石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 斉藤鉄夫公明党代表の御質問にお答えをいたします。
政治改革の決意についてお尋ねを頂戴いたしました。
政治資金や調査研究広報滞在費に関するルールの在り方につきましては、既に、政治改革に関する各党協議会や衆参の調査研究広報滞在費に関する協議会において御議論をいただいております。
このため、政府としてお答えをすることは差し控えますが、総裁としてあえて申し上げれば、我が党としても、政策活動費の廃止、調査研究広報滞在費の使途公開及び残金返納、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築など、政治資金に関する諸課題の改革のための議論を率先して進めてまいる決意でございます。
御指摘の政治資金に関する第三者機関につきましては、その在り方について丁寧に議論を進める所存であり、企業・団体献金の在り方につきましても、各党各会派との真摯な議論を開始しております。
国民の政治に対する信頼を取り戻すため、これらの様々な課題について、党派を超えて議論し、年内に必要な法整備も含めて結論をお示しする必要があると考えており、誠心誠意尽力をいたしてまいります。
国際標準化による日本経済の成長戦略についてお尋ねを頂戴いたしました。
御指摘のとおり、グローバルに産業構造が変化する中、日本の強みとなる技術の国際標準化は国際競争に勝ち抜くために不可欠であり、日本経済の成長戦略として重要であります。水素電車のお話は、極めて感銘深く拝聴いたしました。同じく鉄道を趣味とする者として大変に感銘深かったところでございます。
このため、官民の取組を抜本強化するための戦略を来春目途に策定をいたします。その中で、国際標準化の取組を強力に進める司令塔機能の強化、国際標準提案を検討する国際機関での日本のプレゼンス維持拡大、官民連携して、日本提案の立案や国際的な理解獲得を図る取組の強化、これらの鍵を握る人材育成、企業経営の強化等を戦略的に進めてまいります。
AI・半導体産業基盤強化フレームの検討状況と地域経済への波及効果についてであります。
AI、半導体への投資は、ほかのあらゆる産業の発展やGX等の社会課題解決に不可欠であり、地域の中小企業も含めて、幅広い波及効果を有します。
このため、各地でのAI、半導体への投資を促進するとともに、人材育成やインフラの整備等も同時に進めることで、地域への波及効果を着実なものとしていくことが重要であります。
先日閣議決定をいたしました総合経済対策に、民間事業者の予見可能性を高める観点から、七年で十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームを盛り込んでおります。これにより、今後十年間で五十兆円を超える官民投資を誘発し、また、半導体生産等に伴う約百六十兆円の経済波及効果を実現することを目指しております。
具体的にどのような投資を支援対象とするかは、事業者からの計画申請などを踏まえ、決定してまいる予定でございます。
こうした支援を実施するために必要な法案を可能な限り早期に国会に提出するべく、検討を加速いたします。
中小企業の持続的な賃上げとその原資確保に向けた取組についてであります。
中小企業の皆様方が確かにもうかり、物価上昇に負けない賃上げをしていただけますよう、生産性の向上や円滑かつ迅速な価格転嫁をより一層推し進めていくことが極めて重要であります。
このため、政府として、多様な中小企業のニーズに寄り添い、省力化、デジタル化投資の促進や、リスキリング支援、経営基盤の強化、成長のための支援などを充実させてまいります。
更なる価格転嫁、取引適正化の促進に向けて、毎年三月と九月の価格交渉促進月間における発注企業の価格交渉、価格転嫁の状況の公表や、事業所管大臣名での指導助言、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知徹底などを粘り強く継続いたしてまいります。新たな商慣習として、サプライチェーン全体で価格転嫁、取引適正化を定着させるよう、下請法改正の検討も進めてまいります。
いわゆる年収の壁への対応と中間所得層への物価高対策についてであります。
社会保険の適用に関するいわゆる年収の壁につきましては、当面の対応として、年収の壁・支援強化パッケージの活用に取り組んでまいります。
加えて、制度的な対応につきましては、現在、次期年金制度改正に向けて議論を行っているところであり、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用者保険の更なる適用拡大など、関係者間で丁寧に議論を進め、成案を得るべく努力をいたしてまいります。
また、今般の経済対策におきましては、物価高により厳しい状況にある方々を支援するため、地方公共団体が、地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援のほか、新たに厳冬期の灯油支援も行うようにいたします。
