武正公一の発言 (憲法審査会)
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○武正委員 武正公一です。
国会は国権の最高機関とされながら、それが現実と乖離している点が憲法第七章「財政」です。
昨年の補正予算案は一千億円の災害対策費修正、今年度予算案は、衆議院に回付をされ、高額療養費の修正がされました。それぞれ立憲民主党は予算修正を求めましたが、その修正には、政府の対応に時間を要することで速やかな修正審議ができない事態も起きておりました。国会の議決が速やかに行えるような見直しが必要と考えます。
この十年を振り返れば、予備費が過大に計上され、その使途の範囲を広げてきました。憲法八十三条、国の財政処理の権限は国会議決に基づく一方、予備費は事後承認です。憲法八十七条の、予見し難い予算の不足に充てる予備費の目的は、補正予算では軽微な事態や災害など緊急事態に機動的に対応できないためとされましたが、コロナ禍を契機として拡大した予備費を平時の状態に戻す必要があると考えます。
さらに、補正予算についても、国際機関への拠出金を当初予算に盛り込まず、補正予算ありきで予算計上され、前年度補正予算と新年度予算をセットで十五か月予算と言われることは、単年度予算審議の憲法八十六条に反するものであります。
そもそも、憲法には、予備費の規定はあっても、補正予算の規定はありません。財政法二十九条には、経費の不足、緊要となった経費との補正予算の規定がありますが、常態化しているのではないでしょうか。
政府は、一九七七年の統一見解において、項を新設する修正もあり得る旨の立場を明らかにしましたが、国会の予算修正は内閣の予算提出権を損なわない範囲で可能という限界説を維持しています。しかし、予算法律説を取れば、条理上の制約は別として、修正権に制限は存しないことになると芦部信喜著「憲法」で述べています。予算修正権に限界はないとすると、国会の予算審議権の充実のため、米国議会を見習って国会予算局のような予算審議に供する組織を設けることが必要ではないでしょうか。
そして、国会の調査、立法機能の強化が必要であることは、三十年ぶりの与党過半数割れに伴い、議員立法数の増加により衆議院法制局の仕事量が増加しているため、衆議院調査局や国会図書館調査及び立法考査局とともに、定員の増員や予算の充実が必要です。
なお、財政規律については、債務比率が対GDP比二五〇%に迫る中、国会に長期財政予測機関を設けることも提言されています。こうした機関の創設とともに、憲法における予算、財政については、より議論を深める必要があると考えます。