大島堅一の発言 (原子力問題調査特別委員会)

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○大島参考人 おはようございます。
 本日は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 五月のこの委員会で申し述べた点に加えまして、いただいた論点に関して、三つの観点から意見を申し上げます。
 まず、最初に申し上げておきたいのは、規制と推進の分離が形骸化しているという問題です。
 この表も御覧ください。この表は、NPO法人である原子力資料情報室が作成したものです。
 表を見ますと、原子力規制庁の設立当初、二〇一二年九月の規制庁の幹部は、警察庁、環境省、経産省の出身者が一人ずつでした。しかし、二〇一七年一月には、経済産業省出身者が五人中四人になりました。二〇二二年七月には、主要の五つのポスト全てが経産省出身で占められるようになりました。二〇二四年七月になると、一人が警察庁出身に替わりましたが、依然として四人が経済産業省出身です。これは、事業や推進を担う省庁から規制機関の幹部職員になるルートが形成されてしまっているということを意味します。
 一枚飛ばしまして、五枚目、お願いいたします。
 このような状況は、回転ドア現象というふうに呼ばれます。規制当局者と被規制者の間を人が行き来するという状態を指す言葉です。
 回転ドア現象は、規制のとりこということに関する研究で頻繁に取り上げられるものです。規制機関の職員が事業や推進の出身ですと、当然ながら、事業や推進の立場の理解や共感が強まります。そして、本来の規制という公共的な使命と利益が損なわれる可能性があるとされています。
 規制機関の人事の中立性を確保するには、制度的な手当て、法改正を含む措置が必要だというふうに考えます。
 人事に関連して、つけ加えておきますと、原子力規制委員会の委員の専門について申し上げておきます。原子力規制委員会に関しては、人文社会科学的な知見を持った委員がおりません。当然ながら、原子力規制に関しては、そういった知見に基づく判断も必要となってきます。
 例えば、原子力施設の審査においては、経理的基礎というものも対象になります。ですが、原子力規制委員会の委員構成を見ますと、そのような専門的判断はまずもって不可能というふうに考えます。委員の一人は、少なくとも社会科学的知見を有する委員を選ぶべきです。
 また、つけ加えておきますと、原子力規制庁の法律職についても、事業者との利害関係から独立した中立的な立場の人材を確保する必要があること、また、再就職に当たっては、再就職先も関連する法律事務所であることを禁じたり、一定期間そういった関連する法律事務所には再就職しないということを規定する必要があるということも申し述べておきたいと思います。
 二点目、申し上げます。六枚目、お願いいたします。
 次に申し上げたいのは、住民参加手続が欠如し、むしろ後退しているという点です。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定プロセスには住民参加の制度が存在していません。これは五月の委員会でも申し述べたとおりです。
 そのような中で、NUMO、原子力環境整備機構は、五月から、国民的議論をと称して、新聞などの主要メディアで広報活動を始めております。しかし、このような活動は、NUMOがあたかも中立機関であるかのようなものになっています。NUMOは、最終処分地を選定し、最終処分を実施する事業者であり、その意味で推進機関ということになります。事業者が国民参加を装う形で広報を行うことは制度上も問題です。
 むしろ、NUMOに国民的議論を語る資格があるのかと思わされるようなことがありました。
 先月、島根県益田市で、請願提出の動きがあるとの報道がされました。報道によれば、地元経済界の一部が、突然、文献調査への応募を求める請願書を提出しようとしていたということのようです。これは島根県知事や益田市長の反対により中止となりました。ですが、この問題は、請願の背景にNUMOの関与があったと報じられていることです。
 二〇二五年五月二十二日付の山陰中央新報には、次のように報じられています。
