上川陽子の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○上川委員 自由民主党の上川陽子です。
私たち自民党は、結党以来、憲法の自主的改正が党是であり、党内ではこれまで、多岐にわたるテーマに関する憲法論議を行うとともに、様々な憲法改正案を作成してきました。
本日のテーマも党内において議論がなされたことがあり、平成二十四年四月に取りまとめた日本国憲法改正草案では、臨時会の召集要求があった場合の召集期限を二十日以内と明記する改正を盛り込んでいました。
他方で、この平成二十四年草案は、当時の議論の総括であり、これまでに様々作成されてきた憲法改正案の一つであって、その位置づけについては、草案の発表から四年が経過した平成二十八年十月に、当時の自民党憲法改正推進本部において、私が事務局長として素案を起案し、保岡興治本部長の下で出された本部長方針において、次のように整理されるに至りました。
平成二十四年草案は、我が党の憲法論議を踏まえた上で発表した党の公式文書の一つではあるが、既に四回の国政選挙を経て議員の構成が大きく変わり、その間、内外から多くの意見もいただいてきた。それらを踏まえつつ、両院の憲法審査会の議論の状況などを見ながら、これに対応できるよう、現在の所属議員で闊達な議論を行い、党の考え方を整理する必要があると考える。したがって、二十四年草案やその一部を切り取ってそのまま審査会に提案することは考えていないとしております。
つまり、平成二十四年草案は公式文書の中の一つではあるものの、それには固執しないとし、憲法審査会において、各会派とともに熟議を重ね、丁寧な合意形成を図っていくこととしているところであります。また、事実として、保岡本部長の発言どおり、その平成二十四年草案の条文そのものを憲法審査会に提示したことはありません。
一方で、我々が憲法審査会で議論すべきテーマとして掲げてきたのは、平成三十年三月に公表した条文イメージたたき台素案の四項目、つまり、一、自衛隊の明記、二、緊急事態対応、三、合区解消・地方公共団体、四、教育充実であります。これらはいずれも、現在自民党として打ち出している優先的な憲法改正のテーマであり、憲法審査会における議論のたたき台として度々取り上げてきました。
以上を踏まえた上で、憲法五十三条後段に基づく臨時会の召集について申し上げます。
まず、自民党としては、臨時会召集期限は、先ほど申し上げた条文イメージたたき台素案の四項目とは別のテーマとして位置づけています。したがいまして、臨時会召集期限の明記については、現時点での自民党の考え方がまとまっているわけではなく、そもそも明記することの是非、明記するとして憲法と法律のどちらに位置づけるべきか、明記する場合の具体的な日数は平成二十四年草案と同じ二十日でよいか、濫用防止措置を設けるべきかの四つの主な論点について、党内にも賛否両論、様々な意見があり、党としての明確な見解を示すことができる段階ではありません。
その上で、現時点で私なりに考えていることを申し上げます。
まず、憲法五十三条後段に基づく臨時会召集の決定は憲法上の義務ということで政府見解も学説も一致しており、個人的には、要求から召集までの合理的期間を明文化するとかという考え方にも一理あるものと思います。
その一方で、党内には、日本国憲法制定以降、長年にわたり築いてきた権力間のチェック・アンド・バランスの観点から、慎重に考えるべきとの意見もあります。また、内閣の権限とされる国会の召集を国会法で縛ることは憲法の趣旨に反しないか、仮に召集期限を明文化するとしてその期限は二十日でよいかなどを議論していく必要があります。
さらに、召集期限を実際に憲法に規定するとなると、濫用に対する防止策などを慎重に設計した上でなければならないということは言うまでもありません。例えば、いわゆるインターバル規制を設けるという考え方もあります。しかし、少数派の権利保護という制度趣旨と調和する形で制度設計できるのか、また、閉会直後に臨時会開会を必要とする事態が突発的に発生した場合に支障を来さないかなど、簡単に結論を出せない論点もあります。
このテーマに絞って議論することは、憲法審査会になって以降本日が初めてであると思いますので、各会派の意見も拝聴し、既に党内で出されている意見も念頭に置きつつ、引き続き慎重に議論を進めていきたいと考えております。
以上です。