大西健介の発言 (本会議)
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○大西健介君 立憲民主党の大西健介です。
会派を代表し、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部改正案について質問いたします。(拍手)
その前に、昨日、令和六年度予算案が参議院で可決をしました。三月二日、予算案の衆議院通過に際して、立憲民主党の安住国対委員長と自民党の浜田国対委員長は、予算が成立した後、しかるべき時期に予算委員会の集中審議を行うこと、政治倫理審査会で申出のある議員の弁明及び質疑を行うこと、四月以降、衆議院に政治改革特別委員会を設置することなどを合意しました。
政倫審については、五十一人の裏金衆議院議員のうち、まだ四十五人は政倫審に出てきておりません。公党間の約束は必ず守っていただきたいと思います。実態解明も進まないまま、軽い処分でお茶を濁して裏金問題の幕引きをすることは絶対に許してはならないということを冒頭申し上げて、法案の質問に入ります。
法案の第一の柱は、雇用保険の適用拡大です。
雇用のセーフティーネットを広げることには、私たちも賛同します。一方で、JILPTが短時間労働者に雇用保険への加入希望を調査したところ、加入したくないとの回答は、週十時間以上十五時間未満の者で五八・八%、週十五時間以上二十時間未満の者では五三・七%となっており、理由として、保険料の負担があるから、加入するメリットが分からないからというのを挙げています。
政府は、適用拡大により労働時間など労働者の就労にどのような変化が生じると想定しているのか。また、法律施行後の就労の変化について調査を行い、検証すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
次に、適用拡大により対象となる労働者の中には、生活のために副業、兼業をしている者も一定数想定されます。二つ以上の事業所で就労しているような場合、賃金の金額が高い事業所を主たる事業所として雇用保険に加入する仕組みになっています。しかし、これでは、主たる事業所でないところで離職した場合には、失業給付が受けられず、収入が減って生活に支障が生じるおそれがあります。
この点、二つ以上の雇用関係を合算する仕組みにした上で、十時間以上就労する雇用の全てを加入の対象にすればよいのではないかと考えますが、いかがですか。
そもそも、雇用の安定を図るためには、不安定な非正規雇用で働く人が、望めば正規雇用で働けるようにすることが必要です。そのために、立憲民主党は、雇用は無期、直接、フルタイムを基本原則とし、正社員を新たに増やした中小企業の社会保険料負担を軽減することなどを提案しています。
政府は少子化対策においても児童手当の拡充など給付に軸足を置いてきましたが、安定的な経済基盤を築けなければ、結婚、出産に踏み切ることはできません。そのことは、同年代の正規雇用者と非正規雇用者の有配偶者率を比べた場合、倍以上の開きがあることを見ても明らかです。政府は、いわゆる不本意非正規労働者をなくすことを本気で考えているのか、伺います。
法案の第二の柱は、人への投資の強化のための教育訓練やリスキリングの支援の充実です。
立憲民主党は、人からはじまる経済再生という経済政策をまとめ、その三本柱の一つとして、徹底した人への投資と賃上げで、一人一人の多様な持ち味が生きる社会をつくることを掲げています。
G7諸国の職業訓練への公的支出の対GDP比を比較すると、フランス〇・三%、ドイツ〇・一九%に対して、日本は〇・〇一%と、フランスの三十分の一です。岸田政権は、この水準をどこまで引き上げることを目標としているのか、お示しください。
立憲民主党がまとめた、もっと良い学びなおしビジョンでは、リスキリングやリカレント教育は、労働移動ありきで行うべきではなく、労働者が主体的に選択できるものでなければならないとしています。ところが、岸田政権では、リスキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、成長分野への労働移動の円滑化の三位一体の労働市場改革を進めようとしています。政府は、リスキリングを労働移動のための手段と位置づけているのか、伺います。
次に、本法案では、教育訓練給付の給付率を引き上げることとしていますが、訓練受講の結果として賃金が上昇したことをどのように確認するのか、また、指定講座の地域や類型、科目による偏りをどのように是正するのか、伺います。
労働者が仕事と学び直しを両立できるようにするためには、労働者が教育訓練のために自ら休暇を取ることを可能とする制度の整備が重要です。本法案では、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、基本手当に相当する新たな給付金を創設することが盛り込まれています。しかし、自分が働く会社に教育訓練のための休暇制度がなければ、この給付金を受給することはできません。
