一谷勇一郎の発言 (本会議)

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○一谷勇一郎君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。
 会派を代表し、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)
 今、日本は、前代未聞の危機に直面しています。私たちが、そして子供たちが生きる令和の日本社会は、世界のどの国もいまだ経験したことのない超少子高齢、人口減少社会です。団塊の世代が七十五歳を迎えるとともに、毎年百万人規模の都市が消滅していく、歴史的にも類例を見ない、大きな転換期を迎えています。国民の価値観も多様化し、家族の在り方をめぐって、国会でも大きな論争が巻き起こっています。
 そうした中、十一年前に私たちが日本維新の会という新しい政党を結党した理由は、まさに、少子高齢化という厳しい峠を乗り越えていく、そのための日本大改革を実行するためでした。日本維新の会が誕生した大阪で、子育て世代が最も大切にしている教育に光を当て、教育の完全無償化、すなわち、幼児教育から大阪公立大学という高等教育まで、所得制限なしの教育無償化を実現してきたゆえんでもあります。
 こうした立場からいえば、一億総活躍とか子育て安心とか、言葉遊びに終始してきたこれまでの自民党政権と異なり、岸田内閣が、いわゆる次元の異なる少子化対策を取りまとめ、財源まで含め、こうして抜本的な法案を国会に上程してきたこと自体については、高く評価しているところです。
 そこで、まず冒頭、本法案がこれまでの少子化対策とどう次元が異なるのか、総理の言葉で改めて御説明ください。
 他方、その中身をつぶさに拝見すると、少子化対策の内容、メニュー、さらには財源に関する考え方まで、私たち日本維新の会の考え方、政策思想とは相入れない点が少なくありません。今回の加速化プランが日本の繁栄を持続可能なものにする最後のチャンスであるとの認識を共有し、私たちも真摯に政権に向き合い、意見を表明しますので、総理におかれても、誠実に論戦に応じていただきたいと希望します。
 まず、現状に対する危機感でありますが、国立社会保障・人口問題研究所は、二〇二〇年の国勢調査の結果を基に、日本の人口が二〇五六年に一億人を下回り、二一〇〇年にはおよそ六千三百万人に半減するという推計をまとめています。そして、本年一月には、民間の有識者グループが、複数の人口シナリオを設定した上で、二一〇〇年に人口を八千万人の規模で安定化させることを目標とすべきという人口問題に関する提言を発表しました。
 私たちは、こうして少子化対策に膨大な公費を投じるのであれば、政府も、この民間有識者グループのような複数シナリオに基づく人口目標を設定すべきであると考えます。もちろん、一人一人の国民がどのように生きるかは自由でありますが、国家として、人口問題にどう向き合うのか、少子化対策にどう取り組むのか、外国人労働者の扱いも含め、日本の繁栄の姿について具体的なイメージを持つことは必須であると思うのです。
 そこで、伺います。
 日本政府は、なぜ人口目標を設定してこなかったのでしょうか。繰り返しになりますが、一人一人の国民がどのように生きるかは自由であります。しかし、人口目標を含む日本社会の具体的なイメージなくして、少子化対策の規模も決められないし、外国人労働者の受入れ方針も場当たり的にならざるを得ないと考えます。総理が描く二一〇〇年の人口目標、そして日本全体の具体的イメージを御紹介ください。
 総理は、少子化対策の三つの柱の一つに切れ目ない支援を挙げ、教育負担を軽減することが、子供たちが未来を見通す重要な政策であるとおっしゃっています。しかし、実際に加速化プランに盛り込まれた教育無償化策は、多子世帯に限定した大学授業料無償化にとどまっています。政府の教育無償化策がこうした極めて限定的な内容に終始する理由を御説明ください。
 学生の三人に一人が、卒業時に多額の負債を背負うと言われています。そうした教育に係る莫大な費用のために、若者が借金の返済にきゅうきゅうとし、結婚や出産に踏み出せなくなっている現実を見るにつけ、私たちは、教育無償化こそ国の未来をつくる真の礎であると考え、二〇一六年三月に、幼児教育から高等教育までの教育無償化を内容とする憲法改正原案を公表してきました。
 他方、私たちが教育無償化に取り組んできた理由は、いわゆる少子化対策のためというよりも、もっと高次の教育を受ける権利、教育機会の均等を実現するためでした。もちろん、教育無償化が若者の経済負担を軽減し、結婚等への環境を整えることになるでしょう。しかし、それはあくまでも副次的なものであり、最も大事なことは、子供たちの権利、教育を受ける権利を守りたい、そうした思いからでした。
 どのような政策が少子化対策に有効なのか、日本のみならず、世界の先進国が悩みながら対策を講じているのが実態です。こども家庭庁を創設した当時の小倉將信担当大臣が、エビデンス、根拠に基づく政策立案を推進するためにEBPM研究会をつくられたのは見識であると注目をしてまいりました。様々な政策分野がある中で、少子化対策ほど、何が有効な対策なのかエビデンスのない分野はないと私たちは考えますが、総理の見解を求めます。
 特に、我が国にあっては、世界のどの国も経験したことがない超少子高齢社会を迎えます。そうした中で、トライ・アンド・エラー、試行錯誤を繰り返しながら政策体系を固めていく必要があります。やみくもに思いついた政策を積み上げ、はい、これが次元の異なる政策です、三・六兆円ですと胸を張られても、国民は興ざめするばかりです。
 そうした観点から、急いで、一兆円の子ども・子育て支援金という恒久財源のための制度、それも、後に述べるように、極めて筋の悪い制度を創設する必要があるのか、大いに疑問です。
