石破茂の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(石破茂君) 三木圭恵議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、経済対策についてでございます。
 我が国経済は、コストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にあるということは申し上げておるとおりでございますが、今回の経済対策、補正予算は、この移行を確実なものとすることを目指して、必要な施策を積み上げた結果、昨年を上回る規模となったものでございます。
 私が昨年を上回る規模と申し上げましたのは、三年間の岸田内閣の取組により、デフレ脱却に向けた歩みは着実に進み、高付加価値創出型経済への移行のチャンスを迎える中で、これを確実なものとするためには、岸田内閣が講じてきた昨年を上回る規模が必要だ、このようなめどとして申し上げたものでございます。
 あわせまして、必要な施策を積み上げると申し上げてまいりましたように、今回の経済対策はまさに必要な施策を積み上げた結果でございまして、規模ありきとの批判は当たらないということでございます。
 他方、御指摘のとおり、我が国の財政は極めて厳しい状況にあり、経済成長に必要な政策は行いつつも、予算の重点化、財政支出の効率化といった改革努力を同時に進めていくことは当然重要なものでございます。
 引き続きまして、経済あっての財政との考え方の下で、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強い、強靱な経済、財政をつくらねばならないと考えておるところでございます。
 歳出削減と行財政改革についてであります。
 経済財政運営の推進に当たりましては、デフレを脱却し、経済あっての財政との考え方に立ち、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政をつくることが重要であります。
 その上で、行政運営が経済社会の変化に応じてその時々の重要課題に的確に対応していくため、行政サービスの水準を維持しつつ、いかにして行政を効率化できるかに留意しながら、引き続き歳出改革を含めた行財政改革を徹底してまいります。
 令和六年度補正予算における基金の緊要性でございますが、今回の補正予算における基金規模につきましては、いずれも、各年度の所要額を見込み難いといった基金の要件を満たした上で、経済対策に掲げられた柱に基づく施策を迅速かつ効率的に実施するために、今年度中の基金設置法人への予算措置が真に必要なものに限って計上いたしております。緊要性を満たすものであると考えておるところでございます。
 なお、議員御指摘の宇宙戦略基金について申し上げますれば、宇宙分野は、諸外国の積極的な投資の下、技術も急速に発展し、低コストかつ高頻度な打ち上げや、社会経済に変革をもたらす衛星の開発など、熾烈な競争が繰り広げられている分野であり、国際市場の獲得、国際競争力の強化等の観点から、迅速な支援が必要であると考えております。そうした中で、既に採択済み、あるいは採択予定の各プロジェクトの資金需要のめどが、昨年度に同基金に措置した予算額に見合う規模に達しているので、今後、新たなプロジェクトを速やかに採択できるよう、補正予算で措置をすることといたしたものでございます。
 令和四年度補正予算についてお尋ねを頂戴しました。
 会計検査院の決算検査報告につきましては、厳粛かつ真摯に受け止めねばならないものでございます。全府省庁におきまして、事務事業の在り方の見直しや適正な会計処理の徹底など、検査報告事項の確実な改善に努めることで、行政に対する国民の信頼を取り戻していくことが重要である、このように考えております。
 検査報告で取り上げられた令和四年度補正予算につきましては、繰越しや不用が多かったとの指摘がありました。これは、新型コロナの感染拡大や物価高騰の見通しが困難な事情などがある中で、予期せぬ事態に対して万全を期すために必要な予算を措置した上に、地方公共団体や事業者からの申請を受けて支出する事業が多かったことが要因と考えられます。令和四年度補正予算につきましては、当時、国民の命と暮らしを守り抜く観点から判断されたものであった、かように考えておるところでございます。
 最低賃金の引上げについてであります。
 最低賃金につきましては、政権として、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けることといたしております。
 その第一歩として、先日、政労使の意見交換を開催し、最低賃金を引き上げていくための対応策を来春までに取りまとめるよう、関係閣僚に指示をいたしました。
