石破茂の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(石破茂君) 武正公一議員の御質問にお答えをいたします。
 埼玉県八潮市の道路陥没事故についてのお尋ねを頂戴いたしております。
 一昨日、埼玉県知事から表明がありましたように、トラックの運転席の中に取り残されている可能性があり、救助活動のため、バイパスとなる下水管を設置し、汚水を迂回させる等の方針と承知をいたしております。政府といたしましても、一刻も早く救助活動や応急復旧が進みますよう、引き続き、専門家の派遣など最大限の協力を行ってまいります。
 全国の下水道において同様の事故の再発防止のため、政府として、二月中に国土交通省に有識者委員会を設置し、点検手法の見直しなど、大規模な道路陥没を引き起こすおそれのある地下管路の管理の在り方などについて検討を進め、早期に結論を得て、これに基づき迅速かつ着実に対応をいたしてまいります。
 その上で、本年六月目途に策定することといたしております国土強靱化実施中期計画の中で、今回の事故も踏まえた下水道の老朽化対策を含め、インフラの強靱化に必要な対策を盛り込むべく、検討を加速いたしてまいります。
 尖閣諸島についてでございます。
 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土であり、解決すべき領有権の問題はそもそも存在をいたしておりません。
 その上で、合衆国政府は、尖閣諸島に関する日本の立場を十分理解し、尖閣諸島をめぐる情勢について、我が国の側に立って緊密に連携していくとの立場であると理解をいたしており、今回も、私とトランプ大統領との間で、日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されることを含め、こうした合衆国の立場につきまして改めて確認をしたところでございます。
 我が国としては、引き続き、領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、合衆国とも連携しつつ、尖閣諸島をめぐる情勢に対して冷静かつ毅然と対応をいたしてまいります。
 成果文書における法の支配の文言についてお尋ねをいただきました。
 法の支配につきましては、自由で開かれたインド太平洋の中核的な理念であり、今回の共同声明でも、自由で開かれたインド太平洋を堅持することを確認をいたしております。
 また、会談の場で、私から、力又は威圧によるあらゆる現状変更への試みに強く反対する旨申し述べ、これを共同声明でも確認をいたしましたが、これはまさに法の支配の重要な要素であります。
 今回の共同声明の交渉の詳細に関しましては、米側との関係もあり差し控えますが、いずれにせよ、我が国として、法の支配を重視する立場に全く変わりはなく、今回の会談では、この立場を踏まえて、様々な課題についてトランプ大統領と議論を行いました。
 なお、今後の日米やG7を始めとする外交上のやり取りを受け発出される成果文書の具体的内容について、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。
 二〇二七年度より後の防衛費と米国からの装備品売却についてお尋ねがありました。
 現行の国家防衛戦略におきまして、防衛力の抜本的強化は将来にわたり維持強化していく必要があるとされており、今般の日米共同声明における、二〇二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくこととは、現行の国家安全保障戦略等に基づく既存のコミットメントを再確認したものでございます。
 その上で、二〇二七年度より後の防衛力整備の具体的な内容につきましては、その時点での安全保障環境等を踏まえ、今後、何が必要かを検討し、実施すべき事項を積み上げるものでありまして、今般の共同声明は、二〇二七年度より後の防衛力の規模について約束したものではございません。
 また、一月三十一日に、米国防省から米国議会に対して、米国政府が我が国へのSM6の売却を承認した旨通知をいたしており、トランプ大統領から具体的な装備品名について言及はなかったものの、言及のあった装備品の売却はこのことを指すものと承知をいたしております。
 日米首脳会談での関税に関するやり取り及び日米貿易協定の自動車関税に関する交渉についてお尋ねをいただきました。
 御指摘の今後の関税措置に関するトランプ大統領の発言については承知をいたしておりますが、今般の会談の時点ではこれらの関税措置について正式には発表されておらず、会談でも議論はなかったところでございます。
 我が国としては、まずは今後明らかになる措置の具体的な内容及び我が国への影響を十分に精査しつつ、適切に対応いたしてまいります。
 日米貿易協定の自動車関税に関する交渉につきましては、二〇一九年九月の日米貿易協定交渉妥結の際の共同声明で、今後の交渉については、どの分野を交渉するのか、まず、その対象を日米間で協議することとなっております。
 我が国といたしましては、この共同声明等を踏まえまして、米国政府と適切な機会を捉えながら、我が国の国益が確保されますよう、引き続き真摯に取り組んでまいります。
 アラスカのLNG事業についてのお尋ねをいただきました。
 今般の日米首脳会談では、相互に利益のある形で、日本へのLNG輸出増加も含め、両国間でエネルギー安全保障の強化に向けて協力していくことを確認いたしました。
