和田有一朗の発言 (本会議)
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○和田有一朗君 日本維新の会の和田有一朗です。
党を代表し、石破総理による米国訪問の帰朝報告について、全て総理に質問をいたします。(拍手)
自由で開かれた国際秩序が大きく揺らぐ中、初顔合わせの日米両国首脳が結束し、日米関係の新たな黄金時代に向けて、安全保障や経済、エネルギーなど、多面的に協働していくとともに、世界の平和と安定のために堅固な日米同盟を一層深化させると宣言した意義は大きいと思います。安倍元総理が第一次政権時代のトランプ大統領との間で築き上げた遺産もありましょうが、成果を収めたと率直に評価をいたします。私個人といたしましては、オール・ジャパンの総力戦を支えた外務省を始めとする官民全ての皆さんに敬意を表したいと思います。
とはいえ、米国第一主義を掲げ、安全保障問題すらディールの対象とし、予測不能の言動で混乱をもたらす大統領の基本姿勢は変わりません。今後、日本に厳しい要求を突きつけてくることは想像に難くなく、心して向き合っていかねばなりません。
共同声明では、自由で開かれたインド太平洋の堅持や、台湾海峡の平和と安定維持の重要性、米国の核兵器を含む戦力で日本を守る拡大抑止の更なる強化や、日米安保条約第五条の尖閣諸島への適用などが改めてうたわれました。トランプ大統領は、共同記者会見で、米国の抑止力、能力を使って友好国、同盟国を一〇〇%守るとも表明しました。表層的に、安全保障については満額回答と言える内容だと思います。
ただ、政府は、殊更、日米安保条約第五条の尖閣適用を米国に確約してもらうことを重視しますが、尖閣は一義的に日本が独自で守ることが求められているのは言うまでもありません。
二〇一五年に改定された日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインにおいて、日本の国民及び領域の防衛は我が国が主体的責任を持つとはっきり書かれています。拡大抑止の前提となる打撃力の使用も、米軍は、自衛隊を支援し及び補完するため、打撃力の使用を伴う作戦を実施できるとしていますが、厳密に言えば、米国が打撃力の使用をフルに約束したわけではありません。
ゆえに、日米両国が実質的な信頼関係を高めていくことが死活的に重要かと考えますが、見解を求めます。
一方、今回の首脳会談では、拡大抑止の強化に関して具体的に議論されましたか。日本がロシア、中国など専制主義国家の核の脅威にさらされている中、米国の拡大抑止の信頼性を制度的に担保すべきではないでしょうか。
トランプ政権は、同盟国との協調より同盟国自身の努力を一層強く促す戦略が際立っています。トランプ大統領が、二〇二七年度に防衛費をGDP比二%規模とする日本の方針を評価し、日本の更なる取組に期待感を示したのも当然です。コルビー国防次官は日本の防衛費についてGDP比三%を主張しており、米国からの増額要求は不可避と見られます。
日本の安全保障環境は、新たな悪の枢軸というべき中国、ロシア、北朝鮮、イランが結束を強めるなど、岸田前政権が二二年末に国家安全保障戦略など戦略三文書を決定した時点より明らかに悪化し、局面が変わったと考えますが、認識をお伺いします。
共同声明では、日本が二七年度以降も抜本的に防衛力を強化していく方針が示されましたが、現状、二七年度以降の防衛費について、GDP二%を維持するのかも含めて白紙ということが政府の立場でしょうか。米国に言われるまでもなく、防衛のために日本が主体的かつ適切に判断し、必要なら最優先に予算配分をして万全な抑止力を整備していくことは当然ではないですか。
トランプ氏の根源に流れる価値観、行動原理をつぶさに分析した上で、いかなる理不尽な恫喝があろうとも、その要求を巧みに活用しつつ、日米が共に強い防衛体制を構築できるよう、上手を行く対応が求められていると考えますが、見解を求めます。
共同声明では、日米豪印の安全保障枠組み、クアッドや、日米韓、日米豪、日米比といった多層的で共同歩調の取れた協力を推進するとされました。第一列島線防衛における台湾の戦略的重要性を踏まえれば、日台、日本と台湾を非政府間の実務関係にとどめておくのは極めて不合理です。
日本のリーダーシップによる政治的決断で日米台の連携メカニズムを早急に構築し、日本から韓国、台湾、フィリピン、豪州へと連なるアジア太平洋地域の同盟国、友好国による切れ目のない強靱な集団防衛体制を整えるべきではありませんか。
首脳会談では中国と北朝鮮への脅威が共有されましたが、トランプ大統領は敵対国とも右手にこん棒を持ちながら左手で握手をする、そういうふうに言われています。
中国との間では、二月以降、互いに高関税をかけ合う様相を呈していますが、トランプ政権の対中外交の方向性や台湾問題への立場は不透明です。現状をどのように認識されておられますか。
北朝鮮との間では、トランプ大統領が再び金正恩総書記と直接交渉を行い、日韓両国に断りなく北朝鮮の核保有を事実上認める形で関係改善を進めてしまうと、北朝鮮の非核化が後退し、東アジアの安全保障に深い影を落とします。
首脳会談でトランプ大統領に核保有国発言の真意を問うなり、撤回を求めるなりされたのですか。米朝が直接ディールに動く前に、最重要課題である拉致問題の解決を含めて、日本の立場を改めてトランプ政権とすり合わせておくべきだと考えますが、認識を伺います。
トランプ政権は、北米、南米大陸、つまり、南北での不法移民対策などの安全保障に最大の重きを置き、東西では中国との大国間競争に傾斜をしています。
