石破茂の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(石破茂君) 浅野哲議員の御質問にお答えをいたします。
 能登半島の復旧のための予算措置と体育館等の空調設備についてのお尋ねを頂戴いたしました。
 今般の経済対策には、能登地域の皆様方が受けられた地震、豪雨の度重なる被害からの一刻も早い復旧と創造的復興を一層加速するため、二千六百八十四億円の施策を盛り込んでおります。
 具体的には、災害公営住宅の整備費の補助限度額の引上げや、見守り、相談支援の充実、在籍型出向を活用する事業主に対する助成金や新たな一年間の雇用調整助成金の特例措置の創設、豪雨被害に対する農業用機械等への支援、道路、河川、港湾、水道、国定公園などの早期復旧や降雪期を前にした除雪機械の更なる増強、公費解体の体制の充実強化、災害廃棄物処理体制の拡充などの施策であります。
 避難所となります公立小中学校の体育館等への空調設備につきましては、新たな交付金を創設し、整備のペースを二倍に加速することといたしております。議員から御指摘がありましたランニングコストにつきましても、設備設置の進捗を踏まえつつ、地方交付税措置を検討いたしてまいります。
 いわゆる年収百三万円の壁及び特定扶養控除の基準額等についてであります。
 今般の経済対策におきましては、自由民主党、公明党、国民民主党の三党間での合意を踏まえ、いわゆる百三万円の壁については、令和七年度税制改正の中で議論し引き上げる、これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得るとの記述を盛り込んだところであります。
 経済や税収への影響など、専門的な観点も含めて様々考えなければならない論点があるものと認識をしておりますので、そうしたことも含めて、今後、各党の税制調査会長間で更に議論を深めていただきたいと考えております。
 年少扶養控除及び高校生年代の扶養控除についてのお尋ねをいただきました。
 十六歳未満を対象としたいわゆる年少扶養控除につきましては、所得控除から手当へという考え方の下、子ども手当の創設に伴い、平成二十二年度税制改正において廃止された経緯がございます。
 十六歳から十八歳の扶養控除の見直しにつきましては、令和六年度政府税制改正大綱におきまして、高校生年代に支給される児童手当と併せ、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充しつつ、所得階層間の支援の平準化を図るという方針が示されており、令和七年度税制改正において結論を得ることとされております。
 国民民主党から年少扶養控除の復活や扶養控除の維持拡大を御要望いただいておることは承知いたしておりますが、まずは与党税制調査会において検討が進められるものと考えております。
 障害児福祉の所得制限についてであります。
 障害児福祉において、子供の成長に合わせて補装具を頻繁に買い換える必要があり、経済的な負担が重いことを踏まえ、本年四月から、補装具費の支給制度の所得制限を撤廃したところであります。
 一方、御指摘の特別児童扶養手当等は、制度発足時から所得制限を設けているものですが、これは、障害児の生活の安定に寄与するよう必要な範囲で支給するという制度趣旨や、障害基礎年金などのほかの制度との均衡を踏まえたものであります。
 引き続き、制度趣旨を踏まえつつ、障害児に対する各種の給付制度について適正に運用いたしてまいります。
 ガソリン税についてお尋ねを頂戴いたしました。
 今般の経済対策におきましては、自由民主党、公明党、国民民主党の三党間での合意を踏まえ、いわゆる暫定税率の廃止を含むガソリン減税については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し結論を得る、これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得るとの記述を盛り込んだところであります。
 今後、こうした方針に沿って、自動車関係諸税の見直しに向けて、各党の税制調査会長間で議論が行われているものと考えております。
 賃上げについてのお尋ねをいただきました。
 家計を温めるためにも、物価上昇を上回る賃金上昇を実現していく必要があり、まず、先般の政労使の意見交換におきまして、約三十年ぶりの高い水準となった今年の勢いで、来年の春季労使交渉においても大幅な賃上げを行うことへの協力を私から要請いたしました。また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を関係閣僚に指示いたしました。
 中小企業を始めとした事業者の皆様方が確かにもうかり、物価上昇に負けない賃上げをしていただけるよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めますとともに、省力化、デジタル化投資の促進や、経営基盤の強化、成長のための支援を充実いたします。
 男女間賃金格差と女性の雇用におけるL字カーブについてのお尋ねをいただきました。
 男女間賃金格差の是正やL字カーブの解消は、職業生活において性別にかかわらず希望に応じて活躍できるようにするとともに、人口減少下において若者、女性にも選ばれる地方づくりをしていくためにも重要な課題であると認識をいたしております。
 政府といたしましては、女性活躍推進法に基づく取組の推進、非正規雇用労働者の正社員への転換に取り組む事業主への支援、短時間正社員等の柔軟な働き方の促進等に取り組んでおります。
 これらの取組を通じて、誰もが安心して暮らせる働き方の実現や、それによる社会の構造、意識の変化に向けて取り組んでまいります。
