塩村あやかの発言 (本会議)

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○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村あやかです。
 会派を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問をいたします。
 性犯罪は魂の殺人と言われます。それは、性暴力が、被害者の権利を著しく侵害し、被害者の心身に生涯にわたって回復し難い重大な影響を与えるものであるからです。特にそれが子供に向けたものであるならば、その影響は計り知れず、断じて許されるものではありません。我が国を含め、世界で約二百の国と地域が締約国となっている児童の権利に関する条約にも、「あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。」と明記をされています。
 このような中、昨年の三月、旧ジャニーズ事務所の元社長による所属タレントへの性加害の報道は世界を震撼させました。昨年の夏には国連ビジネスと人権の作業部会による訪日調査が行われ、先日、報告書が公表されました。同報告書では、我が国における様々な人権問題を指摘した上で、政府から独立をした国内人権機関の設立が勧告されています。重大な性加害事案に国としてどのように対応するのか、被害者の方が、そして世界が注目をしています。
 旧ジャニーズ事務所の元社長による性加害問題を含め、我が国の人権問題について国連機関から勧告を受けている状況を政府としてどのように受け止めているのか、官房長官にお伺いいたします。
 我が国の人権問題の取組について海外から不信感を持たれていることと、総理肝煎りとされた国際人権担当の、国際人権問題担当の首相補佐官ポストが二年足らずで消滅したことは無関係ではないはずです。我が国が人権先進国であるために、国連機関が勧告をする独立をした国内人権機関を設立すべきと考えますが、官房長官の見解をお伺いいたします。
 立憲民主党は、令和三年四月、子どもたちを性犯罪被害から守るための基本的考え方を取りまとめました。第一に、子供に関わる全ての職種を対象として対策を行うこと、第二に、再犯防止の観点から過去に子供に対するわいせつ行為をした者を原則として二度と子供に関わる職に就かせないようにすること、これが我々の基本的な考え方です。
 本法律案は、我々が求めてきた日本版DBS制度を創設するものですが、この基本的な考え方に照らせば、子供たちを本当に性被害から守ることができるのか、懸念が拭えません。政府においては、そうした懸念を払拭し、国民の皆様が安心できるよう分かりやすい答弁をお願いし、以下質問をいたします。
 まず、本法律案の大きな問題点は、あらゆる事項が内閣府令やガイドラインで定めるとされ、事実上の白紙委任となっている点です。対象事業や従事者の範囲、児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めるときの判断基準など、例を挙げれば切りがありません。衆議院の審議で政府はガイドラインで示すとの答弁を繰り返しましたが、そのように言う以上、本法律案の実効性を確実に担保できる内容とすることを求めます。
 その上で、このガイドラインの策定までのスケジュールと策定協議に参加をするメンバーの人選について加藤大臣にお伺いをいたします。
 また、策定に当たっては性被害当事者や子供の意見も取り入れるべきと考えますが、この点について加藤大臣に見解をお伺いいたします。
 次に、対象事業の範囲について伺います。
 本法律案では、学校設置者等は義務化の対象となる一方、学習塾、スポーツクラブ等は認定制度の対象となります。このため、児童生徒等へのわいせつ行為により職を追われた教師等が認定外の学習塾で働いたり、個人塾を経営したりする、言わば抜け穴が残された制度となっています。このような制度とした理由について、政府は事業者の対象範囲が不明確で監督や制裁の仕組みが必ずしも整っていない場合があるとしていますが、それは行政側の理屈であり、本法律案の実効性は確保できないのではないでしょうか。
 事実、大手学習塾の運営会社五十社に行ったアンケートでは、学習塾が任意の認定制度の対象となることに反対をした企業が十五社もあり、その理由として、学校と学習塾を区別する必要はないということが挙げられるなど、義務化を求める声が目立ったとの報道があります。現場の声を聞かず、行政側の理屈で制度設計をしたがゆえに、このようなアンケート結果となったのではないですか。学習塾から義務化の要望がある点について政府はどのように捉えているのか、加藤大臣に伺います。