 米国からは、既に年間五百万トンを超えるLNGを輸入しております。今後、更なる購入について、経済性、供給開始時期、供給量等を踏まえまして、官民で検討していくことを想定しておるところでございます。
 アラスカLNGプロジェクトにつきましては、パイプラインの建設動向など、本プロジェクトの詳細について米国関係者からよく状況を伺う必要がございます。今後の進め方につきましては、日米相互の利益をどう実現するかなどの論点を、まずは日米の民間事業者間で議論する必要があるものと考えておりまして、経済産業省を中心に議論を促してまいります。
 会談における為替のやり取りと、政府、日銀の共同声明についてでございますが、今般の首脳会談では、日米経済関係について様々な議論を行いましたが、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることから、為替に関するやり取りについて申し上げることは差し控えさせていただきます。その上で、会談後のトランプ大統領との共同記者会見において、私から、為替については、第一次トランプ政権時と同様に、専門家である日米の財務大臣の間で緊密な議論を継続させていくこととする旨を申し上げたところでございます。
 日本経済については、円安などに伴う輸入物価の上昇もありまして、賃金上昇を通じた持続的な物価上昇へ移行する途上にございます。日本銀行は、こうした認識を政府と共有しつつ、二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて金融政策運営を行っているものと承知をしております。政府と日銀が共同声明に沿って引き続き連携を続けていくことは重要と考えており、現時点におきまして共同声明を見直すことは考えておりません。
 為替変動による支出増額を回避するための方策についてお尋ねをいただきました。
 当初予算作成時に見込んだ為替レートと支払い時の実際の為替レートとの差額は常に生じますことから、国際機関への分担金、拠出金を御指摘のように当初予算に計上したとしても、必ずしも為替レートの影響による支出増が小さくなるわけではありませんが、国際情勢等を総合的に勘案した適切な額を当初予算に計上し、財政法第二十九条に基づき、概算要求後に生じた事態に適時的確に対応するために必要な経費を補正予算に計上してきております。
 同様に、米国が防衛装備品等を有償で提供する制度、FMSにつきましては、御指摘のように、複数年度にわたる支払いを避けたとしても、必ずしも為替レートの影響による支出増が小さくなるわけではありませんが、装備品の中には、完成までに複数年度を要するため、後年度負担を伴う予算により調達するものもあり、製造の進捗等に応じた支出すべきタイミングで適切に支払いを行ってきておるところでございます。
 外為特会は、為替介入等に備えて保有する外貨資産を管理するためのものでありますことから、直接的に外貨建ての支出を行うことは特別会計法上認められておりません。しかしながら、政府が外貨建てで送金する際に、外為特会の保有外貨を市場レートで両替することで手数料を節減するといった工夫に努めておるところでございます。
 パリ協定、WHOの扱い、国際協調についての議論、日米関係の黄金時代の趣旨についてでございます。
 日米両国、そして国際社会が直面する課題は多岐にわたり、当然のことながら、今回の首脳会談でそれら全てを取り上げることはできませんでしたが、自由で開かれたインド太平洋を堅持し、世界に平和と繁栄をもたらすとの首脳間の共通認識を踏まえ、今後、両国政府間で話し合っていきたいと考えております。
 首脳会談の共同声明でうたいました黄金時代とは、インド太平洋地域の平和と安定の基盤であります日米同盟を一層強化し、日米関係を新たな高みに引き上げていくことを通じまして世界の平和と繁栄に貢献していく、そうした日米首脳の決意を示した表現でございます。
 米国が国際社会において果たし得る役割は、引き続き重要であります。我が国といたしましては、自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けた米国との緊密な連携を確保すべく、引き続き様々なレベルで意思疎通を重ねてまいります。
 米国による鉄鋼、アルミニウムへの関税措置についてでございます。
 御指摘の米国による鉄鋼、アルミニウム製品に対する関税措置につきましては、先般の首脳会談の時点では正式に発表されておらず、会談では議論はなかったところでございます。
 その上で、米国政府には、米国時間二月十一日以降、在米国日本大使館や外務本省を始め様々なレベルで措置の対象から我が国を除外するよう申入れを行ってきております。
 御指摘の経済的影響を予断することは差し控えますが、我が国といたしましては、これらの措置の内容や我が国への影響を十分に精査しつつ、引き続き必要な対応を行ってまいります。
 日本製鉄によるUSスチールへの投資計画についてのお尋ねをいただきました。
 首脳会談では、本件について、具体的な出資割合に関する議論はございませんでした。本件は、どちらかが一方的な利益を得るというような単なる買収ではなく、日本の技術と資金を活用して米国に大胆な投資を行うことで、米国や世界が求める優れた製品を共に生み出し、日米が共に利益を得る、いわばウィン・ウィンの関係になるものにしよう、このような認識を共有したところでございます。
 具体的な計画につきましては、民間の関係者において検討、調整が進められていくものと考えており、政府といたしましては、必要に応じて、関係者間の意思疎通の促進に努めてまいります。
 北朝鮮問題についてのお尋ねをいただきました。
