中原浩一の発言 (農林水産委員会)

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○中原参考人 皆さん、おはようございます。
 まずもって、こういう機会を与えていただき、感謝申し上げます。また、農林水産委員の皆様そして職員の皆様には、日頃より日本農業の発展に御尽力を賜り、お礼を申し上げたいと思います。
 さて、私は、北海道和寒町で農業を営んでおります。もちろん、第一次産業の町で、日本一の作付面積を誇るカボチャ又は雪の中から掘り起こす越冬キャベツなどが特産野菜として有名です。経営は農業法人として、今、息子二人が現在メインで経営しており、経営面積は約六十ヘクタールの農地で、主に、米、麦、大豆、てん菜、カボチャ、キャベツ、また、ハウストマト十棟や水耕栽培なども営んでおります。
 また、地元の議員、農業法人会役員なども務めており、今回は、農業者の集まりの組織で約一万九千人で組織する北海道農民連盟の書記長の立場で出席させていただいております。よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、私の方から二部の資料で説明させていただきますが、時間の都合上、抜粋して説明させていただきます。また、説明資料編については、数値等を記載しておりますけれども、後ほど御覧いただきたいと思います。
 それでは、一つ目として、基本法改正の考え方について。
 食料・農業・農村基本法については、以下六行は、今国会で法改正される経過等について記載しておりますので、後ほどお目通しください。
 六行下がって、一九六一年に最初に制定された農業基本法から、一九九九年に制定された食料・農業・農村基本法は、農業や農業者のみならず、食品産業や消費者などに関わる農政として、基本理念や政策の方向性を示し、一、食料の安定供給の確保、二、農業の有する多面的機能の発揮など、四つを理念として掲げ、もって国民生活の安定向上などを目的としておりました。今回の法改正では、一、食料安全保障の確保、二、環境と調和の取れた食料システムの確立へと変更されました。
 私たち農業者としては、二十年以上が経過した現在、基本法の見直し議論と改正は、近年の目まぐるしく変化する農業情勢を鑑み、想定もしない危機的な状況で厳しい農業経営を強いられ、離農者も多くなっております。
 そのような背景から、今回の法改正では、制定時からの農業を振り返り、農家人口の減少、担い手が育っていない現状、食料自給率が四〇%以下と低迷しているなど、掲げた目標がなぜ達成できなかったのかなどの反省を踏まえるべきではないでしょうか。そして、農業現場に寄り添った政策の構築により、農業者が将来も安心して経営が継続できるよう、農業というなりわいが後継者や担い手が育ち、魅力的な職業となり、そのことで安心した国内農畜産物を安定的に国民へ届けられる仕組みとなるよう法改正を願うものであります。
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 二つ目として、近年の日本農業の情勢についてということで、これについては先生方も御存じなので、簡単に説明します。
 一つ目として、基本法が制定されてからの二十年間を見ても、日本の人口の減少は地方ほど顕著であり、農村地域におけるコミュニティーの崩壊、それに伴い農家戸数が減少し、荒廃地の増加などによって供給力が低下しています。この内容については、説明資料、ページ一から四を参照してください。
 二つ目、基本計画で掲げる食料自給率の目標値は、この二十年間で四五から五〇となっていましたが、目標達成にはほど遠い状況にあり、先進国の中で最も低い自給率となっていることは問題ではないでしょうか。説明資料五ページを参照してください。
 三番目、一九九四年のガット・ウルグアイ・ラウンドの妥結で、カレントアクセス数量やミニマムアクセス米が設定されました。その後も、国内では産業政策に大きくかじを切り、CPTPPなどの大型貿易協定が次々と発効し、更なる輸入拡大が懸念されていることから、国内農業への影響が危惧されています。資料六ページを参照してください。
 四、温暖化の影響などで、全国各地で異常気象による自然災害が頻発し、あわせて、四つのプレートが交錯する日本では地震などが発生するなど、農地の損失や農産物に影響を与えています。資料七ページを参照してください。
 五、コロナ禍の影響は社会経済に大きな影響を与え、農畜産物の需要低迷により在庫滞留を招くなど、価格低迷や生産調整を強いられています。資料八ページを参照してください。
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 六として、ロシアのウクライナ侵攻では、小麦などの供給が滞り、世界の穀物事情の変化が国際市場を動揺させました。また、イスラエルの戦争の影響なども相まって、燃油、肥料、飼料を主とした生産資材価格が現在も高止まり傾向にあります。