日本にとって、アジア太平洋地域の平和と安定のために、いかにトランプ大統領を最大限巻き込み、日米同盟が大きな得となるかを理解、行動させていくことが重要な課題だと考えますが、御所見を求めます。
トランプ大統領は、パリ協定やWHOからの離脱方針、グリーンランド買収、パレスチナ・ガザ地区の所有発言など、国際法や国際ルールに背を向ける振る舞いを続けています。しかし、トランプ大統領の再登板により、より不確実性を増す国際情勢や国際協調の必要性について、首脳会談で踏み込んだ議論がなされた形跡はありません。
これらについて、総理はトランプ大統領に遠慮して話さなかったんですか。また、御自身は問題意識を持たれているんでしょうか。
総理は、今回の首脳会談前に、民主主義陣営の普遍的価値である法の支配の重要性をトランプ大統領と確認する意向を示していました。
ところが、共同声明では、菅、岸田両政権時代の共同声明には明記されていた法の支配という文言が抜け落ちてしまいました。それはなぜですか。首脳会談で総理は法の支配に全く触れなかったんですか。それならば、理由を説明してください。
トランプ大統領は、日本など百二十五の国、地域が加盟するICC、国際刑事裁判所職員らに制裁を科す大統領令に署名しました。ICC加盟国のうちフランスやドイツなど七十九か国・地域も、ICCを支持する共同声明を出しました。しかし、最大の分担金拠出国の日本はこれに加わっていません。法に基づく国際秩序の重要性を主張してきた日本の対応としては、理解に苦しみます。
我が国はなぜ声明に加わらなかったのですか。直後に控えていた日米首脳会談への影響を懸念したのですか。制裁の撤回に向けて日本が何らかの外交的アクションを起こす考えはありませんか。
日本製鉄のUSスチール買収計画については、買収ではなく投資とすることで合意に至りました。最終決着は見通せませんが、日鉄への門戸を閉ざしていた前政権の判断を覆す上で、ひとまず前進であると受け止めます。
買収ではなく投資とすることについては、総理が日鉄側との調整の上でトランプ大統領に提案したと伝えられていますが、事実関係をお伺いいたします。
投資が示す意味は明確になっていません。日鉄の出資比率が過半数に至らなければ、USスチールの経営権を完全に握れず、日鉄の意に沿う投資ができなかったり、日鉄が持つ高い技術が流出したりする事態も想定されますが、いかに認識をされておられますか。
このまま日鉄の買収計画が撤回され、バイデン前大統領らへの提訴も取り下げられた場合、日本企業による米国企業の買収は今後も阻まれるおそれがあるとして、日本企業の米国での企業買収の動きが萎縮しかねないのではありませんでしょうか。日本の企業、経済、国益にとって、それでいいんでしょうか。
総理は、トランプ大統領に対し、日本企業の対米投資を約二五%増の一兆ドル、すなわち約百五十一兆円規模にまで引き上げると約束しました。
具体的に何を根拠にその数字を示したんですか。単なる努力目標なんでしょうか。この対米公約の実現見通しについて、総理は九日のテレビ番組で、民間がやること、政府がどうのこうの言うことじゃないと述べましたが、このような他人事の姿勢で、一体どのようになし得るおつもりでしょうか。
同盟国にも振りかざすトランプ大統領の高関税政策は、国際協調と自由貿易という戦後秩序の二大原則を揺るがしつつあります。トランプ大統領は、対日貿易赤字が削減されなければ日本に対して関税措置を取ることを検討する考えを示しました。既に、米国に輸入されている鉄鋼、アルミ製品に二五%の関税を課すことを決め、高関税の貿易相手国に同水準の税率を適用する相互関税の措置も導入する方針です。日本が相互関税の対象になるか不明ですが、日本は、工業製品では化学分野などごく一部を除いてほぼ関税を撤廃済みです。
ただ、農業分野では関税が残されており、米国から圧力を受ける可能性は否定できません。特に、牛肉と自動車の関税をバーターして取引される懸念があり、自動車関税が牛肉関税と同等に引き上げられた場合、日本経済への影響は計り知れません。トランプ大統領は、日本が輸入車の安全性や環境性能を厳しく評価していることを批判し、相互関税ではこうした非関税障壁の緩和を求めてくる可能性があります。
総理は、現状をいかに認識し、日本がそれを回避するためにどのような対策を講じていくお考えでしょうか。
トランプ大統領は、第一次政権時代、米軍駐留経費の大幅な負担額引上げを当時の安倍総理に要求した経緯があり、在日米軍駐留経費などをめぐるディールで関税圧力をかけてくる可能性は排除できません。
大統領の最優先課題は米国の利益拡大であり、日本は、あらゆる事態を想定し、トランプ氏とのディールに対する戦略を入念に準備すべきだと考えますが、総理の認識と覚悟を伺います。
最後に、共同声明にうたわれた、国際機関への台湾の意味ある参加への支持についてお尋ねをいたします。
台湾は、米国がトランプ第一次政権時に脱退したCPTPPと、トランプ第二次政権の発足とともに離脱したWHOへの加入を強く求めており、いずれもボールは日本にあると言えると思います。日本は台湾の双方への参加に対して真剣に向き合う必要がありますが、総理の決意をお伺いしたいと思います。
私は、長年、日本と台湾の友好交流活動に力を注いできました。石破総理に対する台湾の皆さんの期待は大変大きいと私は実感してきました。しかし、信頼を得るのには時間がかかりますが、失望され信頼を失うのは一瞬です。台湾の人たちは日本の対応をしっかりと見ています。我が国日本と台湾の両国が共に未来永劫、発展、繁栄するためには、世界の中で最も身近で、隣人である台湾の人たちの期待を裏切らないことが大切です。
そのことをお願いして、私からの質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