清水俊弘の発言 (外交・安全保障に関する調査会)

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○参考人(清水俊弘君) 本日は、このような貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私自身は、実は山梨の韮崎市というところに自宅がありまして、この雪の予報があったんでどうしたものかと思いまして、月曜日のうちに東京の自宅に、東京の実家に移動しまして、今日この日まで待機しておりました。よろしくお願いいたします。
 私自身は、この地雷廃絶日本キャンペーンというのは、日本の、ICBL、地雷禁止国際キャンペーン、ICBLの日本の構成団体の一つでありまして、私自身は、一九九二年、カンボジア駐在中にこのICBLのメンバーとなり、その後、九七年に帰国した際にこのジャパンキャンペーンを立ち上げ、今に至っております。
 九七年といえば、日本がオタワ条約に署名した年でもありますが、その年には私自身も小渕外務大臣とお話をさせていただきまして、十二月の調印式に間に合うように日本も是非準備してほしいというお話をさせていただきました。
 また、その後、二〇〇八年には、クラスター爆弾禁止条約の成立、そして日本の署名に際しては、今日いらっしゃる猪口先生、それから河野洋平先生に大変お世話になりまして、日本政府のオスロ条約署名にこぎ着けるというところで議員の皆さんにも大変御尽力いただいた記憶がまだ新しく残っています。
 今日は、私自身はその市民社会の立場からオタワ条約のことを中心に現状と課題について述べさせていただきたいと思います。簡単なレジュメを用意いたしておりますので、そちらを御覧ください。
 一九九七年にオタワ条約が成立し、そして九九年三月に発効してからはや四半世紀がたっております。この四半世紀の間の成果は、先ほど、前にお話しされたお二方からもあるとおりなんですが、現在の加盟国百六十四、これは実は二〇一七年にスリランカが加盟して以来増えていないという、まあ現状横ばい状態で、残りまだ三十三か国の加盟は待たれているところです。
 その中で特に私たちが問題視しているのは、ロシアとミャンマーの使用、それから、今、岩本先生からもお話がありましたウクライナの使用あるいは使用疑惑に関する問題点であります。
 この点に関して、昨年十一月に行われました締約国会議において、どの国もですね、一般論として、この条約第一条でうたっています、いかなる状況下でも地雷の使用、生産等は許されないということに関して触れつつも、ウクライナに対して具体的にその調査あるいはその現状の報告を求めることを明確に示した国はありませんでした。
 私たちICBL全体の見解としましては、今、岩本先生おっしゃったこととはちょっと反する部分もあるかもしれませんけれども、やはり条約違反は違反として、ウクライナに対してもしっかりと報告と調査を求めるべきであると思っています。なぜならば、いかなる理由であれ、対人地雷を使うということは、その国の市民の命、そしてその後の復興の大きな障害になるということがもう明白であるからですね。特に、日本はウクライナの地雷除去、不発弾除去の支援を始めているということもありますので、今度の締約国会議においても議長の立場から一定程度の進言があってもいいんじゃないかというふうに私は考えます。
 それから、そういったことが条約の規範力、つまり、条約に加盟していようが加盟していまいが、やっぱりその国際法でこの兵器は禁止されているんだということがやっぱりしっかりと根付いていくためにも、このいかなる状況下でもというところにより強いメッセージを向けてもいいんじゃないかというふうに思っています。
 それから、生産能力を有する国は十二か国、その中でも今も生産を続けている国が幾つかありますが、やはりミャンマー、ロシアに関しては私たちも非常に大きな問題だと思っております。まあ、もちろんほかも問題なんですけれども。
 犠牲者の数、九九年の発効当時に比べれば半分以下に減っているというふうには言えますが、やはり依然として相当な数のレベルの犠牲者がいて、そのうち民間人の割合はこれも依然として八〇%を超えているという状況にありますので、うち子供がやはりそのうちの半分を占めている。そういった意味でも、この地雷の使用による犠牲者を早くゼロにするという意味でも、より強い取組が必要かと思っております。