 御指摘のように、最低賃金の引上げによって失業が増加するなど、労働者の生活が苦しくなってしまっては、これは元も子もございません。この考え方は、今までもこれからも変わりません。当然のことであります。
 賃上げの原資となります企業の稼ぐ力を継続的に高めますため、持続的、構造的賃上げに向けた価格転嫁などの取引適正化の推進、省力化、デジタル化投資の促進、人への投資の促進及び中堅・中小企業の経営基盤の強化、成長の支援といった生産性を向上させるための支援策、下請法の改正などについて、更に具体化をいたしてまいります。
 いわゆる百六万円の壁への対応についてお尋ねを頂戴いたしました。
 現在、次期年金制度改正に向け、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用者保険の適用拡大などについて議論を進めています。御指摘の百六万円の賃金要件につきましては、近年の最低賃金の引上げに伴い、週二十時間という労働時間要件を満たせば、既にこの賃金要件を満たす地域や事業所が増えていることも踏まえまして、検討が行われているものと承知をいたしております。
 また、関係審議会におきましては、適用拡大の対象となる事業所の事務負担の増加や経営への影響などを考慮し、円滑な適用を進められる環境整備を行う観点から、事業主の負担増への配慮措置として、様々な支援や周知、広報などを行うことについても議論されております。
 事業主の負担が激変しないような仕組みにつきましては、事務負担上難しい面もあろうかと考えておりますが、引き続き関係者間で丁寧に議論を進め、被用者保険の適用拡大などにつきまして成案を得るべく努力をいたしてまいります。
 在職老齢年金制度についてのお尋ねを頂戴いたしました。
 公的年金制度の見直しにつきましては、在職老齢年金制度の在り方を含め、現在、社会保障審議会年金部会で議論を行っておるところであり、働き方に中立的な制度を構築する観点から、関係者間で丁寧に議論を進め、成案を得るべく努力をいたしてまいります。
 物価高対策の給付金についてでありますが、今般の経済対策におきましては、特に物価高の影響を受ける低所得者の方々を支援する趣旨で、住民税非課税世帯を対象に給付を行うことといたしております。この中には、金融資産の多い方々も一部含まれるものと承知はいたしておりますが、迅速に支援を届けるとともに、給付事務を担う地方公共団体の負担を軽減するとの観点から、住民税非課税世帯を対象としたものでございます。
 現役世代を含む住民税非課税世帯以外の方々に対しましては、重点支援地方交付金を活用して地方公共団体が行う物価高対策や賃上げを支援する施策など、様々な物価高対策を講じることにより、必要な支援を行うことといたしております。
 物価高対策につきましてであります。
 引き続きでお答えをいたしますが、国民の皆様の暮らしが豊かになったと感じていただきますためには、現在や将来の賃金、所得が増えていくということが必要であります。そのために、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現するまでの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要となります。
 具体的には、今般の経済対策におきまして、地方公共団体が、地域の実情に応じまして、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援のほか、新たに、厳冬期の灯油支援も行えるようにいたしております。また、御家庭の電力使用量が最も大きい一月から三月の冬期の電気・ガス代を支援し、二人以上世帯の平均で電気・ガス代の合計で月千三百円程度の負担軽減を行うことといたしております。さらに、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯の方々に対する給付金の支援などの施策を盛り込んでおるところでございます。
 三木議員から御指摘をいただきました消費税につきましては、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加します中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられておりますことから、政府として、その引下げを行うことは適当ではないと考えております。
 また、社会保障料の減免についてでありますが、社会保険制度が、制度に加入する被用者を保障するための費用を事業主と被用者全体が納める保険料によって支え合う制度であり、年金や医療などの給付に必要な財源を社会保険料という形で徴収しております以上、これを単に減免するということは、社会保障制度の持続可能性の観点から課題があり、結果的には将来世代に負担を先送りすることにほかならない、そのようなことから、慎重な検討が必要であると考えております。
