馬場伸幸の発言 (憲法審査会)
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○馬場(伸)委員 日本維新の会の馬場伸幸です。
今国会で、本審査会は数回分の日程やテーマをあらかじめ決定した上で開催されてきましたが、相も変わらぬ自由討議というお題目の下、各会派による放談会から脱却できていないというのが率直な受け止めです。本審査会が活動を始めて十四年の歳月がたとうというのに、一体いつまで自由討議に憂き身をやつすのか。多くの国民があきれていると思います。
立憲主義、民主主義の根幹に国民主権があります。国民主権を具現化することこそ、憲法改正国民投票です。主権喪失の下で作られた現行憲法が抱える諸課題を乗り越え、憲法を国民の手に取り戻さなければなりません。
そのために、ここで向き合う私たちの責務は、民主的プロセスによって一刻も早く成案を得て、国会の憲法改正の発議を行い、主権者たる国民に判断を仰ぐこと、つまり、初めて国民に国民主権を行使していただくことに尽きます。その点をいま一度肝に銘じるべきであります。
今国会では、枝野会長の主導で、緊急事態条項で想定される選挙困難事態時の国会機能維持について、選挙困難事態の立法事実と参議院の緊急集会の射程に絞って自由討議がなされましたが、案の定、堂々巡りが繰り返されました。この三年間、本審査会の議論の大半が緊急事態条項に費やされ、論点は出尽くしています。合意形成に最も近づいているテーマですが、やたら討議の領域を拡散させ、これまでの積み上げを塩漬けにするような特定会派の対応は容認できません。
他国による武力攻撃が生起する深刻な危機に目を背け、選挙困難事態の立法事実はないと牽強付会な言説を繰り返す立憲民主党などの姿勢は、石原慎太郎さんの言葉をかりれば、亡国の徒です。
三月十三日の本審査会で、私は、ロシアに侵略されたウクライナの現実に触れ苦言を呈しましたが、武正野党筆頭幹事は、五月十八日付産経新聞で、「現在の緊急時の国家機能維持の議論は、あくまでも大規模自然災害などに焦点を当てたものだ。」と、相変わらず浮世離れした見解を示されました。神戸学院大学の岡部芳彦教授は、日本の国会議員は命懸けでウクライナを視察すればいい、ドローンや巡航ミサイルが飛んでくるさなか、投票や街頭演説ができないことは火を見るより明らかだと一蹴されていましたが、そのとおりです。
ともあれ、本日の幹事会において、自民、維新、国民民主、公明、有志の会の五会派による、選挙困難事態における国会機能維持条項の骨子案が提示されました。立憲民主党の反対により本審査会での提示に至らなかったことは遺憾ですが、ようやくここまでたどり着きました。今後、開かれた審査会の場で各会派がこうした骨子案や条文案を提示し、議論を加速させるべきです。
骨子案の概要については船田与党筆頭幹事から御説明がありましたが、一昨年六月に我が党が国民民主党、有志の会とともに策定した緊急事態条項の条文案がベースになっている点を歓迎します。内閣による選挙困難事態の認定要件に、自民党が平成三十年に発表した改憲四項目条文素案の緊急事態条項に入っていなかった武力攻撃やテロ、内乱等が明記されたことも評価します。また、内閣による認定や国会承認の適正性を担保するために我が党は憲法裁判所によるチェックを主張してきましたが、骨子案にはそれが明記されなくとも、司法の関与として客観的訴訟制度の創設の方向性が盛り込まれたことは、前進であると受け止めています。
さいは投げられました。秋の臨時国会では、速やかに起草委員会を設置し、緊急政令や緊急財政処分等の議論と併せ、この骨子案を土台に憲法改正原案の作成に入るべきです。
一方、今国会で憲法九条に絞った議論が行われなかった点は残念でなりません。我が党は既に自衛隊を明記する条文案を発表していますが、日本を取り巻く安全保障環境は日ごと厳しさを増しており、更なる抑止力の強化や日米同盟の深化のための議論が必要なことは言うまでもありません。
そこで、我が党は、憲法改正調査会で九条二項を削除する方針を決定し、本格的に党内議論を進めているところです。秋の臨時国会では、九条をめぐる議論も加速させ、起草委員会で憲法改正原案の作成に着手すべきだと考えます。
枝野会長はいわゆる中山方式に心酔されていますが、我が師中山太郎先生は、平成十九年四月の衆議院憲法調査特別委員会での憲法改正国民投票案の採決に当たり、特別委員長として毅然と差配されました。中山先生が著書「実録 憲法改正国民投票への道」で回想されているとおり、当時、社民党の女性議員が何度も詰め寄り、他の野党議員がマイクを床に放り投げるなど騒然とする中で、中山先生は委員長職権で起立を求め、法案は可決されました。国民が本当の主権者になる日へ第一歩を踏み出したのです。
枝野会長は当時の証人の一人であると存じますが、中山先生から真に学ぶべき教訓は、審議をだらだらと引き延ばさないこと、そして決めるときは決めることだと強く申し上げます。
最後に、参議院の緊急集会に関する衆議院の事務方資料や橘法制局長の説明に対し立憲民主の一部議員が明らかなる事実誤認に基づく誹謗中傷を繰り返してきたことに触れざるを得ません。
事務方の資料や説明は、審査会での議論について公平に両論を紹介するバランスの取れたものであり、また、憲法解釈や改憲論については議員同士で議論すべきことです。にもかかわらず、自身の考え方こそが正しいと言わんばかりに、意に沿わない記述や説明を誤りと決めつけ、反論権のない事務方を攻撃するとは言語道断です。
今国会を振り返る本日の審査会でしっかりとけじめをつけることが不可欠であり、二巡目の発言で山花幹事らに質問することとし、発言を終わります。