石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 前原誠司議員の御質問にお答えを申し上げます。
教育、子育て支援についてのお尋ねであります。
政府といたしましても、こども未来戦略の加速化プランにおきまして、三・六兆円と前例のない規模で安定的な財源を確保しながら、高等教育費の負担軽減も含め、子供、子育て支援を強化したところでございます。
所得による格差や地域の実情を踏まえた支援も重要であると考えておりますが、議員御指摘のように、全ての子供に必要な教育、子育て支援を行うための制度の在り方につきましても、真摯に議論をいたしてまいります。
高校進学率が九九%に達する現状におきまして、どこまで家計の負担軽減を図るべきかということにつきましては、子供、子育て加速化プランにおきまして児童手当の抜本的拡充や高等教育費の負担軽減を進めているところであるなど、家計を支援する様々な施策を総合的に考える必要があります。
さらに、教育の質の向上や、基盤としての国の制度と地域の実情を踏まえて地方自治体が独自に実施する支援とのバランス、安定的な財源の確保といった論点も考える必要がございます。
自民党、公明党と維新の会との間で実務者によります協議を行っているもの、このように承知をいたしておりまして、そのような論点も含めまして政党間で協議が進められる、このように考えておるところでございます。
ゼロ歳から二歳児の保育料及び給食費の無償化についてのお尋ねでございました。
幼児教育、保育の利用料につきましては、消費税の引上げという安定財源を得た際に、三歳から五歳児は広く幼稚園や保育所等を利用していることから全員を無償化しつつ、ゼロ歳から二歳児では保育所などを利用しているお子さんが約四割にとどまっていることなどから、低所得世帯について無償化したものでございます。
この対象の拡大につきましては、通園されていない方との公平性や、更なる必要な財源をどこに求めるのかといった点について検討が必要であると考えております。
学校給食費につきましては、現在の物価高などの状況を踏まえ、地域の実情に応じた保護者負担の軽減の観点から、学校給食費の支援も行えますよう、令和六年度補正予算におきまして重点支援地方交付金を追加しておるところでございます。
低所得者世帯では既に無償となっており、その割合は児童生徒の約一四%となっております。昨年末に整理、公表した課題もございます。加えまして、こども未来戦略の加速化プランに基づき、児童手当の抜本的拡充や高等教育費の負担軽減などを進めているところであり、家計などを支援する様々な施策を総合的に考慮する必要もあると考えております。
現在進めております子供、子育て政策につきまして、効果検証を丁寧に行った上で、今後の対応を検討いたしてまいります。
高等教育の無償化と国際卓越研究大学についてでございます。
大学の授業料など高等教育費につきましては、本年度から、授業料などの減額などの対象を多子世帯の中間層などに拡充した、令和七年度から、無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、まずはこうした拡充を着実に実施に移し、その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ取り組んでまいります。
大学ファンドによります助成の対象となる国際卓越研究大学は、総合科学技術・イノベーション会議などでの議論を踏まえ、世界最高水準の研究大学の実現を目指し、集中的な支援を行うため、数校程度にすることといたしております。これによりまして、世界最高水準の研究大学の形成を着実に進めてまいります。
社会保障の給付と負担についてのお尋ねをいただきました。
社会保険料は安心のための拠出であり、全て必要な給付として再分配されるものでございます。国民所得に対する社会保険料負担の割合はコロナ禍以前の水準に低下しておりますが、制度への不安が解消しないのは、少子高齢化に対する将来不安があるからだと考えております。
このため、年齢にかかわらず適切に支え合うことを目指す全世代型社会保障の理念にのっとり、改革工程に沿いまして、医療DXによります効率化や医療提供体制の改革、低所得の方に配慮しながら行う高額療養費の見直しなどを行う中で、保険料負担の抑制につなげます。中長期的な政策の方向性や制度の持続可能性につきましても、給付や負担の在り方を含め、真摯に議論をいたしてまいります。
社会保険料の事業主負担についてのお尋ねでございます。
事業主の社会保険料負担は、医療や年金の給付を通じて労働者を支えるための責任であるところ、これと給与との関係につきましては様々な御意見があるところであります。他方、社会保障負担の全体像について国民の皆様方に分かりやすくお示しする努力をしてまいることは、制度への理解を深めていただく観点からも重要であると考えております。
御提案につきましては、現行の法律上、事業主は給与から控除する保険料の額を被保険者に通知しなければならないこととされておりますが、給与明細の様式は事業主が任意で定めており、事業主負担分を記載するか否かは事業主が判断することとなっております。
