浦野靖人の発言 (本会議)

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○浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。
 教育無償化を実現する会との会派を代表し、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案について質問いたします。(拍手)
 私は、昭和四十八年に生まれました。同級生は二百万人以上います。半世紀がたち、昨年生まれた子供の数は、半分にも満たない七十五万人、過去最低を更新しました。子供の数が減っているにもかかわらず、児童生徒が被害者となった不同意性交、不同意わいせつ事件の数は、十年前と比べてほとんど変わっておらず、痛ましいニュースが頻繁に取り上げられております。
 こうした中で注目が集まる本法案ですが、関係者からは、実効性がなく不十分、何の意味もないといった指摘が上がっております。この法案では、本当に子供の安全を守ることができるのかを考えなければ意味がありません。
 まず、大臣にお聞きしますが、子供の安全を守るために、大臣は何が一番重要だと考えていますか。そして、そのために、具体的に誰がどういった行動を取ることが必要と考えていますか。
 私たちは、子供を守るために一番重要なのは、大人一人一人が子供の安全を常に考え、事前にリスクを回避することと考えています。法案冒頭の記述のとおり、性暴力は、被害児童に対し、生涯にわたって回復し難い心理的外傷、心身に対する重大な影響を与えるもので、子供たちの心と体は、機械のように新しく買い直すことはできませんし、決して、やり直すことができるものではありません。万が一でも何かが起きてはならず、そうした観点で、現場の事業者は、毎日、性暴力以外も、あらゆる危険を想定し、リスクを防ぎながら経営をしております。
 本当に性暴力防止の効果を求めているのか。不十分と感じざるを得ないのは、似たような確認手段を重複して義務づけられる点であります。
 今年四月から、保育園では、児童福祉法に基づく保育士特定登録取消し者に係るデータベースの確認が始まりました。就労希望者の情報を入力することで、過去に児童生徒に性暴力等を働き、保育士登録を取り消された事実がないか、インターネットで簡単にチェックできるシステムです。幼稚園、小中学校等でも昨年四月より同様の確認が始まっておりますが、これら既存のシステムは児童生徒に対する性暴力等が対象であるため、被害者の年齢を問わない特定性犯罪の履歴を確認する仕組みとして、今回の法案では新たにデータベースを構築しなければならないようです。
 新しい確認には二週間もの時間がかかり、提供された情報は特に厳格に取り扱うことも求められており、現場の負担増加は間違いありません。既に実施中の保育士登録の取消し確認と新たなチェックは、重複する部分がかなり多いと思われます。免許取消しと犯罪履歴は情報元が違うから取扱いを分けねばならないといった理由もあるようですが、いずれかのチェックに該当すれば、採用しないという選択肢を取らざるを得ず、人手不足で業務効率化が求められる中、業務負担を増す仕組みは受け入れられるものではありません。
 縦割り行政による弊害を打破すべく設立されたこども家庭庁として、確認プロセスを統一する、若しくはワンストップで二つの確認ができるものにする予定はございますか。予定があれば、いつまでに実現するのか、期日も含めて回答を願います。
 また、既存の仕組みでは、不起訴処分や起訴猶予、示談成立を受けた事例が確認対象に含まれない点、行政上の懲戒処分や民間企業の解雇処分を受けたものや自主退職したものが確認に含まれない点が課題に上がっていますが、新しい仕組みでも同じく抜け漏れているようです。この重大な欠陥について、どう対応を図るつもりでしょうか。
 新たな仕組みで確認を申請する条件として、雇用契約書の添付も求められています。就労希望者と何度も面接をし、内定し、就労条件を合意した後にやっと作成する雇用契約書を出した後、最後に犯罪事実確認をする手順を想定していますが、このタイミングは遅過ぎないでしょうか。
 採用は、就労希望者も企業も非常に労力を使うもので、一人を雇うまでに、アルバイトは三十万円、正社員であれば百万円の費用がかかるとも言われています。雇用契約締結後に犯罪履歴が分かれば、採用を取消しせざるを得ず、何十万円分の労力が無駄となるわけですが、なぜ内定後の確認なのでしょうか。無駄をなくすことができないか、お答えください。
 また、派遣職員について、雇用契約を結ぶ派遣元企業が犯罪履歴確認を実施する義務はないのでしょうか。例えば、保育現場に人員を紹介するのは派遣元企業であるため、派遣元企業が犯罪履歴を確認する責務があるとも考えられますし、保育現場でも確認コストが下がるメリットがありますが、政府の見解を求めます。
 次に、確認対象の範囲と期間についてお聞きします。
 今回は確認対象を学校等公的な機関に限定していますが、子供の安全を脅かす事件は、塾、スポーツ指導等民間の現場、災害救援所等のボランティア現場でも起きています。
 有識者会議では、事件の発生範囲として、一、子供との接触度合いが高いこと、二、非対称の力関係があること、三、他者の目に触れにくい状況が生まれることの三要件がそろう場合は対象にすべきだという意見がありました。先月も、国際的に活躍していたバトントワリングの男性コーチが男子選手にわいせつ行為を働いた事件で逮捕されましたが、ジャニーズ問題を始め、力関係が非対称的な場では組織的な隠蔽も起きやすく、特に、仕組みとして発生防止措置が求められています。
