田島麻衣子の発言 (政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会)

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○田島麻衣子君 委員派遣における調査の概要について御報告いたします。
 本年七月三十一日及び八月一日の二日間、北方領土及び隣接地域の諸問題等に関する実情調査のため、北海道を訪問いたしました。派遣委員は、藤川委員長、青木理事、今井理事、臼井理事、若林理事、窪田理事、清水理事、浜口委員、紙委員、高良委員、浜田委員及び私、田島の計十二名でございます。
 今回の委員派遣では、関係者との意見交換や関連施設の視察等を通じ、現地の実情の把握に努めました。
 以下、日程に沿って御報告申し上げます。
 一日目は、まず、釧路空港から根室市の納沙布岬に向かう車中において、北海道より、北方領土問題に関する取組や北方領土隣接地域の状況等について説明を聴取し、また、車内視察を予定する根室国後間海底電信線陸揚施設について、令和四年度に根室市が制作したプロモーション動画を視聴しました。
 納沙布岬では好天に恵まれ、岬から僅か三・七キロメートル先にある歯舞群島の貝殻島灯台などを間近に見ることができ、続けて、北方領土問題の歴史的経緯に関する資料や戦前の島民の生活関連資料等を展示した北方館及び望郷の家並びに戦前の北方領土の生活にスポットを当てた資料等を展示した北方領土資料館を順次視察し、北方四島はまさに我が国固有の領土であることを実感いたしました。
 次に、かつて根室と国後島をつないでいた海底ケーブルの陸揚げ施設で国の登録有形文化財に指定されている根室国後間海底電信線陸揚施設を訪れ、車内から視察しました。施設の劣化の進行が課題となっているところ、北海道より、本施設の所有者である根室市が令和五年三月の有識者会議の報告を踏まえて保存方法を検討すると聞いているとの説明がありました。
 次に、北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)に移動し、まず、北方領土の元居住者の組織である公益社団法人千島歯舞諸島居住者連盟から要望を聴取するとともに、意見交換を行いました。続いて、施設内にある北方領土関係の展示物を視察し、最後に、行政関係者などから要望を聴取するとともに、意見交換を行いました。
 千島連盟からは要望として、北方墓参の早期再開、独立行政法人北方領土問題対策協会の融資制度の見直し、北方領土問題に関する情報発信の強化などが述べられました。
 また、意見交換では、北方領土返還要求運動の後継者の育成に苦労していること、国民世論の喚起に向けて、学校教育における北方領土学習を強化すべきであることなどについて発言がありました。
 地元自治体である北海道からは要望として、北方領土返還要求運動の推進、北方領土隣接地域の振興対策の充実強化、北方四島交流等事業の円滑実施、共同経済活動に関する協議の推進、北方四島との関係強化を図る取組などが、また、北方領土隣接地域の一市四町から成る北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会からは、北方領土教育を通じた返還要求運動の後継者の育成、北方領土を目で見る運動の充実強化、老朽化した北方領土啓発施設の整備推進、北方領土隣接地域に対する財源対策の充実などが、それぞれ述べられました。また、北海道における北方領土返還要求運動の主要な担い手である公益社団法人北方領土復帰期成同盟からは要望として、ロシアとの外交交渉の推進、国内世論の高揚と結集などが、さらに、北方地域漁業権補償推進委員会からは、旧漁業権に対する早急な補償措置の必要性などが、それぞれ述べられました。
 また、意見交換では、返還要求運動に対する国民の機運を高めるための支援、四島交流等事業の再開に向けた努力、北方領土館の新築に向けた支援、北方領土隣接地域振興等基金の運用益や取崩しよりも交付金化が望ましいことなどについて発言がありました。
 二日目は、まず、歯舞漁業協同組合を訪れ、北方領土の概要と北方領土・貝殻島昆布操業の歴史等について説明を聞いた後、総戸数の約八割が漁業に従事する歯舞地区において、水産物の生産流通拠点及び地域の防災・交流拠点として機能を発揮することが期待され、令和四年九月に供用開始された同組合の水産物荷さばき施設、防災施設、海業支援施設を視察しました。
 次に、根室漁業協同組合を訪れ、近年における水揚げの減少等について説明を聞いた後、後継者不足への取組状況、日ロ共同経済活動における海産物の共同増養殖事業のような機会への期待、流氷を始め厳しい自然環境の中でも水産資源を確保できる養殖施設整備の必要性、ロシア二百海里水域におけるサケ・マス流し網漁業禁止を受けて行っている取組の状況などについて伺いました。
 次に、根室海上保安部を訪れ、流氷、結氷など根室地域の厳しい自然環境、北方四島周辺海域における日本漁船等の被拿捕等の発生状況、被拿捕防止のための漁船に対する指導及び巡視船による監視警戒、貝殻島灯台をめぐるこれまでの経緯と最近の動き、流氷による海難発生時の対応などについて説明を聞いた後、巡視船「くなしり」の視察を行いました。
 最後に、元島民が描いた国後島集落の詳細図等を展示した標津町の北方領土館を視察し、課題となっている老朽化の状況も確認しました。また、晴天であれば展望室から国後島を間近に望むことができるのですが、今回の委員派遣では天候に恵まれず、国後島を視認することはできませんでした。
 こうして全日程を終え、中標津空港から帰路に就きました。
 以上が調査の概要でございます。
 令和四年にロシアがウクライナに侵略して以降、日ロ関係は厳しい状況が続いており、北方領土問題をめぐっては、かつてない困難な状況に直面しています。こうした中、今回の委員派遣では、元居住者や地元行政機関など多くの関係者から、率直な意見を聞くことができました。元居住者の平均年齢が八十八歳を超え望郷の念が募る中で、長年積み重ねられてきた平和条約交渉や北方四島交流等事業が中断、停止していることに対する焦燥感、北方領土問題に対する関心低下への懸念、北方墓参の再開を始めとする事態の打開に向けた切実な思いが述べられました。また、返還要求運動を維持発展させるために必要な若年世代の後継者育成に対する危機意識を強く感じるとともに、全国的に学校教育等を通じて北方領土学習を充実させ、返還要求運動の後継者育成や国民世論の喚起につなげていくことの重要性を認識しました。
 視察では、様々な啓発施設の展示や老朽化の現況、流氷を始め厳しい自然環境の中でも水産資源を確保できる養殖施設整備の必要性や地元漁業関係者の日ロ共同経済活動における海産物の共同増養殖事業のような機会への期待、北方四島周辺海域で拿捕された日本漁船等の情勢や根室海上保安部の役割などが確認できました。
 今回の派遣を踏まえ、厳しい日ロ関係の中でも、北方領土問題の解決に向け、国民一丸となって外交交渉を後押しできるよう、北方領土返還要求運動の一層の推進、国民世論の一層の喚起を図っていくことが極めて重要であると改めて認識しました。
 最後に、今般の委員派遣に際し、御協力いただきました北海道を始めとする関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
 なお、委員派遣の文書による報告につきましては、本日の会議録の末尾に掲載されますよう、お取り計らいをいただきたいと存じます。
 以上です。

発言情報

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発言者: 田島麻衣子

speaker_id: 32158

日付: 2024-10-01

院: 参議院

会議名: 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会