事業主負担分の記載を政府から求めることにつきましては、事業主の御負担も含め検討する必要がある、このように考えておるところでございます。
金融資産を勘案した医療の窓口負担についてでございます。
御指摘のありました医療に介護も加え、金融資産などの保有状況を負担に反映させますことは、一昨年末に取りまとめられました改革工程におきまして、二〇二八年度までに実施について検討する取組とされておるところでございます。
現在、預貯金口座へのマイナンバーの付番促進に取り組んでおるところでございまして、こうした状況などを踏まえつつ、実務的な課題につきまして、引き続き丁寧に検討を行ってまいります。
市販品類似の医薬品の保険適用の見直しについてでございますが、医療保険制度の効率化、適正化に取り組んでいくべきという問題意識は、議員と共有をいたしておるところでございます。
御指摘の市販品類似の医薬品の保険給付の在り方につきましては、一昨年末に取りまとめられました改革工程におきまして、二〇二八年度までに検討を行うべき項目として掲げられており、患者に対する必要な保障が欠けることのないように留意をしながら、丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。
カルテ情報の共有と医療の質の向上についてお尋ねをいただきました。
一国民一カルテ体制を構築すべきとの御提案でありますが、医療機関が作成するカルテの情報が医療機関の間で電子的に共有をされますれば、効率的かつ良質な医療の提供に資するのは確かでございます。
このため、医療機関などで必要な電子カルテ情報が共有、閲覧できるようにするための法律を整備をいたします。これによりまして、本人も御自身のマイナポータルで必要な医療情報を閲覧できるようになります。今後、医療現場の御負担にも十分配慮をいたしながら、こうした仕組みの整備、普及を進めてまいります。
いわゆる年収の壁への対応についてでございますが、社会保険料は、相互扶助の考え方に基づく安心のための拠出であり、全て必要な給付として再分配されるものであることを踏まえますれば、その負担について、公費で労働者への直接給付や事業主への助成を行うことにより補填することにつきまして、慎重な検討が必要であると考えております。
年収の壁につきましては、当面の対応として取りまとめました年収の壁・支援強化パッケージにおいて、新たに被用者保険を適用するとともに労働者の収入を増加させる取組を行った事業主への支援などに取り組みますとともに、被用者保険の更なる適用拡大など、制度的な対応を含めました年金法改正案を取りまとめてまいります。
内部留保と賃上げについてのお尋ねを頂戴いたしました。
物価上昇に負けない賃上げの実現のためには、企業が過度に内部留保を現預金として保有するのではなく、賃上げ、人への投資、設備投資などに効果的に活用することが重要でございます。
賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績増につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環の実現が重要だと考えております。
昨年十一月の政労使の意見交換におきまして、約三十年ぶりの高い水準となりました昨年の勢いで、今年の春季労使交渉におきましても大幅な賃上げを行うことへの協力を私から要請し、また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を関係閣僚に指示をいたしたところでございます。
賃上げができますよう、多くの中小企業に利益を上げていただくため、適切な価格転嫁や生産性向上を実現し、人材、経営基盤を強化する事業承継やMアンドAを後押しをいたしてまいります。
賃上げと設備投資についてのお尋ねをいただいております。
我が国では、設備投資や雇用、賃上げの促進などを目的に、累次にわたりまして法人税率を引き下げてきましたが、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ないとの指摘がなされておりますように、大企業を中心とした高水準の企業収益の一方で、賃金や投資は伸び悩み、内部留保が増加をしているものと認識をいたしております。
政府といたしましては、賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績増につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環の実現が重要だと考えております。
本日、経済界の皆様方とともに、国内投資拡大のための官民連携フォーラムを開催し、国内投資目標を示します。規制改革の検討を深めるなど、大胆な国内投資促進策を具体化してまいります。
ライドシェアなどの規制改革に関するお尋ねをいただいております。
