石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 公明党代表斉藤鉄夫議員の御質問にお答えをいたします。
いわゆる年収の壁についてお尋ねをいただきました。
いわゆる年収の壁につきましては、当面の対応として取りまとめました年収の壁・支援強化パッケージにおける支援策の更なる活用拡大に取り組むとともに、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用者保険の更なる適用拡大など、制度的な対応も含めた年金法改正案を取りまとめてまいります。
また、本年四月より順次施行されます改正育児・介護休業法の円滑な施行や、育児休業の取得及び職場復帰の支援のために計六十万円支給されます両立支援等助成金の活用などを通じまして、男女共に仕事と家庭を両立しつつ働き続けることができる雇用環境の整備を進めてまいります。
多重委託構造業種の価格転嫁など、中小企業の賃上げ支援についてお尋ねを頂戴をいたしました。
賃上げができますよう多くの中小企業に利益を上げていただくためには、取引の上流から下流まで適切な価格転嫁を実現することが極めて重要であります。
御指摘いただきましたように、多重委託構造が存在するなど、取引の実態は業界によって大きく異なっておりますため、サプライチェーンの構造や商慣習を踏まえ、業界ごとにきめ細かな対応が必要であります。
このため、下請法の改正法案の今国会への提出に加え、先日、私から関係大臣に対して、価格転嫁を阻害する商慣習の一掃に向けて取り組むよう指示をいたしたところでございます。
具体的には、下請法違反がないか業界ごとに自主点検を行い、違反があった場合には、不利益の補償が行われる方策を考えていかなければなりません。サプライチェーンの頂点となります企業や業界には、直接の取引先の更に先まで価格転嫁が可能となるような価格設定や、それが隅々まで伝わる情報発信を行ってもらわなければなりません。労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の遵守が徹底されますことも必要であります。これらにつきまして、関係省庁一丸となって取り組んでまいります。
科学技術・イノベーション政策につきまして、斉藤代表の貴重な御経験を踏まえたお尋ねを頂戴をいたしたところであります。
科学技術、イノベーションは、経済成長や社会課題解決の原動力であります。
世界に負けない日本の勝ち筋を伸ばしていくため、研究力の強化、人材育成などを軸に、科学技術・イノベーション基本計画の改定を進め、五年間の研究開発投資目標を新たに設定し、AI、量子、バイオ、宇宙、フュージョンなどの戦略分野での投資を促してまいります。代表の御指摘を真摯に受け止め、今後、対応いたしてまいります。
能登半島地震の復興についてお尋ねを頂戴をいたしました。
私自身、元日の追悼式に出席をいたしますとともに、御遺族の代表の方から被災当時の状況などにつきまして直接お話をお伺いし、被災地の復旧復興への決意を更に強くいたしたところでございます。
復旧復興を可能な限り早く成し遂げることこそが、犠牲となられた方々のみたまに報いる道でございます。石川県が被災住民の声を踏まえて作成した石川県創造的復興プランにおきまして、応急復旧は令和七年度まで、本復旧は令和十年度まで、震災前以上のよりよい状態への復興は令和十四年度までとされている目標に基づきまして、被災前の活気ある町並みと人々の笑顔を取り戻すため、被災者お一人お一人のお気持ちを真摯に受け止め、生活となりわいの再建、被災地の創造的復興に政府一丸となって取り組んでまいる決意でございます。
災害関連法制におけます福祉の視点の導入についてでございますが、災害時における福祉サービスの充実は、被災者の生活環境の向上、災害関連死の防止のために極めて重要であります。
現在も、障害者などの方々が災害時に滞在できる福祉避難所の設置や、災害派遣福祉チーム、DWATの避難所への派遣について、必要な費用を国庫が負担するなど、災害時の福祉的支援に取り組んでおるところでございますが、被災者の皆様方の中には在宅や車中泊で生活を送られる方々もおられますことから、こうした方々に対しましても十分な支援を行っていく必要があります。御指摘のとおりでございます。
現在、政府におきましては、災害時における福祉的支援の充実を図りますため、災害対策基本法を改正し、地方公共団体の長などの責務に避難所内外での被災者への福祉サービスの提供を加えること、災害救助法を改正し、救助活動の種類として福祉サービスの提供を加え、国庫負担の対象とすることなどにつきまして検討を行っているところでございます。今国会に改正法案を提出する方針といたしております。在宅や車中泊の被災者の方々を含め、高齢者の皆様、障害をお持ちの方々などへの、要配慮者への支援が着実に行われますよう、取組を進めてまいります。
