柴田巧の発言 (本会議)
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○柴田巧君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の柴田巧です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、岸田総理に質問をいたします。
改めて言うまでもなく、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等により、安全保障の裾野が経済分野に急速に拡大する中、国家国民の安全を経済面から確保するための取組を強化、推進することは極めて重要です。
しかし、我が国では外国政府の工作員等が諜報活動をしており、実質的にそれを取り締まる法整備が遅れているため、スパイ天国とやゆされております。そのため、外国政府の工作員等から政府保有の重要情報を保全するための対策を講じていく必要があります。
また、日本の情報管理体制が脆弱であり、同盟国、同志国からの情報共有がなされにくい現状があります。情報管理体制において同盟国、同志国と同レベルの制度を整備することで、同じスタートラインに立って日本企業がビジネスを展開をしたり、政府間で経済や科学技術に関する貴重な情報を交換できたりする環境を一刻も早くつくっていかなければなりません。
こういった問題意識から、我が会派は、G7で唯一未整備であることも鑑み、セキュリティークリアランス制度の導入に対して、令和四年に成立した経済安全保障推進法の議論の頃からその必要性を強く訴えてまいりました。
今般、同制度の導入を図る法案が国会に提出をされ、加えて、我が会派の主張も取り入れた形で法案が修正されて、本日、参議院でもこの本会議質疑を迎えたことは喜ばしいと思います。その反面、随分と遅きに失したとの感が否めません。
まず、お尋ねをします。
一昨年の経済安全保障推進法の法案審査を通じた衆参の内閣委員会で、セキュリティークリアランス制度の構築を検討した上で、法制上の措置を含めて必要な措置を講ずる旨の附帯決議が付されたにもかかわらず、法案の提出が令和五年の常会ではなく、令和六年の常会までずれ込んだ理由は何なのでしょうか。
また、総理御自身が衆議院での答弁の中で、セキュリティークリアランス制度と国の国際競争力の関係は無関係ではないことを認めていらっしゃいます。この制度の導入にちゅうちょし、不備がある状態を続けてきたことは、国際競争における機会損失を生じさせたということではないでしょうか。この点についての認識もお伺いをします。
次に、本年一月十九日に公表された有識者会議の最終とりまとめでは、セキュリティークリアランス制度の整備を検討するに当たり、主要な同盟国や同志国に通用するものとしなければならないとされていますが、秘密指定する情報の範囲や罰則による抑止力などを指すのでしょうか。具体的な要件を御教示ください。
また、主要な同盟国、同志国に通用するセキュリティークリアランス制度を我が国が整備することにより、どのような効果が期待されるのでしょうか。以上についても見解をお伺いをいたします。
さて、本年一月三十日に開催された経済安全保障推進会議で総理は、新たな制度と既存の特定秘密保護法をシームレスに運用する方針を定めましたが、衆議院の審議でもシームレスではなく凸凹ではないかという批判的な意見が多数あったと承知をしております。
やはり本来、特定秘密保護法の運用基準の見直しではなく、経済安保を四分野、すなわち防衛、外交、スパイ活動防止及びテロ防止に追加するなど、同法の改正が分かりやすいと考えます。
シームレスな運用の意義と、なぜ特定秘密保護法の改正という形を取らなかったのか、分かりやすく納得できる答弁を求めます。
また、重要経済安保情報保護活用法案では、法人へのいわゆる両罰規定を創設することとしていますが、その罰金額を見ると漏えい罪で五百万円と、抑止力として十分なのかと思う水準です。国際的に見ても、この水準は果たして妥当なのでしょうか。見解をお伺いをします。