 さらに、為替相場の円安により、多くを輸入している食料、原材料は物価高で、国民生活はもとより、農業においても経費がかさみ、経営の部分では大きな影響を与えております。資料、ページ九から十一を参照してください。
 以上、近年起きている農業に関わる情勢変化では、私たち農業者の経営努力だけでは対応できない事情と考えており、今回、改正案で明記された食料安全保障の確保の観点からも、国の責務として、国産農畜産物の生産増大や、優良な農業生産基盤が確保され、将来にわたって安心して営農が続けられる農政が求められています。
 三として、具体的な基本法改正案の課題と要望について、課題と思われる新たな条文等に対して、意見、要望を申し上げます。
 改正案の第一章、食料安全保障の確保について、第二条二項では、国民に対する食料の安定的な供給について、略、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、輸入及び備蓄の確保を図るとしています。
 しかし、安定的な輸入を図ることは重要ですが、世界情勢の変化などで輸入が不安定な現状となっていることから、国内需要を満たせない農産物の増大を図ることを基本に、輸入に依存しない国内生産体制の構築が必要であると考えます。
 このため、世界の食料事情や、国内外の豊凶時に備えた官民一体となった食料安全保障としての備蓄体制の構築が必要です。あわせて、国内生産の安定供給に向けた種子の確保を図ることも必要と考えます。
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 一方、第二条四項では、国民に対する食料の安定的な供給に当たっては、略、この新たな条文では、豊凶時の国内需給調整への役割や、国内の人口減少による需要減退が見込まれることから、国内農畜産物の生産を維持、拡大していくための輸出システムの構築が重要と考えます。
 第二条五項では、食料の合理的な価格の形成については、三行下がって、供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならないと明記されています。
 しかし、合理的な価格形成では、国民の合意と消費者の理解が大前提と考えますが、農業者は、市場原理の下、今回のような様々な要因から、生産資材の価格高騰などが価格に反映できず、所得減少により経営破綻に陥らないような仕組みが求められています。
 一方、仲買、小売等に関しては、人件費や流通コストの上昇など、価格に転嫁しやすく、価格転嫁によって値上がりすると、消費者は、安価な輸入品にシフトしたり、買う量を少なくしたりします。このことで農産物は需要減となり、私たち農業者が生産調整を余儀なくされることが繰り返されていることを鑑み、予期せぬ急激なコスト増に対しては、国も責任を持って対策を講じるべきと思います。
 よって、農産物流通の川下である農業者にとって、再生産可能な価格転嫁は重要と考えますが、持続的な供給の観点から、基本法制定後に国が生産調整を手放し、作る自由、売る自由を進め、国際貿易の波が避けられない中での、価格は市場で、所得は政策でという原点に立ち返り、恒常的な赤字なども勘案した再生産可能な所得補償が必要と考えます。
 第三条の環境と調和の取れた食料システムの確立についてでありますが、環境に配慮した持続的な農業、食品産業への転換は重要と考えますが、環境負荷低減への有機等の取組は、農業者サイドでは労働力などの経費がかさみ、次のページをお願いします、北海道は比較的に、既に農薬や肥料低減に取り組んでおり、これ以上減らすと品質や収量に影響が懸念されます。
 一方、農業分野での食料供給の段階において、環境に負荷を与えている側面があることから、二〇二二年七月に施行されたみどりの食料システム法に沿って取り組むことが法律化されたにもかかわらず、同様の内容を法改正で基本理念に明記したことは、過度な農業分野の負担増につながるのではないかと生産現場では危惧しています。近年の農業情勢を踏まえ、食料安全保障を優先に施策を組み立てるべきと考えます。
 その上で、環境負荷低減への取組では、現状の農家経営が厳しいことなどを考慮し、取り組む農業者にあっては、かかり増し経費相当分への十分な施策などが求められます。また、環境負荷低減の取組は、食料自給率向上での国内農産物増産と相反する側面もあり、環境負荷低減に取り組まなければ現状の各種政策が受けられないような要件にはすべきではなく、取り組める環境が整ったところから始めるべきと考えます。
 第四条の多面的機能の発揮について、二行下がって、新たな条文として、国土の保全、水源の涵養、略、将来にわたって、環境への負荷の低減が図られつつ、適切かつ十分に発揮されなければならないとあります。
 環境負荷への取組は必要と考えますが、過度に取組を重視すると、本来の多面的機能に資する機能が損失する可能性などが想定されます。このため、改正条文では、現行の条文の後に、また、環境への負荷の低減が図られるよう配慮しなければならないとすることを求めたいと思います。
