岩渕友の発言 (本会議)
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○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、CCS事業法案と水素社会推進法案について質問します。
世界気象機関が三月に発表した報告書によれば、二〇二三年は記録的な暑さで、世界の地表付近の平均気温は産業革命前と比べて一・四五度上回りました。さらに、深刻な気候危機は世界で数百万もの人々の日常生活を奪い、莫大な経済的損失をもたらしたとしています。国連のグテレス事務総長は、全ての主な指標でサイレンが鳴り響いている、変化は加速していると警告しています。
気候危機への対策が待ったなしの切迫した事態に対し、日本のエネルギー政策、経済政策はそれに応えたものになっているでしょうか。
環境省は、二〇二二年度の温室効果ガス排出量が過去最低値であり、二〇五〇年ネットゼロに向けて順調に減少する傾向だとしています。しかし、二〇三〇年に一三年度比で四六%削減するという日本の目標は、パリ協定の一・五度目標に対して不十分であり、先進国として六〇%以上の削減が求められています。削減目標の引上げと対策強化に取り組むべきではありませんか。環境大臣に伺います。
以下、齋藤経産大臣に伺います。
日米首脳会談に同行した大臣は、米国のポデスタ大統領上級補佐官と政策対話を行いました。ポデスタ氏は、三月に来日した際のインタビューで、日本でなお依存度が高い石炭火力発電について、温暖化ガス排出をいつ、どのように実質ゼロにするのか明確な計画を示すことが大切だ、米国では石炭火力の規制を強めるとする一方、再生可能エネルギーを増やすと述べています。
米国は、昨年のCOP28で、脱石炭国際連盟に加盟し、G7の中で加盟していないのは日本だけとなりました。さきの政策対話で、化石燃料を使い続けるエネルギー政策に対し賛同が得られたと認識しているのですか。石炭火力発電の廃止期限を決めるべきではありませんか。
CCSは、石炭火力発電など化石燃料を使う事業で排出したCO2を分離回収し地中に埋める事業で、CCS事業法案はそれを推進するための法案です。水素社会推進法案の対象と想定しているのは、当面、CCSの利用を前提に、化石燃料を原料とした水素です。しかも、鉄鋼など脱炭素化が難しい分野が対象であるとしているにもかかわらず、再エネへの転換が容易な発電部門も対象としています。
COP28では化石燃料の扱いが最大の焦点となり、化石燃料からの脱却に決定的に重要な十年に行動を加速させていくことが合意されました。大臣は、両法案について、化石燃料をできるだけ使わないで済むように段階的に取り組んでいくと答弁していますが、両法案で化石燃料の使用を前提に事業を推進しようとしているのに、どうやって減らしていくのでしょうか。
大臣は、COP28の合意文書でもCCSが解決策の一つとして明記されたと言いますが、排出削減が困難な部門における利用が特記されているにすぎません。しかも、CCSも水素も実証事業の段階です。
政府は、二〇二〇年頃のCCS商用化を目指して巨額の予算を注ぎ込んできましたが、現時点でも技術は確立しておらず、目標を十年先延ばしにせざるを得ませんでした。これでは二〇三〇年までの排出削減にとても間に合いません。目標と事業の整合性がないことについてどう説明するのでしょうか。
IPCC第六次評価報告書では、CCSについて、非常にコストが高くポテンシャルが小さいとしています。二〇五〇年における世界全体の発電量に占める水素の割合についても、京都大学の研究グループの分析では僅か一%程度だとしています。
政府は、今後十年間で、GX移行債でCCS事業に四兆円、水素、アンモニアの利用支援として、既存燃料との価格差への補助を含め、三兆円を超える官民投資を見込んでいます。事業の法整備を要望する業界自らが、技術確立に係る不確実性が高い、多額の投資が必要となる一方、リスクも非常に高いと認め、経済支援や規制緩和を強く要望しています。
海外でもCCSは資金不足などから多くの事業が中止、延期に追い込まれ、欧州委員会や米国の会計検査院が公表したレポートでも問題点を指摘しています。
リスクが高く経済合理性がない事業に巨額の国費を投入し、投資を促し、事業が破綻した場合に国民負担にならないと言えるのでしょうか。
安全性、環境影響にも重大な懸念があります。最近でも、米国でCO2輸送のパイプライン破損事故により、数百人が避難し、多数が中毒症状で病院に運ばれました。さらに、CCSは地震を誘発する可能性が指摘されており、米国では国が調査を行っています。こうした可能性について徹底した検証を行うべきではありませんか。
水素の供給、利用促進のためとして、高圧ガス保安法に係る権限を都道府県知事から取り上げて経産大臣に集中し、港湾法上の届出を不要とすることなどは、安全規制を後退させることにほかならないのではありませんか。
CCSの試掘、貯留は、地中深くまで掘削し、CO2を圧入し、百年単位で貯留するなど、環境に大きな負荷を与える事業であるにもかかわらず、環境アセスメントの対象になっておらず、関係住民や自治体が意見を述べる機会は法的に担保されていません。事業化していないので環境への影響が不明、今後検討するといいますが、一方で、工事や事故発生時など影響や被害が甚大と答弁していることからすれば、法整備の段階でアセスの対象とすべきことは明らかではありませんか。
水素社会推進法案で、自治体は国の施策に協力し、低炭素水素等の供給、利用の促進に関する施策を推進するとされています。計画推進義務が課されている下で、地元自治体や住民と対等な協議が行われることになるのでしょうか。答弁を求めます。
政府は、アジア・ゼロエミッション共同体首脳会合で、水素、アンモニア、CCSを積極的に進めるとしています。しかし、財務省は、公正なエネルギー移行を支援する枠組みについて、CCUSなど石炭火力発電の延命につながるような関係国への技術支援は対象外としています。これはダブルスタンダードではありませんか。
大臣は、CCS事業予定地の一つであるマレーシアの住民から、先進国から途上国へのCO2輸出は気候不正義だとの書簡を受け取っているはずです。こうした声にどう応えるのですか。
今年はエネルギー基本計画の改定が予定されています。大臣はかつて、エネ基の策定に係り、複数のシナリオを提示し、国民的議論の下で決定されることが極めて大事と述べています。当然、徹底した国民的議論を行うということですね。答弁を求めます。
未成熟でコストの掛かる石炭と水素、アンモニアの混焼、CCS事業を電力分野で行うということは、石炭火力発電を使い続けるための延命策にほかなりません。
さらに、脱炭素を名目に原発再稼働を強行することは、東京電力福島第一原発事故の経験と教訓を根本から覆すもので、断じて許されません。
原発最優先、火発温存のルールにより、再エネで発電した電気を捨てることになる出力抑制が急増しており、二〇二四年度の抑制見込み量は五十八万世帯分に上り、七百五十億円分もの損失になります。省エネ、再エネの本格的な導入こそ気候危機を打開する道であることを強調して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