三宅弘の発言 (内閣委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○三宅参考人 弁護士の三宅でございます。
 専門は情報公開法と公文書管理法でございまして、学位論文も取らせていただきましたが、国のいろいろな役職を経て、最後は公文書管理委員会の委員長代理を務めさせていただきました。こういう情報公開法と公文書管理法に関する専門家からの立場として、今回の法案についての問題点を指摘させていただきたいと思います。
 このような御発言の機会を与えていただいたこと、初めにお礼申し上げます。
 私の意見の骨子は、メモに書いてあります三つでございまして、重要経済安保情報が、特定秘密保護法における特定秘密との区別が曖昧であるということでございます。これに対して、五年以下の拘禁刑又は罰金により処罰をするということは、罪刑法定主義の観点から問題があるということでございます。もう少し刑法学者の御意見も聞いていただきたいと思います。昨日、ちょうど審議がされているときに、日本弁護士連合会が主催で、この国会内で刑法学者の御意見を聞かせていただきましたが、後ほどそれについても触れさせていただきます。
 それから、二つ目は、適性評価制度でございますが、現在も特定秘密保護法の適性評価制度で対象になる者が十三万人ぐらいいるということでございましたが、今回、重要経済安保情報の取扱いによる適性評価になると、この数はもっと増えるだろうと言われています。政府の最終取りまとめにおいても、アメリカでは四百万人、それからそれ以外の国で数十万人ということでしたから、日本でも数十万人に上るのではないかと思いますが、その人たちの機微な情報が政府に集められる、しかもその調査が内閣総理大臣の下で行われる、内閣官房にそういう情報が集まるわけでございますが、これにおけるプライバシーの保護ということをどう考えるか。私は、たまたま個人情報保護法の制定とかマイナンバーの制定にも関わりましたので、この辺については非常に懸念を持っているところでございます。
 三つ目は、衆参両議院の情報監視審査会が特定秘密保護法にはございます。私も、二〇一九年に情報監視審査会で意見を述べさせていただきました。今日の資料の後ろの方の別表というところは、そのときの意見を少しつけたものでございます。それは後ほど参考にしていただければと思いますが、七ページ以下でございます。今回の法案には、この情報監視審査会に対する対象になっていないというところは、これはもう根本的な問題でございまして、こんな法律は出し直していただかないと政府法案としては不十分であると考えておるところでございます。
 以上の点をもう少し詳しく説明しております。
 先ほど来の参考人の意見の中にも、今回の法律はコンフィデンシャルの情報を対象にするものだということが言われていましたし、政府の昨日の委員会答弁でも、コンフィデンシャル級という言葉が説明されていました。この、級というのがどうもみそですね。衆議院内閣委員会の参考資料を送っていただきました、この三十ページの特定秘密と重要経済安保情報の横に、トップシークレット級、シークレット級、コンフィデンシャル級、こういう分け方がしておりますけれども、今回の法律は各省庁におけるトップシークレットとシークレットを含むものであることは明々白々でございます。
 実は、特定秘密保護法が制定される際、その頃、私は公文書管理委員会の委員長代理になる前の委員でございました。それで、特定秘密保護法ができたすぐ後に公文書管理法を直すということを始めたわけでございます。その中で、秘密文書と秘文書というものを行政文書の管理に関するガイドラインの中に入れるということにしました。
 その関係がどうなるのかということをずっとその後もウォッチングしてまいりましたが、例えば、令和二年の独立公文書管理監の報告書の中では、令和二年六月十九日の報告書の中では、特定秘密を保有する省庁は十四省庁、国家安全保障会議、内閣官房、内閣法制局、内閣府、警察庁、総務省、消防庁、法務省、外務省、文部科学省、経済産業省、海上保安庁、防衛省、防衛整備庁、この十四で、秘密の件数は三千八百七十八、延べ件数が五千二百六十九。これ以外の省庁でトップシークレット、シークレットがないなんということはあり得ません。
 ただ、十年の拘禁刑が科せられるような特定秘密の法律の対象になる省庁になりたくないという省庁がたくさんあるということを当時も聞いておりました。そのために、公文書管理法を直して、整備して、行政文書管理ガイドラインの中で秘密文書と文書というものを明確にしたわけでございます。そのときは、コンフィデンシャル情報というのは、いわば、事実上、取扱注意という判こが押されるようなものだったということで理解しています。
 そういうことからしますと、政府の最終報告を踏まえた今回の法律のトップシークレット、シークレット並びにコンフィデンシャルに関する法律の仕分というものは前提から間違っているということでありますので、ここの点は出直していただきたいと考えているところでございます。
 それから、コンフィデンシャル情報というのは、実は、情報公開法を一九九九年に作って、二〇〇三年に見直しの検討会がありました。私もその見直しの検討会の委員でございまして、この場合には、情報公開法五条二号ロで、公にしないとの条件で任意に提出されたものについても、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの以外は原則開示義務があるという、ここの基本から考えていただかなきゃいけません。
 基本は、民間における情報流通こそが経済発展に資するんだと。ただ、昨今の世界における状況の中で、サイバー攻撃等、先ほど御指摘がありましたが、そういうものについての秘密として整備しなきゃいけないということであれば、その例外である、例外的措置であるというような観点から、経済基盤保護情報について原則開示義務の例外としての取扱いというようなことが、最終報告では全く欠けております。情報公開法でこれが請求されるときにどうなるのかというようなことも議論しなきゃいけないところだろうと思います。
 それから、先ほど申しました、セキュリティークリアランス制度に関する、適用対象になるものが大変多いということについては、私のメモの四ページのところに、線を引いたところでございますが、特定秘密保護法でさえ十三万人、保有者の比率が、官が九七、民が三%。今度はここに、コンフィデンシャルの情報で民の部分がかなりの部分が上がってくるわけですから、恐らく十三万を超えることになると思います。そういうものに対して個人情報をどうやって保護するのかということがとても大事になると思います。
 しかも、数年前には、デジタル社会形成法とデジタル庁設置法によって、内閣総理大臣の下に全てのデータが集められることが可能になった、そういうところでございます。
 一つの例で申しますと、今日は、岩波新書、「学問と政治」というのを持ってまいりました。これは、学術会議の任命拒否で、六名が任命拒否されたもの。ここの岩波新書の帯に書いてあるこの書面は、九月二十四日付、外すべき者、副長官。副長官に、外すべき者六名を集めるための、データが集められたんですが、私どもが情報公開請求をし、本人情報開示請求をしたところ、情報公開ではここしか出なかった。議会でもここまで御協力いただきました。その後、それぞれ一人ずつが開示請求をしてきたら、自分が書かれているという六名の方が一人ずつ個人情報保護法に基づく本人情報開示請求で出て、しかも、この九月二十四日が、六月から内閣官房と事務局の間でやり取りしているということまで分かりました。
 個人情報の取扱いというのは、それほど機微なものが現に内閣官房で明らかになっているということでございますので、今回の問題については特にその辺について慎重に検討していただきたいと思います。
 もう時間になりましたので、あとは御質疑に委ねますけれども、情報監視審査会というものを育てていただきたい。ここで審議をすることによって特定秘密も制約されていました。ここに重要経済安保情報が対象にならないというのは、これはおよそ、この法案の不備な点の最大のところでございますので、こういうものは出し直していただきたい。そうでないと、今日必要性を唱えられた方々についても不十分な意見にすぎないということになろうと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 121304889X00620240328_010

発言者: 三宅弘

speaker_id: 23765

日付: 2024-03-28

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会