マイク・モチヅキの発言 (安全保障委員会)
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○モチヅキ参考人 皆様おはようございます。ジョージ・ワシントン大学のマイク・モチヅキでございます。この委員会に参考人として招かれたことを光栄に思います。
時間が限られておりますので、私のトランプ政権の認識と、日本の外交、安全保障政策と、日米関係への影響に集中して話したいと思います。
三点申し上げたいことがあります。
まず、トランプの外交と安全保障政策の一般的な傾向についてです。二つ目は、トランプの中国政策に関する点です。特に、メアさんが話した台湾問題に関する点です。そして最後に、トランプ政権の日本との安全保障関係に関する姿勢について話したいと思います。
では、まず、トランプ政権の外交と安全保障政策に関する傾向について語りたいと思います。
トランプの外交、安全保障政策には多くの不確実性が存在しております。第二次トランプ政権の発足から約百二十五日が経過しましたが、具体的な政策に関する変動や矛盾が数多く見られます。これには多くの理由がありますが、重要な理由の一つは、トランプ政権内部において外交政策に関する意見の違いがあることです。
私は、トランプ政権内部には三つの異なる視点が存在すると考えます。
一つは、アメリカ優位主義者。英語で言えばアメリカンプライマシスト。それは、トランプのスローガン、メイク・アメリカ・グレート・アゲインを米国の世界における優位性、プライマシーを維持する手段とみなすネオコン、ネオコンサバティブ、保守派でございます。
第二の勢力は、優先主義者でございます。英語で言えばプライオリタイザー。このプライオリタイザーの考え方は、中東とヨーロッパからインド太平洋地域へ戦略的重点を移し、中国を封じ込めることを強調する勢力でございます。
最後には、抑制主義者です。英語で言えばリストレイナー。それは、海外での軍事的介入をできるだけ抑制したいと考える抑制派でございます。
トランプ大統領自身はこの三つの傾向を全て同時に示している印象があります。ですから、いろいろ矛盾な発言とか矛盾な行動を取っていると思います。
しかし、最近、ネオコンの影響力が低下しているように見えます。
トランプの外交政策について、多くの不確定要素がありますが、一つ確かなことがあります。それは、トランプ大統領が、一九一八年のウィルソン政権から始まったアメリカのいわゆるリベラル・インターナショナル・プロジェクトを打ち切ったことでございます。これはアメリカの歴史ですごい転換期を迎えていると思います。
そして、トランプ政権下では、世界におけるアメリカの価値観の促進に関心がありません。また、米国は、世界へ国際公共財を提供することについても関心がなくなったと思います。そして、トランプ大統領の任期終了後も、こういう流れ、アメリカ・ファーストという考え方が続くでしょう。アメリカが従来の世界での役割に当分戻らないと見ております。
次に、トランプ政権の対中国政策について話したいと思います。
トランプの極端な関税政策が示すように、トランプはアメリカが中国と激しく競争することを強調しております。しかし、同時に、彼は中国と軍事的衝突や戦争をできるだけ避けたいと思っております。
したがって、台湾問題に関して、バイデン大統領とは異なり、トランプは、中国が台湾を攻撃した場合、アメリカが台湾を守るかどうかを明確に表明しておりません。私から見れば、トランプは、台湾がアメリカの核心的利益、バイタルインタレストではないと考えており、台湾を防衛するために中国と直接戦うつもりは余りないと考えております。
台湾に対するこのような冷たいクールな態度は、日本にとって懸念材料になる可能性があるでしょう。しかし、私は、アメリカが台湾問題で中国との戦争を避ける姿勢は日本にとってよいことだと考えております。アメリカが台湾危機に直接軍事介入せず中国と戦争をしない場合、日本が台湾戦争に巻き込まれる可能性は低下するでしょう。
さらに、台湾をめぐる戦争を防止する方法を考える際、ロシア・ウクライナ戦争から正しい教訓を学ぶことが必要でございます。もちろん、ロシアはウクライナに対して侵略戦争をしかけた重い責任と罪があります。これにより、国際法と、武力行使により国境を変更してはならないという国際原則を否定し、破りました。しかし、同時に、アメリカと西側がロシアを挑発する役割を果たした点を認めることは重要でございます。
したがって、台湾問題に関しては、アメリカと日本、台湾は、中国を追い詰めるような行動を避けるよう注意すべきです。
戦争を防止するためには抑止力がもちろん重要でございます。メアさんはそのことを指摘しました。しかし、抑止力だけでは不十分でございます。アメリカ、日本、台湾は、中国との緊張を緩和し、戦争のリスクを軽減するために、積極的な外交を展開すべきでございます。
最後に、トランプ大統領の日本との安全保障関係に関する政策について述べたいと思います。
三月にヘグセス国防長官が日本を訪問した際、同長官は、日本の防衛に対する米国のコミットメントを再確認し、日本との防衛協力の強化を約束しました。しかし、トランプ大統領自身は日米同盟の現状について不満があります。トランプ政権はまだ東アジアに対する安全保障政策の見直しは行っていないが、日本に対して防衛費の増額を要求する可能性が高い。日米の防衛義務がもっと双務的になることを求める可能性もあります。
トランプ政権が韓国での軍事力の削減を検討しているという報道があるように、トランプは日本における米国の軍事力の削減も求めるかもしれません。このような政策は日本を不安にさせる可能性があります。しかし、長期的に見れば、このような政策の変更は日米同盟をより平等なものにし、日本の安全保障における米国の依存度を軽減するよい機会となると思います。
日本は自国の防衛にもっと責任を持つ必要があります。そして、日本は、核兵器や長距離攻撃用ミサイルを大量に取得することなく、専守防衛の枠組みを維持しながら自国の防衛は可能だと私は信じております。
さらに、トランプによる日米同盟の再構築政策は、沖縄の米軍基地の負担を軽減し、日米地位協定を改正する機会にもなると思います。
終わりに、二点を改めて強調したいと思います。
一つは、軍事的抑止力は重要ですが、不十分です。緊張緩和のための積極的外交は必要でございます。
二つ目は、日米友好関係を維持することは大事ですが、日本はもっと自立した、主体性がある外交を追求することはますます重要になります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)