小沼巧の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○小沼巧君 立憲民主党の小沼巧です。
 立憲民主・社民会派を代表して、令和六年度総予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。
 本予算案は、衆議院での混乱があったとはいえ、複数回の集中審議を経て、例年同等の時間を掛けて議論が行われました。これは、熟議の府たる参議院の本領発揮であり、与党理事には議会人として敬意を表したいと思います。このように申し上げるつもりでした、今朝の混乱を目の当たりにするまでは。
 本日の委員会が二時間以上遅れたのはなぜか、委員会中に何度も速記が止まったのはなぜか。これまでの自民党の説明と矛盾し得る重大な報告があり、熟議の前提を自民党が破壊したからであります。
 理事会協議事項に誠実に向き合わなかったのはなぜか。かつて霞が関は反対意見をよく聞いて、説得と理解を求めてきました。今や、丁寧な説明は、質疑者の意図を酌み取って論理を紡ぐのではなく、政府の一方的な時間稼ぎへと堕落しているのであります。
 それゆえ、時間の充実は中身の充実と必ずしも一致しない。百兆円を超える規模ありきの国家予算を掲げても、失われた三十年を克服できる政権運営とは到底認められない。本討論の目的は、無所属含む野党議員には反対という共感を、与党議員には造反という英断を迫るものであります。
 昨今は、与党も野党も賃上げや価格転嫁の大合唱であり、一種の流行時代であります。確かに公的部門の賃上げなど、政府案にも傾聴する価値は認められます。しかし、自公政権十一年間の弊害は相変わらず、美辞麗句の雰囲気だけにすぎないと物申さなければならないのであります。
 価格転嫁のため下請Gメンを三百人から三百三十人へ増やすとおっしゃるが、一年前の予算委員会での議論を思い出してください。日本に存在する企業は三百六十七万四千社であります。他方で、下請Gメン一人当たりの生産性は年間四十社であります。対策徹底のためには単純な割り算で九万一千八百五十人が必要であるのに、規模が二桁以上足りません。価格転嫁対策の実効性なくして、労働組合が存在しない中小企業も含めた賃上げは決して達成し得ないのであります。
 アベノミクスの幻想に拘泥していることも根本的な問題であります。不安定な非正規雇用の増大、貧困や格差の拡大、こうした負の遺産を一掃する抜本的な具体策は何ら見当たらない。ばんそうこうの上にばんそうこうを貼る場当たり的な対応で失敗を繰り返すと予見せざるを得ない。もしこの認識が誤りがあれば、賛成討論で是非とも正していただきたいのであります。
 子ども・子育て支援も画竜点睛を欠いております。新アベノミクスで掲げた希望出生率一・八は、自公政権十一年間を経ても未達成どころか悪化しております。この事実から我々は目を背けることはできない。やれこども未来戦略、やれ加速化プラン、何となくやってる感じの雰囲気づくりはさすがであります。
 しかし、児童手当拡充で明らかに増額となるのは第三子以降だけであり、給食費無償化は調査だけでおしまい。持続可能な経済社会の真ん中にいる人に対する真剣度や優先度が著しく欠落しているのであります。
 法改正で創設を狙う子ども・子育て支援金についても、支援されるべき世代の負担増加が明白であるのに、率だの何だのへ理屈こねて、負担と給付の全体像は結局分からない。これのどこが丁寧な説明でありますか。少子化対策として異次元であるべきは、給食費の無償化、教育ローンの減免を具体的かつ前倒しで実施する、それぐらいの規模と真剣さであります。しかし、政府案では、様々な云々という別の流行語の中にかき消され、人への投資も、ベーシックサービスの充実も、雰囲気だけで結果は付いてこないと十分予見できるのであります。
 令和六年元日に発生した能登半島地震への対応も大きな問題であります。申すまでもなく、被災地の復旧復興は今国会における最優先事項の一つでありますが、政府案には具体的事業が存在せず、予備費の積み増しだけであります。
 財政民主主義の本義にあらがうことができない一大汚点を据えたる巨額予備費の濫用は、政府にとって便利であるに違いない。しかし、政府にとって便利であることが国民にとって便利であるとは限らない。事実、令和四年度に創設したウクライナ予備費一兆円は今日まで一銭も使われず、一切国民の役に立たなかったのであります。