 読み上げますと、関係者によると、メンバー間で共有されていた請願書案は、核のごみ関連施設視察などを支援したNUMOが作成、最終処分場は次世代に残す選択肢として非常に意義がある事業の一つとあり、文献調査の受入れ自体にデメリットはないと記されていたと報道されています。同じ報道では、益田市の経済界有志は、NUMOの協力を得て、青森県六ケ所村を視察していたということも明らかになっています。
 NUMOは請願文を実際に起案したんでしょうか。NUMOの理事構成を見ると、経済産業省出身者も含まれています。経済産業省がNUMOのこうした活動を把握していなかったとは思えません。NUMOと経産省には、国会に対して明確に説明させるべきです。
 地方自治体は、地方自治の原則に基づき、自らの意思で判断すべきです。もしNUMOがその意思の形成に重大な介入をしていたのであれば、また請願文を起案していたのであれば、それは制度の根幹を揺るがす深刻な問題です。このような動きはやめさせるべきだというふうに考えます。特に、国民的議論を訴えるのであれば当然だというふうに思います。
 次に、再稼働に関わる点について述べさせていただきます。七枚目をお願いいたします。
 取り上げたいことは、原子炉の設置変更に当たって、住民が意見を述べる機会がないということです。
 二〇一二年、原子力規制委員会設置以前は、住民が意見を述べ、それに対して返答するという場がありました。公開ヒアリングというふうに言われていましたけれども、二回にわたって実施されていました。それに対して、原子力規制委員会設置後は、この公開ヒアリングというプロセス自体がなくなりました。今は、地元の意見を直接聴取し、その意見を反映するという機会がありません。これは、原子力規制委員会が技術的安全性の側面に偏っているということを示しています。
 少なくとも、原子力安全委員会時代ですら開いていた公開ヒアリングは、より充実させた形で複数回実施すべきです。IAEAの安全基準によれば、早期からの効果的な市民参加が原子力安全にとって重要だということが定められています。市民参加は原子力安全基準の一つです。国際的な安全基準にできるだけ早く近づくよう制度改革すべきです。
 三点目、申し上げます。避難計画についてです。八枚目を御覧ください。
 三つ目に、原子力災害対策、とりわけ避難計画についての法改正の必要性を述べたいと思います。先ほど鈴木参考人の述べたことと関連します。
 原子力災害対策に関連し、現行制度では、原子力規制委員会は避難計画の実効性を技術的審査の対象にしておらず、原子炉の安全性審査と住民避難とが制度上切り離されているということがあります。
 規制委員会は、原子力災害対策指針を策定することで間接的に避難計画に関与しています。ですが、その実効性や地域事情との整合性を審査する制度的枠組みは全くありません。
 このように、原子力発電の安全確保における最後のとりで、特に住民にとっては最後のとりでであるべき避難計画が制度上軽視され、実効性の担保がされていないのです。これは、原子力の安全対策全体の根幹を揺るがすような深刻な欠陥だと考えます。
 避難という点に関して、私は、能登半島地震の現地調査を通じて、現行制度の限界を強く感じました。
 能登半島地震では、関西電力、中部電力、北陸電力が計画していた珠洲原発の立地地点間近で巨大地震が発生しました。珠洲原発は電源開発基本計画に組み込まれていたものであるというふうに理解しております。私は、そこでは、道路があちこちで寸断されている様子、住宅が全壊だけではなく半壊、一部損壊といった状況になっていることを目の当たりにいたしました。また、珠洲市や志賀町の議員の皆様から説明を受けて、地震や津波、地盤隆起の下で避難することができないという話を聞きました。
 原子力防災計画、避難計画の審査がされていない以上、当然ながら、その面での安全性は確保されていないということになります。原子力発電を進めるのであれば、原子力防災計画、避難計画を審査対象にし、この許可が下りなければ原子力発電所を動かせないというふうにするべきです。現状では、避難という側面で安全性が確保されてはいないというふうに考えます。
 私からは以上となります。
 この度は、貴重な機会を賜りまして、ありがとうございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 大島堅一

speaker_id: 21033

日付: 2025-06-03

院: 衆議院

会議名: 原子力問題調査特別委員会