石川香織の発言 (本会議)
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○石川香織君 立憲民主党の石川香織です。
私は、会派を代表いたしまして、石破総理の所信表明演説に対して質問をいたします。(拍手)
まず、選択的夫婦別姓について伺います。
一九九六年に法務省の法制審議会において選択的夫婦別姓制度の導入の答申をしてから二十八年がたちました。立憲民主党は、選択的夫婦別姓実現を求めて、既に衆議院で九回、参議院で十五回、民法改正案を提出しておりますが、一部議員の反対などにより、長い間審議されてきませんでした。
しかし、今年六月には、経団連が早期実現を求める提言を発表。衆議院選挙中に共同通信社が実施した調査では、選択的夫婦別姓の導入に六七%の人が賛成をしています。先日も、女子差別撤廃委員会から、夫婦同姓を定めた民法の改正を求める四度目の勧告が出され、法務省の調査では、夫婦同姓を義務化している国は日本しかありません。
石破総理は、総裁選時に、実現は早いにこしたことはないと発言されていました。しかし、総理になった十月の国会答弁では、選択的夫婦別姓の実現について、国民の間に様々な意見があり、更なる検討をする必要があると、大幅に後退をしています。
総理、衆議院選挙を経て、選択的夫婦別姓に賛成する政党の議員数が大幅に増えました。国内外の機運も高まっている今、選択的夫婦別姓実現を決断するべきではないのですか。石破総理が答弁した更なる検討は、いつまでに終えるおつもりでしょうか。
次に、物価高の中で働く人を支援する方法について伺います。
まず、年収の壁です。
壁がある中で、最も重く、重大な壁だと考えるのは百三十万円の壁です。配偶者の扶養家族だった人が年収百三十万円以上で働くと、国民年金、国民健康保険の保険料負担が生じて手取りが約三十万円減ってしまう、これがいわゆる百三十万円の壁です。
立憲民主党は、収入に応じて社会保険料の負担が発生する壁による働き控え、手取りが減ることをカバーできるよう、就労支援給付制度の導入に関する法律案を提出しました。年収が百三十万円以上になると、社会保険料の負担分が、収入が増える分よりも多くなります。私たちの法案では、年収が百三十万円を上回って二百万円に達するまでの間、徐々に金額を減らしながら給付金を支給し、手取りが減るのを抑え、手取りが右肩上がりになるようにします。百三万円の壁を引き上げると数兆円の減収になると試算がされておりますが、この法案は約七千八百億円で実現できます。
十一月二十七日の自公の幹事長・国対委員長会談では、百三十万円の壁の見直しも併せて議論していくことで一致したと報道されていますが、総理、百三十万円の壁の見直しはどんな中身になるのでしょうか。また、立憲民主党案は、予算さえ組めばすぐに実現します。総理、早くやるべきではないでしょうか。
百三万円の年収の壁を引き上げることによる地方財政への影響について伺います。
百三万円の壁を引き上げることで、地方にとっては大きな減収になるという懸念が知事や市町村長から上がっています。十一月二十五日の全国知事会も、地方の減収分を国が十分補填するよう総理に要望しています。
住民税と所得税、両方の壁の引上げをやるのでしょうか。それとも、一部報道に出ているように、所得税の壁だけを引き上げるのですか。それぞれの場合でも、地方への減収は全て補填されるのでしょうか。所得税収が減ることによる地方交付税の減額分を国が補填するのでしょうか。住民税非課税世帯への各種支援策の対象が広がることに伴う地方公共団体の歳出増も補填されるのでしょうか。
百三万円の壁を引き上げて控除額を増やすと、低所得者より高所得者の方の税率が高いため減税額は高所得者ほど大きくなると思われますが、これは不公平だという指摘について、総理はどのようにお考えですか。
現行の制度では、年収が百六万円を超えると社会保険料を支払わなければなりません。これがいわゆる百六万円の壁です。しかし、所得にかかわらず、週二十時間働けば社会保険料を払わなければならないという案について、厚生労働省の審議会で議論が続けられています。百六万円の壁の撤廃については、その方向で最終調整に入ったなどの報道がなされていますが、壁を撤廃するのですか。それはいつからでしょうか。
今度は、雇う側の視点から伺います。
例えば、五人のパートタイマーの従業員を雇う事業主は、現行において、五人とも収入が百六万円になったら、新たに厚生年金だけで年間五十万円ほどの負担増になります。これは、中小企業の社長にとっては大変な負担です。
さらに、百六万円の壁を撤廃する場合、労使折半である社会保険料の負担割合を労使合意で変えるという特例が厚労省から提案されました。つまり、社会保険料の負担割合が事業主と労働者の間での半分半分ではなく、事業主九、労働者一ですとか、七対三などというように変えることができるようになるというものです。
