玉木雄一郎の発言 (本会議)
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○玉木雄一郎君 国民民主党代表の玉木雄一郎です。(拍手)
本日で、能登半島地震の発災から一か月。被災された皆様にお見舞いを、失われた貴い命に心からのお悔やみを申し上げます。
一月十五日に被災地を訪ねましたが、そこで見聞きした現場の声を届けるべく、震災対応から伺います。
一月五日の与野党党首会談で、私は、二〇〇四年から変わらない最大三百万円の被災者生活再建支援金を増額すべきと総理に直接申し上げ、野党各党とも法案を提出しました。
政府は高齢者世帯などに限って最大三百万円を上乗せする制度の創設を検討しているようですが、被災したのは高齢者世帯だけではありません。総理、なぜ被災者の間に分断を持ち込むんですか。シンプルに上限額を倍増して全ての被災者の生活再建を支援すべきと考えますが、総理の決断を求めます。
発災当初、志賀原発の安全性について情報が混乱しました。まず、総理の口から志賀原発の安全性に問題がないことを宣言してください。
原子力規制庁の担当者は発災翌日に現地に入って確認したはずですが、規制庁から現地確認の結果についての情報発信はありませんでした。情報発信を電力会社任せにせずに、国がもっと積極的に発信すべきではありませんか。
また、原発に関する情報に限らず、今回の震災でも偽情報や誤情報がネット上で拡散されました。悪質な偽情報、誤情報について、EUのように削除義務などの法整備が必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
能登半島地震に対応するため、令和五年度第二次補正予算を編成すべきではないですか。年度内にもう一つ大きな災害が発生すれば、予備費は足りなくなります。また、国民の中には復興増税を心配する声もあります。総理、復興増税はないと明言してください。
自民党派閥の裏金問題は言語道断です。派閥の解消や法改正の前に、まず、誰がどのような法令違反を犯したのか、その全容を岸田総裁の手で明らかにすることが最優先です。病気を正確に把握せずに手術をしても、治療は失敗します。党として聞き取り調査を進めるとのことですが、来年度予算案の審議が始まる前、来週月曜日の朝までに、自民党総裁として違反者のリストを出してください。
国民が怒っている理由の一つは、会計責任者だけ責任を問われ、政治家本人の責任が問われないことです。国民民主党は、政治団体の代表である政治家本人の責任も問える政治資金規正法の改正案を提案していますので、自民党も是非改正に賛成してください。
自民党には、今回の裏金事件で起訴された議員分も含めて十二月の政党交付金が全額支払われています。岸田総理、自民党として、起訴された議員に係る政党交付金は返還すべきではありませんか。国民民主党は、起訴された議員の所属する政党への交付金は減額できる法改正を提案しています。是非賛成してください。
私は、二年前の一月、三つの四を達成する経済政策を提唱しました。まず一つ、名目賃金上昇率四%、次に名目GDP成長率四%、そして日経平均株価の四万円です。当時は無理だと言われましたが、その実現が近づいてきています。中でも、四%を超える賃上げの実現が最重要です。
その鍵を握るのが中小企業の賃上げです。それに不可欠なのが適正な価格転嫁です。昨年十一月、政府が価格交渉に係る指針を作り、関係省庁に点検を指示したことは評価していますが、民間の調達部門では、できるだけ安く調達した方が評価されます。そうした慣行も変えない限り、価格転嫁は進みません。取引実態や人事評価まで踏み込んだ実態調査が必要だと思いますが、総理の見解を伺います。
今年四月末で石油元売各社への補助金によるガソリン値下げは終了しますが、被災地支援のためにも、五月以降もガソリン値下げが必要です。
しかし、業界への補助金は会計検査院や財務省から無駄遣いを指摘されており、やはりトリガー条項凍結解除によるガソリン減税に切れ目なく移行することが必要です。自民党の裏金づくりへの対応策にもなります。税を取って補助金で業界に配るから、その一部がパーティー券の購入に流れてしまいます。最初から税を取るのをやめれば、業界にお金は漏れません。
