ケビン・メアの発言 (安全保障委員会)
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○メア参考人 おはようございます。
まず、委員会でお話しできて大変光栄だと感じます。
私がまず強調したいのは、元々アメリカ政府の者でしたけれども、今は全くそうではなくて、これから話す意見は私個人の意見です。アメリカ政府の代弁は全くできないけれども、話したいことは、まず、どういうふうに日米同盟が冷戦時代から今まで進展しているか、アメリカの目から見るとどうやって進展しているか、同時に、アメリカ政府の日本に対しての安全保障上の期待がどういうふうに変化しているかを説明したい。そして、最後に、現在の運用上の話題に少し触れたいと考えています。
私が初めて在日アメリカ大使館で働いた一九八〇年代は、ちょうど冷戦時代でした。冷戦の最後の十年間、私は大使館の安保部で働いて、そのときの日米安全保障関係は、単純に言えば、アメリカからはすごく限られた期待しかなかった。なぜかというと、御存じだと思うけれども、その体制は、主に言われたことは、日本の役割は盾、米軍の役割はやりという役割。日本が自国の防衛しかできない、憲法九条の制限がありましたから。日本が直接攻撃されていなかったら、アメリカが日本の領土外で、水域外で攻撃されたら日本がアメリカを助けるという期待は全くありませんでした、現実的に考えて。
そして、それが幸い、今までに終わった。いろいろ理由があったけれども、主に日本に対する世界中の脅威が変わっていったから、日本の考え方がちょっと変わったと私は印象を受けた。
ドイツのベルリンの壁が破壊されて冷戦時代が終わって、そして湾岸戦争が一九八九年、九〇年に発生して、そのときもアメリカ政府は、日本の自衛隊が湾岸戦争に軍事的に関与する期待はありませんでした。日本はすごく有意義な金融的な貢献をしたけれども、人を出すことができなかった。
湾岸戦争が終わったときに、そのときの有力な代議士の渡辺美智雄が冗談を言っていた。アメリカ人と日本人とイギリス人が歩いていて、近所の知り合いの家が火事になったのを見て、アメリカ人がバケツで水を運んで戦った。イギリス人が見て、ああ、私も一緒に戦おう。そして日本人が、おまえたちが火事と戦って、私は後で料金を出しますから大丈夫です。日本に何を防衛の面で期待できるかは、そういうふうな形でした。
でも、その後、PKO法を出して、日本事態法が導入されて、渡辺美智雄が言っていた冗談、そういう時代では全くなくなりました。でも、日本の周辺事態法の政策が、アメリカの目から見ると重要だと歓迎したけれども、主に後方支援に限られたから、共同作戦、合同作戦ができるようになっていないとアメリカ政府が分かっていたので、日本に対するそんなに高い運用上の期待はありませんでした。
次の節目は、二〇〇一年の九月十一日のテロ攻撃があって、その後で初めて日本が自衛隊をイラクに派遣したとき。でも、何の役割をできるかはすごく限られた。イラクの国の再建とか、ルール・オブ・エンゲージメントがすごく厳しくて、一緒に戦うという期待も全然なかった。なぜかというと、御存じのように、集団的自衛権を行使できないという基本的な政策でした。
そして、二〇〇五、六年に2プラス2の会議で、日米安全保障、将来の再編と変革という報告をしました。その中で重要なところは、もちろん米軍再編があって、在日米軍の基地の負担を削減するための米軍再編、大規模な計画も両政府が合意して、同時に、役割、任務、能力をどうやって分かち合おうかという話が始まった。でも、まだいろいろな制限がありました。なぜかというと、日本がまだ集団的自衛権を行使できなかった時代でしたので。
そして、私の目から日本の安全保障上の政策の一番大きい変更があったことは、二〇一四年の集団的自衛権を行使できるようになった決断でした。すごく大きかった。集団的自衛権を行使できるようになって、ワシントンで日本に対する考え方は基本的に変わりました。一緒に戦う、チームディフェンスもできるようになったんじゃないかという意見がすごく普通になりました。それで、中国が台頭しているから、北朝鮮の脅威が激しくなっているから、これからどうやって日米安全保障の面でもっと効率的に協力できるかという考え方になりました。
私の解釈では、集団的自衛権ができるようになったということは、憲法第九条の解釈の変更ではなくて、ただ最小限の定義が重要でした。というと、私が知っている限り、日本の最高裁は何回も、どういう国であっても自衛権があるので、その自衛権の中で最小限の軍事力を使おう。私の解釈では、そういう制限は変わっていないと思います。
ただ、周りの安全保障環境がすごく激しくなったから、私が考えていることは、安倍総理はそのときに、日本が独自で対応できないから集団的自衛権が必要であると判断して政策が変わりました。とにかく中国の脅威が激しくなったから、アメリカ政府はその変更をすごく歓迎しました。
脅威がどういう変化をしているか、増えたか。もちろん中国が、南シナ海、東シナ海、南西諸島。地域的な脅威が激しくなった。北朝鮮もミサイルと核兵器の脅威が激しくなったし、ロシアの脅威もある。ウクライナの戦争が一つ示していることですけれども。
私は、前にたまに日本で講演するときに、日本の国民は日米防衛関係を誤解しているとよく言っていた。誤解しているところは、主な人が考えていた、アメリカが日本の防衛をすると思っている。それが誤解。安保体制の本当の意味は、アメリカが日本の防衛に寄与する。基本的に、日本の防衛をする義務は日本の自衛隊です。もちろんアメリカも日本の防衛をするけれども、第一責任は日本の自衛隊です。