あわせて、御家庭の電力使用量の最も大きい一月から三月の冬期の電気・ガス代を支援し、二人以上世帯の平均で電気、ガス合計で月千三百円程度の負担軽減を行うなど、中間所得層を含め、様々な物価高対策を講じることといたしております。
高齢者の就労支援と在職老齢年金制度についてのお尋ねを頂戴いたしました。
高齢者の就労支援につきましては、ハローワークの専門窓口において、求職者の就労経験等を踏まえて再就職支援を行うなど、丁寧な支援に取り組んでおります。御指摘をいただきましたハローワーク墨田におきましては、課題解決型、伴走型の支援モデル事業を行っており、障害をお持ちの方に繰り返し面接を行って就職につなげた例もあるというふうに伺いました。そうした中で得られた好事例を全国に広く展開をしながら、引き続き、高齢者の方々の就労支援に取り組んでまいります。
公的年金制度につきましては、現在、次期年金制度改正に向けて議論を行っておるところであり、働き方に中立的な制度を構築する観点から、在職老齢年金制度の見直しにつきましても、関係者間で丁寧に議論を進め、成案を得るべく努力をいたしてまいります。
次期年金制度改正についてでありますが、基礎年金は、所得の多寡にかかわらず一定の年金額を保障する所得再分配機能を有するものであり、その機能を将来にわたって維持していくことが重要であります。
現在、次期年金制度改正に向けて議論を行っているところであり、高齢期の所得保障や年金制度の所得再分配機能強化といった観点から、安定的な財源を確保しつつ、基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整を早期に終了するなどの論点について、関係者間で丁寧に議論を進め、成案を得るべく努力をいたしてまいります。
教育費負担の軽減についてでありますが、高等教育費については、本年度から、授業料等の減額等の対象を多子世帯の中間層等に拡充し、令和七年度から、無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、まずはこうした拡充を着実に実施に移し、その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ取り組んでまいります。
御指摘の高校段階の支援につきましては、所得制限を設けることで捻出した財源により、低所得世帯への支援を拡充してきたところでございます。教育の機会均等という要請の中で、どこまで家計の負担軽減を図るべきかということにつきましては、引き続き考えるべき課題と考えております。
これらを考える際には、子供、子育て加速化プランにおいて、児童手当の抜本的拡充や先ほど申し上げた高等教育費の負担軽減を進めているところであるなど、家計を支援する様々な施策を総合的に考慮する必要もあると考えております。
このほか、文化芸術の担い手につきましても、アーティストなどの育成プログラムの構築、無形文化財や文化財保存に必要な技術の伝承への支援等を通じて、若者が自分の強みを生かすことができるよう、御指摘を踏まえて取り組んでまいります。
避難所の環境改善についてお尋ねをいただきました。
我が国は世界有数の災害発生国ですが、いかなる地域で災害が発生したとしても、被災者の方々を苦難の中に置き続けるということがあっては決してなりません。
発災後、不安にさいなまれる被災者の方々に対し、避難所で、温かい食事、清潔なトイレ、安眠できるベッド、プライバシーを守るためのパーティション等を速やかに提供することが大切であります。そのためには、平時から、全ての避難所でスフィア基準を満たすことができるよう、十分な備えをしておく必要があります。絶望のふちにあり、心が折れそうになっておられる方々に最も温かい支援をするということは当然のことだと私は認識をいたしております。
このため、今般の経済対策におきましては、避難所の生活環境の改善に資する自治体の先進的な取組を新地方創生交付金の活用により支援する枠組みを創設することといたしております。
また、避難所となる公立小中学校の体育館への空調設備につきましては、御党の提言も踏まえ、新たに臨時特例交付金を創設し、整備のペースを二倍に加速することといたしております。
防災庁の設置に向けた準備も着実に進めつつ、関係省庁等が緊密に連携し、縦割りを排除し、避難所の環境改善を始めとする防災対策を強力に進めてまいります。
核廃絶に向けた取組についてのお尋ねをいただきました。
我が国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩んでまいりました。核兵器のない世界に向けた国際社会の取組を主導することは、唯一の戦争被爆国である我が国の使命であります。
現地時間昨二日、我が国が国連総会に提出しておりました核兵器廃絶決議案が、核兵器国の米英を含む百五十二か国の支持を得て採択をされました。
一方で、我が国周辺では、核・ミサイル戦力を含む軍備増強が急速に進展するなど、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面いたしております。