 そんな意味で、国際協力の部分に関しましては結構高いレベルで、日本を含めて世界各国から毎年相当数、相当額の支援が届いているということは報告されております。特に、二〇二一年度よりも二〇二二年度は四七%増加をしていると。条約ができてから既に四半世紀ぐらいたっているのにまだこの支援レベルが増えるということは、これは相当いいことだと思いつつ、その増えた分の大半はウクライナに対する除去支援などの部分が多く占めているということを考えると、やはりウクライナ、もちろんロシアに対して地雷あるいはクラスター爆弾の使用に関してがっつりとやっぱり糾弾すべきだと思いますけれども、やはり同様にウクライナに対しても一言言う必要があるんじゃないかと、かように思っているところであります。
 同じく国際協力の中の大きな課題として私たちが認識しているのは、犠牲者支援の部分です。この支援総額自体は合計七億ドルを超える大きな額になっておりますが、実はこの中で被害者支援に向けられている支援額は全体の五%にすぎません。ほとんどが地雷対策、地雷除去、探査、そういった対策の方に振り分けられてしまっていて、非常に少ないパイを地雷被災国の犠牲者たちの支援に分けざるを得ないと。で、そのうちの多くはアフガニスタン、シリア、イエメンといったようなやはりその国に限られていることもありまして、やはりバランスの良い配分、地域のバランスであったり、それから地雷対策と犠牲者支援のバランス、この辺に関してはこれはもうずうっと長い期間課題となっていることでもありますので、やはり、これは本当繰り返し繰り返し私たちも言っていることですが、このバランスの見直しは必須であろうというふうに思っております。
 また、地雷の被害国の中でも特に都市レベルから地方遠隔地にやっぱりその支援が伸びるということも滞っておりまして、地方レベルで生存している地雷犠牲者に対する義足などの支援であったり、リハビリ、それから社会復帰に向けての様々な支援は相当遅れています。こういった事実もありまして、私たちも五年ほど前からミャンマーの地雷犠牲者に対する義足の提供、リハビリ、社会復帰の支援をやっておりますが、私たちにできることは相当限られていることでもありますので、やはり政府レベルに、の認識を新たにしていただいて、より地方レベルにアウトリーチできるだけのボリュームと認識を持っていただければというふうに思っています。
 そういうことも踏まえまして、今年の十一月にカンボジアのシェムリアップで開催されます第五回運用検討会議についてですが、カンボジアで第五回目の運用検討会議が開かれるということ自体非常にシンボリックなことだと思っておりますけれども、その大事な会議に日本政府の、これは本当に大きなことだと思っています。そういった意味でも、ここで日本のやっぱりプレゼンスというものをよりしっかりと示していただきたいということもありまして、特にこの地雷対策支援以外の分野、もちろんその犠牲者支援ということも含めてやってほしいということ以外に、普遍化の部分あるいは条約のコンプライアンスなどでもより積極的な姿勢を示していただければと思っています。
 繰り返しになりますが、ウクライナに対してもやはり厳しい態度で臨むべきだと思います。そして、ミャンマーは未加盟国でありますけれども、やはりオブザーバーとして参加してもらうなど事前の働きかけがあってもいいんじゃないかと思っています。
 そして、二〇一四年でしたか、第三回の運用検討会議、モザンビークのマプートで開催されました。私自身も参加しましたけれども、そこで非常に記念すべき宣言として、二〇二五年までにこの問題を終わらせようという期限目標が掲げられました。この条約ができる前は一体この問題は何十年、何百年掛かるんだと言われていたことが、条約ができて本当に数十年の間に期限目標が掲げられるところまで来たということは非常に条約ができたことの大きな成果だというふうに思いますけれども、実際のところ、地雷除去のその作業工程から考えて、既に二〇二五年を超えた範囲で、二六年、二七年まで延長を申請している国もある中で、二〇二五年、つまり来年に全てを終えるということは現実的には不可能であろうというふうには思いますが、やっぱり一方で、やっぱりその目標ができるだけ、なし崩し的に、ただだらだらっと延びるのではなくて、やっぱりこの目標は目標としてありますよねということ、そして、じゃ、延ばすんだったらばどのぐらいなのかということをより強い形で、この期限目標を、二〇二五年と一度うたった期限目標をできるだけ肯定的なイメージで更新していただくような雰囲気づくりというのが求められているんじゃないかというふうにも思っています。
 これに関連しまして、次のページ、二番目のアジアの地雷被災国、ミャンマーの現状についても少し報告させていただきます。