 予算委員会では、子ども・子育て支援金の負担は五百円だ、千円だと、バナナのたたき売りみたいな加藤鮎子担当大臣の答弁が話題になりましたが、いずれにせよ、国民に実質的な負担は生じないとする政府の説明がまやかしであることははっきりしました。岸田総理が繰り返す、負担がないという答弁は、高齢者の自然増でもっと増えそうであった費用を抑えたから負担がないという自然増のまやかしと、負担の絶対量は増えるが負担率は増えないという負担率のまやかしで算出される、誰も理解できない霞が関数学にすぎません。大事なのは、少子化対策の財源をどう支えるべきかという骨太な議論であります。
 総理に伺います。
 なぜ恒久財源の確保を急ぐのですか。骨太な政策を実行していくために財源が必要なことは当然ですが、少子化対策の規模として三・六兆円が適正なのか、そうした歳出よりも社会保険料を低減させる方が有効ではないのか。はたまた、歳出の規模をもっと拡大すべきとの議論もあるでしょう。国民に負担を求める新制度として、子ども・子育て支援金制度の考え方は拙速に過ぎると考えますが、総理の見解を求めます。
 私たち日本維新の会が結党された二〇一二年、自民党、公明党、そして民主党が、いわゆる三党合意、社会保障と税の一体改革に関する合意をし、子ども・子育て関連三法が制定されました。当時の決定の最大のポイントは、子供、子育て支援策の拡充を図るための財源は消費税に求めるということでした。自民党と公明党は政策転換をしたのですか。総理に見解を求めます。
 他方、今回創設される子ども・子育て支援金は社会保険料です。言うまでもなく、社会保険料は所得をベースとしているため、現役世代に重くのしかかります。さらに、年収約一千二百万を境に負担は頭打ちとなり、中間層の負担が最も重くなる負担構造を有しています。受益と負担と対応関係が不明瞭な少子化対策にまで保険料を適用することは、保険料の目的外使用であり、かつ少子化対策にも反すると考えますが、いかがでしょうか。総理の答弁を求めます。
 政府は、全世代型社会保障を目指す改革の道筋、改革工程において、能力に応じた負担構造、いわゆる応能負担について言及し、預貯金口座へのマイナンバー付番の状況を検討すると明記しています。受益と負担と対応関係が不明確な少子化対策にまで社会保険料を活用するということであれば、少なくとも応能負担の仕組みを構築してからにすべきではないか、総理の見解を求めます。
 さらに、社会保険料は労使折半ですから、受益と負担と対応関係が不明瞭な少子化対策にまで社会保険料を活用することは、その負担が現役世代に偏るだけでなく、企業にも過大な負担を求めることになり、非正規雇用へのシフトといった形で企業行動に悪影響を与えかねません。賃金と物価の好循環を実現できるかどうかの正念場にあって、やはり子ども・子育て支援金の創設は間違いであると断じざるを得ません。総理の見解を求めます。
 以上のように、社会保険料を少子化対策のために拠出する新制度、子ども・子育て支援金制度には深刻な問題が内包されています。一、三党合意から大きな変節であること、二、基本的な保険原理に反すること、三、応能負担を支えるためのマイナンバーに係る制度のインフラが完成していないこと、四、企業行動に与える悪影響が想定される等、枚挙にいとまがありません。なぜ、こんな制度案が閣議決定され、国会に上程されてしまったのか。
 私たちは、自公政権が税制に関する議論を封印してしまったからであると考えます。岸田総理は、昨年十一月二十四日の衆院予算委員会で、我が党の質問に対し、社会保障と税の一体改革は終わったものではなく、持続可能な社会保障制度を確立するための継続的な取組であると答弁されましたが、翌月に閣議決定された改革工程に、税制への言及はありませんでした。結局、自公民の三党合意とは、社会保障と一体改革とは名ばかりの、単なる消費税の苦みを包んで国民をだますためのオブラートであったと断じざるを得ないのです。
 いわゆる加速化プランの財源の基本骨格を見ると、今後、政府として取り組む社会保障改革の果実を、現在の現役世代に厳しい負担構造を維持したまま、公費の節減等の効果一・一兆円、そして社会保険負担軽減の効果一兆円と明記されています。
 しかし、今後、ますます厳しさを増す少子高齢化社会を乗り越えていくためには、社会保障改革の果実の全てを、果実の全てを、果実の全てを現役世代の可処分所得の増大、すなわち、社会保険料負担の軽減に振り向けるべきであると考えますが、いかがでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
 私たち日本維新の会は、全ては次世代のために、教育無償化こそ国の未来をつくる真の礎となると考え、八年前の二〇一六年三月に、幼児教育から高等教育までの教育無償化を内容とする憲法改正原案を発表しました。統治機構から緊急事態、憲法九条、そして教育無償化まで、憲法改正のための憲法改正ではなく、国の繁栄のための憲法改正に取り組んでまいりたいと存じます。
 岸田総理は、今年九月までの総裁任期中に憲法改正の実現を目指すと公言されてきましたが、さきの自民党大会では、党派を超えた議論を加速すると表現を変えてしまいました。総理に国の未来をつくる思いがおありなのであれば、私たち日本維新の会とがっぷり四つに組んで、憲法改正原案を完成させ、そして、憲法を国民の手に取り戻す、憲法改正国民投票を実施しようではありませんか。
 最後に、憲法改正に向けた総理の改めての決意表明を求め、会派を代表しての質問とさせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

発言情報

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発言者: 一谷勇一郎

speaker_id: 1526

日付: 2024-04-02

院: 衆議院

会議名: 本会議