人口減少、少子高齢化などの課題を克服し、地方の活性化につなげますため、そして、成長型経済を実現いたしますため、利用者目線を徹底し、必要となります規制・制度改革に取り組んでまいります。
ライドシェアの課題に関しましては、全国での交通空白の解消に向け、骨太方針に従い、日本版ライドシェアなどの施策の実施効果を検証しつつ、地域交通の担い手や移動の足の確保の取組を強力に進めてまいります。
更なる分権と税源移譲についてでございますが、議員御指摘のとおり、地方分権の推進と地方税の充実確保は、地方創生を実現する上で極めて重要でございます。
人口減少やデジタル化の推進など社会経済情勢の変化も踏まえ、引き続き、地方が自らの創意工夫を実現し、その潜在力を最大限引き出すことができる環境を整備するため、提案募集を行いながら地方分権改革を進めてまいります。あわせまして、地方公共団体間の税収の偏在や財政力格差の状況について原因、課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
トランプ政権の政策及び日米首脳会談につきましてお尋ねをいただきました。
日米同盟は、我が国の外交、安全保障政策の基軸でございます。
トランプ大統領の外交手法や気候変動、感染症対策、北朝鮮の非核化などに係る発信の一つ一つにコメントすることや、日米首脳会談での扱いにつき予断をすることは差し控えたいと思います。
その上で、来るべき首脳会談におきましては、トランプ大統領との間で、率直な意見交換を通じ、個人的関係を構築いたしますとともに、安全保障や経済などの諸課題につき、認識の共有を図り、一層の協力を確認して、日米同盟を更なる高みに引き上げたいと考えております。
ウクライナについてでございますが、我が国は、クリミアを含みますウクライナの主権及び領土一体性を一貫して支持しておるところでございます。
その上で、我が国といたしましては、ロシアによる侵略を終わらせ、一日も早くウクライナにおける公正かつ永続的な平和を実現すべく、引き続き、国際社会と緊密に連携して取り組んでまいる考えでございます。
日米地位協定の改正及びトランプ米大統領との関係構築についてのお尋ねでございます。
日米地位協定につきましては、総裁選の過程などにおいて、私の議員としての考え方を累次述べてまいりました。これまでに示してまいりました問題意識も踏まえまして、私は、自由民主党の中で検討するように指示をいたしまして、自民党内でアジアにおける安全保障のあり方特命委員会が開催をされ、議論が行われておるところでございます。
引き続き自民党内におきまして議論を重ねていくものと承知をいたしておりますが、党におきます議論も踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力を強化いたしますとともに、在日米軍の信頼性、同盟の強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、適切に判断をいたしてまいります。
議員が御指摘なさいましたとおり、日米同盟はインド太平洋地域の平和と繁栄の礎であります。日米それぞれに国益はありますが、そうであればこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができると考えております。日米首脳会談におきましては、そうした考え方に基づき、トランプ大統領と率直に意見を交わし、信頼関係の構築に努めてまいります。
防衛力の強化についてでございますが、自衛官の処遇改善も含め、我が国の独立と平和、人々の暮らしを守り抜きますため、国家安全保障戦略などに基づき、我が国自身の防衛力の抜本的強化に取り組むべきことは論をまたないところでございます。
防衛力整備計画の四十三兆円程度という規模は、防衛力の抜本的強化に必要な水準として積み上げたものであり、円安を伴う為替レートの変動や国内外の全般的な物価上昇が生じております状況にありましても、一層の効率化、合理化を徹底し、現行の防衛力整備計画に基づいて、防衛力の抜本的強化、これを達成をいたすものでございます。
拉致問題についてのお尋ねをいただきました。
拉致被害者やその御家族も御高齢となられる中、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であるということは常に申し上げているとおりでございます。
私といたしましても、就任いたしましてから御家族の皆様方と面会をし、いまだに肉親と再会することができないお苦しみ、拉致被害者の帰国実現まで決して諦めないという切実な思いを伺い、もう時間が残されていないという切迫感を共有しておるところでございます。
北朝鮮に対しましては、私から金正恩委員長への呼びかけを含め、これまでも様々なルートを通じまして様々な働きかけを行っておるところでございます。
日朝平壌宣言の原点に立ち返り、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現いたしますとともに、北朝鮮との諸課題を解決するため、私自身の強い決意の下、総力を挙げて最も有効な手だてを講じてまいります。
