北神圭朗の発言 (憲法審査会)

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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
 先週の本審査会において、今日はいらっしゃらないと思いますけれども、井上委員より我が会派に対して、国会機能の維持における裁判所の関与の在り方について御質問がありました。
 有志の会として独自に主張してきた案では、これは今玉木委員からありましたけれども、国民民主党も基本的に同じだというふうに捉えていますが、まず、内閣が選挙困難事態の認定をした上で、これを議会が三分の二以上の議決で承認すれば国会機能の維持が発動するというものです。加えて、議員自らのお手盛りとならないように、いずれかの議院の総議員の四分の一以上の申立てがあれば、最高裁判所により、本当に議員任期延長をするための要件が満たされたのかという判断がなされます。仮に満たされていないと決定したときには、国会に対し、議員の任期を終了させるべきことを勧告する仕組みとなっています。
 このように、我々の案では、最高裁判所の関与は、国会機能の維持が承認された後にいずれかの議院の総議員の四分の一以上による申立てがあった場合になされることになっています。したがって、御懸念のように、選挙困難事態の迅速な判断そのものには影響しないと考えます。
 なお、三会派の共同提案では、裁判所の関与が必要ということについては一致を見ているものの、詳細は今後の検討課題となっています。
 次に、国民投票広報協議会の事務に関して、協議会自らがファクトチェックを行うことは公権力による言論の自由への関与となるとの懸念が一部の委員より示されています。今日は、この御懸念のファクトチェックに係る論点を少し深掘りをしたいというふうに思います。
 実際にファクトチェックを行っている日本ファクトチェックセンターによれば、ファクトチェックとは事実の検証を意味し、不確かな情報、根拠のないデマ、陰謀論などが広がる中で、客観的、科学的な根拠に基づいて事実を確認し、拡散している言説が正確かどうかを判定するとあります。また、ファクトチェックとは事実を検証することで、意見を検証することではないことも強調されています。こうした定義は世界の標準となっています。
 以前も御報告しましたが、ドイツの連邦選挙管理委員会が、選挙過程全般に関係する偽情報を特定し、ファクトチェックサイトを通じて公表しています。この選挙管理委員会は、例えば二〇二一年の総選挙では、コロナの陰性証明を提出しないと投票できないとか、郵便投票は安全ではなく簡単に操作することができるなどの偽情報に対して、ファクトチェックを自ら行っています。
 また、オーストラリアでは、二〇一九年の総選挙により、連邦選挙管理委員会が投票者に対して、投票に影響を与えることを意図した偽情報又は虚偽情報の可能性を警告しています。その上で、情報源を確認して、十分な情報を得た上で投票できるようにすることを支援するためのメディアリテラシーキャンペーンを本格的に開始しています。例えば二〇二三年の先住民の地位に関する憲法改正の国民投票では、連邦選挙管理委員会は賛成票を集めるキャンペーンを行っているとか、連邦選挙管理委員会による先住民に対する有権者登録の推進は賛成票を集めるための動きであるとか、こういった偽情報に対して自らファクトチェックを行い、これを公表しています。
 その際、同管理委員会は、国民投票の賛否に関する主張を事実確認する責任はなく、いかなる形でも議論を検閲しません、しかし、私たちが実施する国民投票のプロセス、過程に関しては、私たちは専門家であり、オーストラリアの民主主義を守るために積極的に活動していますという主張も載せています。
 このように、オーストラリア、ドイツの選挙管理委員会は、選挙過程そのものをめぐる偽情報に限ってファクトチェックを行っています。
 他方、EUには対外活動庁という役所があるんですが、ここでは、偽情報対策専門サイトを立ち上げて、既に一万七千件を超えるファクトチェックを行っています。これは、ドイツ、オーストラリアよりも更に踏み込んで、選挙過程そのものの偽情報だけでなく、政策に関する事実関係をも対象にしています。
 以上のように、諸外国では、その言論の対象に違いはあれども、それぞれ、民主主義のプロセスを守る観点から、また安全保障の観点から、公権力が自らファクトチェックを行っています。
 また、考えてみたら、我が国でも、ALPS処理水関連をめぐって偽情報が中国から拡散された際、行政官庁である外務省がこれを否定する報道発表をし、Xにおいては「#STOP風評被害」とタグづけをして、事実上ファクトチェックを行っています。
 これは一例にすぎず、行政機関がこうした事実関係の説明を報道機関を通して発信していることには枚挙にいとまがありません。これは公権力の介入に当たるのか、私が主張しているファクトチェックとの本質的な違いがあるのか、偽情報の発信主体が外国政府あるいは外国勢か国民かによって異なるのか。
 具体的に、立法府の超党派の組織である国民投票広報協議会が事実を検証することに値するファクトチェックを行うことの議論を更に期待をしたいと思います。特に、いかなる事実検証の在り方であれば言論の自由への関与が生じるのかについて検討をする必要があるように思います。
 私は、現時点で、国民投票広報協議会が少なくとも国民投票の過程そのもの並びに明らかに外国勢を起源とする偽情報に対して事実を検証するのは当然のように思います。同時に、そのための専門家を広報協議会に招致するなどして、専門性、公平性、中立性を確保するための体制も整えるべきだと思います。
 日本の民間のファクトチェック団体は、その数も規模も体制も機能もまだまだ改善の余地があるという現実を冷静に見据えて、これらとの連携に加え、国民投票広報協議会自らも責任を持って偽情報対策の有効性を高めることが重要であると申し上げて、私の意見を終わります。
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発言情報

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発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2024-06-06

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会