 価格転嫁や中堅企業の経営支援についてであります。
 労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針につきましては、令和五年十一月に公表し、周知徹底に取り組んでおります。その結果、価格交渉が行われたケースが増加し、転嫁率も上昇するなど、一定の成果が出ております。
 同指針の認知度が全体として半数程度にとどまっていることも踏まえ、引き続き周知徹底を進めるとともに、コスト上昇局面における価格据置きへの対応の在り方等に関し、下請代金法の改正を検討し、早期に国会に提出することを目指します。
 中堅企業につきましては、日本経済の成長の鍵を握る重要な存在であることから、大規模設備投資の補助制度や、MアンドAを促進する税制措置等を新たに講じております。今般の経済対策にて三千億円規模の予算を追加するとともに、成長を促進するための様々な支援を充実させます。
 教師の勤務環境についてであります。
 業務の仕分を行った、学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直しや、標準を大きく上回る授業時間の見直し、校務DXの加速化を進めますとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を削減いたします。
 こうした教師の働き方改革や給与面を含む処遇改善などを通じて、公教育の再生を進めてまいります。
 訪問介護についてのお尋ねを頂戴いたしました。
 先般の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬は見直しつつ、介護職員の処遇改善に充てる加算措置はほかの介護サービスと比べて高い加算率とし、職員の処遇改善が図られるようにしたものであります。
 こうした介護報酬改定の影響につきましては、引き続き、適切な把握に努めてまいります。その上で、訪問介護につきましては、人材確保に特に課題があると認識をいたしており、今般の経済対策において、ヘルパーの同行支援を強化するなど、地域の特性や事業者規模等に応じたきめ細かい対策を講じることといたしており、こうした対策も併せて活用いたしてまいります。
 薬価制度と中医協改革についてであります。
 薬価制度につきましては、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性確保の両立を図ることが重要であり、令和七年度の薬価改定につきましても、こうした考え方に基づく骨太方針二〇二四を踏まえ、適切に対応いたしてまいります。
 また、中央社会保険医療協議会、中医協の委員に医薬品関連業種の代表者を加えるべきとの御党の御意見は承知をいたしておりますが、薬価制度を議論する専門部会には製薬業界の団体の代表も委員として参画をされており、引き続き、関係者の御意見も伺いながら、丁寧に議論が進められるものと承知をいたしております。
 後期高齢者医療制度についてお尋ねを頂戴いたしました。
 本格的な人口減少の中にあって、医療保険制度を今の時代に合った持続可能なものにしていくことは重要な課題であり、現役世代の負担を軽減し、誰もが年齢にかかわらず能力や個性を生かして支え合う全世代型の社会保障を構築する必要がございます。
 後期高齢者医療制度の見直しに当たりましては、昨年末に閣議決定した改革工程に掲げられている事項を具体化していくことが必要であり、医療における現役並み所得の判断基準等を含め、患者に対する必要な保障が欠けることのないよう、見直しによって生ずる影響を考慮しながら、丁寧な検討を進めてまいります。
 移動コストを引き下げる具体策としての高速道路料金についてのお尋ねであります。
 御提案のワンコイン五百円定額制による移動コストの引下げにつきましては、高速道路への過度な交通集中と渋滞を引き起こすおそれや、鉄道、航空、フェリーなどのほかの交通機関への影響、維持管理費への影響、道路債務の返済への影響などもあることから、慎重に考える必要があると考えておりますが、高速道路の渋滞対策や観光を含む地域活性化等の観点から、混雑に応じた柔軟な料金体系の転換に取り組んでまいります。
 暗号資産についてのお尋ねであります。
 御指摘のように、暗号資産を税法上、上場株式等と同様に扱うことにつきましては、給与等の所得には最大五五%の税率が適用されます一方、暗号資産による所得には二〇%の税率を適用することに国民の御理解が得られるか、家計が暗号資産を購入することを、国として、投資家保護規制が整備されている株式や投資信託のように推奨することは妥当なのかなどの課題があり、丁寧な検討が必要と考えております。
 また、暗号資産をETFの対象とすることにつきましては、暗号資産を国民にとって投資を容易にすることが必要な資産とすべきかどうかを踏まえ、検討する必要があると考えております。
 次期エネルギー基本計画における原子力の位置づけについてであります。
 AI時代の電力需要増加が見込まれる中、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を高めることが重要であります。
 そのため、省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを拡大するとともに、安全性の確保を大前提とした原子力発電を利活用することも必要であります。
 そのため、省エネルギーを徹底し再生可能エネルギーをということはただいま申し上げたとおりでございますが、再生可能エネルギーか原子力かという議論ではなく、利用可能な脱炭素電源は適切に活用していくという考えで、次期エネルギー基本計画について国の審議会で検討をいたしてまいります。
