上川陽子の発言 (外交防衛委員会)

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○国務大臣(上川陽子君) 外交防衛委員会の開催に当たり、小野田委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶申し上げるとともに、外交政策の所信について申し述べます。
 世界が複合的な危機に直面する中、昨年のG7議長国としての成果を踏まえ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化し、誰一人取り残さないというSDGsの理念に基づき、人間の尊厳が守られる安全、安心な世界を実現するための外交を推進していきます。
 私は、本年初頭、欧州、北米及びトルコを訪問し、各国や国際裁判所との間で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化や、ウクライナ支援、中東情勢、さらには女性・平和・安全保障、WPSや北極、海洋等について協力を確認してきました。
 二月にはサモア及びフィジーを訪問し、太平洋島嶼国地域とのきずなに基づく信頼関係の強さを確認し、七月のPALM10に向けた協力について議論しました。
 ブラジルでのG20外相会合では、ウクライナ情勢、中東情勢、WPS、安保理改革を含む国連の機能強化、AIなどについて、日本の立場と取組を説明しました。
 また、パナマ訪問では、対中南米外交イニシアティブを打ち出しました。国際社会において重要性を増す中南米諸国との間で連携を強化します。パナマとの間では、海洋、女性といったテーマでの協力を確認しました。
 WPSについては、主要外交政策の一つとして力強く推進し、その重要性を発信しています。省内に設置したタスクフォースを始め、あらゆるツールを用いてWPSを推進していきます。
 中東情勢は引き続き予断を許しません。我が国は、ハマス等によるテロ攻撃を改めて断固非難します。その上で、ガザ地区の人道状況の改善が目下の最優先課題です。事態の早期鎮静化、周辺地域への波及防止のための取組も継続していきます。
 また、日本が一貫して支持してきた二国家解決の実現に向け、今こそ、米国を始めとする関係国と連携しながら積極的に貢献していきます。
 法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋、FOIPの理念の下、ASEANとの関係を一層強化するとともに、G7、日米豪印、日米韓、EU及びNATO等、同盟国、同志国と連携し、実践的な協力を広げていきます。
 ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。また、ロシアによる核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはなりません。
 一日も早くロシアによる侵略を止め、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するため、国際社会と連携し、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進していきます。
 また、二月の日・ウクライナ経済復興推進会議での成果も踏まえ、WPSの視点を組み込みながらオールジャパンの取組を進めます。
 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、国家安全保障戦略の下、総合的に外交・安全保障政策を進めていきます。同時に、政府安全保障能力強化支援、OSAの着実な実施や、サイバー安全保障、経済安全保障の推進に積極的に取り組んでいきます。
 また、偽情報等の拡散を含む情報操作等を通じた認知領域における情報戦に対しては、情報の収集、分析を行い、適時適切な発信を行うとともに、情報セキュリティー基盤の構築、強化にも取り組んでいきます。
 日本の外交、安全保障の基軸である日米同盟については、その抑止力、対処力の一層の強化、拡大抑止の信頼性、強靱性の維持強化のための努力、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めます。同時に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。
 また、経済版2プラス2等を通じて、戦略的観点から経済分野での日米協力を拡大、深化させていきます。
 四月に予定される岸田総理の国賓待遇の米国公式訪問を成功に導くべく、外務大臣としてしっかり尽力していきます。
 官民連携を重視し、あらゆるステークホルダーを巻き込みながら、経済外交の新しいフロンティアを開拓していきます。
 ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持拡大に向け、WTO改革、CPTPPのハイスタンダードの維持強化、経済連携協定に関する積極的な取組、IPEFを通じた地域の持続可能で包括的な経済成長の実現、AIや信頼性のある自由なデータ流通、DFFTを含む新興課題の分野での国際的なルール作りなどを推進していきます。
 特に、OECD加盟六十周年を迎える本年、五月の閣僚理事会の議長国を務めるに当たり、リーダーシップを発揮していきます。
 経済安全保障も新しい時代の外交の重要な柱です。サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応などを強化していきます。
 グローバルサウスと呼ばれる途上国、新興国の成長を日本経済に取り込むため、きめ細やかで戦略的な経済外交を推進し、SDGsの推進に企業が積極的に関与し利益が社会に還元される好循環を実現するための取組を進めていきます。