 また、学習塾を含め義務化のニーズがある事業分野については、事業者からの意見を踏まえた上で認定制度から義務化の対象に切り替えることも検討すべきと考えますが、加藤大臣に政府の見解をお伺いいたします。
 本法律案の対象外となる個人塾や個人音楽教室からは、認定制度の対象にしてほしいとの声も聞きます。実際は認定制度の対象外であるにもかかわらず、性犯罪歴のない、ひたむきに個人事業を営む方々が性犯罪者なのではないかというあらぬ誤解を受け、静かに顧客が離れ、事業の継続が困難になる可能性があるからということです。このような懸念について政府においてどのような議論が行われたのでしょうか。加藤大臣、お答えください。
 また、こうした個人事業には、希望する正規の職に就けず、結果としてフリーランスや個人事業主といった就業形態を選ばざるを得なかった就職氷河期世代の方々も多く含まれます。岸田総理は、就職氷河期世代の経済的不安定さは少子化の要因の一つであるとして両課題の関連性を初めて認め、重く受け止めなければならないと答弁をされたばかりですが、そうであるならば、真面目に事業を営む個人事業主の方々が不当に淘汰をされるリスクがあることも重く受け止める必要があるのではないでしょうか。
 本法律案には施行後三年後の見直しが規定されていますが、それを待たず、必要に応じて実効性のある対策を打つことが重要と考えます。政府の見解と取り得る施策について加藤大臣にお伺いをいたします。
 次に、確認対象とする性犯罪歴の範囲について伺います。
 本法律案の確認対象となる特定性犯罪には、不同意わいせつ等の刑法犯のほか、痴漢や盗撮等の条例違反が含まれる一方、下着泥棒やストーカー規制法違反は含まれていません。この点、下着泥棒やストーカー規制法違反を確認対象に含めることを求めるネット署名が約三万二千筆も集まり、こども家庭庁に提出されています。これが性被害当事者の、そして国民の声ではないでしょうか。
 三万筆を超えるネット署名について、加藤大臣はどのように受け止め、また今後どのように対応すべきと考えているのか、お答えください。
 同様の事例として、衣服や所有物に体液を掛けた疑いで逮捕される事案は器物損壊罪等として処理されるケースがあると承知をしていますが、こうした事例も性犯罪歴の確認対象に含まれていません。その理由について、政府は、特定の犯罪の一部だけを抜き出して対象とすることは難しいと述べています。そうであるならば、刑法を改正するなど、体液を掛けたという行為を性犯罪として捉えられるようにし、かかる行為を特定性犯罪に含めるとの対応を取るべきではないでしょうか。
 体液を掛けるという行為を刑法上に位置付けた上で、それを特定性犯罪に含める必要性について、加藤大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、犯罪事実確認書の交付についてお伺いいたします。
 犯罪事実確認の結果、犯歴ありとされた場合、その回答内容はまず対象業務従事予定者本人に通知がされます。他方、個人の犯歴は、個人情報保護法上、たとえ本人でも開示請求ができない個人情報とされています。媒体が何であれ、犯罪事実確認書が本人の手元に残るとすれば、個人情報保護法との関係で疑義が生じるのではないかと考えますが、この点について加藤大臣の見解を伺います。
 また、これを踏まえ、犯罪事実確認書の交付は実際にどのような形で行うことを想定しているのか、加藤大臣の答弁を求めます。
 こうした疑義が生じるのは、そもそも犯罪事実確認書が政府の外部に出る制度設計になっているからにほかなりません。この点、イギリスでは、ベビーシッターやチャイルドマインダーがOfstedと呼ばれる第三者機関への登録が義務付けられ、その際、英国DBSによる犯罪歴チェックを受ける仕組みがあると聞きます。事業者が登録されたベビーシッター等を採用するようにすれば、犯罪歴が外部に出ることもなくなり、個人事業主への適用も可能になると考えます。
 こうした仕組みの導入について、加藤大臣は、個人からの登録申請の一つ一つについて、その申請の当否を確認しなければならないこととなり、膨大な人手や手間を要すると答弁されていますが、政府を挙げてDXやAIを活用した省力化、省人化を進める今日、作業が大変だからという理由で手を着けないのが納得はいきません。子供を守る覚悟が足りないのではないでしょうか。