 能動的サイバー防御についてであります。
 我が国のサイバー対応能力の向上は、現在の安全保障環境に鑑みますと、ますます急を要する課題と認識をいたしております。
 能動的サイバー防御の実現に向けた法制度の整備につきましては、十一月二十九日に有識者会議から提言をいただいたところであり、この提言を踏まえて、可能な限り早期に法案としてお示しできますよう、検討を更に加速いたしてまいります。
 水田活用の直接支払交付金の水張り要件、農業の所得補償、食料自給率目標についてのお尋ねを頂戴いたしました。
 食料安全保障を確保するため、水田農業を始め農業経営の安定を図り、食料自給率、そして食料自給力を高めることが重要であります。このため、水を張る機能を有する水田を確保することも必要なことと考えております。
 今後、新たな食料・農業・農村基本計画の策定や令和九年度に向けた水田政策の在り方の検討の中で、農業者の支援の在り方など、議員御指摘の点も含め、議論を深めてまいります。
 外国人による土地等の取得、利用の規制についてであります。
 重要土地等調査法は、国会や地方議会等での長年の議論を踏まえ、我が国の安全保障等の観点から、重要施設周辺と国境離島等を対象として成立したものであり、まずは、これらの地域における土地等の所有、利用状況について、外国人によるものも含めて実態把握を進めているところであります。
 その上で、同法には、施行後五年を経過した時点での見直し規定も置かれているところから、法の執行状況や安全保障をめぐる国内外の情勢などを見極めた上で、更なる対応の在り方について検討してまいりたいと存じます。
 日本製鉄のUSスチール買収及び自由で公平な市場環境の確保についてであります。
 御指摘の日本製鉄のUSスチール買収に関する報道は承知をいたしておりますが、個別の企業の経営に関わる事項でございますので、コメントは差し控えます。
 自由で公平な市場環境を確保することは、民間企業が安心して事業活動を営む上で非常に重要であります。ルールに基づく、自由で開かれた、公正で透明性のある貿易・投資環境を維持強化していかねばならないという認識の下、米国を始め各国政府等とよく意思疎通を図っていく考えであります。
 日米宇宙協力に対する政府効率化省の活動の影響についてのお尋ねを頂戴いたしました。
 持続的な月面探査を目指すアルテミス計画は、日米両国において、人類の活動領域の拡大への貢献や、イノベーションの促進、産業発展に寄与するものであり、有人の月面探査車の提供、日本人宇宙飛行士の月面着陸の実現は、日米宇宙協力の重要な柱であると認識をいたしております。
 米国新政権における政府効率化省の活動内容については、政権発足に向けて検討が進められていくものと考えておりますが、御指摘のとおり、その活動に注視をいたしてまいります。あわせまして、米国航空宇宙局を始め、様々なルートによる意思疎通を通じて、日米宇宙協力を円滑に実施できるよう取り組んでまいります。
 憲法改正についてのお尋ねがございました。
 内閣総理大臣の立場からは憲法改正についての議論の進め方等について直接申し上げることは差し控えますが、憲法改正を党是とする自由民主党の総裁としてあえて申し上げれば、政局にとらわれない、与野党協調の下での憲法議論を重視された中山太郎先生のお考えは、大変に貴重なものであったと私自身記憶をいたしておりますし、中山先生の下で議論に参画をしたときのことをよく覚えているところでございます。
 憲法審査会におきましては、これまでも長年にわたり様々な議論が行われてきたところであり、これらの積み重ねの下に建設的な議論が行われ、国民的な議論を深めていただくことを期待いたしております。
 自民党におきましては、憲法改正の条文案の起草に向けた議論が行われており、本年九月には、自衛隊の明記についても論点整理が行われたところであります。この議論は、総裁として私も引き継いでいく考えであります。
 政治改革の取組についてお尋ねを頂戴いたしました。
 我が党におきましては、政治資金に関する諸課題の改革に向けて、既に各党との協議を開始いたしております。政策活動費の廃止や、所属国会議員が起訴された場合における当該議員分の政党交付金の交付停止など、基本的な問題意識は御党とも共有しているところと認識をいたしております。
 政治資金のキャッシュレス化についても御意見を頂戴いたしました。
 政治資金規正法第一条は、その目的として、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにすると規定していることを踏まえ、我が党からも、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築を提案いたしております。
 政治資金の透明性の向上は重要であり、その具体的方策につきましては、引き続き真摯に議論を行ってまいります。
 議員御指摘のとおり、国民からの信頼なくして政治の安定はございません。そして、政治の安定なくして政策の推進もございません。国民の政治に対する信頼を取り戻すため、党派を超えて真摯に政治改革の議論を進め、責任を持って結論をお示しする必要があると考えており、私も誠心誠意尽力をしてまいる所存であります。
 以上でございます。(拍手)
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発言情報

speech_id: 121605254X00320241202_017

発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2024-12-02

院: 衆議院

会議名: 本会議