浜地雅一の発言 (憲法審査会)
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○浜地委員 公明党の浜地雅一です。
本日のテーマでございます憲法と現実の乖離、ここにつきましては、憲法と自衛隊の問題について見解を述べたいと思います。
言うまでもなく、この議論の出発点は、九条二項に戦力の不保持、交戦権の否認とあるにもかかわらず、現実には我が国は自衛隊という実力組織を有している、そこに乖離があるように見えるという点でございます。
まず、この議論をするに当たりまして、公明党は、憲法九条の一項及び二項、この規定は今後とも堅持をすべきと考えております。戦後、九条の下で専守防衛の理念が果たした役割は大変大きいものがあったというふうに考えております。また、一部に、自衛隊違憲論を解消するために憲法に自衛隊を明記すべきという意見もございますけれども、現在の自衛隊の存在やその活動については、多くの国民から理解され、支持を得ております。違憲論解消のために改正が必要であるというのは、いささか無理があるというふうに我々は感じております。
ただ一方で、現実の国際社会、こちらは厳しさを増しております。ロシアによるウクライナ侵攻、核兵器使用のリスクの増大、中東情勢、平和と安定、ルールに基づく国際秩序の根幹が揺らぐ厳しい状況にございます。また、北朝鮮がミサイルの発射実験を頻繁に繰り返すなど、日本をめぐる安全保障環境は更に厳しさを増しております。
こうした国際情勢に対応するため、反撃能力の保有、また能動的サイバー防御の導入、防衛費の増額など、防衛費の整備が進められております。すなわち、我が国の安全保障環境も大きな転換点を迎えているというふうに感じております。
このような状況でありますので、いま一度、自衛隊の使命、役割について、憲法との関係において改めて議論していく時期に来ている、そのように思っております。
この点について、公明党は、我が国最大の実力組織であります自衛隊に対する内閣や国会による民主的統制、すなわちシビリアンコントロール、この側面を重視して考えていくべきだ、そのように考えております。
現法制では、内閣による自衛隊に対する民主的統制の規定、これは自衛隊法七条に規定があるわけであります。自衛隊法七条は、内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊に対する指揮命令権限を有するというふうに規定をしておりますが、この規定を憲法レベルに格上げをしていくというふうな考えを持っております。具体的には、第五章「内閣」の章の中で、内閣の権限を定めている七十三条がございますが、この七十三条に、自衛隊に対するシビリアンコントロールという側面を重視する条項を考えていくべきだ、そのように考えております。
他方、自衛権の具体的な内容を書き込むことにつきましては、慎重であるべきというふうに考えています。
御存じのとおり、自衛権の限界、自衛の措置の限界に関する解釈におきましては、国会と内閣の間に、これまで長く緻密な議論を通して確立された歴史がございます。
すなわち、いわゆる昭和四十七年見解、ここにおきましては、憲法九条と前文、十三条の規定から、我が国の存在を全うするために必要な自衛の措置を取ることは禁じていない。これは砂川判決とほぼ同様の文言で自衛権の存在を認めた上で、さらに、自衛の措置は、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処し、国民の権利を守るためやむを得ない措置として初めて許容されるというふうにされました。この自衛の措置に関する基本的な論理は、いわゆる限定的な集団的自衛権の行使を容認する平成二十六年七月一日の閣議決定においても、維持されることが明記をされております。
このように、憲法九条の下で許容される自衛の措置の限界についての解釈は、これまでの国会等における議論の積み重ねで確立したものであります。これを憲法の条文上に正確に表現することは、我々は大変難しいのではないかと考えます。むしろ、これをあえて表現しようとすると、かえって、自衛の措置の必要最小限度性、専守防衛について新たな解釈が生まれる余地が生じ、憲法解釈の安定性が揺るがされるおそれがあるのではないかと懸念をするところでございます。
改めて、最後に、自衛隊の発足から七十年が経過する中で、災害派遣などの活動を通じ、自衛隊の存在やその活動については、多くの国民の皆様方が理解し、支持をしている状況にあります。憲法改正には国民投票による過半数の賛成が必要でありますので、国民の皆様方の幅広い理解が不可欠であることは言うまでもありません。憲法改正がかえって国民の分断を招くようなことがあってはならないわけでございまして、やはり、自衛隊の明記につきましても、多くの国民から支持をされ、国民投票で承認をされるような憲法改正案が求められているということを申し上げまして、発言を終わります。
以上であります。