五月からスタートするには法改正や周知期間に時間が必要なので、今日にも総理が政治決断しないと間に合いません。総理、自民党を守るための派閥の解散の決断は誰にも相談せずお一人でされたのですから、今度は国民生活を守るための決断をしませんか。生活者、納税者、そして被災者、被災地のために、トリガー条項凍結解除によるガソリン減税の英断を求めます。
二〇二五年度のプライマリーバランス、国と地方の基礎的財政収支が一・一兆円の赤字見通しになると内閣府が発表しましたが、大騒ぎする数字ではありません。適度な物価上昇と持続的な賃上げがあれば、財政はおのずと健全化します。むしろ今、賃金や所得が上がる以上に税収が増えるブラケットクリープ現象が生じています。
各国は、可処分所得が減らないよう、所得税の基礎控除の引上げなどの対策を講じています。日本でも、一回限りの所得税減税ではなく、基礎控除の引上げなど、インフレや賃上げに適応した本質的な所得税改革が必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
現役世代の社会保険料負担も限界に来ています。その中で、診療報酬が上がり、少子化対策の支援金制度も始まれば、負担は更に増えます。政府として、現役世代の社会保険料負担をこれ以上増やさないための戦略をどう考えていますか。公的保険制度の対象とすべき医療の範囲を再整理するなど、医療制度改革が必要ではありませんか。
また、社会保険料の事業主負担が高くて賃上げができないとの中小企業の声を多く聞きます。賃上げした中小企業には、税金だけではなく社会保険料負担も減免することで賃上げを促すべきではないでしょうか。総理の見解を伺います。
年収の壁対策が始まりましたが、日経新聞によると、対策があっても就労時間を増やす人は三割にとどまっています。政府として、年収の壁対策の効果をどのように考えていますか。また、対策が終わったら再び就労時間の調整をするとの回答が六五%もある中で、時限措置終了後の抜本改革についてどう考えているのか。併せて伺います。
国が賃上げを主導するのであれば、まずは公務員の給料を上げるべきです。特に、公立学校の先生が置かれている状況は厳しいものです。給特法を見直し、教員の皆さんにも残業代をきちんと払い、過度な長時間労働を是正すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
また、教員のなり手不足も深刻です。かつてのように、教員になれば奨学金の返済を免除する制度を復活してはどうでしょうか。総理の見解を伺います。
次に、介護報酬について伺います。
政府は、訪問介護の基礎報酬を引き下げますが、施設から在宅へといいながら、訪問介護の基礎報酬を引き下げて本当に大丈夫でしょうか。人手不足で地域の訪問介護が崩壊するのではないでしょうか。また、民間には昨年の三・五八%を上回る賃上げを要請しているのに、政府が直接賃上げできる介護分野の二・五%の賃上げは、物価高に負ける賃上げではないですか。併せて伺います。
介護のケアマネジャー資格の更新研修について伺います。
国としても実態把握の調査を行っていると承知していますが、更新研修が大変だからケアマネを辞めるという方もいて、今のままでは人手不足、人材不足が深刻化します。地域ごとに受講料も中身もばらばらな現行のケアマネの更新研修は一旦廃止し、国として統一的に制度を見直すべきではありませんか。
薬価制度について伺います。
薬の原材料価格も高騰する中、医療費削減を薬価の引下げに依存する今のやり方では、薬の安定供給、イノベーション、ひいては国際競争力を阻害します。何より製薬業界の賃上げも困難です。総理、中間年改定を決めた二〇一六年末の四大臣会合をやり直すべきではありませんか。そもそも薬不足は解消したのでしょうか。答えてください。
異次元の少子化対策の財源について伺います。
医療保険に上乗せして徴収する支援金制度によって社会保険料の負担率は変わらないとしていますが、これは賃金が上がることを前提に、社会保険料の負担額は上がっても負担率は上がらないというへ理屈です。総理、取りやすい現役世代から少子化対策の財源を徴収するのはもうやめませんか。賃金が上がらなければ負担率が上がることも、正直に説明すべきです。