防災・減災、国土強靱化についてでございますが、御指摘のように、激甚化、頻発化する自然災害や切迫する大規模災害への対応に万全を期す必要がございます。令和八年度からの実施中期計画につきましては、施策の評価や資材価格の高騰等を勘案し、おおむね十五兆円程度の事業規模で実施中の五か年加速化対策を上回る水準が適切との考え方に立ち、本年六月をめどに策定をいたしてまいります。
核兵器禁止条約及びアジアの多国間外交についてのお尋ねを頂戴いたしました。
核兵器禁止条約に関する対応につきましては、これまでオブザーバー参加をした国々の状況も踏まえながら、注意深く検証を進めております。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下、我が国は、その周辺において、質的、量的な核軍拡に直面をいたしております。拡大抑止は、我が国の独立と平和を守り抜くために不可欠のものであり、オブザーバー参加により、その信頼性の確保を含む我が国の安全保障にいかなる影響があるかを熟慮する必要があるものと考えております。
同時に、核兵器のない世界に向けて、唯一の戦争被爆国として、核軍縮において実質的な進展を得るためにいかなる取組が真に効果的なのかも熟慮する必要があるものと考えております。
このような様々な要素やこれまでの経緯の検証の結果を総合的かつ注意深く考慮しつつ、第三回締約国会合への対応につき適切に判断をする考えでございます。
アジア諸国との間で安全保障や経済を含め幅広い分野において重層的な関係を構築していくことは極めて重要であります。
アジアにおきます多国間の安全保障につきましては、私自身、かねて強い問題意識を持っております。斉藤代表御提案のアジア版OSCEにつきましても、是非ともそのお考えを拝聴いたしたいと考えております。そして、今後の糧といたしたいと思っておるところでございます。我が党の中におきましても、アジアにおける安全保障の在り方につき、私がこれまでに示してまいりました問題意識も踏まえ、議論が行われております。今後、与党内でも議論を深め、それを踏まえ、政府として地域外交をより一層強力に推進していくことが有益と考えております。
日米同盟は、我が国の外交、安全保障政策の基軸でございます。
米国には米国の国益があり、我が国には我が国の国益がございます。だからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができるものと考えております。
トランプ新政権との間では、できるだけ早い時期に日米首脳会談を実現をし、率直に議論を行い、強固な信頼、協力関係を構築し、日米同盟を更なる高みに引き上げていきたいと考えております。
御指摘の議員間によるものも含めまして、引き続き、日米間の友好、信頼関係の一層の強化につき、あらゆる機会を用いてこれを図ってまいります。
あわせまして、価値を共有するほかの同志国との連携につきましても、引き続き、その強化に努めてまいります。
日中両国間には、様々な可能性とともに、御指摘のような邦人拘束事案を含む数多くの課題や懸案がございますが、両国は、地域と国際社会の平和と繁栄にとって共に重要な責任を有しております。
価値を共有する同盟国、同志国との連携を前提としつつ、中国との間では、習近平国家主席とも確認をいたしました戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくというのが日本政府の方針でございます。
中国との間では、この大きな方向性の下で、首脳レベルを含め、あらゆるレベルで幅広い分野において意思疎通をより一層強化し、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくべく、共に取り組んでいく考えでございます。先般の森山幹事長そして御党の西田幹事長の訪中の成果も踏まえて、今後とも努力を重ねてまいります。
ガザ地区の人道状況についてお尋ねを頂戴をいたしました。
ガザ地区で壊滅的な人道状況が継続しておることを深刻に懸念をいたしております。
人質の解放と停戦に関する合意の成立は重要な一歩でありますが、その誠実かつ着実な履行を通じ、人道状況の改善と事態の鎮静化につなげていくことが必要であります。
そのためにも、我が国は、引き続き当事者に対する働きかけを行いますとともに、関係国、関係機関とも緊密に連携しながら、喫緊の人道支援に加え、中長期的な復旧復興支援におきましても積極的な役割を果たす決意でございます。
ガザ傷病者への医療支援、いわゆるメディカルエバキュエーションにつきましても、これを早期に実現すべく、関係国等との調整を進めてまいります。
医療提供体制の強化についてでございますが、二〇四〇年頃を見据えますと、医療と介護の複合ニーズを抱える八十五歳以上の高齢者の方々の増加や人口減少が更に進むことが見込まれており、限りある医療資源の中で、地域の実情に応じて、高齢者救急や在宅医療の需要に対応する持続可能な医療提供体制を確保することが必要であります。