 政府が予算事業として具現化する努力を怠る結果、国会で精査すらできない弊害は深刻であります。被災地出身かつ選出の与党議員が四日、漁船の掛かり増し経費に対する支援創設を訴えましたが、こうした要望がかなえられるか、全く判然としないのであります。
 なぜ政府は補正予算を編成して正々堂々と議論しないのか。推察するに、予算編成に対する真剣さがないからであります。国民の声を聞く意思がないからであります。変化に対応して当初案を改善する責任感がないからであります。政府の予算編成能力の劣化、国会軽視の姿勢は極めて重大なる問題であります。
 コロナ予備費のなれの果てたる物価・賃上げ予備費一兆円は予算審議権の白紙委任であり、国会審議を無力化して独断専行に決したい邪悪な考えと言うべきであります。これに我々が賛成するがごとき行為は立法府の堕落であり、議会の自殺行為であります。立法府に集う我々は、その矜持に懸けて財政民主主義の崩壊を決して許してはならないのであります。
 そもそも政府や上司に物言わず、長いものに巻かれたい、そんな卑屈な政治姿勢が国会軽視を助長し、国民の政治不信に拍車を掛けている、その象徴が自民党政治と裏金をめぐる大問題であります。何十億円もの使途不明金、何千万円もの裏金を受け取っておきながら、なぜ犯罪にならないのか、なぜ脱税を問えないのか。国民からの厳しい指摘を受けても、なぜ何にも変わらないのか、なぜ何にも明らかにしようとしないのか。国民は、政府・与党の命令に従って納税義務を果たしながらも、怒りと不安は蔓延しているのであります。
 かかる政治不信に直面する与党議員諸兄姉はなぜ沈黙するのでありますか。裏金や既得権益を守ろうという魂胆があるからでありますか。国民の意識を、国民の気持ちを政治から遠ざけ、投票率を下げれば自民党が得をするなどと考えているからでありますか。国民を失望させ、諦めさせる政治を行うことで、権力を私利私欲のために濫用する政治を保守し続けたいからでありますか。答えが否であるとおっしゃるのであれば、かかる裏金疑惑や不公正な政治姿勢が凝縮されたこの政府案に対し反対票を投じるべきであります。未来に向かって関係を絶つ、その確固不抜の決意を反対票を投じるという行動でもって示していただきたいのであります。
 与党でも反対すべき理由を自覚しているはずであります。四日、文化庁の予算規模では日本の伝統芸能や国立施設の整備など絶対無理ですよ、こう明言したのは与党議員であります。十五日、学校体育館のエアコン光熱費が支援対象から除外されている、その欠陥を指摘したのも別の与党議員でありました。
 農林水産関係にも不満を抱いているに違いない。民主党政権よりも減らしてしまった予算額に賛成して本当によいんですか。目玉政策たる輸出拡大について、補正含めた今年度予算から八割も減らすことに賛成して本当によいんですか。営農型太陽光発電の乱開発を見逃す意気地なき政権運営に賛成してしまって本当によいのでありますか。
 そうじゃないでしょう。今こそ勇気を出して反旗を翻すべきであります。健全な民主主義を守り、日本再建、真っ当な政治を取り戻すため、志ある与党議員諸兄姉には造反という一大決心を望むのであります。
 最後に、議場に集う皆様を通じて国民にお訴えしたいことがあります。
 今の政治を正すためには国民の力を借りるしかありません。多くの国民が政治に失望し、諦めた結果、どう考えたっておかしい政治がまかり通ってしまう悪循環。これを断ち切ることができるのは、全て国民の力なんです。
 立憲民主党は決して諦めない。人へ、未来へ、真っ当な政治を、そのような志を決して投げ出さない。いつか見てろと熱い気持ちで、諦めさせる政治を行う政府・与党に立ち向かい、政治を立て直す。それでも直らなければ与党を倒し、この国難を本気で乗り越えるため、立憲民主党にはあなたの力が必要です。
 国民の皆様、御検討のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

発言情報

speech_id: 121315254X00820240328_019

発言者: 小沼巧

speaker_id: 8286

日付: 2024-03-28

院: 参議院

会議名: 本会議