石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 福田達夫議員の御質問にお答え申し上げます。
物価高対策についてお尋ねがございました。
今回の経済対策は、副題にございますように、全ての世代の現在や将来の賃金、所得を増やすことを最重要課題として作成をいたしております。そうした取組に当たりましては、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現するまでの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要であります。
具体的には、地方公共団体が、地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援のほか、新たに、厳冬期の灯油支援も行うようにいたしております。また、家庭の電力使用量の最も大きい一月から三月までの冬期の電気・ガス代を支援し、二人以上世帯の平均で、電気、ガス合計で月千三百円程度の負担軽減を行います。さらに、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯の方々に対する給付金の支援などの施策を盛り込んでおります。
デフレマインドの転換についてであります。
福田議員御指摘のとおり、我が国経済は、長きにわたったデフレマインドを払拭し、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にございます。
コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行するため、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めるとともに、省力化、デジタル化投資の促進や、経営基盤の強化、成長のための支援を充実いたします。人への投資や、官民連携の国内投資によって賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を高めるなど、将来も継続的に所得が増加する手だてを講じてまいります。
価格転嫁の実現に向けた取組についてのお尋ねを頂戴いたしました。
中小企業を始めとした事業者の皆様方が確かにもうかり、物価上昇に負けない賃上げをしていただけるよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めることは極めて重要であります。
御指摘のように、賃上げや取引適正化を地域の中小企業に行き渡らせていくために、地方自治体が果たす役割は非常に大きいと認識をいたしております。これまでも、都道府県と地方の経済団体による協定の締結を促すこと等を通じましてパートナーシップ構築宣言の普及を図るなど、地方自治体と連携して進めてまいりましたが、今後一層、情報交換や連携を進めてまいります。
食料の価格形成につきましては、持続的な食料供給を可能とするため、生産から消費までの各段階の関係者の合意の下、資材費、人件費等のコストが考慮される仕組みを検討いたしてまいります。
これらに加えまして、毎年三月と九月の価格交渉促進月間における発注企業の価格交渉、価格転嫁の状況の公表や、事業所管大臣名での指導助言、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知徹底といった対策を粘り強く継続をいたしてまいります。
さらに、新たな商慣習として、サプライチェーン全体で価格転嫁、取引適正化を定着させるよう、下請法改正の検討も進めてまいります。
働き方改革は、働く方々の生命と健康を守るための取組にとどまらず、働く方お一人お一人が多様で柔軟な働き方ができるようにするための取組も含むものであります。
今後とも、こうした観点から、長時間労働の是正のみならず、副業、兼業やテレワークの促進、短時間正社員などの多様な働き方の活用、リスキリングを含む人への投資の強化など、働き方改革を進めてまいります。
医療、介護、公務員等における賃上げについてであります。
医療、介護等の分野につきましては、令和六年度の報酬改定における賃上げの措置が最大限活用されるよう、書類の簡素化や幅広い周知に取り組むとともに、今般の経済対策においても、更なる賃上げを目的とする支援策を盛り込みました。
また、公務員の給与につきましては、人事院勧告どおり月例給及びボーナスを引き上げる等の改定を行うため、今国会に給与法改正法案を提出する予定であります。
教師の処遇改善につきましても、骨太の方針等を踏まえ、実現に向けて取り組んでまいります。
いわゆる年収百三万円の壁についてのお尋ねを頂戴いたしました。
今般の経済対策におきましては、自由民主党、公明党、国民民主党の三党間での合意を踏まえ、いわゆる百三万円の壁については、令和七年度税制改正の中で議論し引き上げる、これらに伴う諸課題に関しましては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得るとの記述を盛り込んだところであります。
経済や税収への影響など、専門的な観点も含めて様々考えねばならない論点があるものと認識をいたしております。そうしたことも含めて、今後、各党の税制調査会長間で更に議論を深めていただきたいと考えております。
課題解決に向けた国内投資の促進についてであります。
岸田政権の取組もあり、ようやく、約三十年ぶりの高い水準の賃上げと過去最大規模の投資が実現をし、明るい兆しが表れております。コストカットではなく、付加価値の創出に力点を置いた経営、経済への転換を進めていくチャンスと考えております。
今般策定した経済対策におきましても、DXを切り口として、日本の潜在的な強みであるAI、量子、バイオ、宇宙、フュージョン、GX等の戦略分野のイノベーション支援を進め、社会課題の解決と国内投資の促進につなげてまいります。
熊本におけるTSMC誘致のような地方創生の好事例も全国で増やしてまいります。GXの例では、洋上風力、地熱や原子力などの脱炭素電源を目指して、工場やデータセンターの進出が進み、教育機関との連携などによって、新たな地域の活力につながる動きが始まりつつあります。
投資の予見可能性を高め、今こそ賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現し、我が国を、課題解決の分野で世界をリードするイノベーションが常に生み出される豊かな国といたしてまいります。
ASEANとの関係強化を含む外交政策についてであります。