十年前、十五年前にこの話をして、主に聞いている人が、ああ、そういえばそうかなと思うという返事があって、今は全くそう考えていないのは日本の国民はもう分かっていると思います。日本政府もよく分かっている。だからこそ、日本政府が二〇二二年十二月、岸田政権のときにNSS、国家安全保障戦略と防衛力整備計画を導入して、アメリカはすごく歓迎しました。
なぜかというと、日本が自分の防衛能力を向上している。具体的に進歩していたから。防衛省の五年間の防衛力整備計画の予算が四十三兆円と、前の五年と比べると五五%増やした。あと、GDP二%の防衛関連費用も増やすとか。
私個人として考えると、GDPの何%という議論はそんなに適当ではないかもしれない。一番重要なことは、どういう脅威があって、そういう脅威に対応できるようにどういう能力が必要かを判断して、そして、その能力はどのぐらいの予算が必要である。そして予算を決めるべきだと思う。
でも、現実的に考えると、二%とか三%の目標があれば、予算をつけることはある程度難しくなくなるかもしれない。今のトランプ政権はもっと増やすべきだという意見がもう出ているけれども、私は、GDP何%よりも、その能力の予算はどのぐらい必要かを計算する。それで始まって予算をつける方がいいと思います。
でも、日本だけではなく、ヨーロッパのNATOの各国も自分の防衛能力を増やさなくてはならないという圧力はアメリカではずっと前からあった。それはアメリカでは超党派の立場。共和党政権、民主党政権であっても、各同盟国に何回も防衛能力を増やしなさいと。そして、私は、もしNATOの方が防衛予算を増やして防衛能力を早く増やして、アメリカはもちろん、NATOの関与が続き、ウクライナが生き残るんだったら、負けないようにしたら、それは日本にとっていいことになると考えている。
なぜか。そういうふうになったら、アメリカはもっとアジアにフォーカスできる、集中できるようになる。米軍のプレゼンス、新しい基地を造るとかは考えていないけれども、ローテーションの形で、もっと米軍がヨーロッパからアジアにシフトできるんじゃないか。あと、サプライチェーン、供給網の問題も日本の方がもっとプライオリティーになるんじゃないかと私は考えている。
要するに、今、日本の政府が取っている道をこのまま続けるべきだと思います。次の五年間の防衛力整備計画であっても運用上の時間が限られている。これから日本とアメリカは、一緒に中国の挑発的行動に抑止と対処をするためにネットワーク性が必要だと思います。そして、合同作戦ができるようになるべきだ。もうある程度できるけれども、こういうふうに促進すべきでしょう。
まず、JJOC、日本の自衛隊の統合作戦司令部が設置されて、アメリカですごく歓迎されている。そして、まずの仕事は、各自衛隊が統合作戦ができるようにしなくてはならない。同時に、日本の自衛隊とUSINDOPACOMが合同作戦計画と合同作戦をできるような、訓練と能力を調整できるような窓口になる方がいいと私は考えています。
そのネットワーク性の必要性というと、中国と戦いになったら数で勝つことはできない。そして、ネットワーク性、日米、日米オーストラリア、日米フィリピン、日米韓国とかのネットワーク性で、軍事的な相乗効果があるから、それで中国を抑止できる。万が一中国と戦いになったら、勝つことができるネットワーク性と合同作戦がないと無理だと思います。
そして、これから日本政府が政策のレベルで決断しないとならないことを示すために、台湾海峡のシナリオを最後に少し触れたいと思います。
万が一、台湾海峡の戦争があったら、アメリカ政府は後方支援とロジスティクスの支援だけを期待しているわけないです。一番現実的なシナリオと考えていることは、中国が台湾を閉鎖しようとする。閉鎖したら、ブロッケージしたら、アメリカが反応することが期待できます。というのは、閉鎖を破壊するために。
具体的に、台湾に供給する必要があるので、貨物船と戦闘機と飛行機とトランスポートエアクラフト、船とかを出す。日本にとって決めなくてはならないことは、自衛隊も参加するかどうか。アメリカは期待していると思います。中国が台湾を閉鎖したときは、アメリカが反応して行動します。日本が何もやらないんだったら、すごくやばいと思います。日本政府にとって政治的に難しい判断だと思うんだけれども。
そして、次の段階で、中国が閉鎖だけじゃなくて直接台湾を攻撃したら、例えばアメリカがF35戦闘機を派遣して制空権を取るときに、日本のF35もネットワークと一緒に合同作戦できるかどうか。それは政治的に非常に難しい判断であると分かっています。日本の存立に脅威があるという判断をしないと今の政策ではできないことですけれども。
私は、安倍総理がおっしゃったように、台湾有事は日本の有事であるという発言はすごく正しいと思います。もし台湾海峡の有事になれば、日本が関与しないことは余り想像できません、具体的に運用上の面から見ると。そして、難しい政治的な判断になるので、今私が希望していることは、日本のJJOCとUSINDOPACOMが一緒に協力して、連携して合同作戦ができるように訓練するとか、それによって、そういう期待が正常なことであるというふうに考えられる方がいいと思います。まだそこまでいっていないけれども、これから重要な話題になると思います。
話が長くなりましたから、この辺で終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございます。(拍手)