村山武彦の発言 (環境委員会)
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○村山参考人 御紹介いただきました東京科学大学の村山と申します。よろしくお願いいたします。
今日は資料をお持ちをしておりますが、最初に略歴と最近の役職を挙げさせていただきました。中央環境審議会の委員を含めて、国内外の理事、会長を務めておりますが、今日は個人として意見を述べさせていただきます。
まず、今回の改正案についてですが、特に大きな問題はないと考えております。ただし、幾つか留意をしていただきたい点を挙げていますので、一ページの下に挙げております。
まず、建て替え事業を対象とした手続の見直しですが、審議会でも議論がありましたけれども、元々、事業の段階で配慮書が適切に作成をされているかという点が一つあるかと思います。審議会でも指摘されましたが、みなし複数案という形で、本来、配慮書では複数案を挙げるということが望ましいとされているわけですが、必ずしもそうなっていない。そういう段階で建て替えをするときに、しっかりとそういった点が考慮されているのかという点は確認をした方がいいと思っております。
さらに、報告書ということも、先ほど大塚参考人が指摘されましたように、前回の法改正で入ったわけですけれども、必ずしも供用段階で報告書が出ているものばかりではないということがあります。実際、例えば風力の事業が行われた段階で、どういった影響が出てきているか、それがしっかり確認をされているかどうかということもチェックをすべきだというふうに考えています。
さらに、数十年たって建て替えということが出てくるわけですが、場合によっては周辺の環境が変わっているということもあるかと思います。その点もしっかりと見定めた上で、次の段階のアセスに入るべきだろうというふうに考えています。
それから、アセス図書の継続公開についてですが、これは外国では既に事例がどんどん出てきているという状況です。アジアでも、韓国、中国、あるいはタイといった国でこういったことが進められている。
こういった図書が継続的に公開されるということについては、環境アセスメント学会でも取組を進めておりまして、環境調査室の資料の五十一ページから掲載をしていただいていますが、提言も出させていただいています。
活用可能性としては、島田参考人が御指摘されたように、特に大きな問題はない、むしろどんどん継続をして、今後の環境配慮に役立つということが期待をされるところです。既に自主的に公開されているものがありますが、部分的に秘匿される部分が出てきています。これは当然の部分もありますが、場合によっては少しそれが大きくなるという可能性もなくはないので、その点には配慮が必要だと考えています。
以上が今回の法改正案の主な点ということですが、残りの部分については、その他ということで発言をさせていただきます。
一つは、先ほど大塚参考人も最後に指摘をされた戦略的な環境アセスメントです。
これは、事業がしっかりと固まった段階でアセスをする、日本がこれまでやってきた事業レベルのアセスメントに加えて、もう少し前の段階でアセスメントを行っていくということがあります。これは、外国ではかなり実は広がってきています。
資料の二ページの上の方に世界地図を挙げさせていただきましたが、これは、アセスメントの世界でかなり先進的に進めているオランダの国の組織である環境アセスメント委員会というところが昨年出した報告書です。今日もお持ちをしました。五月の初めに国際影響評価学会というものがイタリアで開かれました。私もそこに参加をしてきましたが、この組織がそこでこの冊子を配付していたということです。
こちらに、最初の方に地図が出ておりますが、この地図は戦略的な環境アセスメントをそれぞれの国がどういうふうに進めているかということを示しているものです。ただし、残念ながら、日本は、この地図ではこのアセスメントを導入していないという国の一つになっています。世界的にはこういった国は非常に限られているという状況になりました。これについては、先ほども大塚参考人おっしゃったように、必ずしも、何もやっていないわけではないわけですけれども、なかなかそういった点が伝わらないし、制度として戦略的なアセスメントがまだ進められていないという事実はどうしてもあるということになります。
ほかの国々では、二ページの下から三ページの上の方に挙げさせていただきましたが、OECDの各国、OECDもだんだん拡大していますけれども、二〇〇〇年までに加盟をしている国々ではほぼ導入をしているという状況です。アジアの国々もこちらに挙げさせていただきましたように、どんどん導入が進んでいるという状況です。国内でも取組は進んでいますが、自治体レベル、さらには国レベルではガイドラインというものができてきています。ただ、ここ二十年の間どういった取組がされてきたかということについては、なかなか難しい、しっかりとその辺りは整理をする、精査をする必要があるというふうに考えています。
資料としてアメリカの状況、それから韓国の状況を挙げさせていただきました。アメリカは世界で初めて環境アセスメントを実施した国となっていますが、平均して大体年間二十件程度はこういったアセスメントを行っている。主に森林が比較的多いということになっていますが、ほかのいろいろな事業に、計画に対してもこういった戦略的なアセスメントが進められているという状況です。
こういった段階では、環境だけではなくて経済とか社会、いわゆる持続可能な発展と言われているこの三本柱についてしっかりと評価をするということが進められています。
さらに、韓国では二〇〇六年からこういった取組を本格的に進めているという状況があります。四ページの上の方に少し資料としてお示しをさせていただきましたが、韓国では、SEAと称して、政策、計画レベル、それから開発基本計画といった点についてアセスメントを進めています。ただし、このうち開発基本計画は、日本のアセスと比較をすると、ほぼ配慮書段階と同じレベルだろうというふうに言えます。ただし、政策、計画レベルについては、日本ではまだ取り組んでいないというところです。
今年の三月に韓国の環境省に伺う機会がありましたので、データを整理してグラフを示しましたが、日本に比べると相当の数のアセスメントを実施しているということが分かります。政策、計画レベルのアセスメントはこのうちの一部ということですけれども、少なくとも日本とは異なる形で拡大をして進めているということがあります。
こういった点を踏まえて、日本では、ガイドラインが出された二〇〇七年以降、どういった取組を進めてきたのか、そういうことをしっかりとレビューをするとともに、事例を積み重ねていくということが重要ではないかなと考えています。
そのほか、アセスメントに関する論点をこちらの方に挙げさせていただきました。時間があと一分程度ですので、簡単に示したいと思いますが、報告書については、これは事後的なモニタリングということになっています。ただ、必ずしも供用段階のモニタリングが十分されていないという点がありますので、この点については進めるべきだろうと。
それから、一つ飛んで、累積的な環境影響。これも、環境アセスメントは、それぞれ一つ一つの事業についてはしっかりとアセスメントしているわけですが、それが総体として、地域としてどういった影響をもたらしているかということについてはまだ十分把握できていないということがあります。これも外国では取組が進んでいますので、そういったことをレビューしながら日本として取り組むかということを検討する段階に来ているだろうというふうに考えています。
時間になりましたので、以上、報告とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)