齋藤健の発言 (本会議)
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○国務大臣(齋藤健君) 守島議員の御質問にお答えします。
水素の政府目標についてお尋ねがありました。
我が国は、第六次エネルギー基本計画に基づき、水素の供給量を二〇三〇年に年間最大三百万トン、二〇五〇年には年間二千万トン程度に拡大することを目指しています。これらの目標は、事業者へのヒアリングや審議会等における御議論を経て定めたものであり、足りないとは考えておりません。
また、低炭素水素等の供給量の目標値につきましては、まずは、低炭素水素等の基準となるキログラム当たりのCO2排出量の値を議論して定めた上で、設定の必要性含め検討してまいります。
水素社会推進法案の効果につきましては、今後、政策的重要性と事業完遂の観点から総合的な評価を行い、支援対象を決定していく中で、明らかになっていくものと考えております。
エネルギー基本計画の目標達成に向けては、水素社会推進法案の支援措置により供給量を拡大していくことに加えまして、規制、制度的措置も通じた需要拡大を目指すことが必要です。そのため、既に、電力、ガス、燃料、産業、運輸等の関連審議会等において、新たな市場創出、利用拡大に向けた議論を開始しています。
こうした様々な施策を前に進め、低炭素水素等の導入を進めていきたいと考えています。
海外での水素権益の確保についてお尋ねがありました。
国内で必要な低炭素水素等の需要量を賄うためには、国内での製造に加え、海外からの輸入が必要であります。そのため、日本企業による海外の権益の確保を始め、海外からの低炭素水素等の安定供給のための環境整備が重要と認識しています。
そうした観点から、例えば中東では、昨年七月の岸田総理の中東訪問の際、サウジアラビア及びUAEとの間で二国間協力枠組みを立ち上げ、将来の水素等の安定供給に向け、具体的なプロジェクト組成を目指した議論を進めています。
また、米国、豪州とも、将来の水素等の安定供給のため、民間企業間だけではなく、両国政府間、メジャー企業等とも直接議論を行っています。
アジアでも、マレーシアと水素、アンモニアのサプライチェーン形成に向けた議論を進めています。
日本企業の海外の水素等の権益取得に対するJOGMECの出資や債務保証支援も活用しながら、資源外交を進め、我が国の企業の水素等の権益確保と安定供給のための環境整備に努めてまいりたいと考えています。
水素社会推進法案における低炭素水素等のCO2排出量の基準についてお尋ねがありました。
低炭素水素等のCO2排出量の基準については、現在、海外の制度を参考にしつつ、審議会において議論を進めており、具体的な内容については、今後、省令において定めることとしています。
低炭素水素については、現段階において、国際的には貯蔵時や輸送時のCO2排出量の測定方法の議論が収れんしておらず、このため、我が国では、現時点で、これらのCO2排出量を含めることを想定はしておりません。
今後も、各燃料における国際的な議論の動向も注視しながら、引き続き検討を進めていきたいと考えています。
低炭素水素等供給等事業に関する計画認定の基準についてお尋ねがありました。
今後激化すると想定される水素供給に関する国際競争に向けて、我が国の供給、利用事業者への後押しが重要であると考えております。
水素社会推進法案第七条第五項第四号に規定する、我が国における低炭素水素等の供給又は利用に関係する産業の国際競争力の強化に相当程度寄与とは、例えば、申請された計画の内容が、我が国産業に裨益するような大規模な低炭素水素等の供給及び利用の促進に資するものであるか、我が国企業の技術や製品が低炭素水素等のサプライチェーンの形成に活用されているかといった点を評価することを想定しております。
水素社会推進法案による助成金の効果や制度の在り方等についてお尋ねがございました。
水素社会推進法案において措置する価格差に着目した支援につきましては、供給開始から十五年で三兆円規模を見込んでおり、支援を通じてサプライチェーンに対する投資の予見可能性を高め、需給両面での投資を引き出してまいります。
こうした取組などのほか、GI基金等の研究開発や規制、制度的措置も通じた取組を組み合わせることにより、投資対効果の面については、水素等については十年間で約七兆円以上の官民投資を目指します。
また、支援の対象経費については、関連するそれぞれの制度の趣旨を踏まえ、プロジェクトごとに支援対象を、専門的知見を有する第三者の意見も聞きながら、国で適切かつ厳格に審査し、関連制度との重複が見られる場合には、重複分は支援の対象経費から除外することを検討しています。
JOGMECについては、これまで、資源の上流開発などの大規模なエネルギープロジェクトの支援を行った実績があり、また、水素等の技術的な知見も持ち合わせています。このため、助成金の交付業務、各プロジェクトの進捗管理について、必要な知見や体制を備えているものと考えております。
引き続き、効果的な支援となるよう、準備を進めてまいります。
バランスの取れた低炭素水素等の保安規制の在り方についてお尋ねがありました。
低炭素水素等の供給及び利用の拡大は極めて重要な課題ですが、一方で、保安規制については、安全性に係る科学的データに基づき、安全を確保していくことも重要だと認識しています。
本法案は、前例のない大規模な低炭素水素等の供給及び利用事業を早期に開始するため、高圧ガス保安法の特例として、認定計画に基づく設備については、一定期間、都道府県知事に代わり、経済産業大臣が一元的に保安確保のための許可や検査等を行うことを可能とするものです。
