三谷英弘の発言 (憲法審査会)
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○三谷委員 自由民主党の三谷英弘です。
発言の機会をありがとうございます。
憲法五十三条後段の臨時会召集に具体的期限を追加するかを議論するには、具体的な期限を設けることが臨時会の召集を求める上でどのような意味があるのかの理解が不可欠ですので、以下、その点について、個人としての理解を申し上げます。
まず、憲法裁判所のない我が国におきましては、付随的審査制が採用されておりますので、一定期間内に内閣が臨時会を召集しなかったとしても、具体的な期限の有無にかかわらず、直接それが違憲かの判断を裁判所に求めることは当然できません。
他方、平成二十九年六月二十二日の、最高裁判決によれば、憲法五十三条後段の規定は、個々の議員の権利利益を保障したものではなく、仮に臨時会の召集が遅れたとしても、議員個人の国賠請求は認められませんから、仮に具体的な期限を区切ったとしても、国賠が認められないとの結論は変わりません。
さらに、詳細な判例の解説は避けますけれども、さきの最高裁判決を前提にすれば、臨時会召集を要求した後、一定程度の期間が経過してもなお国会が召集されていないという極めて限定的な場合のみ、臨時会を召集することについての確認請求の訴えの利益が認められることになりそうではあります。
しかしながら、提訴から判決までに相当の日数を要する現行の裁判実務を前提にすれば、裁判で争っている間に通常国会の時期を迎えることも容易に想定され、具体的な期限を仮に区切ったとしても、結果的には確認の利益が否定される、事実上、結論において差異は生じないということになります。そういう意味で、法的に言えば、具体的な期限で区切るという意味というものは特段存在しないということになります。
もちろん、他方で、何日以内と明記した場合に、事実上、その期限の中で臨時会を召集されることが多くなることは予想されます。しかしながら、ただ規定すればよいかというと、そうではありません。
そもそも、具体的な期限として、それでは二十日がよいのか三十日がよいのか、それは正解のない議論がこれから延々と始まることになりまして、憲法改正の発議を行う上での大きなハードルとなることは必至です。また、臨時会召集権が頻繁に行使されるなど濫用された場合や、安全保障などの問題が生じて期間内に臨時会の召集が困難な事態が生じた場合など、憲法で明記することで、かえって混乱を来したり、国家の危機を招くおそれがあります。それゆえ、内閣に裁量を持たせて期限を明記しないということには意味があります。
いずれにしても、我が国は民主主義国家です。仮に恣意的に合理的期間内に召集されなかったとしても、次の国会あるいは次の選挙において民主的統制を及ぼしていくことができますし、その方が健全だと考えております。
大事なことは、議論を拡散させることではなく、選択と集中。真に必要な論点の整理を進めて、速やかな憲法改正につなげていただくことを切に願いまして、私の発言を終えます。
以上です。