坂本哲志の発言 (農林水産委員会)

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○坂本国務大臣 皆さん、おはようございます。
 昨年十二月十四日に農林水産大臣を拝命いたしました坂本哲志でございます。
 全力で職責を果たしてまいりたいと思いますので、どうか委員の皆様方、よろしくお願いを申し上げたいと思います。お世話になります。
 農林水産委員会の開催に当たりまして、所管大臣としての考え方の一端を申し述べます。
 冒頭、令和六年能登半島地震の被害によりお亡くなりになられました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。被害を受けられた方々の一日でも早いなりわいの再建や、地域の将来ビジョンを見据えて、世界農業遺産等のブランドを生かした創造的復興に向け、一月に取りまとめました被災者の生活となりわい支援のためのパッケージに基づき、農地、農業用施設、林地、林道や漁船、漁港施設等の復旧等の総合的な支援対策を講じ、農林水産業を再開できるよう、農林水産大臣として誠心誠意努めてまいります。
 以下、農林水産行政に関して、私の基本的な考え方を申し述べます。
 農林水産省の最も重要な使命は、国民に食料を安定的に供給する、食料安全保障の確保です。しかしながら、昨今の食料や生産資材価格の高騰は言うまでもなく、気候変動による食料生産の不安定化、世界的な人口増加等に伴う食料争奪の激化、国際情勢の不安定化などにより、いつでも安価に食料を輸入できるわけではないことが明白となるなど、近年の世界及び我が国の食をめぐる情勢は大きく変化しています。
 一方、国内に目を向ければ、国内の人口全体が減少局面に転じ、生産者の減少、高齢化も進んでおり、将来にわたって持続可能で強固な食料供給基盤を構築することが急務となっています。
 本年は、農政の憲法とも言われる食料・農業・農村基本法が制定から四半世紀という節目の年となる中で、このような情勢の変化を踏まえ基本法が時代にふさわしいものとなるよう、以下の観点から見直しを行い、今国会に基本法の改正案を提出いたしました。
 第一に、食料安全保障の抜本的な強化として、食料安全保障を基本法の柱として位置づけ、国内農業生産の増大を基本とする食料安定供給の基本的な考え方を堅持した上で、輸出の促進、輸入の安定確保、生産から加工、流通、消費までの食料システムの関係者の連携、適正な価格形成を促す視点等を位置づけます。
 第二に、食料供給が環境に負荷を与えている側面にも着目し、環境と調和の取れた食料システムの確立を柱として位置づけます。
 第三に、人口減少下における農業生産の維持発展と地域コミュニティーの維持に向けた政策を位置づけます。具体的には、農業生産の維持発展として、引き続き担い手の育成、確保を図るほか、新たに、担い手と多様な農業人材による農地の確保、農業法人の経営基盤の強化、農業の生産性向上、付加価値向上等を位置づけます。
 次に、人口減少下における地域コミュニティーの維持として、新たに農村関係人口の増加等に資する産業の振興や地域社会の維持等を位置づけます。
 農業政策が大きな転換点に立っているとの自覚を持ち、食料安全保障改革元年として、基本法の改正と関連施策の実現に全力を尽くしてまいります。
 以下、具体的な施策を申し述べます。
 食料安全保障政策については、食料安全保障強化政策大綱に基づく施策を着実に実行し、更なる強化に向けて構造転換を図ってまいります。
 また、気象その他の要因により食料の供給が大幅に不足するおそれがあるなど、食料供給が困難な事態への対応強化を図るため、政府一体となって食料供給確保の措置を実施できるよう、政府対策本部の設置を始め、国民生活、国民経済への影響の程度に応じ、早期に必要な措置を講ずるための新法を今国会に提出いたしました。
 国内市場の縮小が見込まれる中、農業、食品産業を発展させていくため、農林水産物・食品の輸出促進を通じて、拡大する世界の食市場を獲得していくことが必要です。そこで、輸出産地の形成や輸出に向けHACCP等対応施設の整備、品目団体の取組や輸出支援プラットフォームの活動強化、優良品種の海外流出防止のための知的財産の保護、活用の強化などを推進し、二〇三〇年の輸出額五兆円目標の達成を目指します。
 食料の安定供給のためには、環境への負荷を低減し、食料システムの持続性を高める必要があります。このため、みどりの食料システム法に基づく生産者、事業者認定の全国展開を進め、化学肥料、化学農薬の使用低減や有機農業拡大、環境負荷低減の取組の見える化、Jクレジットの制度活用の推進、補助金の支給要件として一定の環境負荷低減の取組を求めるクロスコンプライアンスの導入等、みどりの食料システム戦略の実現に向けた施策を着実に実施してまいります。
 人口減少に伴い農業者の減少が避けられない中で、持続的な食料供給を維持していくため、新規就農の促進を図るとともに、それでも農業者の数が減少する場合に対応可能な生産基盤に転換する必要があります。このため、農地の受皿となる経営体等を効率的かつ安定的な経営体として育成、確保するほか、食料の生産基盤である農地が地域で適切に利用されるよう地域計画を定め、農地の集約化、計画的な保全、適切な利用を進めてまいります。
 さらに、農地の総量確保と適正利用のための措置を強化するとともに、人と農地の受皿となる農地所有適格法人の経営基盤強化措置として、食品事業者等の出資割合を拡充する措置を講ずるなど、農地関連法制の改正案を今国会に提出しました。
