北神圭朗の発言 (憲法審査会)

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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
 偽情報の蔓延については、これは正確な情報に基づく民意形成をゆがめ、選挙を始め民主主義の健全な運用に支障を来します。今の米国の現状を見れば一目瞭然です。また、外国から発生するものも多く見られ、外交、安全保障上の観点からも厳しい対応が求められます。米国の国論分裂の背後には、同国の国務省が警告しているように、ロシアの影が見え隠れしています。
 我が国でも、昨年十月四日の日経新聞によれば、二〇二三年以降、沖縄独立をあおる偽動画が主に中華圏向けのSNSで拡散されています。同紙が分析したところ、約二百もの中国の工作アカウントが投稿の拡散に関わっていたことが明らかになっています。一橋大学の市原麻衣子先生は、今回の沖縄独立デモの動画が明らかなうそでも、沖縄と中国のつながりの印象づけになる、日本の世論分断を刺激する効果は十分あり得ると警鐘を鳴らしています。
 先週の本審査会で、私はEUのデジタルサービス法にこうした外国の介入の文脈で触れましたが、柴山委員も御指摘されたとおり、国内外問わず、偽情報の拡散防止にも使います。この法律により、プラットフォーマー自らが、国内外の違法コンテンツの拡散と、それによる国民の権利や選挙等への悪影響を評価し、対策を取ることを義務づけられます。違反したら、巨額の制裁金を科すことができます。
 一方で、これとは別に、私は、国民投票広報協議会が、国民投票の過程並びに外国勢力を起源とする偽情報に対して、自らファクトチェックを実施する必要性について発言してまいりました。もちろん、これに対し、政党が主導する協議会がこうしたことをするのは公権力による言論の自由への関与となるとの懸念が本日も表明されています。
 しかし、まず考えていただきたいのは、同じく言論の自由に重きを置く欧州諸国が、我が国に比べて、ファクトチェック団体の質も高く、数も多い上に、プラットフォーマーに対する、今申し上げた厳格な規制が整っているにもかかわらず、なぜ当局自らがファクトチェックを行っているのかということです。
 推測するに、そもそもプラットフォーマーのビジネスモデルというものが、アルゴリズムにより利用者に大量の情報と広告を届けることにあり、それらの客観性を保証する動機が低いこと、偽情報は正しい情報に比べて拡散が速く、これを訂正する情報の拡散は遅いこと、このような隙をついて、中国、ロシアなどが相手国の社会分断を謀る情報発信を助長していることが背景にあるように思います。つまり、偽情報の氾濫を放置すれば自国の民意が一部の国家に操作されかねないとの危機感から、あらゆる対策を講じているのではないでしょうか。
 以前も報告したとおり、ドイツ、オーストラリア、カナダなどでは、選挙管理委員会自らが、選挙過程全般に関係する偽情報を特定し、公表しています。また、EUの対外活動庁も、外国からの偽情報対策に関する専門サイトを立ち上げております。既に一万八千件を超えるファクトチェックを行っています。これは、選挙過程だけではなく、政策、意見に関する事実関係にも踏み込んでいます。
 御参考までに、このサイトには次のように書かれております。偽情報を作成し拡散するのは、インターネット上の個人だけではない、外国、特にロシアと中国は、法の支配、選挙で選ばれた機関、民主主義の価値観、メディアへの信頼を損なわせることで私たちの社会に分裂を招き、民主主義を弱体化させるために偽情報と情報操作を組織的に利用してきた、外国の情報操作と干渉の一環としての偽情報は、EUとその加盟国の安全に影響を与える安全保障上の脅威となると。
 このように、諸外国では、言論の対象に違いはあれども、それぞれ、民主主義を守る観点から、また安全保障の観点から、当局自らがファクトチェックを行っています。
 他方、我が国のファクトチェック団体は、その数も、規模も、体制も、機能も、まだまだ改善の余地があります。加えて、欧州における制裁金等の規制もなく、政府とプラットフォーム事業者との連携も機能しているとは言い難い。先ほど寺田委員が指摘した公職選挙法等の措置もありますが、罰則なき削除命令では、やった者勝ちに終わるでしょう。
 こうした中で、他の先進国が普通にやっている公権力の介入を嫌う余り、体制が十分と言えない民間団体との連携だけで偽情報対策が有効にできるのか、甚だ疑問と危機感を感じます。
 したがって、現時点では、国民投票広報協議会が、少なくとも、国民投票の過程に関する言論の事実検証を行うべきだと考えます。明らかに外国勢力を起源とするものであれば、より踏み込んだ形での事実検証が求められます。同時に、そのための専門家を広報協議会に招致するなどして、専門性と公平中立性を確保するための体制を整える必要もあります。
 事実とうそがない交ぜにされる中、民主主義の過程において国民の自律的な意思が阻害されないため、より積極的な姿勢で臨むべきことを申し上げて、私の発言を終わります。
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発言情報

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発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2025-04-10

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会