寺田稔の発言 (憲法審査会)
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○寺田(稔)委員 国民投票におけますSNS、ネット利用をめぐる諸問題については、従来から当憲法調査会において議論がなされてまいりました。有識者を呼んでの意見聴取、あるいは集中討議なども行ってきましたが、フェイクニュース防止の必要性、また、それに伴う人権侵害抑止の重要性は幅広く認識をされているものと思います。しかし、それと同時に、国民の情報アクセス権、表現の自由など、重要な法理、法益もあり、なかなか困難な問題を内在していることも認識をされているところであります。
最近の諸情勢を見ますと、偽情報、フェイクニュースは、あらゆる場面でかなり増えてきている印象があります。近時はフェイクニュースの手法も極めて巧妙化してきて、デジタルフォレンジック手法などを駆使して、一見フェイクとは分からないようなものまで出現をするに至っております。
SNSの拡散容易性に加え、日本大学小谷教授によれば、正しい情報を流すことより、自らの考え、立場を開示し、自らの立場を少しでも有利にしたい、あるいは支持を広げたいとの意図、また、アテンションエコノミーと言われる経済的利益を伴うものも出てくるなど、情報の正確性は二の次になる傾向が強まったと分析をしています。
その一つの例が、小谷教授によりますと、二年前、二〇二三年、中国関係者の、ALPS処理水は汚染水で危ないとの偽情報発信が様々な主体から一斉に行われたことを挙げておられます。当時、ALPS処理水についての投稿が我が国に対する投稿の七割超を占めるといったような事態に立ち至ったわけでありますが、最近の各種選挙を見ても、偽・誤情報の流布などの弊害が極めて強まっており、さきの公選法の改正で、その附則で、選挙運動時のSNSの利用については必要な措置を講ずるとされており、そのことは、四月一日の与野党間で行われました選挙運動に関する協議会で優先検討事項とする方針が示されたところであります。
選挙という場面におきましては、公選法の虚偽事項公表罪があり、これはSNS上の偽情報、フェイクニュースにも適用されることが確認をされています。政府も、国会答弁で、SNSでの偽情報の拡散防止のための偽情報の取締りの必要性、また、国内外の由来を問わず虚偽事項公表罪を適用していく、さらに、迅速な偽情報削除のため、情報流通プラットフォーム対処法を適用するとの方針を明確に表明をしております。
選挙に限らず、一般の偽・誤情報に対しては、改正プロ責法によりまして、発信者特定の裁判手続の迅速化が図られますとともに、情報流通プラットフォーム対処法で、偽・誤情報の削除依頼に対して、プラットフォーマーがあらかじめ公表した客観的な基準の下、この削除基準に該当するものは投稿削除を行うことができることとなりました。
では、国民投票の場面でのフェイクニュース対策としていかなる制度設計を行うかは、党内でもこれからの検討すべき論点として今後検討を行う予定といたしておりますが、選挙という場面では、先ほど申し上げましたとおり虚偽事項公表罪の規定がありますが、これは、選挙時に偽情報が拡散されると民主主義そのものが危殆に瀕する、揺らぐとの考え方に基づくものであり、憲法改正のための国民投票の場面でもそのような罰則規定を備えるべきかということが一つの論点となるものと考えられます。
国民投票の場面でのフェイクニュース対策としては、先ほど申し上げました情報流通プラットフォーム対処法が適用可能であることはもちろんでありますが、広報協議会がいかなる関与をすべきかについては異なる見解が存在をします。
すなわち、ファクトチェックを広報協議会自らが行うとの見解と、ファクトチェックはファクトチェック機関に任せるべきとの見解が存在しますが、この点については、昨年末、十二月十九日の憲法審査会でも申し上げましたとおり、我が党でも今後の検討事項であります。党としてまだ正式な意見集約ではありませんが、私自身としては、昨年四月二十五日の憲法審査会で申し上げましたとおり、公権力の表現の自由への介入を極力避けるとの観点から、ファクトチェックそのものは原則ファクトチェック機関に委ねるべきであると考えます。今後更に議論を深めていくことができればと思います。
なお、情報リテラシー指数世界第一位のフィンランドでは、政府当局であります国家緊急供給庁が、ネットで広がっているフェイクニュースを公表したり、SNSの運営会社に偽・誤情報アカウントの削除を直接依頼したりしています。これは、国民の情報教育が早くから進み、政府の研究機関で偽・誤情報を見抜くAI基盤モデルを開発するなど、極めて先進的な事例として世界的にも注目をされているところです。
我が国においては、残念ながら、国民の情報リテラシーの点でも、政府の情報処理に対する国民の認知、信頼の点でも、そのレベルまで到達しておらず、今後の推移を待つべきものと思います。
そこで、国会図書館事務局に、もしフィンランドについての何らの情報があれば御教示いただければと思います。