 このため、開発協力大綱の下、オファー型協力や開発のための新しい資金動員を通して、途上国の質の高い成長を実現し、同時に我が国の課題解決や成長にもつなげていきます。
 さらに、日本企業の海外展開、日本産食品の輸出拡大、対日直接投資の推進に在外公館が積極的な役割を果たしていきます。
 また、第三国における日本企業と外国企業の連携についても協力を推進していきます。
 ALPS処理水の海洋放出の安全性については、引き続きIAEAと緊密に連携し、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って国内外に丁寧に説明していきます。
 近隣国等との難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いていきます。
 日本と中国の間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中ロの連携を含む我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。中国の人権状況や香港情勢についても深刻に懸念しています。
 同時に、日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力する、建設的かつ安定的な日中関係を日中双方の努力で構築していくことが重要です。その中で、中国による日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を引き続き求めていきます。
 重要な隣国である韓国とは、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り開いていくため、様々なレベルでの緊密な意思疎通を重ね、グローバルな課題についても連携を一層強化していきます。
 竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。
 日米韓の協力については、昨年のキャンプ・デービッドでの首脳会合等の成果も踏まえ、一層進めていきます。
 日中韓協力については、昨年十一月の外相会議の議論を踏まえ、早期で適切な時期のサミットの開催に向け、議長国韓国の取組を後押ししていきます。
 日ロ関係は引き続き厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していきます。
 また、日ロが隣国として対処する必要のある事項については、我が国の国益を踏まえ、ロシア側への働きかけを含め、引き続き適切に対応していきます。
 北方四島交流等事業の再開は最優先事項の一つです。今は特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めていきます。
 北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
 とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題です。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、引き続き全力で取り組みます。
 地球規模課題が山積する中、国連が本来の役割を果たすことが重要になっています。安保理改革を含め国連の機能強化に取り組みます。また、我が国が安保理議長を務める今月には、重要課題について活発な議論を行います。
 九月には国連未来サミットが予定されており、SDGsの包括的な達成に積極的に貢献していきます。
 国際機関及び国際裁判所で邦人が職員として更に活躍できるための取組も推進します。
 本年、国際協力七十周年という節目の年において、ODAの意義や展望について積極的に発信し、国民の皆様により理解を深めていただく機会としたいと思います。
 同時に、核兵器のない世界の実現、日本らしい人権外交、平和構築、テロ・国際組織犯罪対策等を積極的に推進します。
 核軍縮・不拡散については、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組を一つ一つ実行し、現実的で実践的な取組を継続、強化していきます。十八日にニューヨークにて、核兵器のない世界の実現に向け、核兵器国と非核兵器国の間の議論の促進のため、核軍縮・不拡散に関する安保理閣僚級公開会合を開催する予定です。
 これらの取組に加え、日本外交の新たな可能性を切り開いていきます。
 日・ASEAN特別首脳会議で打ち出した次世代共創パートナーシップを始め、文化、人的交流や科学技術を通じて対日理解の促進と戦略的な発信を推進していきます。
 佐渡島の金山の世界遺産登録に向け、関係国と丁寧な議論を行いつつ、しっかりと役割を果たしていきます。
 世界各地の日系社会との連携も強化します。
 これらの取組で着実な成果を上げるため、外交・領事実施体制の抜本的強化に取り組みます。
 最後に、今国会において、外務省からは法律案二件、条約十一件、合わせて十三件を提出いたします。委員各位におかれましては、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 国際社会からの信頼や期待に応えるべく、引き続き、国民の皆様の声に耳を傾け、理解と支持を得ながら挑戦を続けていきます。
 小野田委員長を始め、理事、委員各位の御指導と御理解を心よりお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 上川陽子

speaker_id: 1920

日付: 2024-03-07

院: 参議院

会議名: 外交防衛委員会