 第五条の農業の持続的な発展について、条文中では、農業については、略、農業の生産活動における環境への負荷の低減が図られることにより、その持続的な発展としています。また、同様に、第五条第二項における、農業生産活動に、次のページをお願いします、略、農業の自然循環機能の維持増進に配慮しなければならない、第十四条の、消費者は、略、食料の持続的な供給に資するものの選択に努めることなどの、新設された多くの項目に環境負荷低減への取組が明記されています。
 現行の政策、制度に環境負荷低減の取組を過度に条件にすることが、食料安全保障での良質な食料が合理的な価格で供給され、農業生産基盤が確保されるのか疑問に残るため、第一に国内農畜産物の増産体制を構築することが求められます。一方では、環境負荷低減の取組では、かかり増し経費として価格転嫁した農産物が確実に売れるのでしょうか。まずは、環境負荷低減の農産物などが適正な価格で消費者ニーズに合っているのかなどを把握した上で、見合った環境負荷低減の取組による生産体系を図るべきと考えます。
 このため、環境負荷生産に配慮しつつも過度な取組条件は、農業経営の負担につながりかねないことから、地域性や農業者個々の経営に合った取組、労働力の確保などの経費に見合った施策を講ずるよう求めます。また、消費者への理解醸成も併せて図ることが求められるというふうに思います。
 第二章、基本的な施策の第一節、食料・農業・農村基本計画についてでありますが、二行下がって、食料自給率目標だけ見ても四五%にはほど遠く、なぜ達成できていないのか、いまだ十分な検証がなされていないなどその具体的な施策も乏しいと感じています。
 そのようなことから、第十七条七項では、検証部会での指摘なども踏まえ、新たな条文として、政府は、少なくとも毎年一回、達成状況を調査し、その結果を公表しなければならないとしていますが、公表だけでは今までの二の舞にならないのかとの意見も多いことから、次のページをお願いします、食料自給率目標や品目ごとの生産努力目標の未達成については、各プロセスを詳細に公表すべきと考えます。また、公表のみならず、実効性を高めるために、今回明記された条文に加え、これらの達成していない事項の目標については課題を明らかにし、達成に向けた具体的な施策や予算措置を講ずるものとすると明記すべきです。
 第二十四条の不測時における措置では、新設事項として、国は、凶作、輸入の減少等の不測の要因により国内食料の供給が不足し支障が生ずる事態の発生をできる限り回避し、略、この条文と、二項においての、国は、略、食料の増産、流通の制限その他の必要な施策を講ずるものとするとしています。
 この内容には一定の理解を示しますが、先ほど話したとおり、食料・農業・農村基本法制定後は、作る自由、売る自由として国が生産調整を手放し、生産者、生産者団体で行ってきた経過がありました。
 今国会に提出された関連法案の一つである食料供給難事態対策法案については、今まで農業者が積み上げてきた生産努力をないがしろにするような罰則規定は条文化すべきではなく、努力義務などとすることが必要です。また、農産物の生産調整に、国も責任を持って関与するなどを明確化し、官民農が一体となって備蓄体制の構築を基本として食料危機を乗り越えることが前提と考えます。
 関連法の内容は、以下のとおりです。御覧ください。
 最後になります。四として、まとめ。
 以上、基本法改正での新たな条文等について、意見と要望を申し上げました。
 四行下がって、現在、農業を取り巻く環境は、世界情勢の変化や異常気象、為替相場の円安などで生産資材価格が高止まりしているほか、水田活用の直接支払交付金の見直しや畑作物の直接支払交付金の単価の改定、改正畜安法による現場での混乱など、北海道においても離農者が後を絶たず、非常に厳しい状況が続いています。
 そのようなことから、今回の法改正においては、条文では限界がありますが、農業の現場の意見を十分に反映し、平時からの食料を安定的に確保していくため、次年度も安心して営農できる政策、例えば販売価格と標準的な生産費との価格差補填などの構築が強く求められます。また、農業生産基盤を維持存続、多面的機能の発揮と環境に配慮した農業を促進するための安定的な制度、例えば農地維持支払などの充実の組合せが必要だと思っております。
 また、労働力不足に対応すべきスマート農業の促進など、食料安全保障の強化に向けて農業予算を増額し、岐路に立っている日本農業の再興を目指して、国民のための法改正となることも改めてお願いします。
 以上、意見陳述といたします。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 中原浩一

speaker_id: 8673

日付: 2024-04-04

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会