早坂伸夫の発言 (経済産業委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○早坂参考人 ただいま御紹介いただきました、キオクシアの早坂でございます。
 本日は、この場をおかりして、現在審議されてございます情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、弊社キオクシアの立場から意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 本日は、口頭のみによる意見陳述ということにさせていただきまして、お手元に資料はございませんので、御了承願いたいというふうに思います。
 私は、まず初めに、この法案に賛成でございまして、法案の早期成立が日本の半導体産業の発展につながるということを心より願ってございます。
 まず、弊社の状況について簡単に御説明させていただきます。
 キオクシアは、データ保存用の半導体であるNANDフラッシュメモリーを主力製品としてございます。これらの製品は、スマートフォン、PC、データセンター等、様々な分野で不可欠なデバイスでございます。
 そもそも、NANDフラッシュメモリーというのは、一九八七年に、キオクシアの前身でございます東芝で発明されたものでございまして、それを世界に出し、世の中に普及させていったというものでございます。弊社は日本で唯一のフラッシュメモリーメーカーということになってございます。
 また、弊社は、開発、製造をほとんど日本でやっているということでございます。製造拠点は、三重県の四日市市と岩手県の北上市にあります。これらの工場は、米国のサンディスクと共同で運営をしております。
 四日市工場と北上工場を合わせた合計の生産量というのは、全世界に出ていくNANDフラッシュメモリーの三分の一をここで作っているということでございます。NANDフラッシュメモリーの需要は、AIによる需要拡大もございまして、二〇二三年から二八年、この五年間で二・七倍に需要が増えるというふうに見込まれています。
 こうした市場動向を背景に、弊社も政府の御支援を受けながら生産拠点の強化に努めております。具体的には、四日市工場の第七製造棟というものを増棟できたということ、それから、北上工場におきましては、新しく第二製造棟というものを今年の秋に稼働させるという予定でございます。
 しかしながら、一般的に、半導体産業は非常に急速な技術革新が必要であります。そして、この業界に参入しているプレーヤーが非常に多いということが、非常に厳しい国際的な競争というのに直面してございます。
 メモリー半導体は国内外を問わず多くのお客様に利用されていますが、キオクシアは、韓国のサムスン、SKハイニックス、米国のマイクロン、中国のYMTCといったグローバルな企業と、もう本当に熾烈な競争を繰り広げているということでございます。半導体業界で生き残っていくためには、こうした競争に勝ち抜いていかなければいけないということでございます。
 半導体をめぐる地政学的な競争というのが激しくなる中、各国政府は、国際競争力を高めるために半導体企業に対し多額の支援を行い、戦略的にサポートしています。日本政府も、ここ数年、半導体産業に対して手厚い支援を実施してございまして、弊社もこれに関しては大変感謝しております。こうした政府支援なしでは世界の相手と戦うということが非常に厳しくなっているという状況でございます。
 こうした中、日本もまた、競争に勝ち抜くために更なる対策を講じていく必要があるというふうに考えてございます。
 それでは、本法案の意義と効果について、三つのポイント、ここに分けて述べさせていただきます。
 まず、第一のポイントでございます。これは、他国の取組ということです。
 まず、米国でございますけれども、二〇二二年に米国CHIPS法が成立し、国内に工場を誘致するための補助金として三百九十億ドルという巨額な予算を計上しました。バイデン政権時には、それも三百四十億ドルという補助金供与を確定しています。
 また、半導体工場に対して、投資額、建屋それから設備というこれらの投資に対して二五%に相当する税額控除という制度も設けられている。さらには、融資、融資保証といった金融支援というのも含まれているということでございます。
 中国は、政府の方針であります中国二〇二五というものに基づきまして、国家ICファンドを中心に大規模な政府補助金を投じて、急速に半導体企業を育成しています。国家ICファンドから地方政府ファンドまで、総額で一千億ドルという巨額な資金が計画されています。また、昨年では、三千四百四十億元規模、七兆円ぐらいですね、これくらいの規模のファンドが設立されて、中国独自の半導体サプライチェーンの構築が進んでいるということです。
 韓国政府も、昨年の十一月に半導体エコシステム総合支援強化法案というものを発表し、今年二月には租税特例制限法の法制が可決されました。具体的な支援内容としましては、低利子の融資プログラムや設備投資に対する税額控除率の見直しというものが含まれています。また、半導体に特化した大学やAI半導体大学院の拡大、そういった支援も行われているということでございます。