しかし、会社によって負担割合に格差が出るため、結果的に大企業に人材が流出するのではないかという懸念もあります。日本商工会議所の小林会頭は、この厚労省の特例案に対し、不公平で、企業により多い負担を求める理由がないと不快感をあらわにしています。
一方、私たち立憲民主党は、さきの国会で既に社会保険料事業者負担軽減法案を提出しています。この法案は、新たに正社員を雇用した中小企業の社会保険料負担を補助して、正社員を増やし、結果的に経済的な理由で結婚や出産を諦めないことにもつながるものです。
総理、様々な物価が上がる中で、賃上げの原資を確保するのに大変苦労されている中小企業が求めるのは、社会保険料の更なる負担よりも補助だと思いますが、いかがでしょうか。
次に、介護、障害、保育について伺います。
総理の所信表明演説の中では、介護については一切触れられておりませんでした。残念です。
訪問介護は、利用者一人一人に応じたサービスを提供するため、より高いスキルが求められ、在宅でできるきめ細やかなサービスが受けられる、地域の最後のとりでとも言えます。それにもかかわらず、基本報酬が引き下げられました。二四年度の上半期、訪問介護事業所の倒産は過去最多となっています。訪問介護事業者に支援金を支給するべきではないでしょうか。
昨年十一月に決定された介護、障害福祉職員を対象に収入を引き上げる措置は評価しますが、月六千円では余りにも少な過ぎです。また、支給対象は事業所が限定され、支給額の算定には事務職員や調理員が含まれません。立憲民主党は、全ての介護、障害福祉事業所の全ての職員に対し、漏れることなく、政府の処遇改善六千円に月額一万円を上乗せする形で処遇改善を行う法案を再提出する予定です。
総理、国の処遇改善六千円にプラス一万円を上乗せして、額を引き上げるべきではないですか。さらに、支給対象も、全ての事業者、全ての従業員にするべきではありませんか。
立憲民主党は、保育士、幼稚園教諭の処遇を改善する法案も提出予定です。
次に、教育について伺います。
残念ながら、教育分野に関しても、所信表明演説では一行と五文字のみでしか触れられていませんでした。教育の現場で先生たちは疲弊をしています。授業や授業準備だけではなく、テストの採点や、絵などを廊下に掲示するなどといった仕事に先生たちは日々膨大な時間を費やしています。先生たちの仕事量を減らす取組が重要です。
十月の代表質問で、先生たちの仕事量を減らすための具体策を聞いた吉田はるみ議員の質問に対し、石破総理の答弁は、働き方改革、デジタル技術の活用のみで、具体的な答弁はありませんでした。デジタル化で仕事を効率化することに対して否定はしませんが、先生たちが行っている優先順位の低い仕事を減らし、先生たちの数を増やす取組が必要ではありませんか。また、石破総理の教育現場における働き方改革とは何ですか。具体策を伺います。
教員の処遇改善として、残業代の代わりに基本給に上乗せする教職調整額を四%から一三%に引き上げる方針については一定評価しますが、定額で働くことには変わりありません。立憲民主党は、定額働かせ放題と言われる今の状況を打破するために、給特法を廃止し、通常の民間企業と同じように残業代が全額支払われるべきだと考えますが、総理の所見を伺います。
さて、今日十二月二日は、現行の紙やプラスチックの保険証の新規発行が停止される日です。今日から直ちに紙の保険証が使えなくなるわけではありませんが、今お持ちの紙の保険証が使えるのは有効期限までです。
石破総理は、総裁選の際、不利益を被る国民が一定数いた場合は、紙の保険証と当面併用することも選択肢として当然だと発言しました。しかし、総理就任後の十月の代表質問では、現行の健康保険証の新規発行終了につきましては法で定められたスケジュールで進めると答弁しました。総裁選のときはあたかも一年以上、紙の保険証を併用できるようにも受け取れる言い方をしておきながら、結局は元々決められた話をしただけということなんでしょうか。総理の真意を伺います。
全国保険医団体連合会のアンケートによると、マイナ保険証を利用の際のトラブルとして、名前や住所が正しく表記されないことや、カードリーダーの接続不良、認証エラーなどが報告されています。周知が十分とは言えない中、引っ越しや新入社員が入社する来年三月や四月が切替えラッシュになるとも予想され、更に混乱する可能性があります。
また、総理の所信表明演説で、マイナ保険証について、国民の皆様の不安には迅速に応え、丁寧に対応するというのが私の考えですと述べておられましたが、具体的に何をするのか、お答えください。また、お持ちでない方には資格確認書を速やかにお届けすると声高に言われておりましたが、実際に届けるのは健康保険組合や国民健康保険組合など保険者です。国民一人一人の手元に、紙の保険証の有効期限が違う中で、速やかにとは、いつ頃届くことをおっしゃっているのでしょうか。目安がありましたらお示しください。