 改めて、こうした仕組みを我が国へ導入することについて、加藤大臣の見解をお伺いいたします。
 本法案により、ようやく十八歳未満の子供たちを性犯罪から守る対策が一歩前進するとの期待を持つことができます。他方、我が国では、十八歳になると、まるで子羊がオオカミのおりの中に入れられるような社会に突如放り出される実態があることも忘れてはいけません。実際、性的グルーミングなどで手懐けられて被害に遭うケース、パパ活売春、児童ポルノ、アダルトビデオ出演被害など、事例も後を絶ちません。この背景の一つに、学校現場における性に関する包括的な知識を得る機会の不足があると言われています。
 この点、我が国の小中学校の学習指導要領では、全ての生徒に共通して指導する内容として妊娠の経過は取り扱わないとする、いわゆる歯止め規定があるために、子供たちが性被害を認識することができないなどの深刻な影響を受けていることが指摘をされています。
 性教育により寝た子を起こすとやゆすることがありますが、適切な性教育を行うことで早熟な性体験を遅らせる結果になったことが多くの研究により証明されているほか、ユネスコなどが二〇〇九年に策定した国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは包括的性教育という用語が使われ、ジェンダー、暴力と安全確保など、八つのコンセプトに基づく性教育が提唱をされています。
 我が国が歯止め規定を設ける理由について、政府は、児童生徒、保護者、教職員が持つ性に対する考え方が多様であることなどを挙げていますが、だからといって、国際機関が十五年も前に策定をした国際的な基準を下回る性教育を実施してよいということにはなりません。むしろ、教育現場において包括的性教育がなされていない中で、子供たちはネット情報やアダルトコンテンツから誤った知識を得てしまい、十八歳になると同時に、まるで性被害は自己責任としてしまうような仕組みになっていることこそ問題があるのではないでしょうか。
 子供、若者、性被害を防止するため、子供、若者の性被害を防止するため、教育現場において男女が共に包括的性教育を学ぶことが重要と考えます。盛山文部科学大臣の見解をお伺いいたします。
 最後に、悪質ホスト問題で顕著であるマインドコントロールによる若年女性の性被害についてお伺いをいたします。
 大学生のみならず中高生にまで被害が出ている悪質ホストなどによる性搾取は悪質化の一途をたどっており、支援団体によると、大学生の娘の行方が分からないなどとの相談が相次ぎ、少なくとも、その支援団体だけでも今現在五十人が行方不明、全体では数百人に上っているのではないかと、そういうことです。少なくない女性が海外売春に駆り出され、アメリカや韓国などで日本人女性が売春で検挙をされる事例も相次ぎ、人身売買議定書にも抵触。こうした問題、実態を政府としてどのように受け止めているのか、林官房長官にお伺いをいたします。
 また、国会質疑で私がこの問題をしてからはや七か月が経過をしますが、被害は深刻度を増し、地方に、そして海外にまで拡大をしていっています。本問題に対する責任をどのように感じているのか、松村国家公安委員長にお伺いをいたします。
 悪質ホスト問題の根本的解決には、被害者のマインドコントロールからの解放が重要です。マインドコントロールされている状態では自分自身で適切な判断を下すことが困難であるため、医療の介入も必要と考えますが、メンタルヘルス対策の観点から厚生労働省において取り得る施策はあるのでしょうか。先般、被害者の方々と面会をされた武見厚労大臣に、面会時に感じた思いと併せてお伺いをいたします。
 さきの内閣委員会で松村国家公安委員長は、被害者やその家族との面会について、予定を調整する旨答弁されました。被害者や家族の方々は心待ちにされています。本日も傍聴にいらっしゃっています。その調整状況を松村国家公安委員長にお伺いいたします。
 先ほど、私たち立憲民主党は、悪質ホスト被害防止法案を衆議院に提出をいたしました。皆様に応援をいただけましたら、本当にうれしく思います。
 日本の子供、若者が性搾取や性暴力によりその未来を奪われることがないよう尽くしていく責務はこの議場にいる全員にあると申し上げまして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣加藤鮎子君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 塩村あやか

speaker_id: 30295

日付: 2024-06-07

院: 参議院

会議名: 本会議