 なぜ、政府案は、既に昨年から確認運用が始まっている公的な現場に限定し、民間事業者は任意となったのでしょう。児童対象性暴力を防止するための仕組みですので、子供に関わる全ての職業を保証できないと意味がありません。民間事業者は個人情報を厳格に取り扱っているか捕捉可能性が低いことが問題となり、今回は任意との見方もあるようですが、三要素を満たす場合は常に危険が伴うわけで、部活動の指導者、習い事の先生といった個人も確認できなければ、どのように子供を守るのでしょうか。今後、確認対象を広げる予定ならば、スケジュールも含め、指針を提示してください。
 また、確認できる犯罪事実は、十年、二十年といった期間が経れば記載から外れる運用となっていますが、諸外国では年数の制限なく掲載されており、十年、二十年という数字は合理性があると言えるのでしょうか。子供を守るために、十分な事実に基づく説明を求めます。
 最後に、優先すべき自由のバランスについて伺います。
 今回の法案で参考になったイギリスのDBSの制度は、言葉どおり、犯罪履歴を開示し、就労を制限することで子供を危機から守るものであります。
 イギリスにおける犯罪事実確認書は数段階にレベル分けされており、簡易的なチェックである無犯罪証明書、公務員等の職種に求められる一段階厳しいチェック、学校等特定現場で求められる詳細拡張チェックと、出し分けできる仕組みになっております。基本となる無犯罪証明書は、教育現場に限らず、どのような職種でも、採用面接の際、身分証明書と同じように就労希望者本人が用意するものとなっていて、子供の安全のために提出は当然という社会常識が定着しています。
 日本も、イギリスのように社会常識として、本人が積極的に提出できる無犯罪証明書の制度をつくるべきと考えますが、なぜレベル分けができない仕組みに決まったのでしょうか。今後、レベル分けができる仕組みをつくる考えはないでしょうか。
 本人が自身の犯罪履歴を開示できないことは個人情報保護法百二十四条で決まっている、本人が開示できると悪用される、開示しない人に逆差別が生まれるといった懸念もあるようですが、諸外国ではそのような混乱なく運用されています。昭和五十六年のいわゆる前科照会事件等判例で、前科情報を保管する機関には特に厳格な取扱注意義務が課せられているのは存じておりますが、なぜ目的外に情報使用を禁ずる罰則等で規制できないのか、又は、なぜイギリスのOFSTEDのような第三者評価機関によるチェック体制の検討がないのか、政府見解をお答えください。
 子供の安全を考える上で特に注意する病症として、十三歳以下にしか性的興奮を抱かない小児性愛の事例がございます。小児性愛には認知行動療法が有効であり、本人が自身の特性を認知し、発症する可能性から積極的に避ける、つまり、子供に近づかないことが有効とされています。
 特定犯罪の加害者にも、同じように、自身が周囲に危険を招いた事実を受け入れる対策を講じる必要があるわけで、極めて限定的な、子供に関わる職場への就労制限がかかるのは当然のことであります。今回、個人の職業選択の自由を尊重し、対象範囲を学校施設等に限定し、それ以外の多くの場面で子供たちを危険にさらしたままにすることは、全く合理性を感じず、こども家庭庁が本当に子供を大切にする思いがないのではと疑問さえ感じられます。
 全ては、この職業選択の自由と子供の権利のバランスが取れていないことで生じております。子供を取り巻く様々な権利の概念が重視されている中、なぜ今、子供の権利ではなく、特定性犯罪の加害者の名誉を優先するのでしょう。バランスが取れているというのであれば、根拠を教えてください。
 こども家庭庁は、制度運用に当たり、ガイドライン作成だけでなく、有効な推進とチェックの体制を構築することが重要となります。犯罪事実確認の適正な実施状況について、帳簿を整える、定期的に総理大臣に報告する、定期的に事務所に立ち入り、管理状況の検査をするとございますが、全国五万件以上ある対象先、実際、全てに立入検査ができるとは思えません。本当にこのような検査が可能か、現実的な考えを教えてください。もし回答が、適用範囲はまだ決まっておらず、今後、主務省令で決めるという旨であれば、それは非常に国会軽視な態度でありますので、誠意ある回答を求めます。
 子供たちが安心して学び、たくさんの経験を経て自己決定ができるようになるまで、大人が、社会が責任を持って安全を守らなければなりません。私たち日本維新の会は、妊娠、出産、幼児教育から高等教育まで、全ての教育課程を完全無償化し、自己判断ができる個人を育成することをお約束しております。
 今、我々が作るこの法案で、子供の安全第一という考えが数年後に社会に定着していないと意味がありません。旧来の考えにとらわれて、先を見ない政治は断ち切りましょう。子供たちが安心、安全に暮らせる未来のビジョンを描き、課題の本質を議論してまいりましょう。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕

発言情報

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発言者: 浦野靖人

speaker_id: 16246

日付: 2024-05-09

院: 衆議院

会議名: 本会議