岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 柴田巧委員の御質問にお答えいたします。
本法案の提出時期と国際競争力についてお尋ねがありました。
安全保障の裾野が経済・技術分野に拡大する中、セキュリティークリアランスは重要かつ喫緊の課題です。
他方、セキュリティークリアランス制度は個人に対する調査を含むものであり、プライバシーへの配慮など慎重に検討すべき課題も多く含まれていることから、政府としては、昨年二月から有識者会議を開催し、約一年掛けて十回の審議を重ね、丁寧に検討を行っていただきました。
この間に機会の喪失が生じたかについて一概に申し上げることは困難ですが、制度の在り方やその対象となる個人や企業等との関係など、拙速を避け、熟慮を重ねて検討を進め、その上で今国会への法案提出を判断したものであります。
セキュリティークリアランス制度の条件及び効果についてお尋ねがありました。
同制度については、国によってその態様が様々であり、互いに通用するための具体的要件が一義的に定められているものではありませんが、一般に、秘密情報の保護措置、信頼性の確認を含む情報を取り扱う者の制限、そして漏えい時の罰則などが必要とされています。
さらに、諸外国から実質的に自国と同等の保護が与えられていると認められるためには、制度の在り方に加え、実際の運用状況も重要になると考えています。制度整備の効果としては、外国政府との間での情報共有がこれまで以上に円滑になり、同盟国、同志国などとの経済安全保障分野の協力が一層拡大、深化することが期待されます。
シームレスな運用の意義と特定秘密保護法の改正という形を取らない理由についてお尋ねがありました。
経済活動の担い手は民間事業者であり、政府と民間事業者の協働、連携が重要となる経済安全保障という分野の特色を踏まえると、重要な情報を政府内で秘匿するのみならず、情報保全に関し信頼できる民間事業者にその情報を共有して活用することが重要です。
この点に関し、特定秘密保護法においては、特定秘密を適合事業者に保有させなければ行政機関の所掌事務の遂行が立ち行かないような、言わば非代替性が認められるときに情報提供が可能とされております。先ほど述べたように、経済安全保障の特色に照らせば、より広く、かつ効率的な運用を可能とするため、本法案において、各行政機関の長が安全保障の確保に資する活動の促進を図るために必要があると認めたときに事業者への情報提供を行うことができることとする、このようにいたしました。
その上で、特定秘密保護法は、その別表の四分野に該当する情報であって、漏えい時に安全保障に著しい支障を与えるものを保護する制度であり、経済安全保障上の重要情報も含まれ得ると考えています。これに対し、本法案は、漏えい時に安全保障に支障を与えるけれども、特定秘密保護法が対象とするものより一段低い機微度の安全保障上の重要情報を保護する、こうした制度であります。
政府としては、経済安全保障上の重要情報を二つの制度で保護していくに当たり、これを確実なものとする観点から、二つの制度をシームレスに運用していくことが重要であると考えている次第であります。
罰金額の水準についてお尋ねがありました。
諸外国の制度との比較につきましては、各国の刑事法制が異なることから、一概に比較することはできません。
両罰規定は、その犯罪行為が法人等の業務に関して行われた場合に、行為者である自然人を罰するほか、その法人等にも罰金刑を科すというものであり、お尋ねの抑止力の観点からも、一定の意義があると考えています。
本法案における両罰規定の罰金刑は、両罰規定を有する他の国内法令とのバランスを踏まえて定められたものであり、制度の在り方については、運用の状況等も見ながら、不断の検討を行ってまいります。
特定秘密保護法における両罰規定の要否についてお尋ねがありました。
特定秘密保護法の制定時に秘密の提供先として想定されたのは主に防衛関連の事業者であったところ、同法制定前にも秘密保全措置が厳格に実施されてきた実績があることなどから、特定秘密保護法においては、新たに両罰規定を置いてまで組織ぐるみの秘密漏えいを防止する必要性に乏しいと判断されたものと承知をしております。
両罰規定の要否については、行為者のみを処罰するだけでは取締りの実効性を確保し難い事情があるかという観点から、立法事実に即して判断すべきであるところ、特定秘密保護法は、経済安保関連の情報を幅広く官民で共有するという考え方に基づく新法とは事情が異なるものと考えておりますが、引き続き、特定秘密保護法の運用状況、これ注視してまいりたいと思います。
職員のリテラシー向上及び対象情報の決定プロセスについてお尋ねがありました。
各行政機関においては、所掌事項の最新の情勢や動向を把握するとともに、民間事業者とのコミュニケーションにより一層緊密、コミュニケーションをより一層緊密に取るなど、情報の指定等の要否を判断する能力を不断に高める努力を行うことが必要となります。
また、本法を所管することとなる内閣府においても、情報の指定、解除などに関する運用基準の案を策定するなど、関連の事務処理全般を担うこととなります。
こうしたことから、内閣府を含めた行政機関における適材適所の人材配置や職員に対する教育、研修の実施など、担当職員のリテラシー向上のための取組、これを鋭意進めてまいります。
対象情報の指定、解除については、統一的な運用を図るために、運用基準の作成、変更やその指定、解除の状況について有識者の意見を聴くこととするほか、必要に応じ内閣総理大臣が勧告を行うなど、運用の改善に不断に取り組んでいくこととしております。
そして、能動的サイバー防御とセキュリティークリアランス制度の関係についてお尋ねがありました。
現在、能動的サイバー防御については、国家安全保障戦略に掲げられた目標を実現するため、様々な観点から検討を進めているところです。能動的サイバー防御の実現に当たっては官と民の連携が重要であると認識をしており、サイバー安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度の活用も含めて検討を進めてまいります。
能動的サイバー防御の必要性等についてお尋ねがありました。
我が国のサイバー対応能力を向上させることは、現在の安全保障環境を鑑みると、ますます急を要する重要な課題と認識をしております。
国家安全保障戦略においても、NISCを発展的に改組し、サイバー安全保障分野の政策を一元的に統合調整する新たな組織を設置し、能動的サイバー防御を含むサイバー安全保障分野における新たな取組の実現のために法制度の整備、運用の強化を図る、このようにうたっています。本年度は、その第一段階として、サイバーセキュリティー対策の強化のためにNISCの予算や要員の大幅な増額、増員を行ったところです。
能動的サイバー防御の実現に向けた法案については、現行法令との関係等を含め、様々な角度から検討を要する事項が多岐にわたっておりますが、可能な限り早期に法案を提出できるよう検討を加速をしてまいります。
いわゆるスパイ防止法についてお尋ねがありました。
政府としては、我が国において外国情報機関による情報収集活動等が行われているとの認識に立ってカウンターインテリジェンスに関する取組を強化するなど、必要な対策、講じているところです。また、関係当局においては、違法行為に対して厳正な取締りを行うこととしているものと承知をしています。
その上で、いわゆるスパイ防止法の必要性等については様々な議論があると承知しておりますが、国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要であり、引き続き様々な観点から必要な取組の充実強化に努めてまいります。
経済安全保障推進法の基幹インフラ制度に関するお尋ねがありました。
基幹インフラ制度の対象事業については、事案を受けてから後追い的に追加するかを議論するのみではなく、内閣府を始め関係省庁において、技術の進展や社会経済構造の変化などを踏まえ、平時からリスクなどを幅広く点検、把握し、その対応策などの検討を行うなどの取組を通じて不断の見直しを行ってまいります。(拍手)
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