田澤恵津子の発言 (農林水産委員会)
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○田澤参考人 皆さん、おはようございます。
私は、エシカルバンブー株式会社代表取締役社長の田澤と申します。
ちょっと日頃からしゃべり過ぎているので、声がかれていて聞きづらいとは思いますが、御了承ください。
私は、東京から山口に移住しまして、現在、全国的に繁茂が問題となっている竹を使った製品の製造、販売を行っております。私自身も、チェーンソーなどを使用して、竹林の伐採などにも入っております。竹害と言われる竹を竹財として高付加価値をつけ、害ではなく有益な国産の資源として持続的に管理、活用できるサイクルを構築すべく、九年前に自社工場を山口県に設立いたしました。
主な取組としましては、二〇二〇年に、竹を総合的に学び体感できる竹ラボという施設を山口県宇部市に設立いたしました。次世代の子供たちに国産の竹の魅力と可能性を伝え、竹を通して地域資源の活用や環境への意識を総合的に学べる場所として現在運営しております。小学生から社会人まで総合学習授業を行っております。月に大体四回ぐらい行っております。二〇二二年からは、竹林整備を安全に行うための研修制度としてバンブーエキスパート制度などを設立しました。二〇二三年には、山口県と連携し、地域の竹の有効活用を目標とした竹利活用のプラットフォーム、ヤマグチバンブーミッションというものを行政、地域、民間と協働で設立いたしました。
今までの経験と取組を基に、今回の食料安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案について、製造業を行っている私なりの立場としてお話しさせていただきたいと思っております。
製造業を行う立場として、食の安定供給という面から考えると、この数十年で日本はいつしか輸入なくして経済が回らない状況となりましたが、元々は島国として自国内での生産が主だったはずです。それがいつしか、他国同様に大量生産、大量消費による流れから価格競争に追い込まれた結果として、国内製造を海外製造に切り替わる流れが加速しています。そこから国内の自給力の低下、国産の生産力の低下という問題が大きく出始めていると感じています。さらに、輸入に頼る流れから、コロナ禍においては、輸入食材が入らないことで製造業や外食産業に大きな影響を与えることにもつながりました。
ここでもう一度、国内で生産できる資源や素材に目を向け、一つ一つの資源を多角的に分析し無駄なく生かすカスケード利用等のサイクルを再構築することで、商品価値、社会的価値、企業的な価値が高まり、川上から川下までが自立した事業として持続可能で継続的な地場産業へつなげていくことが重要であると思っております。
さらに、大量生産、大量消費の流れを変えるためにも、それぞれの地域の特性や風土を生かした製造体制の確立が必須であり、地域特性や風土を調査し、強みとなる特性を分析した上で、地域が誇れる物づくりへとつなげていくことも大切であると思っております。
地域特性を生かした生産力の向上や地産地消の強化を考えたときに、要となるのが知財戦略だと思っております。
私が経営している工場では、山口県の竹の特性を追求した製造体制を確立しております。竹は全て同じだから世界各国どこでも誰でも作れるということではありません。その地域の竹の特性や含水率、さらには、私たちは目や口、心臓などの細胞を使った上での安全性の試験などを行い、エビデンスや研究データを基に品質の確保なども行っております。製造に関する全ての情報を企業の資産と捉え、知財戦略にも力を入れてまいりました。知財戦略の流れも含めて自社ブランディングを進めてきたことで商品価値や企業価値を高めることにつながり、地域雇用を創出し、起業してまだ九年弱ではありますが、事業として継続的に竹を活用する製造業を進めております。
竹と同様に、ほかの素材や資源でも同じことが言えると思います。それぞれの地域の風土や地域特性を生かした製品作りを追求し、製品だけでなく資源そのものの付加価値を高め、輸入に頼らず国内で持続的に循環するサイクルを形成し、国内で製造する全ての製造元が地域資源を生かした物づくりを行い、価格競争ではなく、品質を向上させる、地域資源を活用したブランド力の向上を図ることが食料の安定供給のためにも最重要課題であると捉えています。
