北神圭朗の発言 (憲法審査会)
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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
今日は、偽情報対策あるいは問題について、青柳さんと河西さんから大変いい話を聞かせていただきました。
それで、これは玉木先生に怒られますけれども、私も前から何度も同じ話をずっとしてきたんですが、昨年十一月に、現行の国民投票法は十七年前に公表されていて、その後のインターネットにおける偽情報の氾濫については全く想定していないと指摘しております。当然、国民投票広報協議会の事務にも偽情報対策というのは含まれていません。
本日は、一部の委員と共有する問題意識の中、最近の諸外国の偽情報をめぐる情勢と、我が国の民間ファクトチェック団体の実情についてお話をしたいと思います。
まず、諸外国ですけれども、カナダでは、我が国とは異なって、外国干渉委員会というものがちゃんと政府にあります。カンショウというのは、映画鑑賞の鑑賞じゃないですよ、介入する方の干渉です。今月三日に公表した二〇一九年と二〇二一年のカナダの総選挙に関する報告書に、中国はカナダに対する外国干渉の際立った加害者であり、カナダの選挙における最大の脅威であると述べています。
今月の七日に情報機関である安全情報局が公表した年次報告には、中国は不正な手段を用いて政府や学界、メディアなどの分野のあらゆるレベルで政策決定に影響を与えようとしていると警鐘を鳴らし、中国共産党と関係のある組織は、カナダの情報、技術、民主的制度及び海外在住のカナダ人コミュニティーに対する永続的な脅威であり続けているとも述べています。
次に、欧州です。
来月上旬に行われる欧州議会選挙をめぐって、ロシアが欧州議員への影響工作や偽情報の拡散などの選挙介入を活発化させていることが報道されています。また、EUでは、先月の三十日に、フェイスブックやインスタグラムを運営するメタという会社に対して調査を実施しています。その理由は、同社の偽情報対策が不十分であり、EUの法律に違反している疑いがあるということであります。
最後に、台湾です。
本年一月の総統選挙で大量の偽情報が出回ったことは、皆様も報道で御存じかと思います。台湾政府は、これも我が国とは異なり、こうした事態を事前に想定して、既に二〇一九年に偽情報対策を包括的に取りまとめています。これは、識別、検証、抑制、懲罰という四つの対策をファクトチェック団体やプラットフォーム運営者などと協力しながら取り組むという内容です。今般の選挙においても、この方針に従って偽情報対策を有効に実施しているようであります。
このように、諸外国では、外国の介入によって選挙や国民投票において国民の意思がゆがめられないよう様々な対策が今なお強化されつつも講じられています。
こうした中、本審査会では、一部の委員から、公権力の表現の自由への介入を許してはならないという考えから、専ら民間ファクトチェック団体との連携を提言する声が出ています。理屈としては一定理解できますが、我が国のファクトチェック団体の実情は正直心もとないと言わざるを得ません。
世界のファクトチェック団体を研究する米国のデューク大学のリポーターズラブによりますと、本年五月現在、世界で登録されているファクトチェック団体の総数は四百三十六団体です。アジアだけでも八十団体を超えていますが、登録されている日本の団体は僅か四団体のみです。しかも、この中には、自らはファクトチェックを行わず、右から左へと大手メディアに依頼するような団体が一つ含まれます。では、ほかの三団体が精力的に効果的にファクトチェックをやっているかというと、これも首をかしげざるを得ません。
これらの団体の一つ、ファクトチェック推進団体という団体なんですが、この担当者御本人が昨年二月十日に総務省で、プラットフォームサービスに関する研究会というのがあるんですが、自ら次のような問題点を指摘しています。
一つは、海外の団体と比較してファクトチェックの絶対量が少ないという量的課題です。二〇二二年で日本は約二百五十件でしたが、台湾では千二百七十八件、韓国では九百五十一件であります。
二つ目は、これらの団体の体制は、ファクトチェックに専念しているいわゆる専業の方がほぼゼロで、ほとんど学者さんなどが兼業でファクトチェックをやっています。資金面の課題も指摘をされています。
三つ目は、団体の認知度が低いためなかなかファクトチェックが拡散されず広く行き渡らない、また、偽情報が出てからの対応が遅い、国際ファクトチェックネットワークに認証された団体が一つもないなどの認知度や信頼性の課題もあると指摘をされています。
四つ目に、海外のファクトチェック団体と連携する余裕がない、国際連携ができていないことも指摘をされています。
以上、当事者、担当者が我が国の民間ファクトチェック体制の厳しい状況をこのように指摘をしています。これに加えて、例えば、欧州における制裁金等の規制もなく、プラットフォーム事業者との本格的な連携も機能しているとは言い難い現状です。
理屈はともかく、こうした現状の中で民間ファクトチェック団体との連携だけで偽情報対策が本当に機能するのか。確かに、我が国では、これまでは致命的かつ深刻な外国からの偽情報の脅威に直面していないのかもしれません。あるいは把握されていないだけかもしれません。いずれにせよ、諸外国で起こっていることが我が国で起こらない保証はありません。
現に、ALPS処理水の放水に際しては、中国発の偽情報が多く出回っております。人工知能の翻訳機能が飛躍的に進歩していることなどを踏まえると、もう少し危機感を持つべきだと思います。
憲法改正に関する国民投票は民主主義の根幹です。国民の自律的な意思が阻害されないために、我々も責任を持って、より積極的な姿勢で臨むべきだと考えます。
なお、国民投票のこうした議論も大切ですが、何度も要請している憲法本体の非常時における国会機能維持に関する起草委員会の早期立ち上げを本日も求めて、私の意見とします。
ありがとうございます。
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