 農業者が減少する中で、食料生産の維持、増大を図るため、スマート農林水産業の実装による生産性向上を加速化する必要があります。特に、生産性の高い農業の実現に向け、スマート農業技術等の研究開発、実用化や、経営、技術等で農業者をサポートするサービス事業体の育成、確保を推進するとともに、スマート農業技術の活用とこれに適合するための生産、流通、販売方式の見直しを税制、金融等で後押しする新法を今国会に提出しました。
 農業生産活動を継続していくためには、農業、農村の基盤整備が欠かせません。農業の生産性向上や農村地域の防災・減災、国土強靱化を実現するため、農地の大区画化や汎用化、畑地化、農業水利施設の長寿命化等を推進するとともに、農村人口の減少下にあっても営農や農業水利施設等の保全管理が適切に行われるよう、土地改良区の運営基盤の強化も含め、土地改良制度の検討を進めてまいります。
 農村を支える人材を一人でも多く確保し、活力ある農村を次世代に継承していくため、日本型直接支払いにより地域を下支えしつつ、農泊、六次産業化、農福連携等の農山漁村発イノベーションの取組、農村RMOの形成、中山間地域等における農用地保全の取組などを推進するほか、鳥獣被害の防止やジビエの利活用を進めてまいります。
 米政策については、需要に応じた生産、販売を着実に推進していくため、国産需要のある麦、大豆や飼料作物、米粉用米、新市場開拓用米、加工・業務用野菜などへの転換や畑地化を進め、産地として定着させる取組への支援を行ってまいります。
 畜産、酪農については、耕畜連携などにより国産粗飼料等の生産、利用の拡大を進めるとともに、和牛肉の生産基盤の改善や脱脂粉乳の需給改善に向けた取組を推進してまいります。また、畜種ごとの経営安定対策や金融支援などの各種施策を総合的に講じ、生産者の経営改善に向けた取組への支援を行ってまいります。
 家畜伝染病については、昨年十一月以降、国内で高病原性鳥インフルエンザの発生が続いており、全国どこで発生してもおかしくない状況です。さらに、アフリカ豚熱の侵入リスクがかつてないほど高まっており、最大限の警戒が必要であることから、飼養衛生管理の徹底を基本とした発生予防、蔓延防止対策と水際での侵入防止対策に都道府県等と連携して全力で取り組んでまいります。
 食品産業、食品流通については、産地、食品産業が連携した国産原材料の安定調達、フードテックなど新技術の活用等による新たな需要の開拓等を推進してまいります。
 また、適正な価格形成に向けた検討を進めるとともに、円滑な食品アクセスの確保を図るため、中継共同物流拠点の整備やラストワンマイル配送に向けた取組、フードバンク等を通じた食料提供を円滑にする地域の体制づくり等を進めてまいります。
 さらに、輸入小麦や輸入大豆の価格水準が上昇、高止まりする中、国産利用の促進等、食品原材料の調達安定化を図るため、金融、税制上の支援措置を講ずる特定農産加工業経営改善臨時措置法の改正案を今国会に提出しました。
 森林・林業政策につきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、路網や加工施設の整備、製材、CLTを用いた建築物の低コスト化等を通じた木材の需要拡大、担い手の育成など、川上から川下までの取組を総合的に進めてまいります。あわせて、森林整備や治山対策にしっかりと取り組むことにより、森林吸収源の機能強化と国土強靱化を進めてまいります。さらに、花粉症対策として、都市部周辺などの重点区域における杉人工林の伐採、植え替えの加速化や、杉材需要の拡大、花粉の少ない苗木の生産拡大などを着実に実行してまいります。
 水産政策につきましては、まずは、ALPS処理水放出を受けた一部の国、地域による科学的根拠なき輸入規制の撤廃を求めていくとともに、影響を受ける水産物の国内の需要拡大や新たな輸出先の開拓、国内加工体制の強化等を着実に進めるなど、水産事業者に寄り添った対策の実施に引き続き万全を尽くしてまいります。
 また、水産資源管理を着実に実施するとともに、クロマグロ漁獲管理を強化するため、漁業法などの改正案を今国会に提出するとともに、漁業経営安定対策を講じつつ、新たな操業形態への転換、輸出拡大等、水産業の成長産業化を実現してまいります。
 あわせて、水産分野においても、高性能漁船の導入など、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を進めるとともに、漁村の活性化に向けて地域資源等を活用する海業の振興等を推進してまいります。また、令和六年能登半島地震により、特に漁港について地盤の隆起などの重大な被害が生じています。難しい課題ではありますが、これらの漁港等の復旧復興に全力を尽くしてまいります。
 東日本大震災から十三年が経過しました。原子力災害被災地域において、依然として営農再開や水産業、林業の再生、風評払拭等、取り組むべき課題があります。引き続き、万全の支援を行ってまいります。
 以上、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を述べました。
 機会あるごとに現場に足を運び、様々な声に耳を傾け、両副大臣、両政務官、そして職員全員一体となって、これからの課題に取り組んでまいります。
 野中委員長を始め理事、委員各位に、重ねて御指導、御鞭撻賜りますよう、お願い申し上げます。よろしくお願いいたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 坂本哲志

speaker_id: 471

日付: 2024-03-12

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会