玉木雄一郎の発言 (憲法審査会)
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○玉木委員 おはようございます。国民民主党代表の玉木雄一郎です。
憲法審査会も、今国会、残り六回となりました。今後の運営について、まず三点提案をしたいと思います。
来週からは、全会派を入れた起草委員会を設置し、これまでの議論を経ておおむね意見の集約が図れた緊急事態における国会機能維持を可能とする憲法改正について条文案作りに着手すること、このことをまず求めたいと思います。
二つ目に、国民投票広報協議会の規程案を具体的に策定することを求めます。
三点目に、これは何度も出ていますが、広く国民にこの審査会の議論を知っていただくためにNHKの中継を導入すること。
以上三点を会長及び幹事の皆さんにお願いをしたいと思います。
議論の分かれる論点についても、具体的な条文案をベースに議論した方が国民にも分かりやすいと思います。というのも、先般の憲法記念日における各種のメディアのアンケートを見ましたけれども、議論していないような架空の論点についての賛否が示されているものもあります。憲法審査会で何を具体的に議論しているのか、もっと解像度高く国民の皆さんにお示しする必要があると改めて感じました。
ちなみに、今日資料も出ていますが、憲法改正に賛成ですか、反対ですかという問いがよく聞かれますが、冷静に考えるとおかしなアンケートだと思います。例えば、法律改正に賛成ですか、反対ですかと聞かれたら、多分多くの国民はまず、どの法律ですかと聞き返すはずです。憲法改正についても、どの条文をどのように変えるのかという、そのような問いのレベルまで具体化しないと、そもそもアンケート自体に意味がないし、いたずらに無用な不安を国民に広げるだけになってしまうと考えます。
特に、大規模災害が発生した場合などに選挙実施が困難なときに、選挙期日を延長し、その間、議員任期を延長することのルールと手続を定めることについては、私は、冷静に話せば多くの国民が理解を示してくれるはずだと思います。
この論点について国民の理解を得るためには、私は、野党第一党である立憲民主党さんの果たす役割が非常に大きいと思います。各国の例を見ても、与野党が合意できた改憲案には国民も安心して国民投票で賛意を示すということが海外の調査でも示されておられます。
逢坂幹事が述べられたように、災害に強い選挙づくりの体制をつくることは私も大賛成であります。例えば、オンライン投票も可能にするような検討を早急に進めるべきだと思います。しかし、それでもなお選挙実施困難な事態は想定し得ると思っています。
前回も述べたように、昨年二月に泉「次の内閣」で閣議了承された中間報告の中にも、立憲民主党も選挙困難事態は否定していませんし、緊急集会の位置づけ、いわゆる射程について、必要あれば憲法に明記することも検討するとされています。これは奥野さんがまとめられたものだと承知をしております。
逢坂幹事から先ほどスーパー緊急集会についての回答をいただきましたけれども、具体的に確認したいのは、立憲民主党として、現行憲法下で、憲法改正をしなくても、七十日を大幅に超える期間、そして憲法上衆議院の優越が認められる当初予算や条約についても取り扱えると考えているのかどうか。これはもし可能なら具体的に回答いただきたいと思っています。特に、予算と条約というのは明確に衆議院の優越性が認められているので、これを、万能の権限を参議院の緊急集会に認めてやるというのは、私は、やはり現行憲法ののりを越えるのではないかなというふうに思います。
私たちは、参議院の緊急集会の射程はあくまで一時的、限定的、暫定的であり、その射程を超える活用を行うなら、やはり憲法改正が必要だと考えます。解釈で緊急集会の権限、射程を拡大するのは、多くの人が恐れる権力の濫用につながる可能性があるからです。であれば、衆参同時活動の原則に立ち戻り、選挙実施困難な事態が発生した場合には、やはり、選挙期日を延期し、議員任期を延長する憲法改正の方がよりよい改正ではないかと考えます。
もう一点、議論を整理するために質問したいのは、昨年、参考人でお越しをいただいた長谷部恭男先生がおっしゃった、大規模災害が発生した場合に、選挙が可能となった地域から順次繰延べ投票を行って当選者を決めていけばいい、そして、三分の一以上の議員が選出された時点で定足数を満たす、こういう考えに同意をするのかどうか。これについても、奥野さんでも逢坂さんでも、御意見を賜ればと思います。
例えば、私は四国の出身なんですが、南海トラフ地震が発生したときに、四国とか近畿とか東海ブロックの各府県で選挙ができない、でもほかではできるという場合に、できるところだけで選挙をやって、その結果が全国民を代表する選挙としての正統性を付与できるのかどうか。私は、とても選挙の一体性が確保されているとは思えません。
こうした長谷部教授の考え方に、立憲民主党としてどうお考えなのか。もし考えがあれば、意見を是非伺いたいと思います。
最後に、長谷部先生のような学者と私たち国会議員との間には根本的な違いがあります。学者は既存の条文の解釈を出発点にして現状を説明する学説を組み立てるのに対して、私たち国会議員は、立法者であり、それゆえ、たとえ蓋然性が低くても可能性がある限り、国民の生命や権利を守るため、あるべき法制度を構築する責任を負っているはずであります。危機に備えるかどうかを決めるのは学者ではありません。それは、国民の生命や権利を守る責任を負った私たち国会議員をおいてほかにはありません。私たちが決めない限り、答えは出せないのです。
芦部先生が晩年、これは山下先生からも指摘がありましたが、九条と自衛隊の矛盾を説明し切れず、政治的マニフェストと考える説まで考えて悩んでおられたようですけれども、憲法の規範性を外すというのは、私は本末転倒ではないかなと思います。しかし、こうした学者の悩みを取り除くのも立法者としての我々の責任であり、我々しかできないことではないでしょうか。
以前も申し上げましたが、書いてあることは守りましょう、そして、書いてあることと異なる事態が生じたときは、書いてあることを手続に基づいて改めましょう、それが立憲主義の原点だということを申し上げて、私の発言を終わります。