児童手当の給付を十八歳まで延長しても、高校生に対する扶養控除を縮減したのでは、アクセルとブレーキを同時に踏むようなものです。トータルでマイナスになる世帯はいないと政府は胸を張りますが、その程度ではとても異次元とは言えません。高校生の扶養控除を維持した上で児童手当を延長し、併せて年少扶養控除を復活させるべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
障害児福祉のうち、補装具の補助について所得制限が撤廃されたことは評価しますが、福岡市は先月から、鎌倉市は四月から、独自に通所支援や福祉サービスについての所得制限のない低額化や無償化を決めました。総理、成人の障害年金には所得制限はないのに、児童の障害年金とも言える特別児童扶養手当や障害児福祉手当に所得制限があるのはおかしいと思いませんか。障害児福祉の所得制限は全廃すべきです。
扶養する子供が三人以上いる世帯の大学授業料無償化について、所得制限を設けないのはいいんですが、上の子が卒業したら下の子が対象から外れてしまう。下の子も無償化の恩恵が受けられるようにすべきではないでしょうか。総理の見解を伺います。
異次元の少子化対策というのであれば、財源調達にこそ、従来とは異なる新しい手法を取り入れるべきです。国民民主党は、教育、科学技術など人的資本形成に資する予算は教育国債という新たな国債を充てることを提案し、法案も提出しました。家庭の経済事情に関係なく、大学や大学院に無償で通えるようにするためにも、HECS債ではなく、教育国債の発行を前向きに検討してください。国民民主党は協力をいたします。
世界的に見て、我が国の研究開発力が失速しています。選択と集中の名の下、そのとき注目を集める分野にどかんと大きな予算をつけても、予算執行時には既に時代遅れになっていたり、そもそも研究を担う人材がいなければ効果的に予算を使うことはできません。総理、競争的資金に偏ったこれまでの政策を見直し、大学の運営費交付金を増額して、成果がすぐに出ないような基礎研究にも研究者が腰を据えて取り組めるようにすべきではありませんか。
学生だけでなく、既に学生などを卒業した人も、多額の奨学金の返済に苦しんでいます。国民民主党は上限百五十万円の奨学金債務の免除を提案していますが、アメリカのバイデン政権は、三百六十万人に対し約二十兆円の債務免除を行いました。総理、二十代、三十代の結婚を応援する観点からも、奨学金債務を免除してはどうでしょうか。
また、高校を卒業してすぐに働き始める人もたくさんいます。こうした若者を支援するため、国民民主党は、ポーランドの政策を参考に、三十歳未満の若者の所得税、住民税の減免や若者控除を創設する所得税法の改正案を国会に提出しました。総理、若者を応援する若者減税を政府としても検討してはいかがでしょうか。
大人が担うべき家事や家族の世話を日常的に行うヤングケアラー支援をめぐっては、国民民主党が法制化を求め、三党協議を経て、内閣提出法案が今国会に出されます。御協力をいただいた政府、そして自民党、公明党の関係者には感謝を申し上げます。他方、自治体間で支援に格差があるのも事実で、法案成立でヤングケアラー支援がどのように拡充するのか、特に四月に設置されるこども家庭センターがどのような役割を果たすのか、具体的な支援の在り方を伺います。
子育てをしながら介護にも追われるダブルケアの状態にある人が、毎日新聞の調査で、少なくとも二十九万三千七百人、そのうち九割が三十代、四十代であることが分かりました。総理、国としてもダブルケアの実態調査を速やかに行いませんか。また、介護と育児は以前は厚労省がまとめて担当していましたが、育児が内閣府のこども家庭庁に移管されたため、新たな行政の縦割りが生まれています。総理としてどのように対応しますか。
教員などに性犯罪歴がないことを確認する日本版DBS制度について伺います。
今国会に提出を検討している政府案は、学習塾など民間事業者が認定制度にとどまり、義務化の対象外となっています。総理、魂の殺人など絶対に許さないというのであれば、塾などの民間事業者も性犯罪歴の確認を義務づけるべきではないでしょうか。
また、諸外国同様、性犯罪者、特に小児性犯罪者に対する化学的去勢や地域住民への注意喚起、GPS装着などの厳罰化も導入すべきです。被害者には一片の落ち度もありません。恋も知らない幼い子供たちが性犯罪の被害者になっている現状を、私たち立法府の責任で変えていこうではありませんか。