さらに、今回の新法よりも、より機微度が高い情報を対象とし、三%程度とはいえ、民間の事業者も適性評価の対象となっている特定秘密保護法に両罰規定がないまま放置しているのは、どう考えてもおかしいと言わざるを得ません。
よほど総理は特定秘密保護法を改正するのが嫌なのかと勘ぐりたくもなりますが、国会での議論や附帯決議も踏まえ、両罰規定を特定秘密保護法にも導入する必要性について検討すべきですが、見解を求めます。
どのような情報を重要経済安保情報と指定し、その範囲を定めるのはこの各省庁の職員なので、これらの職員のリテラシー向上が不可欠であります。
リテラシー向上のためにどんな具体的なアクションが想定をされているのか、また、行政側の専門家のリテラシー向上に任せるだけでなく、対象情報の決定プロセスを第三者の目にさらすといった手だてを講じないのか、お伺いをいたします。
次に、能動的サイバー防御についてお尋ねをします。
令和四年十二月に閣議決定された国家安全保障戦略では、能動的サイバー防御を導入する旨が明記をされました。
能動的防御、サイバー防御の実施にセキュリティークリアランス制度が不可欠と思われますが、その両者の関係についてどう考えているのでしょうか、率直な見解を求めます。
総理は、本件について検討するばかりを繰り返し、まさに検討使状態がずっと続いています。
能動的サイバー防御については、今月八日に読売新聞の世論調査結果が公表されましたが、サイバー攻撃を受けた民間企業などと政府機関が情報を共有することに賛成は八九%、攻撃者が使うサーバーを把握をして被害を防ぐため、政府機関が通信事業者から情報提供を受けることに賛成八八%、さらに、攻撃元のシステムに侵入し無力化することに賛成八二%でした。
多くの国民、企業は、サイバー攻撃に不安を感じ、能動的サイバー防御への理解が十分醸成されてきているのではないでしょうか。本来であれば、昨年一月に内閣官房にサイバー安全保障体制整備準備室を設置した後、速やかに有識者会議を立ち上げ、今年の常会で法案を成立させるスピード感が求められるところですが、一向に動きが見えません。
総理、検討するとか検討を加速するというのはもう聞き飽きました。一日も早く有識者会議を立ち上げ、早急に法案提出が必須であると思いますが、総理のお考えのスケジュール感、そして能動的サイバー防御の必要性について答弁をお願いをいたします。
スパイ防止法について伺います。
国民の生命、財産を守ることが国家の最も大事な仕事であるにもかかわらず、国家の重要な情報や企業等の技術が不法に盗まれたとしても、日本はその行為をスパイ罪で罰することができない大変珍しい国であります。
我が国では、出入国管理法、外国為替管理法、旅券法、外国人登録法などの刑の軽い特別法や一般刑法でしか取締りができません。また、法整備が進めば、外国で不当なスパイの容疑で拘束、逮捕された日本人に対し、スパイ交換による奪還という外交手法も可能になるかもしれません。
今回のセキュリティークリアランス制度の創設で満足をせず、我が国のインテリジェンスに関する法制度を充実させる意味ではスパイ防止法の制定は喫緊の課題と考えますが、政府の検討状況はいかがでしょうか。お伺いします。
経済安全保障推進法改正案について伺います。
今回の改正は、名古屋港におけるサイバー事案を契機に対象を拡大したものと承知をしていますが、インシデントが発生し被害が生ずる都度、法改正をするべきなのでしょうか。
内閣サイバーセキュリティセンター、NISCや警察庁等が連携をして、海外でのサイバー攻撃での事例を適宜モニターし、基幹インフラの対象になっていない事業の設備へのサイバー攻撃を認知した場合には、我が国においても基幹インフラの対象を追加すべきか早急に検討するような仕組みを構築すべきではないかと考えますが、御所見をお伺いをいたします。
最後に申し上げます。
経済安全保障は、日々刻々変化する国際情勢や技術革新に即座に対応しなければなりません。我が会派は、国民の生命と財産を守るため、現実を直視した安全保障政策を一層推進すべく、タブーなき議論をいとわず、引き続き積極的に提言、提案していくことを申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