厚労省の能力開発基本調査によると、教育訓練休暇制度を導入している企業は全体の七・四%、導入予定の企業は一〇%にとどまっています。また、勤務している事業所に制度があり、利用したことがある正社員は、僅か二・四%にとどまっています。非正規労働者の場合には、教育訓練休暇制度を活用するのは更にハードルが高いと思われます。
そこで、もっと良い学びなおしビジョンでは、ヨーロッパの教育訓練休暇制度を参考にしつつ、労働者に学び直しの機会が提供される公的な休暇制度を整備することを提案していますが、この点についての御所見を伺います。
次に、公的な職業訓練を担う職業能力開発校等については、指導員の確保、設備の老朽化、急速な情報技術の発展や多様化する職業に対応できていない、訓練計画を維持するには自治体の財政が厳しいといった課題が指摘をされています。
政府は、公的な職業訓練に手厚く予算を配分し、指導員の確保、訓練施設の整備、訓練メニューの拡充等を行い、企業が、公的な職業訓練、民間の職業訓練、企業内部での職業訓練を適宜組み合わせて労働者にきめ細やかな訓練を提供できるようにすべきです。大臣の所見を伺います。
法案の第三の柱は、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保です。
育児休業給付は、創設当時、育児休業のため収入がなくなるのは失業に近いとみなし、育児を理由とする女性の離職を防ぐために雇用保険から支出することとなりました。しかし、その後、給付を充実させ、少子化対策、子育て支援へと役割が変化しており、もはや雇用政策というより家族政策の意味合いが強くなっているため、一般会計で賄うべきではないかという意見があります。
そこで、雇用保険以外の財源による新たな制度とすることで、雇用保険に加入できなかった非正規雇用者やフリーランスも育児休業給付を受けられるようにすべきではないかと考えますが、この点に対する所見を伺います。
育児休業給付の給付額は十年前の二・五倍に膨れ上がっていますが、それ以外でも、岸田政権では、不人気な増税を避けるために目玉政策の財源に雇用保険を流用して充てるケースが目立っています。リスキリングも、従来は就職促進や失業予防の意味合いから雇用対策として扱われてきましたが、今や経済対策の意味合いが強くなっています。
また、雇用保険は、企業に一人当たり最大五十万円を助成して、手取りが減らないようにする年収の壁対策にも使われていますが、これも、失業給付本来の、働く人が保険料を払って不意に失業するリスクに備えるという趣旨とはかけ離れていると言えます。
今や、雇用保険の五〇%以上は失業給付以外に充てられています。政府が増税を避けるために雇用保険を活用し、保険料が更に上がれば、見えにくい負担増となると思いますが、厚労大臣の所見を伺います。
新型コロナウイルスの感染拡大で雇調金の財源が不足し、失業等給付の積立金から累計三兆円以上を貸し出したために、雇用保険の財政は逼迫しています。一方で、前回の改正で、失業等給付の国庫負担について、従来の本則である四分の一を適用するのは雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合に限定し、それ以外の場合には四十分の一を適用することとなりました。
雇用保険の国庫負担は、雇用政策に対する政府の責任を示すものです。そのため、失業等給付の国庫負担を本則である四分の一に戻すべきです。
前回の法改正の際、附帯決議には、「社会保障関係費に現在位置付けられている失業等給付の国庫負担について、負担割合を将来的に従来の本則の水準(二十五パーセント)とする措置も含め、国の財政・財源の構造から検討すること。」という附帯決議が盛り込まれました。この附帯決議を踏まえてどのような検討が行われたのか、検討しなかったのであれば、いつからどのように検討していくのか、お答えください。
最後に、本法案には、介護休業給付の国庫負担引下げの暫定措置を令和八年度末まで継続することが盛り込まれています。
一方で、訪問介護の基本報酬の引下げによって小規模な訪問介護事業者が閉鎖をすれば、在宅介護が受けられなくなる要介護者や家族が増加するおそれがあります。その結果、介護の体制構築により時間がかかって介護休業を長く取得しなければならない人が増え、介護休業給付の支給額が増加をするおそれがあります。
したがって、介護休業給付の国庫負担も、育児休業給付同様に、暫定措置の八十分の一から本則の八分の一に戻す必要が出てくるのではないですか。いかがですか。
厚労省が集計した調査によると、二〇二二年度は訪問介護事業者のうち三六・七%が赤字でした。厚労省は処遇改善加算を充実したと説明をしていますが、基本報酬の引下げの結果、事業所としては減収となり、小規模な事業者の経営の厳しさに拍車がかかることは明白です。至急、対策を講じるべきです。立憲民主党は訪問介護緊急支援法案の提出を検討していますが、政府は何も対策を講じるつもりがないのか、明確にお答えください。
これまでの政治は人を粗末にし過ぎました。私たち立憲民主党は、働く人が報われる真っ当な経済社会を取り戻すため、全力を尽くすことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣武見敬三君登壇〕