 公的年金の給付水準と公的年金への課税についてでございます。
 公的年金の基礎年金は、老後生活の全てを賄うものではなく、現役世代に構築した生活基盤や貯蓄などとの組合せで老後を過ごすという考え方で設計されておるものでございます。その上で、所得や年金額の低い高齢者の方々には、年金だけではなく社会保障全体での支援が重要であり、年金生活者支援給付金などにより、できる限り暮らしが安定しますよう、引き続き支援をいたしてまいります。
 また、遺族年金は発生が予期できないリスクへの給付として非課税とされる一方で、老齢年金は、いずれ訪れる老齢への備えとして一種の貯蓄的な性格を有していることなどを総合的に勘案して課税とされているものだと認識をいたしております。
 その上で、老齢年金に関しましては、税法上、公的年金等控除が設けられており、老齢年金受給者に対しても一定の配慮がなされている、かように考えておる次第でございます。
 給付つき税額控除についてのお尋ねを頂戴しました。
 給付つき税額控除につきましては、財源確保という課題に加えまして、企業や地方自治体の事務負担、現行制度では把握していない非納税者などの所得や世帯所得の正確な把握、所得は低いが資産を多く持っておられる場合の取扱い、生活保護など、ほかの低所得者支援制度との関係を十分に整理する必要がある等々の課題が考えられておりますため、その導入は慎重な検討が必要であると考えております。
 ガソリン税についてでございます。
 今般の経済対策では、自由民主党、公明党、国民民主党の三党間での合意を踏まえ、いわゆる暫定税率の廃止を含むガソリン減税につきましては、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し結論を得る、これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得るとの記述を盛り込んだところでございます。
 こうした方針に沿って、自動車関係諸税全体の見直しに向けて、各党の税制調査会長間で議論を深めていくものと考えております。
 ガソリン税などの個別間接税を含めた価格に消費税を課す取扱いは、EU域内や主要国におきましても同様の取扱いがなされているものでございます。
 原子力発電所の運転期間延長と次世代革新炉への建て替えにおける責任の明確化についてでございます。
 原子力発電所の運転期間延長につきましては、昨年成立したGX脱炭素電源法により、事業者から見て他律的な要素によって停止していた期間に限って、六十年の運転期間のカウントから除外することを認めることといたしております。一方で、高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格な審査を行い、基準適合性が確認できなければ運転は認められないとの大前提は、何ら変わるものではございません。
 次世代革新炉への建て替えにつきましては、昨年七月に閣議決定いたしましたGX推進戦略におきまして、原子炉の安全性向上を目指し、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発、建設に取り組むことといたしております。
 原子力発電所の活用に当たり、国、自治体、事業者、それぞれの責任につきましては、地元の御理解が重要である中で、各地域の事情は様々であり、国が一方的、一律に進め方を決めるのではなく、地域ごとに丁寧に御相談をいたした上で対応することが必要、このように考えております。
 高校の授業料無償化についてであります。
 高校段階の修学支援につきましては、所得制限を設けることで捻出した財源により低所得世帯への支援を拡充してきたところであり、このような基盤となる国の制度と、地域の実情を踏まえて地方自治体が上乗せして実施する支援が一体となって行えることが適切と考えております。
 教育の機会均等という要請の中で、高校進学率が九九%に達する現状におきまして、どこまで家計の負担軽減を図るべきかということにつきましては、引き続き考えるべき課題であると考えております。その際、子供、子育て加速化プランにおきまして児童手当の抜本的拡充や高等教育費の負担軽減を進めているところであるなど、家計を支援する様々な施策を総合的に考慮する必要がある、このように考えておるところでございます。
 以上であります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
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発言情報

speech_id: 121605254X00520241209_013

発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2024-12-09

院: 衆議院

会議名: 本会議