この中で、最新の科学的データや諸外国の取組も参考としつつ、より合理的かつ適正な保安規制によって安全の確保に努めながら、低炭素水素等の供給及び利用の拡大に取り組んでまいります。
水素コスト低減に向けた技術開発に対する支援やGXに関する支援メニューの情報発信についてお尋ねがありました。
水素基本戦略に基づき、グリーンイノベーション基金などを活用し、水素等のコスト低減に向けた技術開発に取り組んでいます。
具体的には、水素製造に必要な水電解装置のコスト低減や、大型液化水素運搬船の実現に向けた技術開発や実証などに取り組んでおり、供給と利用両面でのコスト低減につなげていきます。
また、事業サイドに対する情報発信については、総理を議長とするGX実行会議や、多排出企業が多く参画するGXリーグ等において、企業への情報発信に努めているところです。さらに、中小企業向けには、脱炭素に向けた取組事例集の公表や、中小企業団体・事業者の皆様に対する説明会等による周知、広報も開始をしております。
引き続き、事業者の皆様に対して、分かりやすい情報発信の取組を推進してまいります。
低炭素水素等の大規模な需要喚起策についてお尋ねがありました。
足下では、低炭素水素等の市場は黎明期にあり、供給側と利用側の両事業者の投資に対する予見可能性を高めることが必要であります。
このため、水素社会推進法案では、両事業者が一体で計画を作成し、認定計画について財政的支援を講じることで、供給のみならず、需要の拡大を同時に実現していきます。
加えて、高炉での水素還元製鉄の研究開発や実装、ナフサ分解炉における熱源の燃料転換や石油由来のナフサ原料からの転換、乗用車に加え、燃料電池トラック等の商用の購入費用支援や水素ステーション整備支援といった、利用者側の新たな設備投資や事業革新を伴う形での原燃料転換を促すための支援措置等の検討も進めています。
こうした様々な施策を組み合わせて、低炭素水素等の利用拡大に向けた投資を促してまいります。
GX戦略の中でのCCSの位置づけ、予算規模、カーボンニュートラルに向けたシナリオについてお尋ねがありました。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、産業や発電の脱炭素化を実現するためには、CCSが必要との認識の下、二〇二三年七月に閣議決定されたGX推進戦略では、二〇三〇年までのCCS事業開始に向け、法整備など必要な事業環境整備を行う方針を示しています。
CCS関連予算につきましては、足下では、先進的なプロジェクトに対するFS調査など、支援を行っております。
今後、CCS事業法案の成立後には、ビジネスモデル構築に向けた検討が本格化することから、その進捗を踏まえ、諸外国の例も参考にしつつ、必要となる支援について検討してまいります。
また、カーボンニュートラル実現に向けたシナリオについては、今後の技術動向や情勢変化などを踏まえ、適切に検討してまいります。
CCSの技術開発支援についてお尋ねがありました。
CCSが事業として成立するためには、CO2の回収、輸送、貯留のプロセス全体で更なるコスト低減を行うことが必要です。
このため、回収に必要なエネルギーを低減し、鉄やセメントなど異なる排出源ごとに最適な回収方法を実現するための研究開発を進めているほか、CO2の大規模輸送を可能とする液化CO2輸送船の研究開発等に取り組んでいるところです。
引き続き、コスト低減を可能にする研究開発を行い、国際競争力ある形でCCS事業を推進できるよう取り組んでまいります。
CO2の貯留が地域社会や環境に与える影響の評価などについてお尋ねがありました。
今般のCCS事業法案では、CO2の安定的な貯留が確保されなかったり、その貯留事業が他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反する場合には、貯留事業の許可を与えないこととしております。また、事業の実施計画に記載されたCO2の漏えいを防止するための措置等が適切であると認められない限り、貯留事業を行うことができないこととしております。さらに、貯留事業の許可に当たっては、都道府県知事との協議を通じて、地域の理解を得ながら貯留事業を進めることとしております。
これらのスキームを通じて、貯留事業が地域社会や周辺環境に悪影響を及ぼすことがないよう、しっかりと取り組んでまいります。
また、CCSの立地地域や国民の皆様の理解を得つつCCS事業を進めることが極めて重要と考えています。
このため、国主導により地域ごとに説明会等を開催し、CCSの政策的意義や負担、安全性、立地地域への投資効果など、CCSに関する情報発信に取り組んでまいります。また、CCSの立地地域では、地元の自治体や関係事業者、住民等に対して丁寧な説明を行うなど、貯留事業者に対して、理解を得るための取組を求めてまいります。
専門人材の育成や技術ノウハウの蓄積、そして海外展開支援についてお尋ねがありました。
まず、御指摘の専門人材の育成やノウハウの蓄積については、本法案の検討に当たり、審議会の議論におきましても、研究者、実務者育成のための環境整備、事故予防等に関する知見の蓄積と事業者等が円滑に参照できるような環境整備を進めるべきとの提言をいただいており、今後、具体化に向けて取り組んでまいります。
また、我が国企業による海外市場への参入を支援することは、我が国のCCS技術を必要とする国だけでなく、我が国の国際競争力強化や成長戦略の観点からも重要です。
そのため、マレーシア、タイなどとCO2の越境輸送、貯留、CCUSの技術協力等に関する協力覚書を締結し、CCS事業の環境整備を進めています。アジア全域でのCCUS活用に向けた知見の共有や、事業環境整備を目的とするアジアCCUSネットワークも活用しながら、引き続き、日本企業の海外展開を後押ししていきます。(拍手)