合であっても緊急集会で対応するとともに、万が一それを超えるような例外的な選挙困難事態への対応は、衆参そろっての二院制の国会で国難に対応する、そのようなすみ分けが適切と考えているところであります。
 三つ目は、内閣不信任決議を禁止すべきかどうかという論点です。
 選挙困難事態発生時には、国会機能維持のためには、国会は通常、開会、つまり、閉会禁止の措置とともに衆議院の解散禁止の措置を定めるべきことについてはほぼ異論がないと思います。
 そういたしますと、議院内閣制の統治機構の下に、行政府と立法府のチェック・アンド・バランスの観点から、内閣の解散権の対抗措置であります衆議院による内閣不信任決議についてもセットで禁止をすべきではないかという考えにも一理ありますが、この緊急事態こそ総理のリーダーシップが問われる場合で、大半の議員がどうしてもこの総理、この内閣では現在の国難を乗り切れないと判断する場合は皆無ではないと思いますので、最後の手段として内閣不信任決議の余地を残しておくということが適切と考えます。
 したがいまして、内閣不信任決議が可決された場合には内閣は総辞職をすることになりますが、これは緊急時における国会中心主義の徹底として説明できると考えております。
 以上、選挙困難事態における国会機能維持の条文化について論点を整理してみましたが、既に多くの会派から、早急に条文起草作業に入るべきとの御意見をいただいております。
 大事なことは、全ての会派がここの下に、そして真剣に議論をするということ、幅広い会派がこの協議の場において意見を述べて、賛否を含めて国民に論点を明らかにすることであります。中でも、反対の立場の方も議論に加わって意見を述べていただきたい。国民にとっての、憲法を議論する場所がこの憲法審査会でありますので、全ての政党が集まって、意見を述べて、議論ができる国会唯一の機関、この憲法審査会におきまして、よろしくお願いしたいと思います。
 なお、昭和二十一年の憲法制定時の国会では、芦田均議員を委員長とする帝国憲法改正委員会の中で、修正案の作成のために小委員会が設けられ、各会派、共産党の方も発言をされまして、憲法第九条二項冒頭に、前項の目的を達成するためにという文言の共同修正案が作られ、同案が委員会に報告されて、可決をされました。
 憲法改正は、この審査会の場所でしか議論できません。是非、反対の立場の皆さんにも、議論を尽くす、熟議を行う、国民に対しての考えをしっかり述べるという場で、御出席をいただきまして御意見を述べていただきますよう、よろしく御理解をいただきまして、私の意見表明といたします。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 中谷元

speaker_id: 2715

日付: 2024-05-09

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会