 今般の日米首脳会談では、北朝鮮情勢について認識を共有し、核、ミサイル問題に共に対処する必要性、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを確認をいたしました。
 今般の会談を踏まえ、首脳間を始めとする強固な信頼、協力関係の下、拉致、核、ミサイル問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き、日米間の様々なレベルで意思疎通を行い、緊密に連携をいたしてまいります。
 拉致問題についてでございますが、今般の日米首脳会談では、私から、いまだに肉親と再会することができない拉致被害者御家族の苦しみ、切実な思いを大統領に直接伝達をいたしました上で、一日も早くこの問題を解決したいという決意を伝え、大統領に対しまして、米朝間の交渉の可能性も念頭に、改めて理解と協力を求めたところでございます。
 これに対しまして、トランプ大統領から拉致問題の即時解決に向けた全面的な支持を得たことは大きな成果であり、このことは、拉致問題の解決に向けた我が国の主体的取組に寄与するものであったと考えております。
 首脳会談でのやり取りについてこれ以上の詳細をお答えすることは差し控えますが、日米の強固な信頼、協力関係の下、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現いたしますとともに、北朝鮮との諸課題を解決するため、私自身の強い決意の下、政府として総力を挙げ、最も有効な手だてを講じてまいります。
 トランプ大統領のパレスチナに関する発言等についてでございますが、日米両国、そして国際社会が直面する課題は多岐にわたり、今回の首脳会談で、ガザ情勢、中東和平について取り上げることはできませんでした。しかしながら、自由で開かれたインド太平洋を堅持し、世界に平和と繁栄をもたらすとの首脳間の共通認識を踏まえ、今後、両国政府間で話し合ってまいりたいと考えておるところでございます。
 その上で、御指摘のトランプ大統領の一連の発言については承知をいたしておりますが、これは米国内におきましても様々な議論がある現段階におきまして、大統領による発言の逐一について日本政府として見解を述べることは適切ではないと考えております。その推移を注意深く見極めてまいります。
 なお、我が国として、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する二国家解決を支持する立場に全く変わりはございません。関係国、機関とも緊密に意思疎通をしながら、喫緊の人道支援に加え、中長期的な復旧復興支援においても積極的に役割を果たしてまいります。
 核軍縮等に係るやり取り及びトランプ大統領の被爆地訪問についてお尋ねをいただきました。
 先般の日米首脳会談では、核兵器禁止条約及び締約国会合へのオブザーバー参加については特段のやり取りを行ってはおりません。
 そもそも、核兵器禁止条約締約国会合へのオブザーバー参加の是非は、日本政府として主体的に判断すべきものでございます。
 従来から申し上げておりますとおり、核兵器禁止条約締約国会合に関する対応につきましては、これまでオブザーバー参加をした国々の状況等に関する検証を行った上で、政府として適切に判断をいたします。
 また、首脳会談の際、私はトランプ大統領に早期の訪日を招請しましたが、国内での訪問先を含め、それ以上の詳細について現時点では決まっておりません。
 日米地位協定、日米合同委員会の議事録の公開及び在日米軍による性犯罪についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
 さきのトランプ大統領との首脳会談におきましては、まずは強固な信頼関係を築くことを重視し、安全保障分野を含む日米関係全般について意見交換を行い、日米同盟の抑止力、対処力を高め、日米が直面する地域の戦略的課題に緊密に連携して向き合っていくことで一致をいたしました。私から、沖縄の負担軽減の必要性を説明をいたしたところでございます。
 日米合同委員会の合意事項や議事録は、日米双方の同意がなければ公表されないこととなっておりますが、国民の皆様への説明責任を果たしていくことは重要である、このように考えておりまして、公表できるものは公表いたしますよう努めてまいります。
 米軍関係者による事件、事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものでございます。米側に対しましては、在日米軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を働きかけており、引き続き、こうした働きかけを行うとともに、日米間で協力をいたしてまいります。
 米中関係についてでございます。
 米中両国の関係の安定は、国際社会にとっても極めて重要であると考えております。また、地域における法の支配、平和と安定を日米の協力の下で適切に維持していくことは、日米のみならず国際社会全体にとっても極めて重要であります。
 引き続き、同盟国である合衆国との強固な信頼関係の下、中国に対しまして、地域の平和と安定のために、その立場にふさわしい責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――

発言情報

speech_id: 121705254X00420250213_010

発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2025-02-13

院: 衆議院

会議名: 本会議