企業・団体献金の禁止についてお尋ねを頂戴をいたしました。
議員が御指摘なさいましたとおり、企業などの政治活動の自由は憲法と最高裁の判例で保障されておりますが、献金によって政策がゆがめられることは避けなければなりません。
企業・団体献金につきましては、各党各会派で考えが様々でございますが、いわゆる企業・団体献金禁止法案につきましては、衆議院の政治改革特別委員会において、令和六年度末までに結論を得ることとされており、我が党といたしましても真摯な議論を続けてまいります。
その上で、我が自由民主党の基本的な考え方を申し上げれば、我が党といたしましては、政治資金規正法の目的及び基本理念に照らし、禁止より公開という考え方により、企業・団体献金を含む政治資金を国民の皆様方の不断の監視と批判の下に置くことによって、国民の信頼を確保していく方針でございます。このような考え方につきましては国民の皆様方からも御理解をいただきつつあるのではないか、このように感じておるところでございます。
昨年十二月には、我が党議員の提案により政治資金規正法が改正され、国会議員関係政治団体などの収支報告書につきまして検索可能なデータベースを公表する旨の規定が設けられました。また、透明性を更に向上させるための法案について、党内での議論を進めておるところでございます。引き続き、この課題について率先して議論を進めてまいります。
いわゆる世襲の議員への政治資金の引継ぎや議員定数の削減についてお尋ねを頂戴いたしました。
政治団体の政治資金は、その代表者ではなく政治団体自体に帰属するものであり、親族間で当然に引き継がれていくものではございません。
政治資金の移動の制限につきましては、政治団体や議員の政治活動の在り方と密接に関わる問題であることから、まずは国会において御議論いただくことが重要である、このように考えております。
その上で、政治家としてふさわしい方々を国民が広く選べる仕組みをつくらなければならないとの問題意識は、私も大いに共感するところでございます。自民党におきましても、公募、予備選挙などの積極的な活用を通じ、有為な人材を広く募集、発掘するように、今後とも努めてまいります。
議員定数につきましては、平成二十五年に衆議院の定数五議席、平成二十八年には衆議院の定数十議席の削減を実現したところでございます。
その後、令和四年の公職選挙法改正に際しましては、議員定数や地域の実情を反映した区割りの在り方などに関し、国会において抜本的な検討を行うものとするとの附帯決議が衆議院において付されました。
お尋ねの更なる議員定数の削減を行うべきかという点を含めまして、あるべき選挙制度につきまして各党各会派における積極的な議論が行われることを期待いたしております。
憲法第九条についてのお尋ねをいただきました。
昭和三十四年のいわゆる砂川事件最高裁判決においても認められておりますとおり、憲法第九条により、我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国が自国の平和と安全を維持してその存立を全うするために必要な自衛のための措置を取り得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことであると認識をいたしております。
このことも踏まえまして、政府といたしましては、憲法第九条の下で、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、自衛のための必要最小限度の実力を行使することは認められている、このように考えておりまして、そのための必要最小限度の実力を保持することも認められている、このように考えております。
その上で、自民党総裁としてあえて申し上げますれば、我が党では、いわゆる自衛隊違憲論を解消するため、憲法における自衛隊の明記について活発な議論を行ってきたところであり、私も、総裁として、これまでの議論の積み重ねを引き継ぎ、後戻りさせることなく前に進めてまいる決意でございます。
内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての議論の進め方などについて直接申し上げることは差し控えますが、自民党総裁として申し上げれば、憲法改正は我が自由民主党の党是であります以上、総理・総裁在任中の国会の発議と憲法改正を目指すことは当然のことであり、私の各種演説もそのことを前提として行っているものでございます。
令和七年は、戦後八十年、自民党結党七十年の節目の年でございます。
我が党におきましては、これまでの様々な議論の積み重ねを踏まえ、憲法改正の実現に向けた議論を更に進めるとともに、国民世論の醸成を図るなどの取組を進めてまいります。その上で、各党各会派とも更に建設的な議論を行い、国会による発議と憲法改正の早期実現に向けて取り組んでまいりたい、このように存ずる次第でございます。
以上であります。(拍手)
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