福島伸享の発言 (政治改革に関する特別委員会)

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○福島委員 有志の会の福島伸享です。
 各党の御理解をいただき、本委員会の議席と発言の機会をいただきましたことをまず感謝申し上げます。
 有志の会を代表して、政治資金規正法改正に関する考え方を申し述べます。
 今般の自民党の派閥パーティー裏金問題に端を発した本委員会での政治改革の議論は、単に収支報告書の記載漏れとか政治家を罰することができないといった形式的な問題にとどまらない、戦後の日本政治の構造的な問題にアプローチするものでなければならないと考えます。
 そもそも、現行の政治資金制度や政党助成制度、小選挙区比例代表並立制の選挙制度などは、戦後の一大疑獄事件であるリクルート事件で平成元年に竹下内閣が退陣して以降の平成の政治改革によってつくられたものです。
 平成四年、平成の政治改革で大きな役割を果たした民間政治臨調の発足総会では、政治改革に対する基本方針として、政権交代の欠如による政治の停滞、不毛な利益誘導政治による疲弊から政党と政治家を解放し、健全な政党間競争と政策選択によって政治のダイナミズムを蘇生するとしております。
 平成の時代は、世界的に見れば、冷戦の崩壊によってイデオロギー対立の時代からグローバリズムの時代へと大きくパラダイムが変わった時代でした。そうした時代にこそ、利益誘導による資源配分の政治から脱却し、政権交代で民意を受けた政策選択がなされ、制度やシステムを大きく変えることができる政治のダイナミズムが期待されました。このことこそが平成の政治改革の目的だったんです。
 しかし、平成九年の民間政治臨調では既に平成の政治改革の限界が指摘されております。
 小選挙区制度の下、与野党の競争条件の不平等化、野党の戦略的能力の欠如などの条件が重なると、多数派が固定化し、有効な対抗政党が登場する可能性が極小化するという病理形態が出現し得る。野党は対抗勢力に成長することを諦め、本来の主張を放棄して与党に接近することによって協調体制を生み出す場合もあるし、原理主義的少数派として孤立に甘んじる場合もある。
 これは今日のことではございません。もう既に四半世紀前に指摘されていたことなのです。
 平成八年の最初の小選挙区比例代表並立制の選挙区選挙では、比例区の存在とも相まって、最近の利益誘導政治への批判、全党挙げての行政改革の提唱にもかかわらず、いや、それゆえに、政権党は相当な利益誘導による票の動員を行った可能性がある。
 もう平成八年でこう指摘されております。
 結局、平成の政治改革は未完成のまま、相も変わらぬ利益誘導型の資源配分の政治が続いたことによって、この三十年間、我が国は世界の大きな変化に対応できず、平成元年には一人当たりの名目GDPがG7トップの世界四位と紛れもない世界の経済大国でしたが、今やG7で最下位の世界三十位前後へと、アジアの二流国に転落する寸前まで凋落しております。すなわち、未完の平成の政治改革こそが我が国の停滞の最大の要因であるということを私たち国会議員自体が強く自覚しなければならないのです。
 自民党の派閥パーティーの裏金問題は、あたかも古い木にはびこる菌の糸から出てくるキノコのように相も変わらぬ古い政治があることを国民に再認識させました。
 今こそ、平成の政治改革で不完全なまま放置されてきた政権交代を起こし得る政治を実現するための選挙制度改革や立法機能を強化するための国会改革と一体となって、利益誘導型政治から脱却するための政治資金制度改革が必要なのではないでしょうか。
 こうしたことから、令和の政治改革の一丁目一番地は企業・団体献金の廃止であると考えます。
 岸田首相はこれまでも国会で、憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を有するとの最高裁判決があるにもかかわらず、企業・団体献金が金の力で政治をゆがめ国民の参政権を侵害するというのは論理の飛躍であると答弁しておりますが、これこそ論理の破綻です。
 ポピュラーな芦部信喜先生の「憲法」に基づくと、政治活動の自由とは憲法二十一条の表現の自由から導かれる概念であり、干渉を受けることなく自己の意見を持つ自由と、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由の二つで成り立つとされております。その上で、表現の自由といえども無制約ではないとして、公職選挙法における戸別訪問の禁止を合憲とする最高裁判決などを挙げています。金の力で政策がつくられることがないよう企業・団体献金を禁止したり規制することに憲法上の制約はないのです。むしろ、表現の自由の一形態として、政治活動の自由として大事なのは、国民にとって情報を求め、受ける自由、すなわち知る権利です。
