長島昭久の発言 (憲法審査会)
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○長島委員 自由民主党の長島昭久です。
岸田総理は、九月の自民党総裁任期までの憲法改正実現を目指すと明言しておられます。ということは、逆算をいたしますと、今国会終盤までに発議をしなければなりません。ここは、自民党として、憲法改正に対する覚悟が問われているというふうに思います。
そこで、今回の憲法改正では、余り欲張らず、もちろん私は憲法九条の改正を実現したいというのが本音でありますが、これまでにほぼ論点が出尽くし、自民、公明、維新、国民、有志の五会派で認識を一にしている緊急事態条項、正確には議員任期延長による緊急時の国会機能の維持に改憲のテーマを絞ることを提案したいと思います。
したがいまして、審査会長におかれましては、直ちにこの五会派によって起草委員会を立ち上げ、本審査会では、その進捗状況を毎回報告させ、それに基づいて、反対政党も含めて具体的な詰めの議論を行い、今国会中に憲法改正の発議が行えるよう、格段のリーダーシップを発揮していただくことを強く求めたいというふうに思います。
次に、前々回の審査会で、立憲民主党の牧義夫議員、今日は残念ながらおられませんけれども、牧議員からお尋ねがありました、日米安保条約地位協定を見直してから九条二項を見直すといった議論について、保守政治家としてどう考えるのかという点についてお答えしたいと思います。
まず、立憲民主党のお立場で九条二項改正を主張していただいた牧先生の勇気と御見識に敬意を表したいと思います。
ただ、率直に申し上げて、話の順序が逆なのではないかと思います。
もちろん、日米安保条約の改定も、地位協定の見直しも、九条二項の改正も、そして、それによって真の主権を回復するという究極目標についても、大いに賛同いたします。ただ、その究極目標を達成するためには、冷静で現実的な段取りが必要です。
結論から申し上げれば、憲法九条二項の改正なくして、日米安保条約の改正も、地位協定の見直しも、ほぼ不可能だと考えます。なぜでしょうか。それは、日米同盟が相互防衛の構造になっていないからです。
日米の共同防衛が発動されるのは、我が国が攻撃を受けた場合に限られます。米国が攻撃を受けた場合に、日本が対米防衛協力をする条約上の義務はありません。これを米側は不公平だと認識しているのです。この不公平を放置したままで地位協定などの不平等を是正しようとしても、恐らく、米国に対しては説得力が乏しいというふうに思います。
実際、一九五五年の八月に、時の重光葵外務大臣がダレス米国務長官に直談判をして、不平等な安保条約を改正して対等な日米関係を築こうと訴えましたが、日本はグアムが攻撃されたら米国を守れるのかと一蹴されてしまいました。それは、日米安保条約と他の米国の同盟条約とを比較すれば、一目瞭然であります。
すなわち、NATOであれば北米及びヨーロッパにおいて、あるいは米韓、米豪、米比同盟であれば太平洋地域において、締約国のいずれかが攻撃を受けた場合には共同して対処すると条約に明記しております。つまり、一定の地域において相互に防衛し合う関係なのです。
このような他の同盟条約とは異質の、不公平と不平等によって成り立つ日米同盟固有の基本構造を変えられない根本原因が憲法九条二項にあることは、説明を要しないと思います。
すなわち、九条二項の戦力不保持の規定のゆえに、我が国の自衛のために保有できる自衛力は必要最小限度にとどめられ、交戦権の否認によって、許容される自衛の措置は、国際法上広く認められている均衡性と必要性ではなく、あえて必要最小限度に抑え込まれることになったのです。
つまり、牧議員のおっしゃる真の主権回復のためには、まず、憲法九条二項を改正して必要最小限度の縛りを解いて、フルスペックの集団的自衛権行使を可能にした上で、日米が相互に防衛できる体制を整えて、初めて日米安保条約の改正が可能となり、地位協定の改定を米国議会に迫ることができる、これが現実です。
是非、牧先生とは、そのための九条二項改正を一緒に実現してまいりたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお伝えください。
以上です。