政府や企業へのサイバー攻撃が広がっているのに、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐアクティブサイバーディフェンス、能動的サイバー防御を可能とする法整備が遅れています。日米同盟の最大の弱点との指摘もあります。政府として、いつまでに能動的サイバー防御を可能とする法整備をするつもりですか。お答えください。国民民主党は、今国会に関連法案を提出する予定です。
自民党は、郵政民営化方針を撤回し、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式保有を継続する法案の提出を検討しており、条文化作業に内閣法制局が関与しているとの報道もありますが、これは事実でしょうか。総理は、郵政民営化は間違っていたと考えていますか。
また、政府が提出予定のNTT法改正案の附則にNTT法廃止の方向性が盛り込まれ、料金が高止まりしたり、過疎地域の光サービスが提供できなくなるなど、国民の利益が損なわれるとの懸念が指摘されています。総理、NTT法廃止には慎重に対応すべきではありませんか。
スマホの普及で、社会経済活動の基盤となっているクラウドサービスは、アメリカの大手三社、アマゾン、マイクロソフト、グーグルが圧倒的なシェアを持っており、デジタル基盤を米国企業に握られているのが現実です。
物の移動を伴わないデジタル貿易による我が国の赤字は、日銀の統計で、二〇一四年で二兆円から二〇二二年には五兆円と、八年間で二倍以上に膨らむ一方、我が国で十分な税金を納めておらず、いわば日本は、IT植民地、デジタル植民地になっています。このIT植民地、デジタル植民地から脱却する具体策について、総理の戦略を伺います。
世界でデータセンターの電力消費量が急増しています。デジタル化や経済成長の前提は、安価で安定的な電力供給です。そのためには、原子力発電所の早期再稼働が必要です。とりわけ、東日本における安価で安定した電力供給のためには、柏崎刈羽原発の再稼働が必要です。一方、能登半島地震で地域住民に不安が広がっているのも事実です。そんな中、国として、原発再稼働に向けて具体的にどのような役割を果たすつもりか、総理の見解を伺います。
自由化した送配電部門に新規参入がないから停電解消が遅れたとの報道もありましたが、むしろ逆で、自由化によって電力の安定供給が脆弱になっているのではないでしょうか。能登半島地震では、北陸電力と北陸電力送配電会社、そして他の電力会社や送配電会社が応援に駆けつけて一体となって取り組んだことで、早期の停電解消につながりました。有事も想定し、これまで進めてきた電力自由化について、冷静な検証と見直しが必要ではないでしょうか。総理の見解を伺います。
農林水産省が水田活用直接支払交付金の五年に一度の水張り要件を発表してから、農村には不安と混乱が広がっています。このままでは離農と耕作放棄地が増えます。総理、五年に一度の水張り要件は、地域事情に応じて柔軟に緩和すべきではありませんか。
半農半Xという言葉がはやっています。でも、皆さん、究極の半農半Xは兼業農家です。香川県では、兼業農家に対する独自の支援策を始める予定です。今までは非効率の象徴として支援対象から外してきましたが、今後は、地域の実態も踏まえて、兼業農家も国として支援していくべきではないでしょうか。総理のお考えを伺います。
岸田総理は、総裁任期中に憲法を改正するとしていますが、総裁任期も残り九か月。六月の今国会会期末までに発議しないと、国民投票に間に合いません。改憲項目さえ絞り込めていないのに、本当に改憲できるのか、大いに疑問です。今日木曜日も、衆議院の憲法審査会の定例日です。しかし、審査会は開催されていません。もう一日も無駄にできないはずなのに、やる気が感じられません。憲法改正に向けた総理の本気度をスケジュールでお示しください。
私たち国民民主党は、これからも、対決より解決の姿勢で、必要な政策を先手先手で打ち出していきます。しかし、その前提は、正直な政治が担保されていることです。
今、自民党の派閥の裏金問題で、その前提が大きく崩れています。自民党、そして岸田総理には、徹底した全容解明と本気の政治改革を強く求めて、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