 御承知のとおり、二〇二一年二月一日にクーデターが発生してから三年、私自身、昨年十二月にタイでミャンマーの現地NGOのメンバーと会いまして、特に地方レベルでの戦闘状況、それから地雷の犠牲者、国内避難民の状況、そういったことを聞いてきました。その報告につきましては事前にお配りした資料の中にも入れさせていただいておりますけれども、非常に若い人たちが、本来であれば、クーデターがなければ普通に学生をやっている、普通に勤めていたであろう学生たちが、戦闘に関わりながら非常に致命的なけがをしているという状況が今も増え続けています。
 やっぱりこのミャンマー国軍の暴挙を一刻も早く止める必要があろうかと思いますが、ほかの国、欧米と日本も歩調を合わせて、やはりより厳しい制裁措置をとるべきではないかと。日本もやはり、新規のODAをやっていなくとも、過去に契約したODAは今続いているということ、それから、日本の企業が依然としてミャンマー国軍に利するような経済活動をしているというような現状もありますので、ここに関しては政府としてもより厳しい目で見ていただければと存じます。
 その意味でも、日本は今ASEAN諸国とのいろいろ協調関係模索していると思いますけれども、やはりASEAN諸国と協調して、このミャンマー問題、一緒になって解決していくということ、これをオタワ条約の文脈の中でも幾らか実現できる部分があるんじゃないかというのが、先ほど申し上げましたとおり、運用検討会議あるいは締約国会議に、ミャンマー政府の代表団に対して、是非オブザーバーでいいから参加して議論しようよというような働きかけ、呼びかけがあってもいいんじゃないかというふうに思っております。
 そして、今回、地雷の話を超えてしまいますけれども、私たちの認識では、同じく人道的軍縮条約の流れとして、クラスター爆弾禁止条約についても非常に大事なものだと思っておりますので、少しだけ付け加えさせていただきたいと思います。
 クラスター爆弾禁止条約、オスロ条約は、二〇一〇年八月に発効して、現在十三年半がたったところになりますが、加盟国が百十二と、いま一つ伸び悩みがあるところです。昨年の夏に南スーダンが加盟して以降伸びていません。この辺では、日本も締約国の一つとしてオスロ条約の普遍化にもよりまた御尽力いただければというふうに思っています。
 一点だけ大事なこととして申し上げたいのは、この条約の一条(c)項でうたっております一般的義務の、一条の一般的義務というのは、そもそもいかなる状況であってもクラスター爆弾を使用、生産等してはいけないということなんですが、その(c)項として、本条約において締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して援助し、奨励し、又は勧誘することをしてはならないという中で、この中で私たちは、このクラスター爆弾製造企業に例えば日本の金融機関が投融資をするということもこれは当然禁止されるべき行為だなというふうに僕らは思っているんですが、外務省の担当の方とこの件に関してはずっと平行線をたどっております。現在、世界ではこういった解釈ができるという国は既に二十八か国ありますし、日本がその批准している条約のことでもありますので、是非より厳しい対応をお願いしたいと思っています。
 そんな意味で、民間の金融機関は全てそういったことに対してはもう行わないという指針を二〇一七年に出しておりますが、残念なことに、年金積立金の運用管理独立行政法人、GPIFに関してはいまだにそういった指針を示していず、アメリカのクラスター爆弾製造企業、をしている会社、テキストロン社の株式を保有しております。
 そういった意味でも、法改正までは必要ないかもしれませんが、GPIF自身がこうやってうたっているこの括弧内の文言がありますが、こういったそのうち活動原則の中でやっぱり一定の制約というものは考えるべきではないかということがあってもいいんじゃないかというふうに思っております。
 あとの四番、五番にあることは今日のこととは直接関係ありませんが、この資料の中で、OSA、政府安全保障能力強化支援に対して私たちNGOが感じている懸念点に関しては、このお配りした資料の中に掲載させていただいております。日本政府が人間の安全保障というものを一つ大事にしていく中で、こういったことに関しても是非考えていただければと思います。
 もう一つの、パレスチナ難民救済機関、UNRWAに対する資金停止の問題に関しても非常に私たちは懸念しておりますが、これに関しましては、一昨日、日本国際ボランティアセンターのメンバー等が深澤外務政務官に直接お会いしてこの声明をお渡ししておりますので、またそれに関してはまた別途お話しする機会があればと思います。
 以上、私からの報告になります。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 清水俊弘

speaker_id: 16721

日付: 2024-02-07

院: 参議院

会議名: 外交・安全保障に関する調査会