 平成の政治改革によって政党助成制度ができてから、政党の運営に係る経費には国民からお預かりしている税金が含まれていることになります。
 そうであるとするならば、いわゆる政策活動費の何らかの形での使途公開を政党側が拒否する理由はないと考えます。同じ国民からお預かりしている税金を原資とする調査研究広報滞在費も、使途を全面的に公開し、残金返済を義務づけることは当然のことです。さらに、故安倍元首相の政治団体を安倍昭恵氏が継承し、自民党の政党支部の資金がそこに移された事例に見られるような、親族間での政治資金の移動についても規制をすべきです。
 一方、そうなると、個人による政治献金によって政治活動を支えていただく政治文化をつくっていかなければなりません。
 個人献金を促すためには、税額控除等の税制優遇を抜本的に拡大すべきです。また、政治資金パーティーについても、個人が政治活動を支えるという重要な役割を果たすものであることから、企業、団体による購入や外国人による購入を禁止した上で、むしろ税制優遇によって個人による政治献金を促すものとすべきです。
 一昨年六月に広島で開かれた岸田総理就任を祝う会のような、他団体が開催したという名目で自らの政治団体に資金を繰り入れる脱法的な政治資金パーティーは当然規制が必要です。
 これらの政治資金の出入りの流れをチェックする第三者による監督が必要であるという意見も多く出されております。現行の登録政治資金監査人による外部監査の対象となっていない政党本部の収入を監査の対象に入れることは当然であるものの、政治資金の収支の状況を明らかにするという現行制度以上の政治資金の収支の妥当性などを監督する第三者の機関の設置は、政治活動の自由と折り合いをつけながらどのような権限をどのような範囲で持たせるかなど、緻密で慎重な検討が必要であると考えます。
 今回の政治改革の発端となった問題を引き起こした自民党は、議員本人に政治資金収支報告書が適正に作成されたことの確認書の提出を義務づけることで、議員本人に刑罰がかかる可能性のある仕組みの導入を提案しようとしております。政治資金収支報告書のオンライン提出と併せて、これらはこれまで述べた論点に比べて余りにも本質から外れた論点と言わざるを得ません。この国会での政治資金規正法改正の議論が連座制の導入の在り方に終始して、本質的な政治改革の議論から目をそらすことがないよう注意しなければならないと考えます。
 私たち有志の会は、政党要件を満たしていたときも、武士は食わねど高ようじと、あえて政党とはせず、政党助成金をいただかずに政治活動を行ってまいりました。政党も支部もない私たちは企業・団体献金をいただくこともできません。確かに資金的には厳しいものがありますが、それでも多くの支援者にお支えをいただき、政治活動を継続することができております。
 平成の政治改革関連法案が成立した後の民間政治臨調の「政治の現状を憂うるすべての国民と政治家へ」という文書では次のように言っております。
 政治改革は、政治と金をめぐる国民の根強い批判から出発したが、同時に、既成政治の限界に対する多くの政治家の深刻な危機感に根差すものであった。その制度の改革を目指すものであったが、運動を絶えず支えてきたのは、紛れもなく、時代の閉塞を打ち破ろうとする政治家同士のきずなであり、党派を超えた連帯意識であった。そして、この政治家同士の精神のきずなこそが、政治改革が残した最大の遺産であり、古い政治の殻を打ち破り、新しい政党政治をつくり上げていくためにも必要な条件であった。
 果たしてこうした空気が今あるか。本特別委員会でこうした時代の閉塞を打ち破ろうとする党派を超えた精神のきずなによって本質的な議論が行われることを求めまして、有志の会を代表しての意見表明とさせていただきます。
 ありがとうございます。

発言情報

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発言者: 福島伸享

speaker_id: 12492

日付: 2024-04-26

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する特別委員会