次に、一次産業の課題についてお伺いします。
石破総理は二〇〇八年に農林水産大臣に就任されていますが、あれから十六年がたちました。この間、一次産業の現場はどうなったでしょうか。農家戸数は百八十万経営体から八十八万経営体になり、半減しています。食料自給率は四一%から三八%と減少しました。農水省によると、国が安定供給を目指すニンジンやホウレンソウなどといった指定野菜のうち十品目が、今年、統計開始以来最小の作付面積になったそうです。省力化などの取組も努力されていますが、高齢化や労働力不足の影響が大きくなっています。
総理の所信表明演説では、人口減少においても、食料産業の生産基盤を強化し、安定的な輸入と備蓄を確保することなどを通じて、食料安全保障を確保となっていました。
総理、農家戸数も食料自給率も、十六年間で減少しています。食料産業の生産基盤を強化するためには、どんなことが必要だとお考えでしょうか。具体的な目標や方法があればお答えください。
今年は、あちこちでお米が買えない異常事態が発生しました。お米の価格高騰や特定の銘柄が手に入らないことなどは、今年初め頃から米農家や卸などで既に認識をされていました。それにもかかわらず結果的に混乱を招いたことは、政府の見通しの甘さがあったのではないかという点をまず指摘します。
所信表明演説では、この夏、店頭から米が一時消えたことは記憶に新しいところですと、どこか他人事のような表現でした。今年の夏にお米が手に入らなくなった原因を総理はどう分析されていますか。また、もし石破総理だったら、どのような対応をされましたか。
現在、お米は流通しているものの、価格は高いままです。消費者からすると、少しでも値上げは避けたいものですが、長い間、米価が安く、農家が苦しめられてきたのも事実です。消費者と農家の双方が納得する適正な価格形成は簡単ではありません。立憲民主党は、だからこそ、価格は市場で、所得は政策でと切り分けるべきだと考えます。
九月二十八日の日本農業新聞の記事によると、総理は、米の増産にかじを切り、輸出を拡大するべきだと訴えた、生産拡大に伴う米価下落には直接所得補償で対応するとし、水田転作などに充てている約三千五百億円を財源とする考えを表明とされています。一方で、石破総理は、十月の代表質問で、他党の議員から、米にも直接支払い制度が必要ではありませんかと問われた際、農業者の創意工夫や日々の努力にブレーキをかけ、また、農地の集積、集約化が進まなくなる等の指摘もございますと答弁しました。
民主党政権で始まった戸別所得補償制度は自民党政権でなくしてしまいましたが、総理の案は、農業者が米を増産することを可能にし、米価下落に対しては直接所得補償で対応するということでしょうか。
二十五年ぶりの食料・農業・農村基本法の改正と同時に、さきの国会で食料供給困難事態対策法が成立しました。これは、自然災害や世界情勢の影響などによって国内での食料供給が大幅に不足した際、増産や作る作物の変更などを国が生産者に指示できるというものです。さらに、計画の作成や提出を拒否すると農家に二十万円の罰金を科すことも決められました。これに対し、農家からは、国への不信感になる、生産意欲を損なうといった声が上がっています。
総理、今からでも農家への罰則規定は撤廃するべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、総理の地元、鳥取県の農家の皆さんからは、農家の罰金についてどんな声が聞かれましたか。
所信表明演説では、人口減少下においても、農林水産業、食料産業の生産基盤を強化し、安定的な輸入と備蓄を確保することと述べられていました。
コロナ禍、生乳生産が過剰と言われていた状況がようやく改善した矢先で、バターが追加輸入されました。二年前、政府は、十五万円の奨励金で牛を処分するといった政策まで実施しましたが、生産現場は、需給と供給のバランスのために、生産調整に協力してきました。バターの追加輸入は夏の暑さの影響で生乳が足りないという理由ですが、生乳が足りなくなったのは、この数年間、酪農家が生乳生産を抑制、減産したことによる生産基盤の弱体化の影響も大きかったのではないでしょうか。
日本の人口が減る中で、国内の一次産業の発展のためには輸出も重要だと考えます。安心、安全な日本の農作物は海外で人気があります。例えば、ロングライフ牛乳という常温で約九十日間保存が利く牛乳も、アジアで輸出を伸ばしています。また、世界でも高い評価を受ける和牛は、生産量のうち五%ほどしか輸出しておらず、伸び代があると思います。