そのため、地域医療構想について、入院だけでなく、外来、在宅医療、介護との連携や、人材確保なども含めました地域の医療提供体制全体の課題解決を図るものとして位置づけました上で、医療機関の役割分担や連携を更に推進いたしてまいります。あわせて、医師偏在対策を総合的に推進するために必要な法案を提出をいたしてまいります。
介護保険制度についてお尋ねを頂戴をいたしました。
高齢者の方々が住み慣れた地域で暮らし続けられますよう、介護体制の整備を進めていくことが重要であります。
御指摘の要介護認定につきましては、事務の電子化などを通じまして、迅速化に向けた取組を今年度から順次進めてまいります。在宅サービスの要でありますケアマネジャーにつきましては、研修の見直し及び業務負担の軽減、職責にふさわしい処遇の在り方などにつきまして、次期制度改正及び報酬改定に向けまして、総合的に検討を進めてまいります。
さらに、介護人材確保に向けましては、累次にわたります処遇改善を始め、ICT等のテクノロジーを活用した現場の負担軽減などを進めてきておりまして、総合的な取組を推進いたしてまいります。
女性や若者に選ばれる地方の実現についてでございますが、地方創生二・〇におきまして、若者や女性にも選ばれる地方の実現を第一の柱として強力に進めてまいります。
具体的には、若者や女性にとりまして魅力ある働き方、職場づくりの観点から、地域間、男女間の賃金格差の是正、女性のL字カーブの解消、男性の育児休業の取得促進、アンコンシャスバイアス、すなわち無意識の思い込みの解消に取り組んでまいります。
このため、地方自治体や地域の経済団体の皆様方とも連携しつつ、働き方や職場の改革に取り組もうとする意欲的な企業を支援するため、地域働き方・職場改革サポートチームを今月十五日に設置いたしたところでございます。女性や若者の立場に立った助言ができる有識者の方々にも御参加いただき、複数回にわたりましてワークショップと職場での実践を繰り返すことなどを通じまして、先行的な取組の実践を促進し、その普遍化を図ってまいります。
女性や若者に選ばれる地方の実現についてでございますが、先ほど申し上げましたように、その実現に向けて、若者や女性にも選ばれる地方の実現を第一の柱として強力に進めるということを繰り返して申し上げたいと存じます。
農家支援についてのお尋ねについて申し上げます。
農業者が国の施策を円滑に利用できますよう、農業施策などに関する情報を積極的に提供し、質問や相談に応じる農林水産省の地方参事官を全国五十三か所に配置いたしますとともに、オンライン化による各種申請手続の簡素化などに努めてまいります。
若い世代の農業参入を促進するためには農業所得の向上が重要であり、経営継承の円滑化を促進いたしますとともに、支援対象者が就農後の早い段階で所得を確保できますよう、資金支援を最長三年間継続しつつ、機械、施設導入の支援や技術サポートを含む総合的な支援を行ってまいります。
当選無効となった国会議員の歳費返納等の義務づけについてでございます。
昨年十一月、私と代表との間で自公連立政権合意を結ばせていただきましたが、その中に、当選無効となった議員の歳費返納等を義務づける法改正の実現を図ると明記されておるところでございます。我が自由民主党として、御党とも緊密に連携しながら、衆参の議院運営委員会などでの議論を呼びかけるとともに、可能な限り早期の実現に向け、議論を加速させていきたいと考えております。
選択的夫婦別氏制度についてお尋ねを頂戴いたしました。
夫婦の氏の在り方につきましては、内閣府が行いました令和三年の世論調査を見ましても、国民の皆様方の意見が分かれております。また、選択的夫婦別氏制度の導入を求める立場の中にも、制度の具体化に当たっては、例えば、子供の氏をどのように定めるのかといった点を含めて様々な考え方があるもの、このように認識をいたしております。
政府といたしましては、家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感や子供への影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の御理解が形成されることが重要であると考えております。
その上で、自民党総裁として申し上げれば、選択的夫婦別氏制度の是非は、国民の御関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしていい問題だとは全く考えておりません。党としての考え方を明らかにすべく、議論の頻度を上げ、その熟度を高めますとともに、御党とも十分に意見交換をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣中野洋昌君登壇〕