石破茂の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(石破茂君) 日本共産党、田村智子議員の御質問にお答えを申し上げます。
自由民主党におきます旧派閥の政治資金収支報告書の不記載事案についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
私の施政方針演説の中で不記載事案に触れていないとの御指摘がございましたが、施政方針演説では、これまでの事実確認の結果や昨年実現した政治改革の様々な施策などを前提として、今後取り組むべき政治改革の内容を述べているところでございます。
御指摘の事案をめぐりましては、第三者である検察により厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものは立件されてきたものと認識をいたしております。
また、我が党におきましても、可能な限りの調査を行い、その結果を国民の皆様方に御説明をいたしてまいりました。
大切なことは、二度と同様の事案を繰り返さないということであり、改正された政治資金規正法を遵守いたしますとともに、引き続き、党として政治改革の議論を率先して行ってまいります。これで幕引きが終わったなぞとは考えておりません。
政治団体都議会自由民主党の不記載事案についてでございますが、御指摘の事案につきましては、第三者である検察により厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものは立件されたものとこれも認識をいたしております。
都議会自由民主党におきましても、必要な調査を行った上、会見を開いて説明を行ったところでございます。
今回の事案を受けまして、都議会自由民主党や自民党東京都連におきましては、政治不信を招いた政治的な責任を重く捉え、不記載のあった政党支部の支部長につきまして、その職責などに応じまして、都議会等における役職停止処分や都議会議員選挙における非公認を決定いたしたところでございます。
我々自由民主党の国会議員といたしましても、今回の事案を踏まえ、改めて襟を正し、仕事で一つ一つ成果を積み上げることで信頼回復に努めてまいります。党といたしましても、正面からこの事案に真摯に対応いたしてまいりたいと考えております。
企業・団体献金についてでございますが、政府の政策は、国民各界各層からいただく様々な御意見を踏まえ、必要性や優先度なども十分に検討した上で、国会での御議論も経て決定しているものであり、企業・団体献金を受けていることを理由として決定しているものではございません。
我が党といたしましては、企業・団体献金自体が不適切であるとは考えておらず、禁止よりも公開という考え方により、企業・団体献金も含めました政治資金の透明性を確保する取組を進めておるところでございます。このような考え方につきましては、世論調査を見ましても、国民の皆様方からも御理解をいただきつつあるのではないかと感じております。
現在、透明性を更に向上させるための法案について党内での議論を進めているところでございまして、引き続き、この課題について率先して議論を進めてまいります。
失われた三十年についてでございますが、バブル崩壊以降、金融システム問題やリーマン・ショックなど、我が国は様々な困難に見舞われてまいりました。この間、企業は、短期的な収益を確保しますため、賃金や成長の源泉である投資を抑制するコストカット型経営を行い、結果として、消費の停滞や物価の低迷、さらには成長の抑制がもたらされました。この低物価、低賃金、低成長というデフレの悪循環が、過去三十年間の基本的な構造であったと認識をいたしております。
ようやく、六百兆円超の名目GDP、三十三年ぶりの高い水準となった賃上げが実現するなど、明るい兆しが表われておりますが、このチャンスを逃すことなく、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行することで、生活が豊かになったことを多くの国民の皆様方に実感していただける社会を実現をいたしてまいります。
賃上げと長時間労働の是正についてでございます。
賃上げこそが成長戦略の要との認識の下、物価上昇を上回る賃上げを起点といたしまして、国民の皆様方の所得と経済全体の生産性の向上を図っていく必要がございます。
そのためには、企業が過度に内部留保を現預金として保有するのではなく、賃上げ、人への投資、設備投資などに効果的に活用することが重要であります。
御指摘のような内部留保への課税につきましては、二重課税に当たるとの指摘もあることから、慎重な検討が必要であると考えておりますが、昨年十一月の政労使の意見交換におきまして、約三十年ぶりの高い水準となりました昨年の勢いで、今年の春季労使交渉におきましても大幅な賃上げを行うことへの協力を私から要請をし、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を関係閣僚に指示したところでございます。
働く方々の生命と健康を守り、安心して子育てできる社会を実現するため、短時間勤務の活用や、生活時間、睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進など、働き方改革を着実に実施し、労働時間の短縮にも取り組んでまいります。
公正な税制の在り方についてでございますが、個人所得課税の課税最低限は、生計費だけではなく、公的サービスを賄う費用を広く分かち合う必要性などを総合的に考える必要がございます。
消費税は、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加する中におきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられておりまして、その引下げは適当ではないと考えております。
インボイス制度は、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要であり、廃止は考えておりません。事業者の御不安等に対しましては、事業者からの相談を丁寧に受けるなど、引き続き真摯に対応いたしてまいります。
法人税につきましては、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくという与党税制改正大綱で示された考え方などを踏まえながら、適切に考えてまいります。
社会保障への不安解消や訪問介護報酬についてお尋ねを頂戴をいたしました。
社会保障制度への不安には、少子高齢化に対する将来不安、保険料負担の上昇に対する不安があるものと考えております。このため、誰もが年齢にかかわらず能力や個性を生かして支え合う全世代型社会保障の構築を、改革工程に沿って着実に進めてまいります。
高額療養費制度につきましては、高齢化や高額薬剤の急速な普及などによりましてその総額が年々増加する中で、セーフティーネットとしての役割を維持しつつ、低所得者の方々の経済負担にも十分に配慮をしながら保険料負担の抑制にもつなげるための見直しを行うことといたしております。
企業における税と社会保障の負担につきましては、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくという与党税制大綱の考え方を踏まえて検討してまいります。社会保険料につきましては、医療や年金の給付を通じまして労働者を支えるための責任として、事業主に応分の御負担を求めていることを考慮する必要があると考えております。