国際秩序に大きな挑戦がもたらされる中、国益に基づく現実的外交により、日米同盟を基軸に友好国、同志国を増やすとともに、各国との対話を重ねます。これによって、分断と対立を乗り越え、法の支配に基づく国際秩序を断固として堅持をいたしてまいります。
その際、特に、インド太平洋の中心という地政学的要衝に位置するASEANとの関係は重要であります。本年十月にASEAN関連首脳会議に出席いたしました際には、私から、日本・ASEAN関係を強化し、心と心のつながる信頼のパートナーとして共に未来を切り開いていきたい旨、強い決意を直接伝達いたしたところであります。
引き続き、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導いたしてまいります。
防衛力の強化と自衛官の処遇、勤務環境の改善についてであります。
私は、厳しい安全保障上の現実を直視し、国家安全保障戦略等に基づき、防衛力の抜本的強化を着実に進めることで、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜きたいと考えております。
そして、防衛力の最大の基盤である自衛官の充足率が約九〇%にとどまっていることは、極めて深刻な課題であると認識をいたしております。処遇、勤務環境の改善及び部隊の精強性確保のため若くして定年退職を迎える自衛官の新たな生涯設計の確立に向け、私を議長とする関係閣僚会議で議論を重ねており、施策の方向性について年内に結論を得ます。自衛官諸官が国防に専念できる体制を構築し、自衛官の充足率が向上するよう、実効性のある施策を実施いたしてまいります。
能動的サイバー防御に向けた体制整備及び経済安全保障の強化についてであります。
能動的サイバー防御の実現に向けた法制度の整備につきましては、十一月二十九日に有識者会議から提言をいただいたところであり、この提言を踏まえて可能な限り早期に法案としてお示しできますよう、検討を更に加速いたしてまいります。
その上で、経済安全保障につきましては、重要経済安保情報保護活用法の施行に向けて準備作業に全力で取り組むほか、国家安全保障戦略等に掲げられた課題についても着実に取り組んでまいります。
食料システムにつきましては、我が国の食料安全保障の確保に向け、食料の生産から消費までを含めて一体的に捉え、持続可能なものとして構築していくことが必要であります。
こうした考えの下、福田議員の御指摘にもありますように、農林水産業の生産基盤の強化、スマート技術の導入、世界市場に向けた輸出の促進、みどりの食料システム戦略に基づく環境負荷低減等を着実に進めていくことが重要であります。
今後、新たな食料・農業・農村基本計画を策定する中で、こうした取組に必要な具体の施策を体系的に整理し、その充実強化を図ってまいります。
エネルギー政策についてお尋ねを頂戴いたしました。
AI時代の電力需要増加が見込まれる中、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を高めますため、省エネルギーの徹底、再生可能エネルギーの拡大とともに、安全性の確保を大前提とした原子力発電の利活用を進め、日本経済をエネルギー制約から守り抜くことが極めて重要であります。
原子力発電所の再稼働につきましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であります。
防災、減災に向けた所見についてであります。
我が国は世界有数の災害発生国でありますが、いかなる地域で災害が発生したとしても、被災者の方々を苦難の中に置き続けるということが決してあってはなりません。
国民を災害から守るためには、政府の災害対応体制を抜本的に強化し、事前防災を徹底する必要があります。このため、平時における防災業務の企画立案及び全国的な調整と、大規模災害発生時における政府の統一的な災害対応の司令塔として、防災庁の設置を進める考えであります。
防災庁につきましては、専任の大臣を置き、十分な人数の災害対応のエキスパートをそろえる方針であり、令和八年度中の設置に向けた準備を着実に進めてまいります。
地方創生二・〇に向けた基本姿勢、理念についてであります。
地方創生二・〇は、単なる地方の活性化策ではなく、日本の活力を取り戻す経済政策であり、多様化の時代の国民の多様な幸せを実現するための社会政策であります。
持てるポテンシャルがまだまだ眠っている地方の産業や文化、これらを支える人材の力を最大限に引き出し、日本全体を創生していくことを目指しております。
この実現のためには、産官学金労言の地域のステークホルダーが、いま一度、若者や女性にも選ばれる地域とするためにはどうすべきかなどを真剣に考え、行動を起こすことが必要であります。
現場の方々の話をよく承り、これまでの成果と反省の検証を進め、年末に向け、基本的な考え方を取りまとめ、その後、今後十年間集中的に取り組む基本構想を策定いたします。
いち早く地方の皆様方が動き出せるよう、新しい地方創生交付金を倍増しつつ、前倒しで措置をいたします。デジタル技術の活用や、地方の課題を起点とする規制・制度改革を大胆に進めてまいります。
地域活性化と併せて、この国の在り方、文化、教育、社会を変革する大きな流れをつくり出してまいります。
政党の役割と政治改革の決意についてのお尋ねを頂戴いたしました。
政治は国民のものであります。謙虚に、真摯に、誠実に国民の皆様と向き合いながら、国民全般の利益と幸福のために奉仕をすることが政治のあるべき姿であると考えております。
そのような中で、政党は、議会制民主主義を支える不可欠の要素であり、国民の政治意思を形成、集約し、国政に反映させる上で重要な役割を担っております。国民の多様な声を十分に反映し、全ての国民の安心と安全を守るための施策を前に進めていきますためには、政党の政治活動の公明と公正を確保し、国民の皆様からの信頼を取り戻すことが不可欠であります。
政党の在り方や政治資金の在り方など、議会政治の根幹に関わる問題につきましては、各党各会派で御議論いただくべきものではありますが、自民党総裁としてあえて申し上げれば、我が党としても、国民に対する責任を果たすべく、政策活動費の廃止、収支報告書の検索を容易にするデータベースの構築など、政治資金の透明性を更に高めるための党派を超えた議論を率先し、政治資金規正法の再改正を含めた必要な法整備に誠心誠意尽力をいたしてまいります。
以上でございます。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
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