こうした日本の農林水産物の輸出の販路拡大や輸出国のニーズに応えていくためには、国が積極的に民間をサポートする必要があると思いますが、総理はどうお考えでしょうか。また、具体的にどのようなサポートをしますか。政府は、農林水産物、食品の輸出額目標を、二〇二五年までに二兆円、二〇三〇年までに五兆円達成としています。総理、来年、輸出二兆円を達成できますか。
収量や品質を維持するために必要な肥料について伺います。
肥料の価格上昇分に対して補填するという国の制度は、昨年まではありましたが、終了しました。今年六月、当時の坂本農水大臣が、肥料価格について、急騰とは言えないとして、支援対象ではないという認識を示しました。しかし、農業物価統計において、肥料価格は、令和二年を一〇〇とすると、今年九月は一三九・五%となっています。
総理、肥料価格高騰について、今年は国として直接支援する必要はないという認識なのでしょうか。
家畜の餌である飼料も高止まり状態です。家畜の餌として複数の穀物などを混ぜた配合飼料は、価格が急騰したときは補填される仕組みがありますが、価格が高止まり状態だと価格が変動していないという算定になり、生産者に十分補填されません。
ダメージが今後も長期にわたる可能性がある今、収入を支えるという本来の機能を発揮できる仕組みを早急につくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
漁業について伺います。
所信表明演説では、農林水産業や農山漁村という言葉はありましたが、水産業についての具体的な言及はありませんでした。
しかし、浜は気候変動の影響を大きく受けています。近年は、北海道や東北地方で、高温により、ホタテやアワビの稚貝と呼ばれる成長前の貝がへい死する壊滅的な被害を受けています。貝は出荷されるまで二年から五年ほど要するため、将来の影響が懸念されています。赤潮被害で壊滅的な被害を受けたウニも、食べられるまでに育つのは約四年かかりますが、ようやく三年目です。
総理は、党の水産総合調査会長も務められていましたが、気候変動による影響が避けられない中、浜の皆さんを中長期的にどう支えていきますか。
林業について伺います。
日本の森林率は先進国で三位であるにもかかわらず、木材の自給率は約四割程度であり、十分ではありません。国産材を活用することは、切って、植えてのサイクルを活性化し、災害防止となる治水や地球環境への配慮の観点からも大変重要です。
国産材をもっとたくさん活用するための振興策を伺います。
二〇一四年、政府が人口減少克服と東京一極集中の是正を目指し、地方創生をスタートさせてから十年がたちました。初代地方創生担当大臣に就任されたのが石破総理です。
総理は、所信表明演説で、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増すると述べられましたが、予算ありきではなく、例えば、東京一極集中は是正されたのか、人口減少のスピードを遅らせられたのか、どのような指標でこの十年間の地方創生を評価するのか、具体的に定量的な数字でお答えください。
また、地方創生推進交付金は、定量的にどのような効果があったのでしょうか。もし仮に、はっきりとした定量的な効果が示せないとしたら、予算を増額だけしても効果は薄いのではないでしょうか。
いわゆる闇バイト対策について伺います。
犯罪実行者の募集を適法な求人かのように装って行い、応募者に詐欺や強盗などを行わせる、いわゆる闇バイトによる犯罪被害が深刻化しています。警察庁始め、関係省庁の対策を一層強化する必要があります。
犯罪実行者募集のSNS投稿を、警察庁の委託事業であるインターネット・ホットラインセンターによれば、削除依頼しても、速やかに削除されるのは八割程度にとどまります。問題は、削除されていない二割の投稿です。総理は、所信表明演説において、闇バイトを募集する情報のインターネット上からの削除にも一層努めてまいりますと述べましたが、残りの二割の投稿について、どのように削除するのでしょうか。闇バイトによる犯罪被害防止をどのように徹底していくのか、見解を伺います。
石破総理が就任されて二か月がたちました。しかし、総理は、十月に予算委員会をやると言ったのにすぐ解散、マイナ保険証の併用期間延長の可能性や選択的夫婦別姓への積極的姿勢など、多くの国民を期待させたのに裏切ってしまっています。そのことは、衆議院選挙の結果でも明白です。僭越ながら申し上げれば、総理大臣になることと引換えに、政治家石破茂らしさを失ってしまったとすれば、余りにも残念です。
総理が総裁選で政治家のあるべき姿として語ってきた、勇気と真心で真実を語る姿勢で、石破総理らしい答弁に期待をいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