訪問介護につきましては、令和六年度の介護報酬改定の影響の丁寧な把握に努めますとともに、先般の補正予算によります、地域の特性や事業者の規模などに応じましたきめ細かい対策を着実に進めてまいります。
なお、介護保険制度につきましては、社会保険方式の下、保険料、公費でそれぞれ五割を負担する仕組みといたしており、公費負担割合を引き上げることには慎重であるべきと考えております。
大学の授業料についてでありますが、これまで、関係法令などに基づきまして、各大学の設置者において適切に設定いただいてきたと認識をいたしております。本年度から、授業料等の減額などの対象を多子世帯の中間層などに拡充をし、令和七年度から、無償化の対象となります多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、支援拡充の趣旨に反するような学費値上げが行われることがないよう、文科省から各大学に通知をいたしたところでございます。
大学の授業料などの負担軽減につきましては、まずこうした拡充を着実に実施に移し、その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ取り組んでまいります。
食料自給率や自給力などの観点から我が国の食料安全保障を確保しつつ、農業所得を増やしてまいりますために、スマート技術の導入や農地の集積、集約などによります生産性の向上、農産物のブランド化などによります徹底的な付加価値の向上、世界市場に向けた輸出の促進などにより、農業をもうかる産業といたしてまいります。
防衛財源、長射程ミサイル配備の効果及びASEANと協力した東アジア外交についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
強化されました防衛力を維持していくために確保すべき安定財源の約四分の三は、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保など、あらゆる工夫を行うことにより賄うことといたしておりますが、それでも足りない約四分の一は、税制措置での御協力をお願いすることといたしております。
各種スタンドオフミサイルの導入は、我が国の様々な地域から重層的に相手方の艦艇や上陸部隊等を阻止、排除できる能力を強化するものであり、こうした取組により、自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができる、このように考えております。
アジアにおきましては、ASEANが地域協力の中心として重要な役割を担っており、米中ロも参加する多層的な地域協力枠組みがございます。我が国といたしましては、引き続き、こうした枠組みへの積極的な参画及びその強化に取り組み、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導してまいりたいと考えております。
七年度予算についてでございますが、令和七年度予算は、累次申し上げておりますとおり、コストカット型経済から高付加価値創出型経済への確実な移行とともに、我が国が直面する構造的な変化への的確な対応や国民の皆様方の安心、安全の確保のためのものでございます。
御指摘のAI、半導体分野の投資促進は、これを官民連携の下で着実に進めることで、我が国の成長力を強化し、賃上げの原資となります企業の稼ぐ力を引き出すためのものでございます。
能登半島地震などの災害対応という観点で、キッチンカーなどの登録制度の創設など災害対応力の強化や、こども未来戦略に基づく子供、子育て支援の本格実施を盛り込むなど、国民の皆様方の暮らしも重視した内容になっておる、このようなものであると考えております。
日米首脳会談についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
トランプ大統領の外交手法や気候変動などに係る発信の一つ一つにコメントすることや、日米首脳会談での扱いにつき予断をすることは差し控えますが、その上で、来るべき首脳会談におきましては、トランプ大統領との間で、率直な意見交換を通じ、信頼関係を構築いたしますとともに、安全保障や経済などの諸課題につき、認識の共有を図り、一層の協力を確認し、日米同盟を更なる高みに引き上げたいと考えておるところでございます。
核兵器禁止条約及び核兵器の非人道性についてでございますが、御指摘の核兵器禁止条約への対応につきましては、様々な要素を考慮して検討を続けているところでございます。
世界に被爆の実相をしっかりと伝えていくことは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点でございます。政府といたしましては、引き続き、唯一の戦争被爆国として、被爆の実相の正確な理解を、世代と国境を越えて促進をいたしてまいります。
その一方で、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下、我が国は、その周辺におきまして、質的、量的な核軍拡に直面をしております。御存じのとおりです。
現実に核兵器などの日本に対する脅威が存在する中で、それに対応し、我が国の独立と平和を守り抜くためには、米国が提供する核を含みます拡大抑止が不可欠でございます。
我が国の安全保障を確保しつつ、同時に核兵器のない世界という目標に向かって努力していくことは決して矛盾するものではなく、共に取り組んでまいります。
普天間飛行場の返還や日米地位協定の改定等についてでございますが、普天間飛行場につきましては、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づきまして着実に工事を進めていくことが、その一日も早い全面返還を実現し、危険性を除去することにつながるものと考えております。引き続き、基地負担の軽減に全力で取り組みますとともに、沖縄経済の構造改革に向けて支援を継続をいたしてまいります。
地位協定につきましては、自民党で、アジアにおける安全保障のあり方特命委員会が設置をされ、議論が行われております。引き続き我が自由民主党におきまして議論を重ねていくものと承知をいたしておりますが、党における議論を踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力を強化するとともに、在日米軍の信頼性、同盟の強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、適切に判断をいたしてまいります。
選択的夫婦別氏制度についてでございます。
これまで、選択的夫婦別氏制度に係る法案が一部の議員の皆様方から提出されてまいりましたことは承知をいたしておりますが、国会における法案審議の経緯について、政府として発言することは差し控えたいと存じます。
夫婦の氏の在り方につきましては、内閣府が行いました令和三年の世論調査を見ましても、国民の皆様方の御意見が分かれております。また、選択的夫婦別氏制度の導入を求める立場の中にも、制度の具体化に当たりましては、例えば子供の氏をどのように定めるか、そういった点を含めまして、様々なお考えがあるものと認識をいたしております。
政府といたしましては、家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感や子供への影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の御理解が形成されることが重要である、このように考えておるところでございます。
以上であります。(拍手)