櫛渕万里の発言 (憲法審査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
 れいわ新選組にとっては初めての衆議院憲法審査会での発言となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、この間、国民生活を取り巻く環境は大きく変化をしてきました。能登半島地震を始め多発する災害や新型コロナ感染症の蔓延、国際的な環境も厳しくなっています。さらに、三十年にわたる経済不況と物価高など、本来なら憲法に基づいた政治を行うべきであるのに、憲法を無視する政治によって国民は苦しみ続けています。反省すべきは自分たちであるはずが、改憲勢力は、あろうことか憲法に責任を押しつけ、その改正をたくらんでいます。
 我が党の山本太郎代表が度々述べるように、憲法改正を語る前に、今ある憲法を守れ、やるべきことをやれというのが本日の私の発言の趣旨です。
 いわゆる改憲勢力は、なぜ憲法審査会の開催に躍起なのでしょうか。それは、緊急事態条項を憲法に入れるためですか。
 帝国議会の憲法改正案委員会で、金森徳次郎憲法担当大臣はこう答弁しています。民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するためには、政府一存において行う措置は極力防止すべき。さらにはこうも言っています。非常という口実で憲法が破壊されるおそれなしとは言えない。もう一度繰り返します。非常という口実で憲法が破壊されるおそれなしとは言えない。
 一九四六年ですから、戦争という究極の緊急事態の直後であることはもちろん、一九四四年十二月の東南海地震、一九四五年一月の三河地震といった連続する大災害の渦中でもあります。しかも、コレラなどの感染症も深刻でした。この中で、緊急事態条項を否定する意思を金森大臣は国会で答弁したのです。
 戦争や災害、感染症を理由に緊急事態条項を導入することが許されるとは到底思われません。民主政治を徹底させるため、国会同意など事前にルールを定めておけば緊急事態条項も大丈夫だとの意見もありますが、本当にそうでしょうか。
 つい先日、韓国で戒厳令が発令されました。最終的には、国民や政治家の逮捕もなく、憲法に基づいた国会の決議で六時間後に戒厳令は解除されました。結果だけからすれば、事前に憲法に定めていた条項が役に立ったと見えなくはありません。
 日本維新の会の馬場元代表は、日本にも権力統制型の緊急事態条項を早急に憲法に導入すべきだと述べました。また、国民民主党の元憲法調査会長でもあった方も、今は民間人の方ですが、戒厳令解除規定を引き合いに出して、出口のところで韓国は食い止めた、入口のルール、出口のルールもないのは極めて危険だとし、日本にも必要と主張しています。
 しかし、今回の戒厳令は、一切の政治活動が禁止され、全ての言論と出版を統制し、違反したら令状なしに逮捕できる内容です。しかも、国会議事堂に兵士が突入し、窓を破って侵入したではありませんか。民主主義が踏みにじられる状況が続いたとき、果たしてチェック機能が働いたでしょうか。
 確かに今回は解除されましたが、次もそうだとは限りません。立憲主義を停止するのが緊急事態条項の本質である以上、立憲主義が定めたチェック機能が働く保証はどこにもないのです。ドイツでもフランスでも、緊急事態条項は濫用されてきた歴史があるのです。
 私は、前職のNGO時代に世界八十か国近くで活動してまいりましたが、制約のない権力が国民にとっていかに危険か、身にしみて感じることがありました。暴力で民主主義が踏みにじられる様子を見て、日本は絶対にそうなってはいけない、憲法を守り、民主主義を守っていくことが何より大切、そのように考えて政治家になった私からすれば、韓国の戒厳令を見て緊急事態条項が必要だとする結論は、全く理解不能です。
 それどころか、今だって日本では立憲主義は機能していません。衆参いずれかの四分の一以上が求めれば内閣は国会を召集すべきとする憲法五十三条に基づいた開会要求がたなざらしにされたこともありました。憲法に基づく立法府の要請を行政府が無視したのです。事実と異なる国会答弁を百十八回も行った総理大臣さえいました。憲法を無視し、国会にうそをつく日本で、緊急事態条項のルールが守られるなど、絵空事でしかありません。
 繰り返しになりますが、憲法改正を語る前に、今ある憲法を守れ、やるべきことをやれでしかないのです。
 では、今やるべきことは何か。この憲法審査会では、むしろ、生存権を保障する憲法二十五条が徹底されていないことを審議すべきでしょう。最も急がれるのは、三十年の経済不況と、能登の地震と豪雨の二重災害から国民を救うことです。能登では災害関連死が二百四十七人、これは十二月六日付の公表です。地震による直接死を上回る事態を招いています。避難生活の疲れやストレスだけでなく、医療や福祉の欠如による要因も指摘されており、圧倒的に政府の公的支援が遅くて規模が少ない。いまだ珠洲市では断水が続く地域もあるなど、水さえも飲めない。明らかな憲法違反です。
 また、生活保護の申請件数は、新型コロナが感染拡大した二〇二〇年から四年連続で増加していて、この十一年間で最も多くなっています。
 三十年の不況にコロナ、そして物価高の三重苦で国民が苦しむ中、消費税減税さえしていません。憲法二十五条一項に、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあります。しかし、それができていない。
 憲法審査会では、このように現行の憲法の規定が遵守されていない問題を徹底的に議論すべきでしょう。現行憲法さえ守れない者たちに憲法改正を論じる資格は一切ありません。
 私からは以上です。

発言情報

speech_id: 121604183X00120241219_019

発言者: 櫛渕万里

speaker_id: 14581

日付: 2024-12-19

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会