御指摘の核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約でありますが、この条約には核兵器国は一国も参加しておらず、いまだその出口に至る道筋は立っていないのが現状であります。これまでの締約国会合でのオブザーバー参加の例について、検証が必要であると考えております。
こうした中で、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を参加させるよう努力していかねばなりません。NPT体制は、核兵器国、非核兵器国が広く参加する唯一の、核兵器のない世界に向けた普遍的な取組であります。
政府といたしましては、抑止力を維持強化し、安全保障上の脅威に適切に対処していくとの大前提に立ちつつ、NPT体制を維持強化し、核軍縮に向けた国際社会の機運を改めて高め、核兵器のない世界に向けた現実的かつ実践的な取組を維持強化してまいります。
一昨年、広島市のリニューアルされました原爆資料館を訪問させていただきました。改めて、核兵器の悲惨さに胸が詰まる思いがいたしたところであります。公明党の皆様方には、その際も大変お世話さまに相なりました。核兵器の悲惨さというものを常にリマインドしていかねばならない思いに一切変わりはございません。
今回の外国訪問の成果、今後の日米、日中、日韓関係についてのお尋ねを頂戴いたしました。
今回の外国訪問では、ペルーでAPEC首脳会談、ブラジルでG20サミット、その間にペルー公式訪問を行ったところであります。
APEC首脳会合では、アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に努めていく決意を表明いたしました。特に、自由で開かれた貿易・投資環境の重要性とその実現には、WTOを中核とする多角的貿易体制の維持強化が不可欠であると強調いたしました。
G20では、議長国ブラジルが最重視する飢餓と貧困に対するグローバルアライアンスに積極的に参加する旨を表明いたしました。また、気候変動、エネルギー移行、環境、防災などの課題に共に取り組む方針を強調したほか、全ての国が責任を共有するグローバルガバナンスの構築を強く訴え、首脳宣言にも共通の責任の共有が盛り込まれたところであります。
さらに、これら二つの会議を通じ、法の支配に基づく国際秩序の重要性を強調いたしました。特に、ロシアによるウクライナ侵略と中東情勢について、日本の立場を明確に申し述べたところであります。
ペルーの公式訪問では、ボルアルテ大統領と共同声明及び今後十年間を見据えたロードマップを発出し、日本・ペルー関係の進展に向けた指針を示しました。ブラジルのルーラ大統領とも、来年の外交関係樹立百三十周年に向けて、協力の強化で一致をいたしました。さらに、ペルー、ブラジルの日系人の方々とお会いし、連携強化も表明をいたしました。
アメリカ合衆国バイデン大統領とは、今後とも揺るぎない日米同盟を更に発展させていくことで一致をいたしました。日米安全保障体制は、我が国の外交、安全保障政策の基軸であります。トランプ次期大統領とも率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、同盟を更なる高みに引き上げていく考えであります。
中国の習近平国家主席とは、中国の安定的発展が地域全体の利益となるよう、戦略的互恵関係の包括的推進、建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性に基づき、今後も、首脳間を含むあらゆるレベルで中国との意思疎通を図ってまいります。
韓国の尹大統領とは、来年、日韓国交正常化六十周年を迎える中、日韓関係を未来に向けて更に飛躍させていくことで一致をいたしました。大幅に改善した日韓関係を幅広い分野で包括的に更に発展させてまいります。
森林整備についてお尋ねをいただきました。
我が国の森林は、今まさに利用期にあり、伐採の伐という字を書きますが、「伐って、使って、植えて、育てる」という森林資源の循環利用を図ることが重要であります。
このため、斉藤議員からも御指摘があるように、若者を含めた林業の担い手の育成、確保、林業の生産性向上に向けた森林の集積、集約化、高性能林業機械の導入や路網整備、地域材の付加価値を高める加工流通施設の整備、強度に優れたCLTの技術開発、普及による中高層建築物への国産木材利用の促進など、川上から川下まで総合的な取組を進めてまいります。
我が国における鳥獣被害は大変深刻であると認識をいたしております。秋田におけますスーパーへの熊の侵入等々、国民の問題意識も非常に高まっており、極めて深刻であることを認識の下、侵入防止柵と併せた緩衝帯の確保等の鳥獣害対策を進めますほか、生態系、生物多様性の保全にも配慮した多様な森林づくりにも取り組んでまいります。
森林資源の循環利用は、環境と地域経済を両立させ、新たな雇用を生み出すものとも言えます。地域の貴重な資源である森林を活用した地方創生、地域活性化の取組を後押ししてまいります。
残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣中野洋昌君登壇〕