 このような、各国が戦略的に半導体産業を支援している中で、弊社も技術力、製造力というものの強みを生かして、現在のポジションをキープしてございます。しかしながら、日本政府も、海外政府に対抗し得る強力な施策を打ち出していただきたいというふうに思ってございます。
 本法案は、半導体及びAI関連の需要を取り込む、日本の競争力を高めるという重要な法律であるというふうに考えています。この法律が早期に成立することで、日本の半導体産業は更なる発展を遂げることができるというふうに期待してございます。
 第二のポイントは、半導体産業の経済波及効果です。
 半導体産業は非常に裾野が広く、材料、装置、デバイスといった非常に多くの関連企業がエコシステムというものをつくっています。特に国際的に競争力のあるデバイスメーカーの存在は、関連企業を国内に引き寄せるという点、さらにはエコシステムの高度化に大きく寄与をしてございます。日本国内にこうした関連企業が高いレベルで集積してございまして、国内に半導体産業が存在するということの経済的な影響というものは非常に大きなものでございます。
 例えば、弊社は、過去にサンディスク社とともに、既に六兆円の投資を四日市市というところに行ってございます。
 三重県のあるシンクタンクの試算では、これから、例えば総額一兆円の投資を四日市にするということを行いますと、三重県内で七兆円、全国で十一兆円の経済的波及効果が生み出されるという試算が昨年示されてございます。
 また、雇用面では、新規雇用を生み出し、弊社の、キオクシアの例を取って申し上げますと、四日市工場における従業員は、含めて今九千人でございます。また更に膨らんでいくということが考えられています。さらに、構内外注、請負というふうな方々を含めると、現在一万三千人という非常に大きな人数がここで働いていただいているということです。
 このように、半導体産業がもたらす経済効果というものは非常に大きく、地域経済の活性化や雇用創出に直結しています。今後も適切な投資と政策支援が続けば、日本全体の経済成長に大きく寄与することができるというふうに考えてございます。
 第三のポイントは、半導体人材の育成の必要性です。
 少子高齢化が進む日本におきましては、半導体産業の競争力を維持するためには、若い世代の人材を育成し確保するということが非常に重要です。政府の支援によりまして、半導体産業に対するイメージというものが昨今非常に向上してきているということで、多くの方々にその重要性が認識されたということは、これは非常に大きな成果であったというふうに考えています。弊社でも、人材確保に向けた取組を強化し、産学官連携を通じて優秀な人材を引きつけて、さらに育成をしていくという努力を続けていきます。
 例えば、高専の学生さんに対しては、JEITAと連携しながら半導体キャリア講習会というイベントにも参加してございますし、大学に対しては、特別講義や講演という形で半導体の技術などを紹介してございます。また、産学官の取組としましては、地方の自治体、三重県の半導体ネットワーク、さらには東北地方の東北半導体・エレクトロニクスデザインコンソーシアムといった協議会にも積極的に参加しているということです。
 以前は、半導体産業はピークを過ぎた産業だというふうに言われ、魅力がないと言われたこともございました。しかし、政府の支援が始まって以降、この数年は、多くの若い世代が半導体分野に関心を持ってくれる、こういう状況になっているということです。
 繰り返しになりますが、半導体産業の発展のためには、政府、アカデミア、産業界が一体となって半導体人材を育成していく必要があります。そのためには、日本半導体産業が活性化し、グローバル競争に伍していく、それができているということが大前提になろうかと思います。半導体人材の育成に関する活動が広がることによりまして、次世代の技術者が育ち、新たなイノベーションが生まれるということを期待しています。
 以上の三点が、現在審議されている本法案に対する私の意見でございます。これからの半導体にとって、本法案の成立は極めて重要と考えてございます。
 AIの普及に伴います半導体の需要が急増するという中で、弊社も、迅速に設備投資を進め、技術革新を遂げるということが必要であります。日本政府が示されている十兆円規模の支援は、予見可能性の向上という観点からも、我々にとって非常に心強いものであるというふうに思ってございます。この支援を最大限に活用して、日本におけるメモリー半導体の製造を更に強化していくという所存でございます。
 重ねまして、最後になりますけれども、今回の審議を経て、法案が早期に成立し、日本の半導体産業が発展するということを切に望んでいます。
 そこで私の話を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 121704080X00520250328_004

発言者: 早坂伸夫

speaker_id: 4750

日付: 2025-03-28

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会