西川厚志の発言 (総務委員会)

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○西川(厚)委員 ありがとうございました。
 ここで、もう一度、去年の都知事選挙の話に戻りたいと思います。東京一極集中の是正を公約に掲げた極めて有力な候補者が出馬いたしました。当時、私も、東京都政のトップを目指す者がそれを掲げて果たして都民の納得は得られるんだろうか、むしろマイナスに働くのではないかと不思議に思っておりました。
 ただ、選挙の結果はともかくとして、本気で一極集中の是正を成し遂げようとするのであれば、確かに、東京都政のトップの意識が変わることが実現すれば、これほど有効な手だてはないと思います。少なくとも地方創生二・〇よりはるかに手っ取り早い話になると思いますけれども、やはり有権者の感情としては、富の集中を否定するような話にはなかなか乗ることは困難でしょう。
 では、人を変えるのではなくて、場所を変えてみるという視点ではどうでしょうか。つまり、首都のトップを変えるのではなくて、首都自体をほかの場所へ移してしまえという、そんな考え方です。
 実際、かつて我が国でも、東京都の一極集中の是正に向けて、首都東京の移転、この場合は遷都ではなくてあくまでも都市機能の移転についてでありますが、前向きに議論が重ねられた確かな時期がございました。
 遡ること高度経済成長期、東京では、人口集中を背景として、住宅、ごみ、水資源問題等、東京の過密とそれに伴う弊害が顕在化するようになります。既に、この昭和三十年代、首都機能移転問題についての提言はそれなりに寄せられておりました。
 昭和五十年代に入る頃には、国土利用の再編という視点からも、国会、政府、それぞれでも議論が始まり、六十年代には、いよいよ東京圏の異常な地価高騰が深刻化する中で、大規模災害のリスクにも鑑み、多くの首都機能移転論が提案されるようにもなりました。
 そして、議会開設百年に当たる平成二年十一月、衆参両院本会議において、国土全般にわたって生じたゆがみを是正するための基本的対応策として一極集中を排除し、さらに二十一世紀にふさわしい政治、行政機能を確立するため国会及び政府機能の移転を行うべきである旨の、国会等の移転に関する決議が行われております。その後、平成三年八月には、衆議院に国会等の移転に関する特別委員会が設置をされ、翌年、議員立法による国会等の移転に関する法律が制定をされております。
 平成七年、阪神・淡路大震災が発生した際には、やはりリスク分散の必要性がより強く認識されるようにもなりました。そして、いよいよ、諸々の検討を経て、平成十一年十二月、国会開設百年の国会移転決議からちょうど九年後に当たりますけれども、三か所の地域が首都機能の移転先の候補地として選定されることになりました。すなわち、北東地域の栃木・福島、東海地域の岐阜・愛知、そして、将来新たな高速網、リニアのことを想定しておりますが、これの整備を条件として三重・畿央地域。
 ただし、結論から申し上げますと、首都機能移転については、皮肉にも、これら三つの地域が候補地として選定されてしまったがゆえに、それ以降、前に進むことは全くありませんでした。
 その理由の第一は、ちょうどこの年の四月に東京都知事選挙で圧倒的勝利を収めた石原慎太郎都知事の登場です。東京再生こそが日本再生との持論をひっ提げた新しい知事が首都移転など許すはずはまずありません。
 候補地選定の直前に、東京と周辺八つの県で発行される六紙の新聞に、自らモデルとなり、ブーイングのポーズで、首都移転の経費は約十二兆三千億円、バブルが生み出した不良債権と同様、将来大きな負の遺産になる、こんな意見広告を掲載されました。そして、候補地選定日当日には東京体育館にて一万人規模の首都移転に断固反対する国民大集会を開催、五十五人の超党派の東京都選出国会議員や、東京商工会議所など百五十以上の団体、移転構想の見直しで足並みをそろえる神奈川、千葉、埼玉各県からも関係者が出席し、移転反対を決議しています。
 また、理由の二つ目に挙げられるのは、一つの地域に絞り込む覚悟がそもそもなかった、そんな指摘です。反対する東京も東京なら、今度は三つの移転候補地選出の国会議員が地域エゴむき出しの誘致合戦をおっ始め、もしも最終判断をするとなると一斉に沸き起こるであろう計り知れない批判に事務局の国土庁が到底立ってはいられなかったとの指摘であります。
 そして、三つ目の理由は社会情勢の変化でした。バブル経済による地価高騰などが東京一極集中の弊害とされて本格化した議論も、この頃にはバブル崩壊による景気低迷で移転の機運自体がしぼみ、地価の下落や激化する経済の国際競争を思うならば、むしろ時代は、いかに東京の魅力を高めるのか、そんな議論すら台頭するようになっておりました。
 その他、巨額な移転費用や、当時、既に新しく首相官邸は完成し、新公邸の建築や議員会館の建て替え計画も進行中、中央省庁の再編も落着、こうした理由などなどをもって、これまで積み上げられてきた全てが御破算となってしまいました。
 黙っていられないのは国民です。大山鳴動してもネズミは一匹も出てこなかった。こんなとんでもない壮大な茶番劇を見せるだけ見せつけておいて、勝手に幕が下りてしまいました。
 しかしながら、私自身は、確かにこんな茶番ではあったものの、それなりの教訓は示されたと思っております。
 例えば、さきの石原都知事が主導した一万人反対集会ですけれども、壇上には超党派の大物政治家がずらりと並んだとあります。中でも最も大物だったのは不破哲三当時共産党委員長だったそうで、つまり何が言いたいかといいますと、東京一極集中の是正について問うとき、それは、どの政党が積極的でどの政党が消極的だとの色分けは全く不可能だということ。そうではなくて、東京及び首都圏選出の議員は一極集中を是とし、地方選出の議員は非とする、そんな姿勢です。当然といえば当然の話なのかもしれません。
 そこで、今日は、首都圏選出の政務三役は横浜市を選挙区とされる古川直季大臣政務官がお見えですので、首都圏選出の議員のお一人として東京一極集中の是正についてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

発言情報

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発言者: 西川厚志

speaker_id: 30919

日付: 2025-02-13

院: 衆議院

会議名: 総務委員会