北神圭朗の発言 (憲法審査会)
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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
私からも、国民投票について御意見申し上げます。
まず、有料広告の制限につきましては、当然、表現の自由とともに、国民投票の公平公正、それぞれを確保することが求められます。これを踏まえ、私は、できるだけ法的規制には頼らずに、一方で、報道機関やインターネットプラットフォーマーなどの自主性を重んじる立場を取ってまいりました。
一つは、放送CMについては、令和四年四月二十一日に開催された本審査会で、民放連が、量的規制について公正公平に調整する意向を表明しています。これは一定評価したいと思います。CMの出し手である政党も、国民投票広報協議会において、自主的に上限を設定するのが適切だと考えます。
ネットCMについても、基本的には、プラットフォーマーなどの自主的取組を重視すべきだと考えます。というのも、ネットは市場システムが複雑で、多数の広告主、媒体社が存在すること等から、CMの量や時間などはなかなか調整することは難しいと思います。やはり、政党などが自主的に申し合わせて上限を設定することで対応することが現実的ではないかと考えます。
確かに、一部の会派では、放送CMの規制に関し、勧誘CMは主体を問わず全期間禁止、意見表明CMは政党等について禁止すべきだという意見が出ています。また、ネットCMについては、政党等による有料広告も禁止すべきだといった意見もあります。しかし、こうした法的規制は、国民投票運動の自由と国民の判断形成に係る公平公正性との均衡、また表現の自由等への配慮からも、慎重に考えるべきです。
憂慮するのは、政党活動までが規制されると、逆に、いいかげんな偽情報等が蔓延し、悪貨が良貨を駆逐することにより、国民投票の公平公正性が損なわれることです。
以上から、放送・ネットCMは、事業者と政党の自主的対応を基本にすべきだと考えます。
ただし、これには、一つの重要な前提条件があります。それは、外国勢力の介入を除くことです。
実際、二〇一六年の英国におけるEU離脱の是非を問う国民投票、二〇一六年及び二〇二〇年の米国大統領選挙、オーストラリアやカナダの総選挙、さらには最近の台湾総統選挙においても、外国勢力の介入が発覚しています。これらは、他国の選挙に都合よく影響する政治的動機があり、特定候補者の支援や世論の分断などを目的としています。
その手段としては、偽情報の拡散はもとより、選挙関係者に対するサイバー攻撃、特定候補を支援する大量のアカウント作成、SNS事業者へのハッキングを通じたアルゴリズムの変更等が挙げられております。
最近では、昨年十一月のルーマニアにおける大統領選挙について、同国の憲法裁判所が、デジタル技術の不透明な利用により投票が誘導され、公正な選挙過程が損なわれたとして、第一回投票の選挙結果を無効にしました。要は、ティックトックの不正使用やロシアの介入が疑われているわけであります。
具体的には、投票の数週間前に親ロシアの二万五千ものアカウントが突如生まれました。また、アルゴリズムの不正操作により、ティックトックで特定候補の動画が優先的に表示されて、フォロワーが一気に増えました。さらに、この候補を応援したネット上のインフルエンサーに違法に資金が渡っております。これらの結果、この親ロシアの候補者は僅か三週間で支持率が五%から二三%にまで上昇したのです。
この事態を受けて、EUは、外国からの干渉の重大な兆候があるとして、ティックトックに対する正式な調査に乗り出しています。この背景にあるEUのデジタルサービス法という法律は、事業者に対し、違法な製品、サービスを排除するための措置を義務づけるものであります。とりわけ、EU域内の利用者が月間平均四千五百万人以上の大規模事業者については、リスク評価の実施と緩和措置の導入、監査の実施など、より厳格な規制が義務づけられております。
ここで言うリスク評価とは、例えば、プラットフォーマーが、雨後のタケノコのように数万のアカウントができて特定の候補者を支援していることに対し目を光らせることも含まれます。また、緩和措置とは、これに対し、選挙に影響が及ばないような効果のある措置を実行することであります。これらの措置を怠った者に対しては、最大で、この事業者に対し、年間売上げの六%までの制裁金が科されます。
こうしたEUの法律や措置は、国民投票に際して、国民の自律的な意思が阻害されないようにどのように対応すべきなのかを問うています。
我が国のプラットフォーマー対策は、表現の自由に強く配慮し、民間の自主的な規律を重視するEU型の規制、枠組みを一応は採用しております。しかしながら、肝腎の、EUにおける制裁金等の強力な規制手段がありません。やはり、我が国でも、外国からの選挙介入を突き止める能力の向上や、有権者に正確な事実を伝達する体制が強く求められ、EU型の規制の導入が必要だと考えます。
実際、我が国でも、民間団体が実施する、ALPS処理水放出に反対する署名活動や、自衛隊による南西諸島の防衛力強化に反対する署名活動に中国の世論工作の疑いが強い投稿があることが読売新聞等でも報道されております。
とりわけ、憲法改正に関する国民投票は民主主義の根幹であります。我々も、外国からの選挙介入に対し、より強い危機感を持って、これまで以上の積極的な姿勢で臨むべきだと申し上げて、私の意見とします。
以上です。
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