齋藤健の発言 (経済産業委員会)
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○国務大臣(齋藤健君) 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、鉄鋼や化学等の脱炭素化が難しい分野においても、グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを推進していくことが不可欠であり、こうした分野では、その安全性を確保しながら、低炭素水素等の活用を促進することが重要です。
昨年七月に閣議決定された脱炭素成長型経済構造移行推進戦略においては、「大規模かつ強靱なサプライチェーンを国内外で構築するため、」、「既存燃料との価格差に着目しつつ、事業の予見性を高める支援や、需要拡大や産業集積を促す拠点整備への支援を含む、規制・支援一体型での包括的な制度の準備を早期に進める。」とされており、本法律案は、同戦略に基づいて、所要の措置を講ずるものであります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、低炭素水素等の定義については、昨年のG7広島サミットにおいて、炭素集約度に基づいて水素等の環境適合性を評価する重要性が認識されたことを踏まえ、水素等であって、その製造に伴って排出される二酸化炭素の量が一定の値以下であること等の要件に該当するものと定義します。
第二に、主務大臣は、関係行政機関の長に協議した上で、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する基本的な方針を定めることとします。
また、国の責務として、規制の見直し等の必要な事業環境整備等を講ずる旨を規定するほか、関係地方公共団体や事業者の責務規定を創設します。
第三に、低炭素水素等供給事業者又は低炭素水素等利用事業者は、単独で又は共同して、低炭素水素等供給等事業に関する計画を作成し、その内容が経済的かつ合理的であることに加えて、我が国における低炭素水素等の供給又は利用に関係する産業の国際競争力の強化に相当程度寄与する等の要件を満たす場合には、主務大臣が認定できることとします。
これに加えて、いわゆる価格差に着目した支援や拠点整備支援を希望する場合には、その計画が、供給事業者と利用事業者が共同で作成したものであること等を追加的な要件とします。
第四に、認定を受けた事業者に対する支援措置を講じます。
具体的には、いわゆる価格差に着目した支援や拠点整備支援として、供給事業者が低炭素水素等を継続的に供給するために必要となる資金や、認定を受けた事業者が共同で使用する施設の整備に充てるため、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構が助成金を交付することとします。
また、認定を受けた計画に基づく設備については、経済産業大臣の承認を受ければ、低炭素水素等である高圧ガスの製造開始から三年間、都道府県知事に代わり、経済産業大臣が一元的に、その保安を確保するための検査を行うことを可能とする等の高圧ガス保安法の特例を創設するほか、導管等の円滑な整備を図るため、港湾法や道路占用の特例を創設します。
第五に、水素等の供給事業者による低炭素水素等の供給を促進するため、経済産業大臣は、事業者の判断の基準となるべき事項を定め、低炭素水素等の供給拡大に向けた事業者の自主的な取組を促します。その上で、事業者の取組状況に応じ、必要があると認めるときは、経済産業大臣が事業者に対して、必要な指導、助言、勧告等を行うことができることとします。
次に、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、鉄鋼や化学等の脱炭素化が難しい分野においても、グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを推進していくことが不可欠であり、こうした分野において脱炭素化を実現するためには、排出された二酸化炭素を回収し、これを地下の地層に貯留すること、すなわちCCSに関する事業環境を整備することが必要です。昨年七月に閣議決定された脱炭素成長型経済構造移行推進戦略においては、「二〇三〇年までのCCS事業開始に向けた事業環境を整備するため、」、「法整備の検討について早急に結論を得て、制度的措置を整備する。」とされており、本法律案は、同戦略に基づいて、所要の措置を講ずるものであります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、経済産業大臣が、二酸化炭素を安定的に貯留することができる地層、すなわち貯留層が存在する可能性がある区域を特定区域として指定した上で、この特定区域において、貯留事業や試掘を行おうとする事業者を募集し、これらを最も適切に行うことができると認められる者に対して許可を与えることとします。
そして、経済産業大臣は、これらの許可を受けた者に対して、貯留層に二酸化炭素を貯留する権利として貯留権を、試掘を行う権利として試掘権を設定した上で、二酸化炭素の安定的な貯留を確保するため、これらの権利をみなし物権とすることにより、第三者に対して妨害排除請求を行うこと等を可能とします。
第二に、貯留事業及び試掘に関する事業規制と保安規制を整備します。
具体的には、貯留事業の具体的な実施計画については主務大臣、試掘の具体的な実施計画については経済産業大臣の認可制とした上で、貯留事業者及び試掘者に対しては、技術基準への適合義務等の保安規制を課すこととします。
また、貯留事業者に対しては、二酸化炭素の漏えい等が発生していないかどうかを確認するため、貯留層における温度、圧力等のモニタリング義務を課すほか、正当な理由なく、二酸化炭素排出者からの貯留依頼を拒むことや、特定の二酸化炭素排出者を差別的に取り扱うこと等を禁止するとともに、料金等の届出義務を課すことにより、二酸化炭素排出者が貯留事業者が提供する貯留サービスに適切にアクセスすることができる環境を整備します。
さらに、二酸化炭素の貯蔵の状況が安定している等の一定の要件を満たす場合には、経済産業大臣の許可を受けて、貯留事業場の管理業務を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構に移管することを可能とします。
第三に、万が一、貯留した二酸化炭素の漏えい等により第三者に損害が発生した場合に備え、被害者救済の観点から、貯留事業等に起因する損害賠償責任は、事業者の故意、過失によらない無過失責任とします。
第四に、貯留層に貯留することを目的として、二酸化炭素を導管で輸送する導管輸送事業に関する事業規制と保安規制を整備します。
具体的には、導管輸送事業を行おうとする者は、経済産業大臣に届け出なければならないこととした上で、貯留事業者と同様、導管輸送事業者に対しても、正当な理由なく、二酸化炭素排出者からの二酸化炭素の輸送依頼を拒むことや、特定の二酸化炭素排出者を差別的に取り扱うこと等を禁止するとともに、料金等の届出義務を課すこととします。
また、導管輸送事業における安全を確保するため、導管輸送事業者に対しても、技術基準への適合義務等の保安規制を課すこととします。
以上が両法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。