国内の自給力の低下と国内生産力の衰退の原因の一つが、知財戦略に関する意識の低下ではないかとも思っております。海外では当たり前のように、知財戦略として自分たちの技術を守り、次の世代につないでいく取組に力を入れている国が多数あります。弊社が使用している竹も同じです。
国内には、竹を活用したすばらしい技術がたくさんありました。それがいつしか、大量生産、大量消費の流れも伴い、国内企業が製造の拠点を海外に移すことで技術漏えいが起き、国内で販売する製品や竹炭などを含めた炭製品の八割以上がいつしか外国産に換わってしまいました。その結果、竹を活用する事業者や炭焼き職人が減少しております。森や竹林が荒れ、現在のような竹害と言われる原因の一つをつくってしまっています。
竹害が起こることで、針葉樹、広葉樹などの栄養も山から吸い取ってしまうため、どんどんどんどん針葉樹、広葉樹が枯れることから、ドングリなどが減少したりとか、あとは土砂崩れの問題ですとか、ほかの資源の栄養分を取っていってしまうために、大きな原因となっております。
竹害と言われるまでにはほかにも様々な要因はありますが、技術的な内容も含め、知財に関する流れを再度見直し、地域資源の可能性を引き出し、持続的に活用する流れを整えるためにも、大量に物を作り安価に収めるのではなく、素材の価値を高め、無駄なく使用し、価格的に高くても消費者が購入したいと思える素材や製品を製造することで、製造、生産事業も持続可能となります。
弊社では、製品を作る段階に排水や排気、廃液などが出ますが、それも全て商品化しております。商品化することで、工場からは一切の排水や排気などが出ないんです。それを、排水設備に物すごくお金をかけて行うよりは、排水にも何かあるのではないかということを考えたところ、オールカスケード利用が実現しております。
弊社は、竹の買取りも、エリア限定ではありますが、行っております。買取り価格も、通常の買取り価格よりは少々高く買い取っております。それができるのも、商品自体、出口である商品に対して付加価値をつけて、決して安くはありませんが、全ての作業をする人材に対して対価が払える状態をつくっております。買取りができることとしては、安価な製品を作ることではなく、全ての部分、作業工程に対して対価が発生する流れを製造体制として確立し、買取り制度を始めてからは、近隣に伐採事業をしたいという若い事業者が増えてまいりました。さらに、一度はタケノコ農家などを引退してしまった農家の方々が近隣の方と一緒に竹を切り、持ち込むようになったことで、竹林が整備され、タケノコ農家として復活された事業者もございます。
こうした流れを基に、未利用資源として、竹害と言われてしまう竹を竹財としてブランド化し、商品価値、企業的価値、社会的価値を高め、利益を出せる製造体制を確立し、継続的に国産竹を使用できる新たな竹産業の構築を進めておりますが、ほかの素材でも同様のことを検討し、知財戦略を含めたブランド力の向上を進めていくことで、生産者は良質なものを製造することに対してプライドと誇りを持ち、その製品を販売する人や購入する人も、それぞれが良質な製品を販売すること、購入することにプライドと誇りを持つことで、現在起きている様々な問題が解決できる糸口が見えてくると思います。
現在、人材の確保の問題を含め、地方での製造業にとって大変厳しい状況が続いております。弊社の社員は、下は二十四歳、上は八十代です。働きたいけれども働けない人たちが地方にもたくさんいます。その人たちが働きやすい仕組みをつくることで、地域資源を生かした製造体制を確立し、地域ブランディングを進めていくことで、人材の確保や販売力の向上にもつながります。現に、弊社を含め、地域ブランディングを進めている魅力的な企業は採用に関する問合せが多く入り、弊社もですが、東京や県外から移住をして採用の希望を出してくる方が多くいらっしゃいます。
食料の安定供給や農地の確保、有効的な農地利用を図るためにも、製造業や農林水産業が事業として産業として継続していくことが必須です。元々は島国として国内生産で回っていたのが日本です。新しいことを検討し進めていくことも大切ではありますが、新しいアイデアの元はゼロではなく既存のものを見直すことから始まります。国内生産が活発だった時代をもう一度振り返り、原点回帰をすることで、問題となっている自給率の向上や国内生産力の向上にもつながるという流れが見えてくるのではないかと、製造をやっている私の立場からは思っております。
以上で、済みません、短いんですけれども、私からの意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)